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防衛増税の前にすべき施策【1】自民党宮沢税調会長防衛増税先送り,その前に先ず使える装備を棄てるな!

2023-07-13 20:01:31 | 国際・政治
■90TKにMLRSとU-125
 自民党の宮沢税制調査会長は懸案であった防衛増税について来年度は見送り2025年以降とする認識を示しました。しかし先送りしただけで最終的に方針としては不変という。

 90式戦車、MLRS、AH-64D戦闘ヘリコプター、果たしてこういった欧州では十分第一線装備となりうる装備を廃棄しながら、防衛力が足りないために防衛費を倍増させる、という現在の政府の政策は国民から理解されるのでしょうか。第71戦車連隊では第5中隊が今年三月に廃止され、一個中隊分の90式戦車が廃棄処分されることとなった。

 政府は防衛費が足りないことを十分国民に説明しているのか、無理な防衛費増額は結果的に政権の寿命を縮め、防衛費が次の政権では再度削減される懸念があります。いや実際に防衛費が足りていないことは事実なのだけれども、逆に耐用年数だけで退役されている装備の中に無駄はないのか、という議論を重ねて広げなければ国民理解は得られない。

 ミサイル防衛21年間にわたる防衛費圧迫、実のところ防衛費は不足しています。今年だけは我慢してくれ、と防衛費をそのまま増額せずに毎年数千億円規模のミサイル防衛費用を捻出していました、一年二年であれば防衛力全般に影響はおよばなかったのかもしれませんが、21年間、装備の稼働率など限界を超え、防衛力は破綻しつつあります。

 21年間、この期間はいうなれば当時の最年少の新隊員、21年前には自衛官候補生という制度は無かった、その新隊員が39歳の中堅自衛官となっている状況です。戦闘機や哨戒機の稼働率は2001年には95%を誇っていましたが、具体的な数値は出ていないものの部品不足の共食い整備により稼働率が危機的な水準にあり、現状は看過できません。

 10兆円規模の防衛基金は必要だ。その防衛基金で定数割れの戦闘ヘリコプター部隊を建て直し、新部隊の都度にたらいまわしにされる装甲車を必要な数まで高め、哨戒機と輸送機に戦闘機の稼働率を基に戻し、多用途ヘリコプターの酷使している状況を増勢により解決し、いわば、ミサイル防衛によって空いた空白を埋め、防衛力の再建は可能です。

 GDP2%、しかし恒常的に防衛費を事実上二倍にする必要があるのか、という疑問符は解消されない。基金により一時的に破綻した防衛力を立て直したならば、それ以上防衛費を増額する必要はなく、新しい国家防衛戦略の中核となる反撃能力についても、地対艦ミサイルや重砲の後継とするならばそれほどの予算増は必要なのかな、と思うのです。

 つかえそうな防衛装備を捨てている、こちらの方が、変な話で道路を壊して同じ場所に道路を建設しているような印象を与えますので、足りないという割には使えそうなものを捨てているではないか、という批判を正面から受け止めなければなりません。なにしろ、税収が過去最大となった2022年を背景に、政府は増税を掲げているのですから、ね。

 873両あった74式戦車はもう数年内に完全に廃止となります、そして74式戦車は確かに老朽化は進んでいましたが、解体せずに車体だけでも保管していたならば、戦闘工兵車両や高射特科車両に、もちろん整備は大変でしたが応用出来ました。車体部分は老朽化していましたが、最も重量のある砲塔を取り除いて軽量化するならば話はちがう。

 戦闘機は、ファントムがもっと使えたはずだ、とは書きません、流石に原型機が1959年に初飛行し、要するに60年前の基本設計の戦闘機ですので、これを更に使えというのは2000年代にC-46輸送機や一式陸上攻撃機を使い続けているようなものです。しかし、U-125やUH-60Jなどは用途廃止せずに延命改修して使う要素はあったようにも。

 UH-60J救難ヘリコプターは延命改修せずそのまま新造機で置き換えていますが、開発国であるアメリカではUH-60Aを延命改修しUH-60Mなどに造り替えています。UH-1と異なり、機体フレームの耐用年数に余裕がありますから、長く使えるのですが、それを耐用年数一杯という事で廃止している。機体フレームの再利用さえ考えずに、です。

 U-125救難機は退役させる方針ですが、センサー類などは高度なものを搭載していますし、耐用年数一杯とはいえ延命改修を行えばそのまま陸上自衛隊へ移管した場合はLR-2連絡偵察機の任務に対応でき、なにより新たに導入されたV-22可動翼輸送機に随伴できる巡航速度を持つ航空機です。またその特性上、洋上哨戒機としても転用しえます。

 潜水艦を探すのではなく平時の警戒監視任務を考えるならば、それは高度なセンサーを詰め込んだ重量ある機体を四基のエンジンにより飛行させるP-1哨戒機を出すまでもなく、U-125でも対応できるはずです。逆に、監視任務でP-1の飛行時間を延々空費するよりも対潜訓練にP-1を専従させられる環境を構築することは、防衛費の抑制に繋がる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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