北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】オランダPULS導入とポーランドHIMARSとK-239ロケット受領とノリンコAR-3多連装ロケットUAE輸出

2023-07-17 20:00:51 | 先端軍事テクノロジー
■■■防衛フォーラム■■■
 今回は全般支援火力である射程の大きなロケット砲兵システムに重点を置き最新の情報を纏めました。

 オランダ国防省はMLRS後継装備としてPULS多目的ロケット発射システムを導入します。PULSはイスラエルのエルビットシステムズ社が開発したロケットシステムで装輪車両であれば様々な装備から運用可能であるとともに潜在的に装軌式装甲車両などからも投射可能であるシステムで、アメリカとドイツが開発したMLRSよりも汎用性が高いもの。

 PULSはアメリカのMLRSシリーズのような227mm口径の縛りはなくコンテナ単位で共通化を図り、射程35㎞の122㎜18連装コンテナ、射程40㎞の160㎜10連装コンテナ、2連装で射程300㎞のミサイルコンテナなどをシステム化、この装備はイスラエルと提携を発表したドイツのクラウスマッファイ社によっても整備及び弾薬が生産されるという。

 HIMARSがこの種の装備としては有力ですが、ウクライナでのGMLRS精密誘導ロケットの大量消費とHIMARSそのものの需要の高まりから生産が追いついておらず、イスラエルと韓国がこれらを補う装備を量産しています。ただ、弾薬生産について同島に余裕を持った生産が可能であるのかは未知数であり、この装備体系のネックといえるかもしれません。
■ノリンコAR-3多連装ロケット
 中国製ロケット兵器の近年の能力向上は驚くべき点がありますが砲弾に主翼を装着するなどちょっと変わった方法が輸出市場で堂々と販売される等違う意味で驚きもある。

 アラブ首長国連邦軍は中国製ノリンコAR-3多連装ロケット砲を調達します、この調達計画は20月20日から24日にかけアブダビにおいて開催されたIDEX国際兵器見本市において発表されたもので、ノリンコAR-3多連装ロケット砲について2億4500万ドルの契約を結んだとのこと。この装備の特色は様々な口径のロケット弾やミサイルを運用すること。

 ノリンコAR-3多連装ロケット砲には射程140㎞の300mmファイアドラゴン精密誘導ロケット5発か射程280㎞で370㎜後継のドラゴン370ミサイル、最も射程の大きいものは射程480㎞で後継750㎜のドラゴン480戦術弾道弾2発を搭載可能、これは衛星標定誘導によりCEP30mの性能を誇り、アラブ首長国連邦軍の長距離打撃力を大いに強化します。

 中国軍の多連装ロケットシステムは1980年代から輸出用として各国に最新型が供給され、最新型の中から高性能型を人民解放軍が採用するという実戦情報や各国最新装備体系への適合化が図られています、この背景もあり射程に関しては特筆すべき水準にあり、また近年は北斗衛星誘導システムとの適合化により射程の延伸も進んでいる注目の装備体系です。
■ポーランドHIMARS
 HIMARSは生産が限界を超えているようでどこかでライセンス生産を行い供給数を確保する必要はあるのかもしれない。

 ポーランド軍はアメリカより初のHIMARS高機動ロケットシステムを受領しました。これは5月15日にワルシャワにおいて実施されたもので、2019年2月にポーランドの防衛力近代化の一環として導入を決定したM-142-HIMARSの初の納入となります。ポーランドは2022年ロシアウクライナ戦争の勃発を受け更に大量の取得を希望しています。

 HIMARS,今回の納入では5両がアメリカから引き渡されており、ポーランド軍は全般支援火力として、第18機械化歩兵師団への配備を予定しています。現在ポーランドが決定しているHIMARSの調達は発射装置18両と訓練用車両2両、及びGMLRSを含む所要弾薬で、ポーランド軍のTOPAZ戦術データリンクシステムとの適合性も確保されています。

 ポーランド軍はロシア軍のスバルキギャップやカリーニングラードからの軍事圧力に直面しており、一時期はHIMARSについてアメリカ軍の全ての砲兵火力を上回る500両を調達希望していました、しかし費用面でもHIMARSの生産能力からも現実的ではなく、これとは別に韓国から多連装ロケットシステムを導入する事でハイローミックスを図っています。
■ポーランドK-239ロケット
 HIMARSの生産を補っているのがこうした韓国やイスラエルなどの装備です。

 ポーランド国防省は韓国製K-239ロケット砲チョンムの受領を開始しました。ロシア軍ウクライナ侵攻を受け、ロシア軍が次に標的とするのはソ連崩壊によりロシアの飛び地となったバルト海沿岸のカリーニングラードでありポーランドはここと国境を接している、ベラルーシとの軍事協力強化や将来的な連邦国家樹立などを警戒しています。

 K-239ロケット砲はK-33多連装ロケット砲の後継として韓国が2015年に開発したトラック式ロケット砲ですが、アメリカ製M-142-HIMARS高機動ロケット砲兵システムの影響を受け開発、発射装置は韓国軍が従来から運用する131mmロケット弾を運用しますがモジュール弾薬方式によりMLRSと同じKM-26-230mmロケット弾にも対応する。

 HIMARSの導入を進めるポーランド軍ですが、その取得費用の大きさなどからポーランド軍が希望する500両、米軍保有総数を超える数は非現実的とされ、代えて韓国からK-239を導入したかたちです。ポーランド軍は自国の兵站体系へ適合化させるべくJelCZ八輪型トラックへK-239発射装置を搭載しており、今後最大218両を導入する計画だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】京都市営地下鉄と近鉄電車,京阪に阪急と京都市内の移動は地下路線の活用が便利

2023-07-17 18:11:04 | コラム
■地下鉄と地下路線
 烏丸線は近鉄電車が乗り入れていて大久保駐屯地祭とかはそのまま乗り換えなしで行けるという便利さが有る。

 京都市営地下鉄、烏丸線は国際会館まで延伸していますが、これがもう少し例えば叡電路線まで連絡できるようになればなあ、と思う事が有ります。流石に車両が違いますので相互乗り入れは不可能でしょうけれども。きらら号京都乗入れは見てみたいかもしれない。

 きらら号云々は冗談としても、京都市内の移動は地下路線をどのように活用するかで利便性は変ってきます、それは地下鉄烏丸線と地下鉄東西線だけではなく、阪急京都本線の西院から河原町までと、そして京阪の東福寺駅から出町柳駅までの区間等を含みます。

 桜花の季節や紅葉の季節は場所によっては物凄い渋滞を引き起こして、知人でタクシーが渋滞にはまってしまい、普段なら2000円しない区間でも倍近くかかった、という話がありまして。しかし地下路線ならば、鉄道ならば、地上が渋滞する場合でも動きが執れる。

 東海道本線と京阪線の連絡が便利になればという事で東大路駅の新設を求める声があるようですが、確かに京阪七条駅から京都駅まではシャトルバスの利便性が悪いですし、路線バスでは少々割高に感じ、他方でもし東大路駅が実現しても七条駅は遠く感じるという。

 国際会館駅で叡電と連絡できるようになればいいなあ、と前述の通り思うのは実際のところ、太秦天神川駅開業で意外な程嵐電が使いやすくなりまして、ああこれで嵐電が北野白梅町から北大路通り沿いに北大路駅まで延びればもっと便利になるのに、と夢を見た。

 東西線の六地蔵駅は、まあ奈良線の連絡は簡単なのですが宇治線への乗り換えが、雨の時にはあの橋のところで妙に濡れてしまいまして、難しいのは判るけれどもあと地下路線を200m延伸してくれれば本当に楽だったのになあ、と思う。京都の地下路線は、奥が深い。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【京都幕間旅情】祇園祭二〇二三,前祭り山鉾巡行まもなく開始-京都夏の風物詩を巡る

2023-07-17 07:00:04 | 日記
■祇園祭を巡る
 宵山の混雑が凄かった。昔はここまでじゃなかったよなあとも思いつつそして輪を掛けて凄いのは猛暑熱波灼熱というものですが本日は。

 祇園祭は今朝まも無く山鉾巡行が開始されます。長刀鉾を先頭に進むのは前祭り山鉾巡行の象徴的な情景でして、四条烏丸から四条河原町を経て京都市役所前をもとの山鉾町まで巡行する。さて、この撮影ですが、ちょっと昨晩の宵山の混雑が、凄すぎて驚きました。

 宵山、コロナ前もオーバーツーリズムが凄かったのですが、此処までだったかなあ、轟いたところ。山鉾巡行も祭日に行われるのですから、混雑はかなり覚悟しておかねばなりません。そうした中で、上手く撮影するには。個人的な経験ですが望遠レンズをつかうこと。

 山鉾巡行、近ければ近い程撮影は困難ですので100m後ろに下がりましょう、望遠レンズで可能ならば250m下がる、できればもっと後方から超望遠レンズと脚立を駆使しますと、いっそ八坂神社あたりから撮影するならば、最早混雑とは無縁ですがこれは遠すぎるか。

 大宮駅から長刀鉾が見えた、もともと大宮駅近くの梛神社から八坂神社への巡幸の際に、これは1150年以上前の話なのですが、旗指物とともに町衆がついていったのが山鉾巡行の始まりといいますので、見えてもおかしくはないのかもしれませんが、実際見ると驚く。

 日本三大祭りですので混雑は凄い、そして葵祭ほど遠距離を練り歩くわけではありませんから撮影できる場所は限られる、限られるのだけれども四条通と河原町通りと御池通りでは直線区間が続きますので、見通しの利く遠い場所から撮影することは、可能でしょう。

 神幸祭、山鉾巡行は八坂神社から御輿が一帯を巡る神幸祭の露払いが目的ですので、いよいよ祇園祭は最盛期を迎える、というところなのですが、撮影の際も周辺に気を付けて事故の無いようにしたい、すると混雑していない場所から望遠で撮影するのが、お勧めです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする