■■■防衛フォーラム■■■
今回は全般支援火力である射程の大きなロケット砲兵システムに重点を置き最新の情報を纏めました。
オランダ国防省はMLRS後継装備としてPULS多目的ロケット発射システムを導入します。PULSはイスラエルのエルビットシステムズ社が開発したロケットシステムで装輪車両であれば様々な装備から運用可能であるとともに潜在的に装軌式装甲車両などからも投射可能であるシステムで、アメリカとドイツが開発したMLRSよりも汎用性が高いもの。
PULSはアメリカのMLRSシリーズのような227mm口径の縛りはなくコンテナ単位で共通化を図り、射程35㎞の122㎜18連装コンテナ、射程40㎞の160㎜10連装コンテナ、2連装で射程300㎞のミサイルコンテナなどをシステム化、この装備はイスラエルと提携を発表したドイツのクラウスマッファイ社によっても整備及び弾薬が生産されるという。
HIMARSがこの種の装備としては有力ですが、ウクライナでのGMLRS精密誘導ロケットの大量消費とHIMARSそのものの需要の高まりから生産が追いついておらず、イスラエルと韓国がこれらを補う装備を量産しています。ただ、弾薬生産について同島に余裕を持った生産が可能であるのかは未知数であり、この装備体系のネックといえるかもしれません。
■ノリンコAR-3多連装ロケット
中国製ロケット兵器の近年の能力向上は驚くべき点がありますが砲弾に主翼を装着するなどちょっと変わった方法が輸出市場で堂々と販売される等違う意味で驚きもある。
アラブ首長国連邦軍は中国製ノリンコAR-3多連装ロケット砲を調達します、この調達計画は20月20日から24日にかけアブダビにおいて開催されたIDEX国際兵器見本市において発表されたもので、ノリンコAR-3多連装ロケット砲について2億4500万ドルの契約を結んだとのこと。この装備の特色は様々な口径のロケット弾やミサイルを運用すること。
ノリンコAR-3多連装ロケット砲には射程140㎞の300mmファイアドラゴン精密誘導ロケット5発か射程280㎞で370㎜後継のドラゴン370ミサイル、最も射程の大きいものは射程480㎞で後継750㎜のドラゴン480戦術弾道弾2発を搭載可能、これは衛星標定誘導によりCEP30mの性能を誇り、アラブ首長国連邦軍の長距離打撃力を大いに強化します。
中国軍の多連装ロケットシステムは1980年代から輸出用として各国に最新型が供給され、最新型の中から高性能型を人民解放軍が採用するという実戦情報や各国最新装備体系への適合化が図られています、この背景もあり射程に関しては特筆すべき水準にあり、また近年は北斗衛星誘導システムとの適合化により射程の延伸も進んでいる注目の装備体系です。
■ポーランドHIMARS
HIMARSは生産が限界を超えているようでどこかでライセンス生産を行い供給数を確保する必要はあるのかもしれない。
ポーランド軍はアメリカより初のHIMARS高機動ロケットシステムを受領しました。これは5月15日にワルシャワにおいて実施されたもので、2019年2月にポーランドの防衛力近代化の一環として導入を決定したM-142-HIMARSの初の納入となります。ポーランドは2022年ロシアウクライナ戦争の勃発を受け更に大量の取得を希望しています。
HIMARS,今回の納入では5両がアメリカから引き渡されており、ポーランド軍は全般支援火力として、第18機械化歩兵師団への配備を予定しています。現在ポーランドが決定しているHIMARSの調達は発射装置18両と訓練用車両2両、及びGMLRSを含む所要弾薬で、ポーランド軍のTOPAZ戦術データリンクシステムとの適合性も確保されています。
ポーランド軍はロシア軍のスバルキギャップやカリーニングラードからの軍事圧力に直面しており、一時期はHIMARSについてアメリカ軍の全ての砲兵火力を上回る500両を調達希望していました、しかし費用面でもHIMARSの生産能力からも現実的ではなく、これとは別に韓国から多連装ロケットシステムを導入する事でハイローミックスを図っています。
■ポーランドK-239ロケット
HIMARSの生産を補っているのがこうした韓国やイスラエルなどの装備です。
ポーランド国防省は韓国製K-239ロケット砲チョンムの受領を開始しました。ロシア軍ウクライナ侵攻を受け、ロシア軍が次に標的とするのはソ連崩壊によりロシアの飛び地となったバルト海沿岸のカリーニングラードでありポーランドはここと国境を接している、ベラルーシとの軍事協力強化や将来的な連邦国家樹立などを警戒しています。
K-239ロケット砲はK-33多連装ロケット砲の後継として韓国が2015年に開発したトラック式ロケット砲ですが、アメリカ製M-142-HIMARS高機動ロケット砲兵システムの影響を受け開発、発射装置は韓国軍が従来から運用する131mmロケット弾を運用しますがモジュール弾薬方式によりMLRSと同じKM-26-230mmロケット弾にも対応する。
HIMARSの導入を進めるポーランド軍ですが、その取得費用の大きさなどからポーランド軍が希望する500両、米軍保有総数を超える数は非現実的とされ、代えて韓国からK-239を導入したかたちです。ポーランド軍は自国の兵站体系へ適合化させるべくJelCZ八輪型トラックへK-239発射装置を搭載しており、今後最大218両を導入する計画だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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今回は全般支援火力である射程の大きなロケット砲兵システムに重点を置き最新の情報を纏めました。
オランダ国防省はMLRS後継装備としてPULS多目的ロケット発射システムを導入します。PULSはイスラエルのエルビットシステムズ社が開発したロケットシステムで装輪車両であれば様々な装備から運用可能であるとともに潜在的に装軌式装甲車両などからも投射可能であるシステムで、アメリカとドイツが開発したMLRSよりも汎用性が高いもの。
PULSはアメリカのMLRSシリーズのような227mm口径の縛りはなくコンテナ単位で共通化を図り、射程35㎞の122㎜18連装コンテナ、射程40㎞の160㎜10連装コンテナ、2連装で射程300㎞のミサイルコンテナなどをシステム化、この装備はイスラエルと提携を発表したドイツのクラウスマッファイ社によっても整備及び弾薬が生産されるという。
HIMARSがこの種の装備としては有力ですが、ウクライナでのGMLRS精密誘導ロケットの大量消費とHIMARSそのものの需要の高まりから生産が追いついておらず、イスラエルと韓国がこれらを補う装備を量産しています。ただ、弾薬生産について同島に余裕を持った生産が可能であるのかは未知数であり、この装備体系のネックといえるかもしれません。
■ノリンコAR-3多連装ロケット
中国製ロケット兵器の近年の能力向上は驚くべき点がありますが砲弾に主翼を装着するなどちょっと変わった方法が輸出市場で堂々と販売される等違う意味で驚きもある。
アラブ首長国連邦軍は中国製ノリンコAR-3多連装ロケット砲を調達します、この調達計画は20月20日から24日にかけアブダビにおいて開催されたIDEX国際兵器見本市において発表されたもので、ノリンコAR-3多連装ロケット砲について2億4500万ドルの契約を結んだとのこと。この装備の特色は様々な口径のロケット弾やミサイルを運用すること。
ノリンコAR-3多連装ロケット砲には射程140㎞の300mmファイアドラゴン精密誘導ロケット5発か射程280㎞で370㎜後継のドラゴン370ミサイル、最も射程の大きいものは射程480㎞で後継750㎜のドラゴン480戦術弾道弾2発を搭載可能、これは衛星標定誘導によりCEP30mの性能を誇り、アラブ首長国連邦軍の長距離打撃力を大いに強化します。
中国軍の多連装ロケットシステムは1980年代から輸出用として各国に最新型が供給され、最新型の中から高性能型を人民解放軍が採用するという実戦情報や各国最新装備体系への適合化が図られています、この背景もあり射程に関しては特筆すべき水準にあり、また近年は北斗衛星誘導システムとの適合化により射程の延伸も進んでいる注目の装備体系です。
■ポーランドHIMARS
HIMARSは生産が限界を超えているようでどこかでライセンス生産を行い供給数を確保する必要はあるのかもしれない。
ポーランド軍はアメリカより初のHIMARS高機動ロケットシステムを受領しました。これは5月15日にワルシャワにおいて実施されたもので、2019年2月にポーランドの防衛力近代化の一環として導入を決定したM-142-HIMARSの初の納入となります。ポーランドは2022年ロシアウクライナ戦争の勃発を受け更に大量の取得を希望しています。
HIMARS,今回の納入では5両がアメリカから引き渡されており、ポーランド軍は全般支援火力として、第18機械化歩兵師団への配備を予定しています。現在ポーランドが決定しているHIMARSの調達は発射装置18両と訓練用車両2両、及びGMLRSを含む所要弾薬で、ポーランド軍のTOPAZ戦術データリンクシステムとの適合性も確保されています。
ポーランド軍はロシア軍のスバルキギャップやカリーニングラードからの軍事圧力に直面しており、一時期はHIMARSについてアメリカ軍の全ての砲兵火力を上回る500両を調達希望していました、しかし費用面でもHIMARSの生産能力からも現実的ではなく、これとは別に韓国から多連装ロケットシステムを導入する事でハイローミックスを図っています。
■ポーランドK-239ロケット
HIMARSの生産を補っているのがこうした韓国やイスラエルなどの装備です。
ポーランド国防省は韓国製K-239ロケット砲チョンムの受領を開始しました。ロシア軍ウクライナ侵攻を受け、ロシア軍が次に標的とするのはソ連崩壊によりロシアの飛び地となったバルト海沿岸のカリーニングラードでありポーランドはここと国境を接している、ベラルーシとの軍事協力強化や将来的な連邦国家樹立などを警戒しています。
K-239ロケット砲はK-33多連装ロケット砲の後継として韓国が2015年に開発したトラック式ロケット砲ですが、アメリカ製M-142-HIMARS高機動ロケット砲兵システムの影響を受け開発、発射装置は韓国軍が従来から運用する131mmロケット弾を運用しますがモジュール弾薬方式によりMLRSと同じKM-26-230mmロケット弾にも対応する。
HIMARSの導入を進めるポーランド軍ですが、その取得費用の大きさなどからポーランド軍が希望する500両、米軍保有総数を超える数は非現実的とされ、代えて韓国からK-239を導入したかたちです。ポーランド軍は自国の兵站体系へ適合化させるべくJelCZ八輪型トラックへK-239発射装置を搭載しており、今後最大218両を導入する計画だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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