■戦車部隊と地元を考える
90式戦車の観閲行進を延々と紹介しますが改めてここ東千歳駐屯地の戦車部隊の規模は凄い、しかし此処の次といわれると。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/57/bea73aaabba76b0ba61c07bfa551a1e9.jpg)
90式戦車の写真を眺めつつ、しかし地元の戦車部隊は滋賀県今津駐屯地、どうしても戦車といえば74式戦車を思い浮かべてしまいまして、これが10式戦車に切り替わっていたならばなあ、と思う今日この頃ではあります。そして今年は一段と寂寥感が増しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/27/a0256e588f234f668a0b270ce4e09ea7.jpg)
第3戦車大隊が今年度末の改編で廃止され74式戦車の運用が終了します。実は少しだけ、偵察戦闘大隊に戦車中隊でもつかないものかとか、中部方面戦車隊という10式戦車だけの部隊が出ないものか、と2010年代の終わりまでは願って考えていたものなのですが、ね。
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第二世代戦車最後に開発された74式戦車は弾道コンピュータもレーザー測距装置も標準装備していましたので、狙った場所に命中させるという意味で世界の第二世代戦車ほど切迫感はなかったといえます。問題となったのは暗視装置、1990年代に既に古いものとなった。
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74式戦車は赤外線アクティヴ方式暗視装置を採用していて、これは基本が第二次世界大戦中のもの、危険でした。赤外線アクティヴ方式というのは、要するにサーチライトに赤外線フィルターを装着して肉眼ではみえない光を放ち、相手の戦車を照らし夜間に照準する。
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第三次中東戦争の記録を見ますと夜間射撃を受けたイスラエル軍戦車の戦車長が慌てて携帯式の赤外線照準眼鏡を手に取ると自分の戦車が相手から赤外線照射されている事に気づき、慌てて砲手に照明弾を射撃させ対戦車戦闘に移ったという遭遇戦の記録がありました。
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74式戦車は赤外線カメラでみることが出来るのですが、相手も赤外線カメラを装備していた場合は赤外線サーチライトを焚いているこちらの戦車の位置が丸見え、という問題が。こればかりは何故74式戦車が2020年代までこの暗視装置を維持しているのかは不思議だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/99/058fdf30045a1c89ffd45fcd5e35911c.jpg)
AMX-30やレオパルド1にM-48などはスターライト方式の微光増倍暗視装置が開発されると素早くこちらに転換します、これならば自分からは光を出しません、いや日本も87式偵察警戒車の25mm機関砲照準器の暗視装置は微光増倍方式を採用した、80年代の話だ。
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74式戦車も80年代半ばの生産分をこちらに切り替えていれば、ともいえるかもしれません。74式戦車改、1990年代にはいり自衛隊も90式戦車の量産と平行して74式戦車に当時開発されていた89式装甲戦闘車用の熱線暗視装置、追加するという構想はあったのですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/0d/f15fcc4b4c755c2ba9d8aeeb2f6fb360.jpg)
これは相手の車体の熱を画像化する装置で多少の霧や砂塵や煙幕を見通せる利点があるものですが、この照準装置を74式戦車に搭載し、サイドスカートや新型駆動輪を備えた74式戦車改を開発はしました。90式戦車の量産が開始されていた当時ですので、しかし。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/79/4bad4e8d9ea0f0129a7e9f8180680c86.jpg)
74式戦車改は若干数が製造され、戦車教導隊と機甲教育隊にたらい回しのように配備されたのみとなっています。他方で、74式戦車の改良は、俺の私の改造案、などが定期的に軍事雑誌に掲載されましたが第二世代戦車は設計時点で改造に限界があることは前述の通り。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/d8/b90266fe567fb4b0c14ed9303b371acc.jpg)
2020年代に第二世代戦車を使うよりは1990年代のうちに第三世代戦車に切り替える努力を行うべきでした。すると、前に記しましたような近代化改修よりも90式戦車の廉価版、という発想が出てくるわけです。90式戦車は乗員3名で自走装填装置を採用していますが。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/b1/1057c7b7a85054b20ce0c576b97fee13.jpg)
90式戦車の廉価版、これを省いて装填手を乗せていればもう少し安価に収められたのではないか。平凡な設計となってしまいますが、幾つかの90式戦車の高度な装備を省けば、相当廉価で毎年一個大隊分を調達できるような戦車に変更できたとも、思ってしまうのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
90式戦車の観閲行進を延々と紹介しますが改めてここ東千歳駐屯地の戦車部隊の規模は凄い、しかし此処の次といわれると。
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90式戦車の写真を眺めつつ、しかし地元の戦車部隊は滋賀県今津駐屯地、どうしても戦車といえば74式戦車を思い浮かべてしまいまして、これが10式戦車に切り替わっていたならばなあ、と思う今日この頃ではあります。そして今年は一段と寂寥感が増しています。
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第3戦車大隊が今年度末の改編で廃止され74式戦車の運用が終了します。実は少しだけ、偵察戦闘大隊に戦車中隊でもつかないものかとか、中部方面戦車隊という10式戦車だけの部隊が出ないものか、と2010年代の終わりまでは願って考えていたものなのですが、ね。
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第二世代戦車最後に開発された74式戦車は弾道コンピュータもレーザー測距装置も標準装備していましたので、狙った場所に命中させるという意味で世界の第二世代戦車ほど切迫感はなかったといえます。問題となったのは暗視装置、1990年代に既に古いものとなった。
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74式戦車は赤外線アクティヴ方式暗視装置を採用していて、これは基本が第二次世界大戦中のもの、危険でした。赤外線アクティヴ方式というのは、要するにサーチライトに赤外線フィルターを装着して肉眼ではみえない光を放ち、相手の戦車を照らし夜間に照準する。
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第三次中東戦争の記録を見ますと夜間射撃を受けたイスラエル軍戦車の戦車長が慌てて携帯式の赤外線照準眼鏡を手に取ると自分の戦車が相手から赤外線照射されている事に気づき、慌てて砲手に照明弾を射撃させ対戦車戦闘に移ったという遭遇戦の記録がありました。
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74式戦車は赤外線カメラでみることが出来るのですが、相手も赤外線カメラを装備していた場合は赤外線サーチライトを焚いているこちらの戦車の位置が丸見え、という問題が。こればかりは何故74式戦車が2020年代までこの暗視装置を維持しているのかは不思議だ。
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AMX-30やレオパルド1にM-48などはスターライト方式の微光増倍暗視装置が開発されると素早くこちらに転換します、これならば自分からは光を出しません、いや日本も87式偵察警戒車の25mm機関砲照準器の暗視装置は微光増倍方式を採用した、80年代の話だ。
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74式戦車も80年代半ばの生産分をこちらに切り替えていれば、ともいえるかもしれません。74式戦車改、1990年代にはいり自衛隊も90式戦車の量産と平行して74式戦車に当時開発されていた89式装甲戦闘車用の熱線暗視装置、追加するという構想はあったのですね。
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これは相手の車体の熱を画像化する装置で多少の霧や砂塵や煙幕を見通せる利点があるものですが、この照準装置を74式戦車に搭載し、サイドスカートや新型駆動輪を備えた74式戦車改を開発はしました。90式戦車の量産が開始されていた当時ですので、しかし。
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74式戦車改は若干数が製造され、戦車教導隊と機甲教育隊にたらい回しのように配備されたのみとなっています。他方で、74式戦車の改良は、俺の私の改造案、などが定期的に軍事雑誌に掲載されましたが第二世代戦車は設計時点で改造に限界があることは前述の通り。
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2020年代に第二世代戦車を使うよりは1990年代のうちに第三世代戦車に切り替える努力を行うべきでした。すると、前に記しましたような近代化改修よりも90式戦車の廉価版、という発想が出てくるわけです。90式戦車は乗員3名で自走装填装置を採用していますが。
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90式戦車の廉価版、これを省いて装填手を乗せていればもう少し安価に収められたのではないか。平凡な設計となってしまいますが、幾つかの90式戦車の高度な装備を省けば、相当廉価で毎年一個大隊分を調達できるような戦車に変更できたとも、思ってしまうのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
74式のパッシブ暗視装置搭載をしなかったことは、4-5年前までの救急キットの非現実な貧弱さと肩を並べる、陸自の典型的なミスの一つと思います。
「第2世代戦車の近代化が高価だから、第3世代戦車の調達に集中する」、という発想が成り立つのは、「第2世代戦車を直ちに全廃した場合」だけです。もちろんそうしませんでした。旧式車両に乗り続ける数千人の機甲科隊員の命を非常に軽視する、実戦を意識していない決断です。本来そんなことはあり得ないのは、諸外国がすべからく第2世代戦車を近代化したことからも明らかです。
パッシブ暗視装置は「戦術を変える」装置です。その使用、そして相手もそれを持っていることを前提とした戦術訓練に全面移行すべきところが、少なくとも機甲部隊はそれができなくなったわけです。旧式の戦術で訓練した部隊は、新戦術を駆使する部隊に全く敵わないことは、全ての戦争の歴史が教えてくれているのですがね。間違いなく、90式戦車の調達数を2/3に削ってでも、74式(のうち300両で良いので)「改」にすべきでした。
#個人的には、あの頃から、陸自への興味を急速に失いました。ああ、戦う気のない軍隊なのだなぁと。74式開発までは、きちんと世界の趨勢を必死に追っていたと思うのですが。。。海自が必死に世界の趨勢に食らつき続けているのと対照的です。
今も同じです。90式戦車の近代化は必須です。10式の調達数をどんどん削ってよいので、90式へのネットワーク機器の搭載を全車両に実施すべきです。96式装甲車だってまだまだ使うのですから、同様です。
10式の近代化も検討しなくてはいけません。例えば、トップアタックに対するアクティブアーマーの搭載だけでも検討して欲しいですね。。。。スペース重量が足りないのであれば、弾薬をおろしてでも、スペースドアーマーの隙間でも、搭載するしかありません。
少々言葉足らず、なにしろ日曜特集は24枚写真掲載が基本ですがこの日は時間がなく12枚の短縮版になっている、事情がありまして
お返事が長くなりましたので明日朝に独立した記事として内容をまとめてみます