北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和四年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.03.25-2023.03.26)

2023-03-24 20:00:10 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 桜前線の北上と共に年度末ですが皆様いかがお過ごしでしょうか、年度末という事ではありますが今週末はしっかりと今年度最後の陸上自衛隊行事等も行われます。

 春日井駐屯地創設56周年記念行事が26日日曜日に挙行されます。春日井駐屯地祭はCOVID-19感染拡大後初めて再開される事となりました。春日井駐屯地は愛知県春日井市に所在し、東京からは新宿より中央線で一本、いや特急乗りかえで、すぐというか一寸行った先、名古屋からは東海道新幹線を中央線のりかえと十数分という好立地にあります。

 第10後方支援連隊、第10施設大隊、第10偵察隊等が駐屯する駐屯地です。そして今年度の行事は第10偵察隊にとり廃止改編を前にした最後の行事となる可能性があります、こういいますのも来年度末改編により第10師団から第10戦車大隊と第10偵察隊が廃止され、そののちに第10偵察戦闘大隊が編成されると考えられている為で、過渡期の行事という。

 第10対戦車隊、Weblog北大路機関創設当時はこの春日井駐屯地にはもう一つ、第10対戦車隊が置かれ、79式対舟艇対戦車誘導弾を16基装備していました、これが第10師団の乙師団から戦略機動師団への改編に伴い、各普通科連隊へ79式対舟艇対戦車誘導弾12基を装備する対戦車中隊が創設されることとなり、第10対戦車隊は廃止改編を受けている。

 対戦車中隊は師団に当時四個の普通科連隊が有りましたので、大幅な増強となったのですが、こののちに師団が戦略機動師団から即応近代化師団改編を受け、戦車と火砲を大幅に縮小した際、対戦車中隊も順次廃止されることとなり、また当時期待された普通科中隊対戦車小隊への中距離多目的誘導弾が配備されることもなく、対戦車火力は激減しました。

 地域配備師団へ、即応機動師団から改編されるにあたって戦車大隊廃止など更なる重装備の廃止が行われるのですが、これと並行し2022年末の安全保障関連三文書に、地域配備師団を機動運用部隊とする旨が明記され、要するにこれまでは、機動運用しないのだから重装備は不要だよね、という改編の筈が、重装備は廃止するが機動運用で動いてもらう、と。

 重装備を廃止するならば、せめて歩兵部隊として十全の活躍が出来る様に、普通科連隊へ96式装輪装甲車やパトリアAMV装甲車や機動装甲車でもよいのですが、充分配備し手は、とも思うのですが、そういった動きも無く、政府は有事の際に陸上自衛隊をどのように駆使しようとしているのが、行事を見ている限りわからないのが、最近の現状なのです。

 ウクライナの戦訓を見れば、重戦力は今なお有効ですし離島防衛へはスウェーデン軍がウクライナ有事に際しバルト海のゴトランド島へ機甲部隊を前進させ、ロシア飛び地であるカリーニングラード周辺をNATOが機械化部隊で守りを固めた事で戦争は拡大していません、一方、欧州各国が削り過ぎた重戦力はウクライナ支援を制限している、これが現実だ。

 練習艦隊の近海練習航海部隊、その全国巡航の練習航海についてみてみましょう。近海練習航海部隊は佐世保を出航、予定では29日水曜日から31日金曜日まで宮古島と石垣島に入港する予定です。この日程ですが、海上自衛隊HPの発表では宮古石垣とありますが、宮古島と石垣島に両方とも入港するのか日程が不明確、地本HPなどをご覧ください。

 近海練習航海部隊の先島諸島入港ですが、他方で両島では中国軍事圧力の増大を受け新駐屯地創設へ向け大車輪で準備が進められています。近海練習航海の目的には、公開を通じて新任幹部へ、我が国の防衛安全保障状況を理解させる、というものも目的として挙げられていますので、これこそまさに防衛の最前線を、ということになるのかもしれません。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・3月26日:春日井駐屯地創設56周年記念行事


■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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岸田-ゼレンスキーキエフ首脳会談,日本が約束した"非殺傷の装備品"とはなにが現地で必要とされているか

2023-03-24 07:00:33 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 非殺傷の装備品、装備品というからには民生品や仮設住宅などではなく自衛隊に装備されているものなのでしょうが何を示すのだろう。

 岸田総理大臣はウクライナのキエフを訪問し、ゼレンスキー大統領との間で初の首脳会談を実施、総理は手土産に“しゃもじ”を手渡しました。ステルス機の暗号名称でも新型ミサイルの略称でもなく、あのご飯とかを盛る特大のしゃもじです。宮島しゃもじという広島県の特産物で、海上自衛隊の方曰く、まあ最悪の場合フネを漕ぐのに使えるよね、と。

 縁起物ではあるそうですが、しかし戦時下のキエフに何を持ちこんでいるのだ、と。イギリスはチャレンジャー2主力戦車を、フランスはカエサル自走榴弾砲を、アメリカはHIMARS高機動ロケットシステム、ドイツはレオパルド2主力戦車、カナダはバイソン装輪装甲車、イタリアはFH-70榴弾砲、日本はしゃもじ、G7主要国の中で一つ浮いている。

 非殺傷の装備品を中心に供与する。確かにしゃもじは映画潜水艦イ57降伏せず劇中で艦内の喧嘩に水雷科の水兵さんを主計科の水兵さんが引っ叩くのに使ったくらいで、非殺傷用ですが、例えば退役させる82式指揮通信車を装甲救急車として内部に担架を設置して供与とか、軽装甲機動車を供与するとか、退役するUH-1J多用途ヘリコプターなど出来ないか。

 90式戦車の退役が始りますが、このあたりを供与してはとも思う、ロシア軍がT-62戦車を復帰させているのだから能力的には退役進む74式戦車を供与してももう漏れる情報はほとんどないし、ロシアが鹵獲し74式戦車への対抗策を練ったとしても、供与条件に戦後に鹵獲したT-90戦車残骸などロシア製装備バーターを要請するならば十分帳尻は合います。

 渡河器材や築城器材、非殺傷装備といいますとこの当たりをもう少し真剣に考えてみてはと思う、特に今後ウクライナ軍がドニエプル川を超えての反撃を行う場合にウェットギャップの克服に渡河器材はどれだけあっても足りません、なにも供与するものが最新の07式機動支援橋でなくとも、こちらの生産を急ぎ旧型の81式自走架橋柱を供与してもよい。

 しゃもじ供与では、日本の品格が疑われる。もちろん非殺傷の装備品を供与することは盟約しているのですから、なんらかの装備品を供与するのでしょうけれども、野外炊具一号とか野外洗濯システムⅡ型のような、現地が死活的に必要とはしていない装備よりは、例えば毎年数百両が廃棄されている高機動車、何故か廃車をロシア軍が使っている、こういったものの方が現場では歓迎されるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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