北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

F-X=F-35・・・今後必要なのは運用計画の明示と長期整備契約の締結

2011-12-21 23:04:13 | 防衛・安全保障

◆装備品を確実に運用するために必要な事項

 F-35が次期戦闘機として決定しましたが、この決定から生じる今後の検討課題について少し触れてみましょう。

Img_8770_1 まず、この決定により日本の航空防衛産業は、例えばT-4練習機後継機約200機の開発を加速させるなど必要な措置を取らない場合、非常な危機にさらされることとなります。予備部品、航空自衛隊仕様機の維持や運用継続に必要な、しかし日本でしか既に生産しておらず、構成部品や部品の素材等と同一のものは海外から供給することが基本的に不可能で、行うとすれば非常に多くの予算を必要とする分野であっても、F-35の製造は日本では行われないのですから産業そのものとして撤退されてしまう、現実の問題として受け止めねばなりません。

Img_7841 筆頭は、F-4を継いで航空自衛隊の主力戦闘機という位置づけに或る約200機のF-15です。航空自衛隊は明確な防衛産業への意思表示として、F-15を西暦何年ごろまで運用するのかを明示していません。防衛産業としては、もちろん国営偉業ではなく営利企業として存続しなければならないのですから、無駄な生産部門や部品在庫は極力省かなければなりません。しかし、戦闘機が必要であり、42機の取得と運用基盤構築に1.3兆円を要するというF-35を、F-15の運用支援がなくなったからという理由で200機調達する余裕は日本にあるのでしょうか。

Img_8074 必要となる視点は運用計画の透明化とそれを見越した整備支援計画の作成と、企業との間d結ぶ長期整備契約です。毎年毎の入札方式では、技術力が必要水準に達していなくとも、数枚に纏められた要求水準のみを満たしているというだけで、総合能力で対応することが出来ない企業の参入は避けなければなりません。このためには、短くとも五年単位、可能であれば十年単位で予備部品の調達と運用支援や重整備、定期整備にかかわる企業側の負担部分を明確化させ、そのうえで今後五年間、今後十年間の戦闘機運用基盤、というものが維持されるべきです。

Img_8721_1 特に、日本の自衛隊装備品は諸外国のものと比べ高い、という誤った認識が一部自称識者の論調により印象付けられています。ただ、戦闘機約300、大型水上戦闘艦約40、潜水艦約20、回転翼哨戒機約100、固定翼哨戒機(含情報収集機)約100、輸送機約50、戦車700、火砲600、その他多数のヘリコプターと装甲車に加え、弾道ミサイル防衛システムと防空監視体制を広大な国土に配置し防衛警備している組織として、現在の予算水準と比べた場合、非常に低い予算により実施されていることは忘れてはならないと考えます。

Img_8248 忘れてはならないのはAH-64D戦闘ヘリコプターの60機取得を明言し、しかし予算不足と当初の運用計画の見積もりの稚拙さから11機で調達修了するという方針を打ち出し、生産基盤を構築した富士重工に大損害を与えた事例です。政府は明示された契約に無いと約束を一方的に反故にしました。これを民間企業が契約先に行えば違法、逆に防衛産業が一方的に支援を打ち切り損害が生じれば大問題です。国は約束を反故にする、明示されたものではなく違約金を含め契約を締結しなければ信用できない、こういう印象を植え付けてしまいました。

Img_8859_1 結局のところ、主契約企業と共に、どれだけの機体をどれだけの期間で導入するのか、また何年程度運用する計画があるのか、既存の航空機の運用計画はどの程度か、それに要する予算はどの程度なのか、随意契約ではなく五年や十年の一括契約で結び、そのうえで付帯項目として最終的に何年間の運用を計画するのか、ということを示さなければ、今後日本の防衛力を今の予算規模を大きく超えない範囲内で維持すると言うことは不可能でしょう。日本のこれまでの契約方式とは若干離れることですが、検討は必要だろう、と考える次第です。

北大路機関:はるな

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F-XはF-35 航空自衛隊次期戦闘機がF-35に正式決定

2011-12-20 23:42:47 | 防衛・安全保障

■未知数の可能性秘めた第五世代戦闘機

次期戦闘機がF-35に決定いたしました。F-104以来の単発機、そして次世代は無人戦闘機となることが示され、F-104と同じように最後の有人戦闘機と呼ばれるもので、開発が完了していないほどの最新鋭ステルス機です。

Img_581_3 F-4の後継として決定となったF-35はF-22とともに数少ない第五世代戦闘機で、ステルス設計によるレーダーへの反射面積の抜本的低減のほか、陸海空部隊のデータリンクによる部隊としての打撃力、そして情報収集能力に加えてデータ通信中継に戦域優勢確保と、新しい時代の戦闘に合致した文字通り次世代の戦闘機としての性能を有しています。

Img_0229 ただし、唯一にして最大の難点は機体そのものが現在も開発中であり、過去にもレーダーやエンジン部分の不具合により数え切れない遅延を繰り返し、先日も機体各部分にクラックの発生が確認され、補強と強度維持の改修を行った場合、開発計画が遅延し航空自衛隊がひつようとしている期日までに間に合う可能性が絶望的となっているところでしょうか。

Img_6625 実はF-35は統合打撃戦闘機として2000年代には実用化される計画で、空軍用戦闘機、海兵隊用垂直短距離離着陸機、海軍用空母艦載機を基本設計の同じ機体から派生させるという意欲的な発想の元計画され、その膨大な開発費はアメリカ一国では負担できないことから国際共同開発となった経緯があります。結果、難しいほどの多用途性能が求められ開発は難航、応じて増大する追加費用の捻出に合意形成が難航し、今に至りました。

Img_91_18 また、こう行った理由から納期が明確ではない、という点に加えて、付随する重大な問題、納入費用が現在のところ不明確、という問題があります。一機99億円とのことですが、初度調達品や整備機材に教育訓練費用、整備施設などを含めれば42機で1兆2000億円、実に一機あたり一世代前の汎用護衛艦に匹敵する費用を要するのですが、これで導入できるという上限の金額ではありません。

Img_0737 上記の課題から、特に機体が納入されるまでの期間、航空自衛隊が求めている期日よりも延期された場合、現在の、今年で初飛行40年となるF-4EJの延命措置を講じるべくライセンス生産を行ったメーカーである三菱重工と協同するのか、もしくは米軍の使用機にあってFー15Cは必要上無理でしょうからF/A-18EやF-16Cの中古取得かリース取得を目指すのか、繋ぎとしてJAS-39など異なる機体を目指すのか、何らかの措置が必要となるでしょう。

Img_0694 しかし、こうしたリスクを冒してでも第五世代戦闘機の取得を重視した姿勢は一応評価されるべきです。ライセンス生産として40%がみとめられるとのことですがどの部分が認められるのか未知数で日本の戦闘機運用基盤を含む防衛産業が受ける打撃は大きいです。また、初期の不具合の是正が未知数である状況の機体が納入されるためそちらの心配も残ります。しかし、思い切った勇断を示したのですから、これは悪い方向に出ないでほしい、そういう願いとともに今後の進展をみてゆきたいですね。

北大路機関:はるな

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金正日死去 朝鮮民主主義人民共和国の最高指導者、朝鮮労働党総書記の急逝

2011-12-19 22:59:05 | 国際・政治

■3.11に続く極東の激震

 最初に国家指導者を失った隣国朝鮮民主主義人民共和国国民の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。3.11東日本大震災とともに極東地域での激変として2011年は長く記憶されることでしょう。

Img_3465  金正日総書記は農業政策の面での失敗と瀬戸際外交と表現される隣国への恫喝と要求を組み合わせた独特の外交政策を展開させ、同時に国際公序から逸脱した核開発や邦人拉致、工作員浸透に偽造貨幣などの諜報戦を行った国家の指導者、という側面があり、弾道ミサイル防衛など我が国の外交安全保障政策へも影響を及ぼした隣国の指導者でした。

Img_6592  一方で、東西冷戦が醸成した朝鮮半島の東西分裂、そして冷戦構造の終結に伴う国際政治情勢の激変、それに続く中国の近代化やアメリカの環太平洋政策と世界戦略の連関関係を念頭に今日の朝鮮半島を俯瞰した場合、米ソ緩衝地帯は米中緩衝地帯という新しい位置づけにあり、結果論として地域大国と超大国の緩衝地帯を維持した、という意味では評価されるべきかもしれません。

Img_6906  また、ラリーボンドの侵攻作戦レッドフェニックス、森詠の日本朝鮮戦争と数え上げれば多くの軍事スリラー等において好戦的な人物という印象があった人物ではありますが、結果的に100万の人民軍を南下させることはなく、乏しい国力から攻勢的な抑止力を展開した、故人となった今では非常にしたたかな人物と評価を改めたいと思います。

Img_6160_2  さて、一方で意外だったのは、北朝鮮はその指導者の死去を三日後という比較的短期間で発表に踏み切った、ということでしょう。特別列車の車内にて心筋梗塞により急逝、その三日後ではありますが、米韓中の情報機関はその情報を入手していたのか、三日前の急逝は事実であるや否や等などすべてを事実と受け取ることは諫めたい一方で、公表されたということは驚きではないでしょうか。

Img_4542  こうしたなかで、もっとも関心事となるのは後継者への権力移譲です。金正恩氏が後継者と指名されていますが、氏は1983年生まれの27歳、国家の指導者としてはまだ若いという印象は拭えません。朝鮮労働党幹部や人民軍上級指揮官との共同統治体制という選択肢も考えることはできるのですが、この場合権力固めと移行の機会は非常に困難と不確定要素を含むことになります。

Img_6139  実は北朝鮮の政軍関係についてあまり詳しくないため、地域研究者でこの地域の政軍関係の研究を行っている後輩に連絡を取っている最中ではあるのですが、確かであるのは金正日氏であっても人民軍を完全に統制できているかは疑問視される事例が過去の人民軍の行動においていくつかあります。人民軍統制の問題は農業政策や外交政策など明示され解決が可能な問題に起因するものであれば後継者の政治手腕如何というところですが純粋な権力闘争といった解決しえない命題が含まれれば対応は難しい局面が出かねません。

Img_4537  果たして新しい指導者は人民軍を統制できるのか。後継者選定の政治的正統性を問うた場合、例えばさらに正統性ある権力集中へ選挙を行い、というようなこととなれば、これはわが国はじめ自由主義国、民主主義国家が非民主主義国家や途上国に対し陥りやすい事案ですが、安易に行えば政治機構や政治システムまでもを一挙に破たんさせかねないものであり、現時点に至っては難しいといえるでしょう。

Img_2422  この懸念から暴発の可能性はないのか、という判断もあり、米韓両軍は非常警戒体制にはいっています。日本でも一川防衛大臣は本日お昼の会見で警戒体制に万全を期する、と発言しており、相応の体制は必要とみられ、体制が落ち着くまでの数年間は警戒を要します。他方で新しい国家指導者により、米朝関係の懸案や日朝関係など、そのつもりがあれば白紙とまではいかずとも新しい関係の構築は可能で、可能性としてわが国も北朝鮮も含めた周辺地域の安全保障関係も好転させることが実現する要素は残っています。なにはともあれ、故人の冥福を祈り明日を実現させる努力を望みたいですね。

北大路機関:はるな

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奮闘する50年代航空機、海兵隊のCH-46は確かに旧式化しているヘリコプターですが

2011-12-18 19:01:57 | 在日米軍

◆頑張る1950年代生まれ

 F-X選定に際してF-4EJは初飛行から既に40年、F-4が空母航空団に配備されてより50年として老朽化をこのWeblogでは繰り返し指摘してきました。

Img_1376 普天間基地移設問題では同じようにCH-46の老朽化を指摘し、MV-22への早期代替が必要であるとも記しました。CH-46は自衛隊ではV-107として親しまれてきましたが開発メーカーたるバートル社がV-107を初飛行させたのが1958年で、米海兵隊に採用されたのが1961年、生産はかなり続きましたし一応置き換えは始まっていますが各部の延命改修を行い、まだ使える、ということは確かです。海兵隊では既存のほかのヘリコプターについて、後継機を取得する以外にも延命を行う、という選択肢もあるようです。

Img_0100 しかし、驚いてはいけないのがKC-135空中給油機。空軍の主力空中給油機として700機以上yが配備された機体ですが、原型機はボーイング707の原型機であるボーイング367-80で、こちらも初飛行は1956年。近代化改修プログラムは継続的に遂行され、更なる延命措置が組み立てられているのですけれども、後継機はボーイングかエアバスか、リースか取得か、配備数はどうするべきなのか、前途多難が続いている状況、同時期に運用されたB-52戦略爆撃機も今なお頑張っています。なんでも初飛行から90年程度の飛行を考えているとのこと、高高度を滞空しての精密誘導爆弾の運用母機ですから、性能としては十分ということなのでしょうけれども、それにしても長いですよね。

Img_0176 米軍では空軍や海兵隊で輸送機型のC-130,そして給油型の写真に或るKC-130が運用され、しかも航空自衛隊で運用が続いていますが、このC-130の原型機も、もちろん現在飛行しているのは改良型で、中身はもちろん、面影以外は別物。かつての0系新幹線のように定期的に置き換えが続いているのですが、原型機の初飛行は更に古い1954年でした。こちらは改良型ですべてを一新したC-130J-30のような改良型も出ているのですが、全くを置き換える後継機構想は現段階では机上計画の水準を出るものではなかったりします。

Img_0250 米海軍と海上自衛隊などで運用されているP-3C哨戒機も原型機は1957年初飛行の四発旅客機が原型で、これなどは潜水艦などを索敵する特性上、電子機器こそが性能のすべてという機種なのですけれども、そして今飛行している機体は別物というべき時期の生産と性能、外見も随分と変化していますが、原型は、ということになるわけです。P-8哨戒機として低空飛行しない全く新しい無人機との協同を念頭に置いたボーイング737母体の新型機への置き換えが計画されているのですが、自衛隊の次期哨戒機P-1ほど順調に行っていないという状況になっています。まだまだP-3Cは頑張ることでしょう。

Img_0307 米軍でも運用は続いていますが陸上自衛隊で運用が続くUH-1多用途ヘリコプターも50年代の老兵が原型の系譜、F-15戦闘機は原型のF-15Aでは1972年が初飛行で、まだ来年で40年という機体ですけれども、延命措置プログラムを構築し機体寿命を倍程度やそれ以上に延伸する構想がボーイングを中心に検討中です。CH-46は老兵ではありますが、限界ではない、ということになるやもしれません。また同時に、F-35をはじめ次期戦闘機選定があと数日内に正式決定となりますが航空自衛隊の旧式化したF-4についても、今一度老朽個所の抜本的な改良と置き換えをメーカーとともに協力した場合、もしかしたら、多少の猶予は生まれるかもしれない、そう思った次第です。

北大路機関:はるな

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東日本大震災自衛隊派遣、再び千名を超えた災害派遣規模

2011-12-17 22:59:58 | 防災・災害派遣

◆地域除染任務により派遣規模は十倍に拡大

第二北大路機関へ掲載していた東日本大震災災害派遣ですが、動きがありましたのでこちらでも掲載します。

Img_1763 東日本大震災での大被害に対して自衛隊では東北地方太平洋沖地震災害派遣任務として最盛期には10万以上の人員を投入し対応しましたが、順次災害派遣要請の撤収要請への切り替えと、災害派遣任務でなければ対応できない緊急性のある任務が完了し、昨今は100名前後の水準での推移となっていました。

Img_1923 しかし、12月15日時点での自衛隊災害派遣任務は1020名と、久しく1000名の大台を突破しました。100名前後から1000名を超えた、というのは規模にして十倍。11月25日時点の災害派遣部隊規模は120名、12月6日まではこの規模で推移していたのですが、12月7日以降、災害派遣規模は1020名へと拡充され、今日も継続される模様です。

Img_1740 派遣任務は原子力災害派遣で、除染所運営に第九化学防護隊、地域除染作業に第44普通科連隊と第6特科連隊が派遣され、飯館村役場と富岡役場に楢葉町役場の除染作業が行われています。人員のほか、連絡用に航空機一機が派遣されているのですが、この規模は当面続くとのこと。

Img_9813 当初この任務は自衛隊でなければできないと、一川防衛大臣は表明していましたが、自衛隊が化学戦の戦闘除染任務は想定しているものの核汚染地域の生活除染は全く想定外で、薬物中和が可能な化学剤と異なり、兎に角擦り洗い流すか移動するかが方法となる核汚染には対応ができない、と指摘していたのですけれども、報道ではやはり、スコップで土を移動し砂利を取り除き、モップやブラシで擦る、というものでした。

Img_0119
これは言い方が悪いですが、そこまで高度な技術が必要なのでしょうか、砂利や土の除去と放水下でのブラシによる洗浄、学校の掃除レベルを防護装備下で行う、これは自衛隊でなくとも民間の清掃会社に防護装備を貸与すれば対処できるのではないでしょうか。防護装備も自衛隊は民間と同じタイペックススーツと民間と同じ防塵マスクを調達し任務にあたっています。ちょっと、そこまでの規模を自衛隊でなければできない任務、とするのは乱暴なように思うのですがどうでしょうか。

北大路機関:はるな

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平成二十三年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2011.12.17/18/23)

2011-12-16 23:38:24 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 本年の航空祭、駐屯地祭は先日の那覇航空祭と高遊原駐屯地祭で終了しました。しかし、海上自衛隊が頑張っています。

Img_0227 しかし佐世保には護衛艦くらま、がハワイから帰ってきた!。週末の倉島桟橋一般公開で、また一般公開されることはないでしょうかね、そう思って佐世保地方隊の艦艇広報を見てみますと、今週末は護衛艦さわぎり、が一般公開されるとのことです。米軍管理の立神桟橋、今年は一般公開ないのでしょうかね。

Img_7633 そして呉基地今週末の艦艇広報では、護衛艦うみぎり、が一般公開されます。海賊対処任務から、こちらも帰国したばかりの一隻。呉では、元ヘリコプター護衛艦ひえい、が最後の時を待って停泊していますので、こちらもその姿を記憶にとどめるには機会はそう多くはないと思います。

Img_1427 いよいよ年末ですが、年末は御盆の時期と並んで艦艇が母港に戻る時期で、一般公開が行われない日々にも、艦隊の威容を望見するにはうってつけの季節、寒い季節ですが散策はどうでしょうか。昨年は写真の手前に停泊している強襲揚陸艦エセックスが一般公開されたのですよ。

Img_0987 さて、今週末一般公開される護衛艦さわぎり。あさぎり型護衛艦の一隻です。一般公開されるのは上甲板と格納庫のみなのですけれども、桟橋が公開されますから、公開されない護衛艦であっても並んで停泊しているだけで迫力は基地以外の場所での艦艇一般公開とは迫力が桁違い。

Img_3619 さて、今週末唯一の自衛隊行事ですが、明日17日土曜日と18日日曜日に博多港においてミサイル艇おおたか、しらたか、が一般公開されます。場所はベイサイドプレス博多。土曜日は0900~1600、日曜日は0900~1500が公開時間で採取受付は終了時刻30分前まで、足を運ぶ方はご注意ください。基地一般公開は、佐世保基地、呉基地、舞鶴基地でそれぞれ行われます。

Img_1277 呉基地は一般公開が日曜日のみ、佐世保基地は一般公開が土曜日と日曜日、時間が限られていますのでご注意を、また佐世保基地では間違えて米軍の方に行かないように注意です。舞鶴基地は一般公開頑張っていまして、土曜日、日曜日と来週23日の天皇誕生日にも一般公開が行われます。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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普天間飛行場 報道されない世界最大とされる危険性の度合い

2011-12-15 23:20:54 | 防衛・安全保障

◆日本に或る他の基地と比べた場合

 普天間、百聞は一見に云々という言葉は成程本当なのだな、という実感です。普天間は危険なので、と移転を要望する声が強いのですが危険なのか実際を見てみました。

Img_1754 普天間飛行場は世界で最も危険な飛行場、これは視察した当時のラムズフェルド国防長官の発言が発端なのですが、報道される内容からはどうしても非常に市街地に近く、頻繁に事故が発生し、という印象が植えつけられているのです、しかし、テレビなどのマスメディアで報道されている内容、これは本当なのでしょうか。

Img_9532 写真は住宅街に浮かぶ滑走路に輸送機が着陸しようとしている様子。流石は普天間飛行場、聞きしに勝る住宅街との近さ、これこそ世界一危険な飛行場そのものだ、・・・、と思われるかもしれません。しかし、これ、岐阜基地の写真だったりします。右奥の高層ビル付近が岐阜駅、着陸しようとしているのは自衛隊のC-1輸送機。

Img_4518 こちらは小牧基地。C-130H輸送機が離陸しようとしているところなのですけれども、背景には住宅街が見えています。過去には自衛隊機や民間旅客機の墜落事故があり、1994年の中華航空機墜落事故では200名以上の犠牲者が出ています。しかし立地としては、小牧基地は町役場である豊山町役場と飛行場の距離が500m、普天間基地と似たような環境にあるのです。

Img_4092 浜松基地。こちらは政令指定都市浜松市にあり、中心部からはやや離れていますけれども1kmのところに東名高速道路が走り、浜松西ICがあるほか、新幹線と在来線の拠点であるJR浜松駅まで距離にして5km、私鉄線も基地近傍を走り、基地の写真の背景は住宅街を構成しています。

Img_1267 こちらは入間基地。西武線が基地の敷地内を走るという、交通上の好立地にありますが、それは必然的に基地と住宅街が近いことも意味します。写真の背景は官舎ではなく通常のマンション、その近く、近くといっても望遠レンズの圧縮効果も多少はあるのでしょうが、C-1輸送機との距離はかなり近いといってよいでしょう。

Img_9381 八尾駐屯地。もともと大阪第一空港で朝鮮戦争の際に米軍が伊丹基地を拡張したため伊丹が国際空港となっていますが、第一空港はこちらでした。中部方面航空隊のヘリコプター部隊が駐屯しているのですけれども、俯瞰ではなくとも住宅街が迫っているのがご覧いただけるでしょうか。

Img_9000 少々列挙した基地から遠いですが、霞目駐屯地。東北方面航空隊が駐屯していますが、こちらも政令指定都市仙台市にあるヘリコプター部隊の駐屯地で、東日本大震災においては災害派遣部隊の一大拠点となった駐屯地なのですが、こちらも市街地に隣接している航空部隊駐屯地にほかなりません。

Img_0503 明野駐屯地。三重県の航空学校が置かれている駐屯地。田園風景の中にある駐屯地で、市街地からはかなり距離がある駐屯地なのですけれども、それにしても写真のとおり、隣接しているものはあるわけです。普天間とは比べ物になりませんが離れている駐屯地でもこうした実情。

Img_7338 もちろん、住宅街から距離が大きい基地もあります。写真の小松基地などは田園地帯に浮かぶ基地、着陸経路にも田園地帯かゴルフ場とあって、そこまで騒音などの危険性はありません。F-15部品脱落事故では危険性が指摘されていますが、それでも基地との関係を見てみますと距離はあるといえます。

Img_3936 そして京都府は舞鶴航空基地。周りに受託買いは皆無です、埋立地の飛行場ですからね、周りは海。どうしても、住宅街から距離を置こうとする普天間基地の代替地は、この舞鶴航空基地と同じように埋め立ての飛行場が計画されていますが、結局これが唯一、という選択肢になるのではないでしょうか。

Img_2836 写真の岩国基地などは、海上に新し滑走路を建築して、騒音と市街地を遠ざけました。もともと市街地と距離は考えられていましたが、海上に出していますのでさらに騒音は軽減されることになるでしょう。内陸のある普天間はそのまま海側に滑走路を建設することは不可能ですが、だからこそ名護市への移転、と現時点で日米合意があることは妥当性はあるとおもうのですが。

Img_1733 こうした記事を書きましたのも、私はてっきり普天間は誘導路のすぐそばまで住宅が迫っているのではないか、とか滑走路の安全帯にも人が住み着いている、そんな状況を考えていたのです。しかし、この目で見たところ、確かに離れている、とは言えないのですが、こうした基地は日本国内に数多くある、という印象を超えるものではありませんでした。

Img_7426 このように、日本という狭いこくどでゃ基地と市街地は近接せざるを得ない場合が多いという事例はお分かりいただけたでしょう。しかし、危険性、といえば距離以外にも論点は幾つかあることは知っています。米軍基地であるから世界中から狙われる、という視点。そして事故が多発することから周辺への安全性が確保できないのではないか、という視点が主なところでしょう。

Img_3136 米軍基地があると世界中から狙われる、という視点。こうなりますと、ならば普天間基地と航空自衛隊の那覇基地の一部を置き換えれば、反対派が指摘する内容は解決されます。航空自衛隊は世界中はもちろん周辺国と戦争はしていませんので、狙われる、という論理そのものが成り立たなくなるのですがどうでしょうか。

Img_0697 ただ、これも不思議な論理で、沖縄の米軍基地が狙われたのは日本人の過激派を除けば第二次世界大戦において日本軍が米軍を攻撃した際のみです。テロの標的を除けば、世界でも米軍基地が軍事目標として標的となったのはヴェトナム戦争におけるダナン航空基地のような前線飛行場で、米軍基地が標的となった話、浅学にして聞きません。本来基地があるからこそ抑止力が発揮され、地域が標的となりにくい、こう考えるべきでしょう。

Img_1385 また、事故の多発ですが、確かに発生はしています。しかし普天間基地の場合、所属航空機の事故は基本的に演習場や洋上といった基地から非常に離れた場所で、基地とその周辺での事故は海兵航空群が普天間に展開した1969年以降では1980年10月2日にOV-10観測機がタッチアンドゴーを行っている最中に滑走路上で墜落した事例、2004年8月13日に沖縄国際大学構内にCH-53D輸送ヘリコプターが墜落した、この二件だけです。

Img_2485 これを那覇空港と比較してみますと、那覇空港とその近隣では自衛隊機の墜落事故こそありませんが、1970年7月27日にアメリカのDC-8貨物機が滑走路手前の海上に墜落、2007年8月20日には中華航空のボーイング737-800が炎上し、乗客乗員は全員無事に避難しましたが機体は全損、普天間基地と比較した場合、大型機の事故である分、こちらの方が危険とさえも言えてしまうわけです。

Img_3461 普天間基地の移設そのものは民意でもあるようですから、反対するつもりは毛頭ありません。しかし、市街地に近すぎる、という表現は、正しくは日本のほかの基地と同じくらい近い、と追記するべきでしょう。事故が多い、という表現も、基地周辺では過去42年間に二回も事故が起きている、と表現すべきです。危険、ということのみが報道されていますが、実際には、というところにも目を向けて考えなければならないように考えるのですが、どうでしょうか。

北大路機関:はるな

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普天間飛行場(普天間基地) 俯瞰風景の宜野湾市街地とCH-46の飛行訓練

2011-12-14 23:16:35 | 在日米軍

◆率直な印象は本州のほかの基地と同程度

 普天間について、こちらでも相当回数触れていますが、写真は海兵航空でも岩国の写真が中心、これでは説得力が、ということで普天間、という現場を遅れながら俯瞰してきました。

Img_9622 那覇基地、嘉手納基地、普天間基地と沖縄の航空基地を縦断した写真、G-12の撮影写真からご報告です。普天間基地へタッチアンドゴーを繰り返すCH-46ヘリコプター。さて、沖縄から戻ったところ、F-XはF-35に内定、しかし防衛省が要求する2016年納入は確実に間に合わない状況、F-35が納入されるまでの間、いっそBAEと今回のF-X選定で関係を構築したのだから、イギリス空軍で早期退役となったトーネードADVを運用支援とともに中古で取得し、繋ぎとしてはどうか、と考えるところです。トーネードADVはF-3からAIM-9LとAMRAAMが運用可能、AMRAAMの運用能力からイギリスの一存では対応できませんが、F-35の繋ぎならばアメリカの理解は得られる可能性があります。少なくとも流石にF-4で悠長にF-35を待つことはできません。

Img_95761 普天間基地、普天間飛行場と呼ばれていますがここは航空基地ということで基地に呼称を統一したいとおもいます。世界一危険な飛行場、と視察した当時のラムズフェルド国防長官から呼ばれたことで有名になったのですけれども、非常に失礼な言い方になるのですが、基地反対派のかたは本州の自衛隊基地をどう考えるのかな、と素朴な疑問も。入間基地、岐阜基地、小牧基地、浜松基地、八尾駐屯地といった当方が足を運ぶ航空基地と比べて市街地が近い、とは言えない気がします。滑走路は安全区域が取ってあり、前述の基地と同程度は一応離れているようにも。滑走路のエンド付近は一応配慮が必要な建物が無いとは言えないのですけれども。反対運動に熱を上げる方はご気分を害されるかもしれませんが、思い切ってほかの基地を見てみてほしいです。しかし、小松基地、明野駐屯地、小松島航空基地、舞鶴航空基地と比べれば、市街地に近いですね、新田原基地も住宅街からは離れています、こんなところ、かな。

Img_9585 CH-46が繰り返し飛行していました。相当話題になりますので、空自のV-107よりも騒音が大きい特性でもあるのかと思っていましたが、正直音はCH-47よりも静かで、他に飛行していたのはKC-130,特段音が大きな離陸を行うでもなく、音が響くな、とおもったのはビジネス機を原型としたUC-35の離陸でしょうか、ジェットエンジンの独特の音がしていました、それでも那覇でのボーイング737のほうが大きい印象。騒音、となると伊丹空港などと比較した場合、やはり相当小さく、騒音が大きく集中できない、滑走路と住宅街が近い、という問題は日本における多くの飛行場、民間空港から自衛隊基地までが抱える問題と似ているところでしょうか。発着数も1100過ぎに到着してからヘリコプターの写真を撮るまで一時間ほど間がありましたし、回数も、そこまで大きいとは思えないのが率直なところですが、どうでしょうか。

Img_9554テレビ報道ではF/A-18CやAV-8にC-5輸送機まで頻繁に発着する様子が流れていますが、この日は滞在時間僅か四時間半ですけれども、CH-46以外は、KC-130が二機離陸、あとはC-12とC-21といったビジネス機原型の機体が一機と二機、深夜飛行もあるようなのですが頻度は分かりません。もう一度行ってみなければいけませんね。これ、那覇空港や、こちらの伊丹空港や羽田空港と比較してどうなのでしょうか、発着機数が少ない神戸空港よりは多いのでしょうけれども、県営化された名古屋空港と比較すれば普天間は多いという印象がありません。もしかして、他の日は毎日編隊を組んで繰り返しているのでしょうか。もしかしたら地形から響く特殊な場所があるのかもしれませんが、どうしても安全性と騒音量以外の部分からの反対があるように思えてきました。ともあれ、移転は民意、考えなくてはならないことには変わりません。

Img_9624 普天間。CH-46は相当古く、こちらも新しいMV-22へ置き換える必要がある、というところですが試作機が事故を起こしたという印象、映像で広く閲覧できるため危険な機体、という先入観があり反対に繋がっている機体です。CH-46も相当古い機体ですよ、と言いたいところですけれども、初飛行が1958年、海兵隊配備が1961年。・・・、確かF-4の海軍配備が1961年で航空自衛隊用初飛行が1971年、F-4EJと世代的に重なる、というところ。ううむ、変なところで話題がF-Xに戻ってきてしまった。近代化改修と延命措置を行っている、ということですから、そこまで安全面は気にせずともいいところなのでしょうけれども、ボーイング707と同世代機、先入観からMV-22へは異なった印象はあるようですけれども、代替は行えるならば早く行った方が安全性に寄与することは確かです。

Img_9584 ところで、那覇から嘉手納へ国道58号線を進んでゆくと、ほどなくして海側にキャンプキンザーの広大な倉庫群が広がり、もうしばらく進むと内陸側にキャンプフォスターの車両プールが見えてきます。このキャンプフォスターは凄く取得費用で96式装輪装甲車に匹敵する耐爆装甲車MRAPや装甲ハンヴィーが、見渡しただけで陸上自衛隊一個師団を機械化できるほどの車両が置かれていました。有事に備えての備蓄のようですが、膨大な予備戦力と資材備蓄、米軍の底力を垣間見た、というところでしょうか。有事に備える、ということは、平時の無駄を如何に許容するか、ということ。平時の無駄が許されず車両の損耗を即座に補てんできなかった東日本大震災の自衛隊を見ますと、予算を司る財務当局と予算を画定する政府は、この現実をもう少し見てほしい、という思いがあると共に、本気で有事に備えるむずかしさを思い知らされたところ。

Img_9618 宜野湾市では普天間飛行場班看護、オーシャンビューリゾート、幹線道路、住宅街、普天間公園、広場、松並木、以上六つの施策での再活性化を検討しているとのことです。まだまだ観光需要はある、という見方なのでしょうが、そんなに引き合いは多いのでしょうか、住宅街の場合も沖縄はそんなに住宅は不足しているのか、ちょっと興味あるところです。それならば、自衛隊を中心とする広域防災拠点を跡地に造った方が、と考えたりも。実は嘉手納基地に隣接する返還され数年を経た読谷補助飛行場跡地に足を運びたかったのですが、当初あったような商店街やレジャー施設といった再開発計画は実現せず、徒歩では無理で危険、雨天、そして何もないという情報とハブが出る、という話で断念しています。とはいえ、数日間滞在しただけではしっかりとした情報は限界があり、那覇駐屯地祭、那覇エアフェスタ、一眼レフカメラ持ち込み制限がなくなれば普天間や嘉手納の一般公開という機会を利用して、もう少し沖縄へ足を運びたい、とこのように考えています。

北大路機関:はるな

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F-X選定:今週中の決定政府方針を前に・・・米空軍嘉手納基地の写真とともに考える

2011-12-13 01:51:25 | 在日米軍

■嘉手納基地第18航空団の写真とともに考察

嘉手納基地に行ってきました。写真はG-12の撮影したもので少々難ありですが、速報ということで掲載としました。

Img_9376 嘉手納基地だけでは手元の環境で文章が続きそうにないこともあり、一つF-Xに関するコメントも寄せられていますので、少しこれに関連した文章とともに記事を作成したいと思います。F-15Cでおいいのですけれども、とにかく早く決定しなければ今年がF-4EJ初飛行40周年ということを忘れてはいけません。

Img_9360 次期戦闘機がいよいよ数日のうちに決定する、との観測が流れているのですが、そこでこの特集。言いたいことは今のうちに、というわけではないのですけれども、とりあえず私心というものはどうなのか、というお話もありましたわけで、那覇からこの小型PCと細い回線にて私心を発信してみたいと思います。

Img_9361 次期戦闘機、財政的な条件により機数が制限されている一方で、一機あたりの取得費用と運用費用が大きな航空機を導入しては同じなのではないか、かえって高価であるのではないか、というご指摘がありました。実は全くその通り、反論の余地もないと思います。

Img_9379 しかし、機数に対して発言を行っているのは主に財務当局、他方で財務当局はその責任領域から機数を最小限とすれば、その範囲内でもっとも安価な航空機を取得させることで最大限の歳出抑制ができる、という前提に依拠して論理を導き出していることになるでしょう。

Img_9384 反面、防衛当局は、責任領域が我が国の軍事安全保障ですので、任務能力に応じて機種を考えなければならないのです。機数は財務当局の指摘にも依拠した政治決定である防衛計画の大綱に明示されていますので、政治決定を覆す事は機構上不可能です。そこで、一機当たりの性能、ということになるわけですね。

Img_9442 実のところ、ここに財務当局と防衛当局の責任領域の相互性と政策の重複という問題が生じてしまっているところに問題があり、本来は機数を考慮に含めず、同じく機種も選択肢にとどめて、我が国の防空と財政を守る上で必要な機種と機数をねん出するべき、なのですけれども、これが不可能、という実情が問題であるでしょう。

Img_9403  即ち、機種が決定していない時点で一年前に画定された防衛計画の大綱を一時白紙に戻す、という決定、事後でもいいのですが再改訂を行う、という指針を明確に出すところから次期戦闘機選定は発表への方針を定めるべきだろう、理想を示せば、そう考えます。

Img_9401  F-35,この戦闘機の導入は不可避でしょう。航空自衛隊をはじめ自衛隊は後方支援や事前備蓄という観点で圧倒的に遅れており、これは予算を正面装備に集中せざるを得なかったからなのですが、長期間の戦闘維持に限界があり、米軍との共通機材、共用部品 を重視せざるをえません。

 Img_9421もちろん装備あたり倍の支援と備蓄、現在の予算規模では戦闘部隊は半数に、現状維持には倍の予算が必要になることを意味し、予算に応じた規模に適正化することになるのですが、そういった選択肢とともに米軍に依存しない体系構築も不可能ではないのでしょうが、それこそ防衛計画を根本から一転させる必要に見舞われるでしょう。

Img_9415  ならばF-35なのか、となるところですが、現実問題としてF-35が日本に納入され配備が進むのは2020年代、もうF-4にそこまでの時間は残されていません。そこで、個人的にはF/A-18Eを推すのです。能力的にF-35やEF-2000に部分的に見劣りしますがF-4の後継機としては十分そのもの。F-35はF-15後継機の際に最有力としてそのころ頑張っているだろうステルス無人戦闘機などと比較すれば大丈夫ですよ。

Img_94481  質的難点は、現在の二個飛行隊というF-4後継機に加えて第五航空団所要と第83航空隊増勢分、更に偵察航空隊と津波被害に遭った第四航空団再編所要、この当面六個飛行隊。そして将来中国空母の脅威にさらされる太平洋地域へ小牧と硫黄島に一個航空隊を配置する八個飛行隊分の導入、これが理想です。

Img_93511  ただ、EF-2000ですが、例えばNATOのEF-2000と航空自衛隊の機体との間で共通部品プールの構築や日本側からの部品供給など、これは当然武器輸出三原則を見直すことを意味するのですが、これに加えて、そして日英共同のEF-2000後継機に関する基礎研究、いいですか、基礎研究ですよ、こうした施策が可能ならば、検討されるべきでしょう。

Img_9397  たかが戦闘機に国家レベルの協力をなぜ、と思われる方も多いでしょうが、開発費用が巨大化し、失敗すれば基幹防衛産業の影響をも左右する戦闘機開発は長期の政治主導が必要になります。政権が交代しても受け継がれるためには政権を超えた協力、海外との協同が必要です。政治に覚悟があるのならば、そちらの方がいいと思います。

Img_9407  個人的に趣味を聞きたいのだ、という声があるようですが駄目ですよ、F-14Dの可変翼と大げさなミサイル装備、MiG-31の大柄で鈍重ですが防空に割り切った設計に関心を寄せてしまいます。利点と国産化の可能性をここで述べることは不可能ではありませんが、非現実的と間に合わないという二つの論点は論破できません。強いて言えばF-15Jは凄く好い機体ですが再生産はこれも現実的ではない。現実的にはとりあえずF/A-18E,政治家が決断して次につながるなら今世紀後半までを見越してのEF-2000,これが結論です。

北大路機関:はるな

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那覇基地の情景 南西諸島防衛の要、沖縄の玄関那覇空港展望デッキからの眺望

2011-12-12 23:01:47 | 防衛・安全保障

■那覇エアフェスタ2011撮影ののちに

那覇基地航空祭撮影後、那覇空港から那覇基地の様子を撮影してまいりました。次期戦闘機F-Xに動きがあったようですが出先なので、本日は那覇基地の話題。

Img_9193 那覇空港は、料金100円の展望デッキがあり、これは幾つか場所があるようなのですが那覇基地、第五航空群が展開する那覇航空基地近傍の場所が基地を撮影できる唯一の場所、という条件でした。展望デッキへは100円を投じると改札が稼働する方式となっています。

Img_9162 那覇基地航空祭終了後、という印象となりますとやはり、ブルーインパルス、でしょうか。角度的に撮影は少々厳しい場所にいたのですけれども、今日、仮住まいの芦屋基地に戻ってしまいましたから、航空祭当日らしい一枚。ブルーインパルスは、発祥の地浜松基地を仮住まいとしてはどうかな、とおもうのですが。

Img_9171  哨戒任務を終え、那覇航空基地へ帰投したP-3Cが給油を受けています。ところで、ご覧のとおりなのですが那覇基地、海に面しているとともに海抜が非常に低く、近隣の施設には海抜を示す表示と津波への警戒が掲示されていました。那覇基地、重要性は航空祭記事でも記したように南西諸島防衛の要と、大きく、防波堤や退避設備はしっかりしてほしい、と思うところ。

Img_9209  そしてもう一つは、こちらも航空祭記事で幾度か触れたように、民間発着機の多さでしょうか。余り那覇基地の騒音は話題に上ることはないのですが、それもそのはず、那覇空港の発着旅客機のほうが、経路下の住宅も含めどうしても大きく、沖縄の玄関という位置づけが如実に出ているからでしょう。

Img_9210  那覇空港、発着枠はすでに限界で、丘陵がありますが海側へ滑走路新設の構想があるとのこと。その技術的是非は敢えて触れませんが、行うのであれば同時に千歳空港のような官民分離化、そして松島基地などと重なるのですが防波堤となる堤防設備の建築による基地機能維持策は行われなければなりません。

Img_9236那覇空港からの展望デッキはこのようなかたちで、海上自衛隊の航空基地施設とP-3Cの列機は見えるのですが、角度的に限界。発着であればもう少し見えるのでしょうが、展望デッキはワイヤーが安全のため張られており、安全柵も撮影位置を限定しています。そんなところから基地を望見しつつ、津波と発着枠について少し考えてしまいました。

北大路機関:はるな

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