■全滅か勝利かの方向性
現在の防衛力整備は"全滅か勝利"というような極端な防衛力整備に進んでおり所謂限定戦争というものの防衛力整備を蔑にしているのではないかと懸念します。
島嶼部防衛を念頭に現状の防衛力整備を延長線上としてその防衛力整備の方向性を考えますと、必然的に無人航空機と従来よりもかなり射程の大きなミサイルシステム、そして対戦車ミサイルの延長線上として徘徊式無人機による、いわば近接戦闘部隊の存在しない戦闘を念頭として数を整備してゆくほかないのかもしれない。
HERO-120徘徊式弾薬を導入するとの報道がありましたが、現在自衛隊では対戦車ミサイルの所管は普通科となっていますので、対舟艇対戦車隊のような部隊を大幅に増やすという選択肢しか、島嶼防衛に際して基本的に海に出ていかない陸上自衛隊は選べないようにも思う。そして普通科の責任交戦範囲は必然、拡大します。
96MPMSを運用する対舟艇対戦車隊として、既に普通科部隊の責任交戦範囲は拡大しているのですが、これはまた同時に1994年から配備が開始された120mmRT重迫撃砲が当時まだ運用されていた105mm榴弾砲の射程を凌駕していたことで注目され、実際これは空挺団と水陸機動団では特科大隊が運用するほど、射程が長かった。
FH-70榴弾砲と99式自走榴弾砲の導入により、これは120mmRT重迫撃砲との任務区分ができるようなりましたが、これが普通科により射程の長い、砲ではなくミサイルですが、HERO120や、そしておそらく国産としてそれ以上の装備を開発して、日本型の調達方式に適合化させる試みとともに、特科部隊の装備も射程が延伸へ。
沿岸特科連隊や火力戦闘連隊、としまして2023年に地域配備師団や地域配備旅団、実はこの地域配備という運用方式は2022年国家安全保障戦略画定に際して全ての部隊を機動運用するとして過去の概念となっているのですけれども、こうした、ミサイルを中心としました部隊へ改編する必要はないのか、という視点を昨年示した。
中距離ミサイルは、政府の方針では射程が2200km以遠まで延伸するといい、2400kmとも2500kmとも報道があります。これは、どちらにせよその射程の意味とは、東京近郊に配備された部隊が北京近郊の敵対勢力を十分射程に収めることとなります。もっとも、個人的にはこの、敵を誰か明確にする装備は良くないとおもうのだが。
地域配備師団という旧称の部隊は、総じて火力と機動力が限られすぎており、この装備で機動運用を行うということは、相当な損耗を覚悟しなければ成りません。もっとも、パトリアAMV装甲車と軽装甲機動車の後継として見込まれる将来装甲車を潤沢に普通科部隊へ配備するならば話は別ですが、そうした動きは今のところない。
地対艦ミサイル隊を中心に普通科大隊と高射特科中隊を組み合わせた、火力戦闘連隊を、旧称地域配備師団や旅団へ配備する必要性を感じるのです。装甲車と機動打撃力のない部隊は第一線では生き残るのが難しい、すると近接戦闘ではなく、首都圏から沖縄を、東北から九州を、直接支援できる火力を付与しては、ということ。
ヘリコプター。ただ、射程の大きな装備の重要性は理解するのですが、戦闘ヘリコプターのような、相手が全面戦争ではなく限定戦争に収めようとするような状況に際して、いきなり敵本土をたたく、我が国土を一歩でも犯すならば無慈悲な全面的反撃を、という北朝鮮のようなゼロサム瀬戸際防衛戦略をとるべきではありません。
AH-64Eアパッチガーディアン、要諦としてはこの装備を早く調達する決断が必要だ、ということ。現在、戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプターは全廃する過程にありますが、戦闘ヘリコプターは例えばAH-64Eの場合で現在射程24kmのスパイクNLOS運用試験をアメリカとギリシャなどが進めており、改良型の射程は50kmまで伸びる。
日中の摩擦が有事となった場合はどちらかが全滅か勝利だ、という旧日本軍のような運用が現在の国家防衛戦略に基づく中距離ミサイルなどの反撃能力整備の方向性であり、グレーゾーン事態という安倍政権時代の慎重さが消えています。そして現在の施策を進めるならば、好むと好まざると通常兵器以上の装備が必要となりかねない。
航空集団を陸上自衛隊にも創設し、その上で各方面隊へヘリコプター連隊をフォースプロバイダーとして機材を供給する方式で、AH-64Eと、そしてUH-2よりももう少し能力はあるが飛行隊定数が若干数となるようなCH-47ほど大きすぎない、EC-225かCH-101かUH-60JA程度の機材で方面航空を再編する必要も重ねて感じるのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
現在の防衛力整備は"全滅か勝利"というような極端な防衛力整備に進んでおり所謂限定戦争というものの防衛力整備を蔑にしているのではないかと懸念します。
島嶼部防衛を念頭に現状の防衛力整備を延長線上としてその防衛力整備の方向性を考えますと、必然的に無人航空機と従来よりもかなり射程の大きなミサイルシステム、そして対戦車ミサイルの延長線上として徘徊式無人機による、いわば近接戦闘部隊の存在しない戦闘を念頭として数を整備してゆくほかないのかもしれない。
HERO-120徘徊式弾薬を導入するとの報道がありましたが、現在自衛隊では対戦車ミサイルの所管は普通科となっていますので、対舟艇対戦車隊のような部隊を大幅に増やすという選択肢しか、島嶼防衛に際して基本的に海に出ていかない陸上自衛隊は選べないようにも思う。そして普通科の責任交戦範囲は必然、拡大します。
96MPMSを運用する対舟艇対戦車隊として、既に普通科部隊の責任交戦範囲は拡大しているのですが、これはまた同時に1994年から配備が開始された120mmRT重迫撃砲が当時まだ運用されていた105mm榴弾砲の射程を凌駕していたことで注目され、実際これは空挺団と水陸機動団では特科大隊が運用するほど、射程が長かった。
FH-70榴弾砲と99式自走榴弾砲の導入により、これは120mmRT重迫撃砲との任務区分ができるようなりましたが、これが普通科により射程の長い、砲ではなくミサイルですが、HERO120や、そしておそらく国産としてそれ以上の装備を開発して、日本型の調達方式に適合化させる試みとともに、特科部隊の装備も射程が延伸へ。
沿岸特科連隊や火力戦闘連隊、としまして2023年に地域配備師団や地域配備旅団、実はこの地域配備という運用方式は2022年国家安全保障戦略画定に際して全ての部隊を機動運用するとして過去の概念となっているのですけれども、こうした、ミサイルを中心としました部隊へ改編する必要はないのか、という視点を昨年示した。
中距離ミサイルは、政府の方針では射程が2200km以遠まで延伸するといい、2400kmとも2500kmとも報道があります。これは、どちらにせよその射程の意味とは、東京近郊に配備された部隊が北京近郊の敵対勢力を十分射程に収めることとなります。もっとも、個人的にはこの、敵を誰か明確にする装備は良くないとおもうのだが。
地域配備師団という旧称の部隊は、総じて火力と機動力が限られすぎており、この装備で機動運用を行うということは、相当な損耗を覚悟しなければ成りません。もっとも、パトリアAMV装甲車と軽装甲機動車の後継として見込まれる将来装甲車を潤沢に普通科部隊へ配備するならば話は別ですが、そうした動きは今のところない。
地対艦ミサイル隊を中心に普通科大隊と高射特科中隊を組み合わせた、火力戦闘連隊を、旧称地域配備師団や旅団へ配備する必要性を感じるのです。装甲車と機動打撃力のない部隊は第一線では生き残るのが難しい、すると近接戦闘ではなく、首都圏から沖縄を、東北から九州を、直接支援できる火力を付与しては、ということ。
ヘリコプター。ただ、射程の大きな装備の重要性は理解するのですが、戦闘ヘリコプターのような、相手が全面戦争ではなく限定戦争に収めようとするような状況に際して、いきなり敵本土をたたく、我が国土を一歩でも犯すならば無慈悲な全面的反撃を、という北朝鮮のようなゼロサム瀬戸際防衛戦略をとるべきではありません。
AH-64Eアパッチガーディアン、要諦としてはこの装備を早く調達する決断が必要だ、ということ。現在、戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプターは全廃する過程にありますが、戦闘ヘリコプターは例えばAH-64Eの場合で現在射程24kmのスパイクNLOS運用試験をアメリカとギリシャなどが進めており、改良型の射程は50kmまで伸びる。
日中の摩擦が有事となった場合はどちらかが全滅か勝利だ、という旧日本軍のような運用が現在の国家防衛戦略に基づく中距離ミサイルなどの反撃能力整備の方向性であり、グレーゾーン事態という安倍政権時代の慎重さが消えています。そして現在の施策を進めるならば、好むと好まざると通常兵器以上の装備が必要となりかねない。
航空集団を陸上自衛隊にも創設し、その上で各方面隊へヘリコプター連隊をフォースプロバイダーとして機材を供給する方式で、AH-64Eと、そしてUH-2よりももう少し能力はあるが飛行隊定数が若干数となるようなCH-47ほど大きすぎない、EC-225かCH-101かUH-60JA程度の機材で方面航空を再編する必要も重ねて感じるのですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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