■ひゅうが型護衛艦の原点回帰
陸上配備イージスシステムの海上配備という、なぜ最初からイージス艦としてイージス艦用のレーダーを搭載しなかったのかの無理が試されようとしています。
新しいイージス艦は過去にない巨大な護衛艦とならざるをえない、こういうのはSPY-7レーダーをそのまま搭載するという政府方針からです。SPY-7は陸上配備型であり、海上配備用とするような重量軽量化の制約がない中で設計されています。このため、まや型護衛艦にSPY-7をそのまま搭載した場合、重心に重大な影響が及ぶ可能性は否定できません。
SPY-7搭載のイージス艦は、こんごう型護衛艦の後継ではなく完全に別枠として建造されることとなり、こんごう型後継護衛艦はおそらくSPY-6を搭載した護衛艦まや型の改良型、となるのでしょう。しかし、まや型にSPY-7を搭載した場合復元性は大丈夫か、結果的に陸上配備型のシステムを無理に艦上搭載、積載する調整に追われることとなるでしょう。
来年度予算に17億円の予算が設計費用へ盛り込まれることとなっていますが、実際のところ、護衛艦の建造計画において意外なほどに大きな部分を占めるのは設計費です、例えば護衛艦あさひ型までは、むらさめ型設計の延長線上で建造されました、あきづき型などは当初の19DDと呼ばれた時代に相当踏み込んだステルス設計を考えていたものでしたが。
イージス艦。設計費用を抑えるには、いや具体的には護衛艦の建造費用全般を圧縮するには既存艦の設計を応用するのが一番なのですが、こうしますと、SPY-1やSPY-6よりも重量のある、具体的には軽量化を求められない陸上型として設計されたSPY-7を搭載するには、既存の護衛艦のどうのような部分を応用すべきなのでしょうか。すると思い当たるは。
ひゅうが型護衛艦の設計を応用するべきではないか。具体的には、ひゅうが型の船体及び機関部の設計を利用し、全通飛行甲板の中央部に艦橋を移動し、その艦橋はじめ上部構造物へSPY-7を搭載するのです。ひゅうが型満載排水量は19000t、まや型の10500tよりも遙かに余裕があり、また幅も広いため、SPY-7であっても、充分搭載し得るでしょう。
サンアントニオ級輸送揚陸艦。実は大型艦艇にイージスシステムを搭載しミサイル防衛専用艦にする構想は、既にアメリカにてノースロップグラマン社が、サンアントニオ級輸送揚陸艦の船体を応用し、SPY-6レーダーを搭載のミサイル防衛専用艦を提案しています。SPY-6は大型、中型、小型レーダーがありますが、この専用艦は大型レーダーを想定する。
ブルーリッジ。ひゅうが型護衛艦の全通飛行甲板を潰して巨大な上部構造物を置くなど非常識、とおもわれるかもしれませんが、わたしたちはそういった設計の艦船を常に見ています、それは第七艦隊の指揮艦ブルーリッジ、横須賀基地などでも停泊している様子をごらんになるでしょう、ブルーリッジこそが全通飛行甲板の一つの方向性といえるのですね。
イオージマ級強襲揚陸艦というアメリカ海軍第一世代の強襲揚陸艦がありましたが、ブリーリッジ級はこのイオージマ級船体設計を応用し、飛行甲板部分の中央に艦橋を配置するとともに無数の通信用アンテナをも飛行甲板に並べ、膨大な大規模上陸作戦や艦隊指揮に際しての通信量に対応できるよう設計、格納庫も指揮中枢や通信関連区画へ転換している。
16DDH、ひゅうが型護衛艦がまだ16DDHとして設計段階であった頃には、実は中央部に巨大な航空機格納庫と艦橋を一体化させ、船体前部と後部に飛行甲板を置くという、無茶苦茶な形状が一応検討されていました、おそらく政治的に空母を避けたい思惑があったのでしょうか、このSPY-7搭載案は、一種この16DDHイメージ図への先祖返りといえる原点回帰だ。
ひゅうが型船体ならば充分設計に余裕があるとともに、実は建造費もそれほど大きくありません、実際、19000tひゅうが型、27000tいずも型の建造費は同程度でして、これも世界屈指の造船量を誇る日本の造船能力、というところでしょうか。ひゅうが型にVLSはMk.41が16セルあるだけですが、これも航空機格納庫を転用し幾らでも増強できましょう。
ながと型ミサイル護衛艦、こんなところでしょうか。山口県と秋田県に建設予定であったイージスアショア代替なのですから、山口は旧国名長門、秋田は陸奥、です。長門型戦艦の名を堂々と継承できる規模といえるでしょう、SPY-7の搭載で満載排水量は20000t規模となり、間違いなく現在配備されるイージス艦としては世界最大となるのですから、ね。
新しい護衛艦の設計を行う、これが現在の政府の方針です。恐らくイージスアショアは事項要求であり、予算を度外視する為に全く新しい設計図を引くのでしょう。しかし、現在の財政状況を考えますと、既に護衛艦ひゅうが型という建造実績のある大型艦があるのですから、この設計を応用し、その建造費を少しでも抑える必要があるように、思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
陸上配備イージスシステムの海上配備という、なぜ最初からイージス艦としてイージス艦用のレーダーを搭載しなかったのかの無理が試されようとしています。
新しいイージス艦は過去にない巨大な護衛艦とならざるをえない、こういうのはSPY-7レーダーをそのまま搭載するという政府方針からです。SPY-7は陸上配備型であり、海上配備用とするような重量軽量化の制約がない中で設計されています。このため、まや型護衛艦にSPY-7をそのまま搭載した場合、重心に重大な影響が及ぶ可能性は否定できません。
SPY-7搭載のイージス艦は、こんごう型護衛艦の後継ではなく完全に別枠として建造されることとなり、こんごう型後継護衛艦はおそらくSPY-6を搭載した護衛艦まや型の改良型、となるのでしょう。しかし、まや型にSPY-7を搭載した場合復元性は大丈夫か、結果的に陸上配備型のシステムを無理に艦上搭載、積載する調整に追われることとなるでしょう。
来年度予算に17億円の予算が設計費用へ盛り込まれることとなっていますが、実際のところ、護衛艦の建造計画において意外なほどに大きな部分を占めるのは設計費です、例えば護衛艦あさひ型までは、むらさめ型設計の延長線上で建造されました、あきづき型などは当初の19DDと呼ばれた時代に相当踏み込んだステルス設計を考えていたものでしたが。
イージス艦。設計費用を抑えるには、いや具体的には護衛艦の建造費用全般を圧縮するには既存艦の設計を応用するのが一番なのですが、こうしますと、SPY-1やSPY-6よりも重量のある、具体的には軽量化を求められない陸上型として設計されたSPY-7を搭載するには、既存の護衛艦のどうのような部分を応用すべきなのでしょうか。すると思い当たるは。
ひゅうが型護衛艦の設計を応用するべきではないか。具体的には、ひゅうが型の船体及び機関部の設計を利用し、全通飛行甲板の中央部に艦橋を移動し、その艦橋はじめ上部構造物へSPY-7を搭載するのです。ひゅうが型満載排水量は19000t、まや型の10500tよりも遙かに余裕があり、また幅も広いため、SPY-7であっても、充分搭載し得るでしょう。
サンアントニオ級輸送揚陸艦。実は大型艦艇にイージスシステムを搭載しミサイル防衛専用艦にする構想は、既にアメリカにてノースロップグラマン社が、サンアントニオ級輸送揚陸艦の船体を応用し、SPY-6レーダーを搭載のミサイル防衛専用艦を提案しています。SPY-6は大型、中型、小型レーダーがありますが、この専用艦は大型レーダーを想定する。
ブルーリッジ。ひゅうが型護衛艦の全通飛行甲板を潰して巨大な上部構造物を置くなど非常識、とおもわれるかもしれませんが、わたしたちはそういった設計の艦船を常に見ています、それは第七艦隊の指揮艦ブルーリッジ、横須賀基地などでも停泊している様子をごらんになるでしょう、ブルーリッジこそが全通飛行甲板の一つの方向性といえるのですね。
イオージマ級強襲揚陸艦というアメリカ海軍第一世代の強襲揚陸艦がありましたが、ブリーリッジ級はこのイオージマ級船体設計を応用し、飛行甲板部分の中央に艦橋を配置するとともに無数の通信用アンテナをも飛行甲板に並べ、膨大な大規模上陸作戦や艦隊指揮に際しての通信量に対応できるよう設計、格納庫も指揮中枢や通信関連区画へ転換している。
16DDH、ひゅうが型護衛艦がまだ16DDHとして設計段階であった頃には、実は中央部に巨大な航空機格納庫と艦橋を一体化させ、船体前部と後部に飛行甲板を置くという、無茶苦茶な形状が一応検討されていました、おそらく政治的に空母を避けたい思惑があったのでしょうか、このSPY-7搭載案は、一種この16DDHイメージ図への先祖返りといえる原点回帰だ。
ひゅうが型船体ならば充分設計に余裕があるとともに、実は建造費もそれほど大きくありません、実際、19000tひゅうが型、27000tいずも型の建造費は同程度でして、これも世界屈指の造船量を誇る日本の造船能力、というところでしょうか。ひゅうが型にVLSはMk.41が16セルあるだけですが、これも航空機格納庫を転用し幾らでも増強できましょう。
ながと型ミサイル護衛艦、こんなところでしょうか。山口県と秋田県に建設予定であったイージスアショア代替なのですから、山口は旧国名長門、秋田は陸奥、です。長門型戦艦の名を堂々と継承できる規模といえるでしょう、SPY-7の搭載で満載排水量は20000t規模となり、間違いなく現在配備されるイージス艦としては世界最大となるのですから、ね。
新しい護衛艦の設計を行う、これが現在の政府の方針です。恐らくイージスアショアは事項要求であり、予算を度外視する為に全く新しい設計図を引くのでしょう。しかし、現在の財政状況を考えますと、既に護衛艦ひゅうが型という建造実績のある大型艦があるのですから、この設計を応用し、その建造費を少しでも抑える必要があるように、思うのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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またイージスシステムそのものが高額で、それをSPY7と結合するシステム開発費を誰が払うのか、とっても高額な護衛艦になることは間違い無いでしょうね。3000億円くらいでしょうか。。。
2:そもそもSPY7をイージスアショアとして実現しようとしたときに、困難を克服しようとした気配が感じられません。「ブースターが陸上に落ちる」のは、VLSを展開する駐屯地を変えれば良いだけですが(CECで異なるVLSからミサイル発車するのはイージスの基本性能)、それも実施せず。「レーダーが法律で使えないから」は、法律を変えれば良いのに実施せず(防衛省はこういうことを避けすぎ。医療法、通信法、道交法などしかり)。要は本気じゃ無いわけです。挙句にそれを海自に押し付けて、SPY6とSPY7の双方を運用するようなおかしな話になっています。
SPY7はカナダのType-26にも採用されるので、水上艦は視野に入っていますが、あくまで小型版。BMD用の大型版は未知数です。
はっきり言って、キャンセルするか、陸上にSPY-7のレーダーサイトだけ設置すれば良いと思います。合理的な判断になりますように。。。
この特集ですが,実は護衛艦もがみ型進水式の前に作成した,少し古いものだったりします
ただ,20000トン級のミサイル防衛専用艦という話題が出ていましたので,数回に分けて載せて行こうと思います