北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-ウクライナ軍,防衛戦略を縦深防御に大きく転換-ロシア軍攻撃受け留め出血強要図る

2024-10-10 07:00:04 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ情勢
 縦深防御、それは単一の防衛線に固執して損耗を度外視し死守することを避け前進を受け止めつつ相手に損耗を強いて攻撃衝力を使い果たせ最後に逆襲部隊を投入するもの。

 ウクライナ軍は縦深防御に防衛戦略を大きく転換した可能性がある、これはISWアメリカ戦争研究所の10月3日付ウクライナ戦況報告にしめされていたもので、ロシア軍はシヴェルスク南方やポクロフスク東方面とウフレダール近郊で前進を続けているものの、ロシア軍は漸進による作戦上の有意義な戦果を挙げられないまま戦況が推移しています。

 縦深防御による出血の強要、ロシア軍は現在ポクロフスク攻略を重視し攻撃を加えており、ウクライナ軍縦深防御に対して確かに前進はしているものの、その前進の戦果に見合わない人的損耗と装備の損失を突き付けられているのもまた現状です。この点について、ISWはロシア軍が今のまま人的損耗と装備の損耗を補填するだけの余力が無いとも分析する。

 ロシア軍の現在の攻勢は2023年秋より開始されていますが、ISWはこの攻勢があと数カ月間で維持できない水準に達すると分析しています。この状況に追い打ちをかけているのはウクライナ軍のクルスク州逆攻撃であり、ロシア軍はウクライナ侵攻部隊から再配置を強いられている構図です。ただ、並行しドネツク州全域掌握に固執しているのも事実です。■

 ロシア軍の機械化装備は払底しつつある、この背景にはソ連時代とソ連崩壊後に廃棄された兵器保管施設の衛星写真から屋外に放置されていた戦車等が再生工場に送られているものの、その残量は半分以下に減少しており、また屋外に放置されている戦車の再生を開始した事は屋内で比較的良好な状態で保管されていた車両の払底を意味するものです。

 ロシア軍は戦車を作戦に参加させる余力は残っていますが、戦車を中隊規模で投入する事は稀であり、緒戦のように軍団規模で戦車部隊を投入したのは過去の話となっています、こうした中でオートバイなど民生車輛を攻撃に、偵察では無く攻撃に投入するようになっており、火力に対する白兵突撃の実施、これが膨大な死傷者として跳ね返っています。

 しかし、ロシア軍がこうした中でも前進を維持する背景には、傾向から、まとまった戦術単位ではなく、分隊規模に分散し戦線のあらゆる地域で攻撃を加え前進できるところを前進しているという、第二次世界大戦における独ソ戦のこの地域での戦闘を再現するようです、これは漸進こそしていますがロシア軍死傷者は既に65万名に達しているのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【京都幕間旅情】伏見稲荷大... | トップ | 【G3X撮影速報】岐阜基地日常... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

防衛・安全保障」カテゴリの最新記事