■2012年と2023年の周辺情勢
観艦式特集は掲載の間隔があいてしまいましたが漸く調整が出来ましたので掲載を再開できました。
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海上自衛隊の運用と展望、この自衛隊観艦式2012の執り行われました時代と比較しますと2023年というものは大きく様変わりしているものでして、特に2022年安保関連3文書閣議決定ののちは、2012年の時代には想像もできなかった、大きな変容が有りました。
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いや2020年と比較しましても想像ができなかったダイナミズムの転換点を迎えているという印象です。防衛力の新時代、具体的には、やはり反撃能力の整備、というところでしょうか。F-35B戦闘機の護衛艦搭載まではある程度想像できたものなのですけれども、ね。
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全通飛行甲板を採用しているのだからいずれ固定翼の搭載やるのだろうなあ、いずも型の個艦戦闘能力の低さは艦載機で補うとしか考えられない、という素朴な印象はありました、いや実際にはハリアーを検討するのではないか、F-35Bに思い切ったことをやるのか、と。
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F-35Bにいきなり進むのは少々難しいのではないかという先入観、いうものが護衛艦ひゅうが建造の時代、就役した2009年には連想として浮かんだところなのですけれども。ひゅうが型護衛艦、このつぎの護衛艦いずも型が当時の政権で予算が通ったのは驚きました。
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あれは2009年概算要求で、民主党が自民党を政権交代に追いやりまして、当時連立政権を組んでいた社民党が、驚くことに社民党が19500t型護衛艦の建造にゴーサインを出したという、理由としては災害派遣に用いることが可能だから、というものでした。
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社民党が良いといった、考えてみれば社民党が賛成するならば,19500t型護衛艦を護衛艦はるな型後継に比較的早い時期に建造していたならば、東日本大震災が2011年に発生した時代に2隻はそろっていたのではないか、予算の関係から護衛艦ひゅうが型建造は遅れた。
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二番艦いせ、が東日本大震災に間に合いませんでしたから、ひゅうが型が最初からあの大きさであれば、そしてDDHヘリコプター搭載護衛艦を4隻ともほぼ同じ大きさの護衛艦として建造できていれば、建造費もほとんど同じなのだ、と思わないではなかったのですね。
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実際ヘリコプター搭載護衛艦は東日本大震災において期待以上の活躍となりまして、しかしもっと数があれば、とも考えさせられた。ハリアーの方が現実的ではないか、こう考えた背景として、こうもとんとん拍子に導入計画と配備計画が進むと思わなかったのです。
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F-35B戦闘機は苦闘が続いたJSF統合打撃戦闘機計画に際してはもっとも安定して計画が進んでいましたが、果たしてF-35Bを自衛隊が運用することに、特に開発に参加しておらず国際共同開発に際して開発国と優先顧客に優先的にF-35が配備されるという関係もある。
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野田内閣偉大に次期戦闘機がF-35に決定したのですから、考えれば日本がF-35を欲しいと表明したのはこの観艦式のほんの十数か月前という段階です、すると日本に回ってくるのは相当先になるのではという危惧がありました、しかし、わたしは間違っていたなあ。
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認識が違った間違った、と思ったのはF-35B戦闘機の自動着艦装置の優秀さで、ハリアー攻撃機は発艦に始まり着艦に終わるという、まあ飛ぶのは当然だし最後には降りるだろう、と反論があるのかもしれないのですけれども、訓練の大半が発着に終始していた点です。
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ハリアーが戦闘機としての訓練を行う場合は陸上基地から行い、艦上訓練の際には発着艦訓練を第一としなければならない、という難しさが、F-35Bの場合はこの部分をほぼ全て戦闘機さんがやってくれるので、操縦士は発着の訓練度合いをそれ程考えずともよい。
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ハリアーは操縦がかなり難しい航空機だとは言われるのですが、その点F-35Bを戦闘機として運用させることに専念させられる、という実情を、実感として持っていなかったのです。これはもうカタログスペックを見るだけの立場と、飛ばす側の視点の違いというか。
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この点は、SH-60哨戒ヘリコプターの操縦士の方と何度かいろいろな場面でお話しした際に、おそらく海上自衛隊の操縦課程ではハリアーの要員養成は無理、といわれたものですし、航空自衛隊の方に、これは仮に、という前提でハリアーについて聞いてみた場合でも。
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航空自衛隊の制空戦闘という任務上はハリアーに限られたリソースをつぎ込むことは考えられない、というお返事が、異口同音という表現のようにあったことを思い出します。ひとりひとりの技術というものだけではなく、システムとして発着訓練を要しているもの。
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この点で、F-35Bの自動発着艦システムとは、これこそが統合打撃戦闘機と呼ばれる所以なのだなあ、と妙に感心したものでしたが。つまり、空軍のF-35Bでも普通に海軍の艦艇に着艦できる、ということ。もっとも、その設計はハリアーの操縦の難しさへの反省か。
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ハリアーを空軍が運用した場合はハリアーを攻撃機として運用するための訓練には努力を惜しまないでしょうが、発着艦訓練に相当の飛行リソースをつぎ込まなければならないとしたならば、これは空軍の仕事ではない、となるでしょう。組織として当然のことです。
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この状況が海上自衛隊と航空自衛隊にも当てはまり得た、それを払しょくできたのがF-35Bという。空母、こう表現される時代も遠くない将来に来るのでしょうか、F-35Bの護衛艦での運用は、航空自衛隊は場外発着場の、つまりいくつかある代替滑走路の延長線です。
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八雲飛行場や計根別飛行場のような形で、想定しているといいますので、沖縄の離島に着陸するか護衛艦から発着するのか、という事で解決するわけです。F-35B,もっとも日本の場合は航空自衛隊が新田原基地へ配備する計画なのですけれども、その運用は未知数だ。
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新田原基地の運用を西部航空方面隊とするのか、南西航空方面隊とするのか、それとも航空総隊直轄部隊とするのか、海上自衛隊との統合運用に収めるのかでひと悶着ありそうですが。新田原基地ならば春日基地の西部航空方面隊隷下となる、これは普通の認識です。
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しかし沖縄県の離島飛行場で運用するならば、それは南西航空方面隊の管轄となる、それが護衛艦から運用するとなりますと自衛艦隊の運用となり、統合運用が難しくなります。ひと悶着といいますとイタリア海軍と空軍のF-35B縄張り争いという問題があります。
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これが日本でも再現されないのか、というのはちょっと気になるところで。縄張り争いというのはイタリアはF-35B戦闘機を30機導入するのですが、空軍と海軍で所管の違いが埋まらず、結局15機を海軍が、15機を空軍が、150km離れた基地で運用するという事に。
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日本の場合は、ある程度認識を共有しているのでしょうし、場合によってはかつて地対空ミサイルが陸上自衛隊から航空自衛隊へ移管したように、F-35Bだけ航空自衛隊から海上自衛隊へ移管する、という可能性もあるのでしょうか、それとも同床異夢があるのか。
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2012年に自衛隊観艦式を見守り、撮影しました際には、そこまで深い事を考える事無く、浦賀水道を進む護衛艦部隊だけを真剣にカメラで写真に収めていましたが、その写真を観返すときには、あの時代、安倍政権時代の日本は安定していて平和だったと思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
観艦式特集は掲載の間隔があいてしまいましたが漸く調整が出来ましたので掲載を再開できました。
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海上自衛隊の運用と展望、この自衛隊観艦式2012の執り行われました時代と比較しますと2023年というものは大きく様変わりしているものでして、特に2022年安保関連3文書閣議決定ののちは、2012年の時代には想像もできなかった、大きな変容が有りました。
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いや2020年と比較しましても想像ができなかったダイナミズムの転換点を迎えているという印象です。防衛力の新時代、具体的には、やはり反撃能力の整備、というところでしょうか。F-35B戦闘機の護衛艦搭載まではある程度想像できたものなのですけれども、ね。
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全通飛行甲板を採用しているのだからいずれ固定翼の搭載やるのだろうなあ、いずも型の個艦戦闘能力の低さは艦載機で補うとしか考えられない、という素朴な印象はありました、いや実際にはハリアーを検討するのではないか、F-35Bに思い切ったことをやるのか、と。
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F-35Bにいきなり進むのは少々難しいのではないかという先入観、いうものが護衛艦ひゅうが建造の時代、就役した2009年には連想として浮かんだところなのですけれども。ひゅうが型護衛艦、このつぎの護衛艦いずも型が当時の政権で予算が通ったのは驚きました。
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あれは2009年概算要求で、民主党が自民党を政権交代に追いやりまして、当時連立政権を組んでいた社民党が、驚くことに社民党が19500t型護衛艦の建造にゴーサインを出したという、理由としては災害派遣に用いることが可能だから、というものでした。
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社民党が良いといった、考えてみれば社民党が賛成するならば,19500t型護衛艦を護衛艦はるな型後継に比較的早い時期に建造していたならば、東日本大震災が2011年に発生した時代に2隻はそろっていたのではないか、予算の関係から護衛艦ひゅうが型建造は遅れた。
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二番艦いせ、が東日本大震災に間に合いませんでしたから、ひゅうが型が最初からあの大きさであれば、そしてDDHヘリコプター搭載護衛艦を4隻ともほぼ同じ大きさの護衛艦として建造できていれば、建造費もほとんど同じなのだ、と思わないではなかったのですね。
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実際ヘリコプター搭載護衛艦は東日本大震災において期待以上の活躍となりまして、しかしもっと数があれば、とも考えさせられた。ハリアーの方が現実的ではないか、こう考えた背景として、こうもとんとん拍子に導入計画と配備計画が進むと思わなかったのです。
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F-35B戦闘機は苦闘が続いたJSF統合打撃戦闘機計画に際してはもっとも安定して計画が進んでいましたが、果たしてF-35Bを自衛隊が運用することに、特に開発に参加しておらず国際共同開発に際して開発国と優先顧客に優先的にF-35が配備されるという関係もある。
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野田内閣偉大に次期戦闘機がF-35に決定したのですから、考えれば日本がF-35を欲しいと表明したのはこの観艦式のほんの十数か月前という段階です、すると日本に回ってくるのは相当先になるのではという危惧がありました、しかし、わたしは間違っていたなあ。
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認識が違った間違った、と思ったのはF-35B戦闘機の自動着艦装置の優秀さで、ハリアー攻撃機は発艦に始まり着艦に終わるという、まあ飛ぶのは当然だし最後には降りるだろう、と反論があるのかもしれないのですけれども、訓練の大半が発着に終始していた点です。
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ハリアーが戦闘機としての訓練を行う場合は陸上基地から行い、艦上訓練の際には発着艦訓練を第一としなければならない、という難しさが、F-35Bの場合はこの部分をほぼ全て戦闘機さんがやってくれるので、操縦士は発着の訓練度合いをそれ程考えずともよい。
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ハリアーは操縦がかなり難しい航空機だとは言われるのですが、その点F-35Bを戦闘機として運用させることに専念させられる、という実情を、実感として持っていなかったのです。これはもうカタログスペックを見るだけの立場と、飛ばす側の視点の違いというか。
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航空自衛隊の制空戦闘という任務上はハリアーに限られたリソースをつぎ込むことは考えられない、というお返事が、異口同音という表現のようにあったことを思い出します。ひとりひとりの技術というものだけではなく、システムとして発着訓練を要しているもの。
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この点で、F-35Bの自動発着艦システムとは、これこそが統合打撃戦闘機と呼ばれる所以なのだなあ、と妙に感心したものでしたが。つまり、空軍のF-35Bでも普通に海軍の艦艇に着艦できる、ということ。もっとも、その設計はハリアーの操縦の難しさへの反省か。
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ハリアーを空軍が運用した場合はハリアーを攻撃機として運用するための訓練には努力を惜しまないでしょうが、発着艦訓練に相当の飛行リソースをつぎ込まなければならないとしたならば、これは空軍の仕事ではない、となるでしょう。組織として当然のことです。
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これが日本でも再現されないのか、というのはちょっと気になるところで。縄張り争いというのはイタリアはF-35B戦闘機を30機導入するのですが、空軍と海軍で所管の違いが埋まらず、結局15機を海軍が、15機を空軍が、150km離れた基地で運用するという事に。
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北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)