北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ベル360インヴィクタスという選択肢【3】アメリカでさえ有人機を用いる分野に無人機後進国日本が挑む無謀

2023-07-01 20:09:36 | 先端軍事テクノロジー
■広大な太平洋地域
 観測ヘリコプターと戦闘ヘリコプターを全廃して無人機に置換えるという提案は、どのあたりにそこまで無人機の運用に自信を持っているかという素朴な疑問麩に繋がります。

 ベル360インヴィクタスヘリコプターのような航空機が陸上自衛隊へ採用されるならば、戦闘ヘリコプターと観測ヘリコプターが廃止されても、情報収集から対戦車攻撃まで展開可能で、離島からの運用も離島への運用も、水陸機動団のV-22オスプレイ護衛さえも可能となり、なにより反撃能力で敵本土を叩く前に着上陸部隊に打撃を与えられるのだが。

 観測ヘリコプターは無人航空機により置き換えるという、これが日本の構想です。もっとも、観測ヘリコプターの任務は敵の気配や戦闘能力を推し量ることであり、無人航空機だけで対応できるのかは大いに疑問です、そして何より、センサーだけではわからないからこそ、アメリカ陸軍もFARA陸軍将来攻撃偵察機を開発している点を忘れるべきではない。

 自衛隊の無人機運用の歴史は確かに長い、けれどもその大半は無人標的機の任務である。政府は既存の戦闘ヘリコプター、対戦車ヘリコプター、観測ヘリコプターをすべて退役、無人航空機に置き換えるというが、そもそも自衛隊に無人機の作戦運用に実績はない、第101無人偵察機飛行隊は、北海道南西沖地震、阪神大震災、東日本大震災でも飛んでいない。

 大災害において内閣総理大臣は度々現場を上空から視察する、これは自分の目で見なければ全容を把握できないためという理由なのだけれども、結局のところセンサーで得られる情報は画像情報であり、人間の視覚とともに五感で得られる情報には及ばない、こうした前提であるからこそ、安易な無人機万能論に基づく政策転換には不安を覚えるのです。

 AH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプター、防衛省は2030年までに用途廃止を計画している、ただ問題はボーイング社が2025年にアパッチロングボウのアップデート改修を終了するため、2025年から2030年まで自衛隊が運用を継続する場合はアパッチガーディアンへ改修する必要があります。この点について明確な指針が示されていないのです。

 アパッチガーディアン、日本がこの方針を明確としない背景には、AH-1Sコブラ対戦車ヘリコプターの時代から継続されてきた陸上自衛隊の空中打撃能力について、従来想定された北海道ではなく中国を対象とした南西諸島などでの戦闘を想定する場合、この行動半径や打撃力が戦闘ヘリコプターという装備体系では追いつかないという認識があるのか。

 FARA陸軍将来攻撃偵察機という装備体系が実際に、無人機の運用では世界の戦闘を行くアメリカ軍において進んでいるために日本の施策に懸念するのですが、しかし、仮に陸上自衛隊の対戦車ヘリコプターや戦闘ヘリコプターを置き換えうるものとなるならば、どうなのだろうか。既存装備体系ではなく新しい装備体系にまるごと転換するという意味で。

 インド太平洋軍が中心として将来の対中国戦闘を念頭に環太平洋地域での運用を想定する、この為に長大な行動半径と高い進出速度を有するFARA陸軍将来攻撃偵察機は、先ずメーカーが提示した航空機を選定し、その上で選定された機体を原型として開発するという悠長なものではある。しかし、陸軍は優先度を高め、予算配分を強化し加速するという。

 アメリカはこれまでに幾つかのメーカーが可動翼機や複合ヘリコプターを開発しており、おそらくこの分野では世界で最も技術実績を蓄積しています。これに、表現は悪いのですが相乗りすることができれば、自衛隊としては、なにしろ想定地域がアメリカ軍と重なる訳ですので、リスクが低く、完成度の高い航空機を装備できることともなる利点がある。

 UH-2多用途ヘリコプター。もう一つFARA陸軍将来攻撃偵察機の自衛隊導入への現実性を高めるのは、自衛隊が広範に配備させる多用途ヘリコプターとして、UH-2多用途ヘリコプターという、非常に取得費用を抑えた機種を選定したことです。これは島嶼部飛行能力が設計に要求されているが、飛行性能の面から島嶼部運用に最適な機種ではありません。

 FLRAA将来型長距離強襲機とFARA陸軍将来攻撃偵察機、アメリカを見ますと軍用ヘリコプターは間もなく巡航速度と行動半径という点で劇的な世代交代の時期を迎えようとしています。そして、賛否両論在りますが自衛隊はV-22オスプレイ可動翼機17機の導入により、一足早く数は限られるものの、世代交代の端緒に到達した、ともいえるのですね。

 V-22オスプレイ可動翼機を導入したのです、FARA陸軍将来攻撃偵察機は速度面で厳しいですが従来の戦闘ヘリコプターよりも随伴能力は高くなっている、すると、併せて普段使い的な任務をUH-2多用途ヘリコプターに委ね、強襲任務をFLRAA将来型長距離強襲機のような機体へ転換、費用は嵩みますが選択肢として考えられる様なっているのです。 

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-新京極,鱧の季節がやってきた!スタンドの夏-京都の夏

2023-07-01 14:41:23 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 梅雨というのは気がめいるものだけれどももう七月になったということですね。

 鱧だ鱧、そう七月といえば祇園祭、祇園祭といえば鱧の季節、鱧を食べたい。旬というものを大切にしたいところで、なにより長い自粛期間が終わり、いやその結果油断したことで沖縄県では医療機関が終わりそうという事態とはなっているのですが。

 熱い、というか暑いという単語を熱いと表現するのは変に思われるかもしれないけれども、来てくれれば分かる。去年までは新京極は涼しかった、アーケード街で店の軒先の冷房が漏れてくるから、しかしそれも去年まで、此処まで人が多くなると、もうそれは、ねえ。

 祇園祭なのか鱧なのかはまあ議論の余地はあるでしょう、けれどもどんな天麩羅屋さんの揚げたての鱧でもテイクアウトで持ち帰るとそのころにはさめてしまっている、あつあつの、そんなものはいままでCOVID-19の季節には道ばたでしか味わえなかった。

 スタンドさん。京都といえばこの有名店でさんざんテレビで紹介されている割には土日でもまだ隙間はある、そこに入り込んでまずはビールを注文します。ふうっと一息つく、スタンドさんは新京極の阪急河原町地下いりぐちの直ぐのあたりにあり、近い。

 ビールがしみてゆくようだけれども、そう、鱧の季節は異常な熱さ、暑いではなく熱い京都の湿気と蒸気がむしむして最近はミストまで撒いてサウナのローリュのように湿気を強めている、一呼吸ごとに息苦しく不快感が募り一度汗にまみれた服は乾かない。

 鴨のロースが冷たくて助かる。こういうのをちびりちびりと口に含み、そしてビールをあおる、この一連の流れで汗が引くのをまつ。鱧と鴨、HAMOとKAMO,なるほど一文字違いだけれどもまずは直ぐに出てくるオードブルというか肴と、そしてビールで迎え撃つ。

 外国人観光客もよくぞまあ、この鍋のそこのような猛暑の京都にやって来るものだ、けれども比較的涼しい鞍馬や大原や嵯峨野には行かないのだから、サウナ好きなのか蒸し暑い日本の京都をこそ楽しんでいるのか、そうはみえないがよくやるなあ、と思うところ。

 天麩羅の鱧、鱧の天麩羅がやってきた、ここからは熱々なのでビールと冷房で体を慣らしておかなければなりません。そして、未だ熱いうちに、不思議なのはこれほど熱い京都でも天麩羅の熱々は早いうちに冷めてしまうのだ、時間との競争でこう、鱧をいただく。

 旬なのだから、鱧よりもおいしい魚はいろいろあるのに、といわれるかもしれないけれども、京都ときたら鱧と祇園祭の季節が今なのだ。白身の、そして有名な骨切りをした触感よりは淡泊な味わいのほうが印象的で、どんな味かと聞かれれば鱧としかいえない。

 地酒がこういうときはあうのだね。桝で冷や酒が運ばれてくる、からこれをこぼさないよう滴りの雫にきをつけながら、すすいと吸うと口の中に清酒の甘みがふわっと広がり、そしてその折角の夏の冷涼感のさなかに熱々の天麩羅を頬張って噛みしめてあじわう。

 塩味だけで天麩羅、というのは熱々故の食感なのでしょうかねえ、タレだレモンだ出汁だマヨネーズだ、というのは少し端のほうにおいておいて、塩味だけで鱧をいただき、そして清酒をすする。最近はスパークリング清酒なんてものもあるので油断できないのだ。

 ビーフカツを、揚げ物多すぎだろうといわれても、健康診断まで節制してがんばったとか、人間はたまには食べたいものをしっかりと満足感を感じるまでいただかなければ結局はストレスでやられてしまう、ストレスという言葉がない時代が日本人大変だったなあ。

 美味しい揚げ物続きでおもうのだけれども、カメラのホワイトバランスはこれであっているのだろうか、美味しいものを食べているときにはそれほど気にならないことだが後で見返すとちょっとなあ、と思うときがある、なんてことを逆に食べているときに思い出す。

 スタンド、それは有名店なのだけれども気取りすぎていない、明瞭会計は特徴的な伝票に現れ、変な話定食屋さんとしてみても美味しいし案外やすい、そして京都といえば、お酒好きには一杯お昼から迎えてくれるお店に、ここを思い出す人も多いという名所なのだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナ情勢-ザポリージャ原発からロシア国営原子力企業ロスアトム職員退避開始,懸念される原子炉爆破と核汚染

2023-07-01 07:00:22 | 防災・災害派遣
■臨時情報-ウクライナ情勢
 原発が人為的に破壊された場合は一線を越えたと批判するのでしょうがその場合日本はどうするのでしょう。遺憾の意を表明するか、それとも戦車など供与に踏み切るか、軍事介入がありえるのか。

 共同通信が“ロシア軍が占拠するザポリージャ原発からロシア国営原子力企業ロスアトム職員が退避を始めウクライナ人従業員も7月5日までに退去するよう勧告があった”というウクライナ国防省情報総局6月30日付発表を報道しました。退去勧告を行う理由は不明ですが、この原発は占領中のロシア軍が爆発物などを設置し破壊が危惧されています。

 7月5日に原発を爆破するのではないか、こうした危惧を無視する事ができません。少なくとも爆破された際にダメージコントロールに当る職員が不在であれば、毎時10シーベルトの核汚染が広がれば最早人間には対処不能です、120ミリシーベルトが年間被ばく上限ですので10000ミリシーベルトにあたる10シーベルトの核汚染では遠隔操作機しか動けません。

 福島第一原発事故を経験した日本としては深刻な汚染が30km圏内にほぼ収まるという誤解があるのかもしれません、しかしそれは炉心融解という深刻な事故が発生したものの核念慮の大半は地下に燃料デブリとして落下しました。しかし、1986年チェルノブイリ事故のように核燃料の大半が大気中に拡散し致死的な汚染だけで30km圏内となっています。
■アメリカの去就不明
 原発が破壊された場合、アメリカは次の経済制裁を行うのか、それともロシアに対し限定介入を覚悟するのか。

 アメリカはザポリージャ原発が人為的に破壊された場合にはどうするのかを明確に示すべきです。具体的には軍事介入するのか否か、忘れてはならないのは2022年2月までの時点でアメリカのバイデン大統領は、ウクライナがロシアに侵攻された場合でもアメリカは軍事介入しない、と明言した上で最大規模の経済制裁を科すとロシアに警告しましたが。

 開戦直前のバイデン大統領発言は、プーチン大統領にとりウクライナ侵攻の場合にもアメリカは軍事介入しないという言質をとった構図でしょう。さて、仮にザポリージャ原発が破壊された場合には、東欧地域と西アジア地域において深刻な放射能汚染が広がるのは必至です。その放射能汚染はNATO加盟国にも広がり、世界の穀倉地帯も直撃するのです。

 ザポリージャ原発が破壊された場合、NATOはロシアが核攻撃を行った場合には介入すると明言しました、しかし、広範な地域へ核汚染を引き起こす原発での緊急事態、爆破による広範囲の汚染が広がった場合への姿勢を明確に示していません。線引きをして、また介入の準備を示威行動で示すか、後で後悔するか、国際政治において沈黙は逆効果なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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