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ポーランドとスロバキアはMiG-29戦闘機ウクライナ供与を決定-旧ソ連製多機能戦闘機

2023-03-20 07:00:54 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 NATOの戦闘機供与は特に東欧諸国がウクライナと同型機を運用機に残していた関係上で供与に前むきでしたが、いよいよ実現するか。

 ポーランド政府は保有するMiG-29戦闘機について、ウクライナへの譲渡を決定しました、ポーランド空軍はMiG-29戦闘機を14機保有していますが、アメリカ製F-35戦闘機の導入が決定しており、また韓国からのFA-50軽戦闘機の受領を開始する為、比較的ではあるものの旧式となった旧ソ連製戦闘機をウクライナへ譲渡する余裕が生まれた事となります。

 MiG-29戦闘機はウクライナ空軍でも運用される旧ソ連製の多機能戦闘機であり、双発双尾翼の、設計では冷戦時代にアメリカ製F-16戦闘機やF/A-18戦闘機へ対抗を念頭に開発された戦闘機です。ポーランドにとっては貴重な戦闘機ではありますが、それ以上にウクライナを支えることへのポーランド決意の証明、という視点で供与されることとなりました。

 ポーランドのウクライナへのMiG-29戦闘機供与は早ければ今週中に行われるとのことです。ウクライナ派強大なロシア空軍へ対抗する為に、アメリカ製やイスラエル製などの各種ミサイルを運用可能であるF-16戦闘機を希望してきましたが、実現していません、その背景にはF-16戦闘機の運用の難しさとともに東側戦闘機との運用思想の違いがあります。

 F-16戦闘機は、ポーランド空軍も導入した当時はソ連製戦闘機とはけた違いの費用、という状況に悩まされていますが、最高稼働率の高さや各種ミサイルの運用能力が評価され今に至ります、このMiG-29戦闘機は性能の高さもさることながら、ウクライナ空軍においてもMiG-29は運用されており、運用相互互換性などの利点が大きいのが特色といえます。

 スロバキア政府は保有する14機全てのMiG-29戦闘機をウクライナへ供与する方針を明らかにしました。これは先行して供与を発表したポーランド政府に続くもので、東欧NATO加盟国は冷戦時代のソ連製戦闘機を一定数保有したままNATOに加盟していますが、ロシアからの整備支援の中断などを背景に一挙に動かしにくい不良資産化した印象があります。

 MiG-29戦闘機ですが、ウクライナは独自のプログラム改修により、アメリカ製HARM対レーダーミサイル運用能力を付与しており、今後はハープーンミサイルの運用能力付与などが行われる可能性もあります。NATOは昨年二月以来、ウクライナへの戦闘機供与を模索してきましたが、漸く政治的圧力を克服し、戦闘機供与へ大転換を果たしつつあります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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