北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸上防衛作戦部隊論(第一回):師団旅団の現状と装甲機動旅団航空機動旅団案

2015-04-20 23:02:42 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団航空機動旅団案
装甲機動旅団航空機動旅団案、昨年に続き再論です。師団、陸上自衛隊の戦略単位であり作戦主幹単位となる師団と旅団について、その将来編制の在り方を今回から論議してゆきます。

師団とは、英訳では事業部と同語で、単独で活動する上での必要な機能をすべて有する行動単位を示します、近接戦闘に当たる歩兵、火力戦闘に当たる砲兵、機動打撃に当たる戦車、障害処理及び構築や築城に当たる工兵、指揮命令を伝達する通信、これら部隊の稼働率を維持する兵站など、師団や旅団は一定規模の部隊を包括し、作戦を遂行できる単位を構成します。

わが国陸上自衛隊は、陸上防衛に際し全国を15の師団・旅団管区に分け、道北・道央・道東・道南、東北北部・東北南部・北関東信越・首都圏南関東甲州、東海北陸・京阪神紀州・山陽山陰・四国、北九州・南九州・南西諸島、とそれぞれ師団乃至旅団を配置し、防衛警備に当てています。

こうした中で、陸上自衛隊は管区ごとに師団と旅団を配置する従来の方式を、基本的に管区を持ったうえで管区に囚われず広範囲を運用する統合機動防衛力の整備へ、2010年代より着手する方針を示し、まず、重装備を広大な演習場を有し訓練環境に恵まれた北海道に集中する施策を提示しました。

しかし、この施策は著しい防衛力配置の不均衡と、有事における戦略機動力の整備不充分という問題を含んでおり、必要な時に必要な部隊を配置できない方向への整備は、専守防衛を国是とする我が国にあっては国民国土の生命財産を大きく損なう非常に懸念の残る内容を、財政難などを理由に選択しています。

そこで提案として提示するのが、二種類の旅団を全国へ極力均一的に配置する、というもの。装甲機動旅団、航空機動旅団、この二つの旅団を以て師団を編成し、師団は各方面隊に一個師団、師団は方面隊管内を防衛警備する観点から広域師団とし、一方で方面隊は地誌情報収集や戦域後方支援と戦域防空及び後方支援基盤の全般支援と重整備及び補給管理に当てる、という提案を行いました。

広域師団案として、陸上自衛隊の現在置かれている師団と旅団の混在を一旦旅団へ改編し、旅団二個を以て師団を編成する案をこれまでに提示して参りました。この骨子は、師団と旅団が余りに多種多様となり過ぎ、運用上の互換性を各様に至った現状を打開するためです。

多種多様、総合近代化師団と即応近代化旅団、総合近代化旅団と即応近代化旅団に大きく分かれるのですが、総合近代化師団は機甲師団型と機械化師団型に別れ、即応近代化旅団も軽歩兵旅団型と空中機動旅団とに分かれており、旅団定数も2500から4500名、師団定数も6600から9000名まで、これでは戦術研究の一本化さえできません。

冷戦時代は単純明快でした、四個普通科連隊を有する甲師団、三個普通科連隊を基幹とする乙師団、普通科連隊に戦車大隊と特科連隊に施設大隊と後方支援部隊などで編成され、甲師団は戦車大隊に4個戦車中隊と特科連隊に直援大隊4個と全般支援大隊、という配分をとる。

そしてもう一つの編成、乙師団は普通科連隊3個に合わせ戦車中隊3個と特科は直援大隊3個に全般支援大隊、というものでした。全国画一、北海道を中心に機械化が進み最新装備は北海道が先に装備されていましたが、連隊と戦闘部隊の単位が四個か三個か、その程度の差異でした。

発想は単純です、装甲機動旅団は限られた戦車を集中運用する、航空機動旅団は方面航空部隊を一括運用し自動車化された部隊が空中機動と航空打撃力の支援により運用する、画一編成の部隊を全国へ配置するには戦車とヘリコプターがともに限られているので、集中配備した部隊が機動運用することで対応する、それ故の二種類の機動旅団が必要だ、と。
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対領空侵犯措置任務と増大する緊急発進へ、量的強化の必要性Ⅸ 難しい戦力整備

2015-04-19 00:00:05 | 防衛・安全保障
■平時抑止力と有事防衛力
 特集“対領空侵犯措置任務と増大する緊急発進へ、量的強化の必要性”、第九回を迎えました。

 緊急発進の実施件数は昨年度分が新年度を迎えた今月発表され、冷戦最盛期と並ぶ航空自衛隊創設以来二番目の緊急発進件数であり、冷戦時代の膨大な緊急発進件数へ対処すべく航空自衛隊の戦闘機が350機配備されていたのに対し、現状の戦闘機定数は280機でしかない、これでは平時訓練が圧迫される為なんとかすべき、という視点です。そして本特集は前回ままでに、スウェーデンがリースを実施しているJAS-39戦闘機を40機程度緊急借用し、戦闘機をとりあえず二個飛行隊程度増強し緊急発進の支援に充てる、というもの。

 一方、今回示す視点は、航空自衛隊の任務は緊急発進を行うだけではなく、有事の際に航空優勢を維持する、という重要な任務がある、という視点です。実は、戦闘機が100機稼働する空軍よりも、戦闘機30機が常時1機の早期警戒管制機と常時1機の空中給油機に支援され、多数の輸送機により後方支援を確実に実施する先進国の航空団の方が一方面での航空優勢を確保するには有利となる場合があります、もちろん、100機が平時波状的に嫌がらせ的な領空侵犯を繰り返した場合は30機の航空団では緊急発進が飽和状態となってしまいますが、戦時即ち有事の際であれば、早期警戒管制機による戦域情報管理と空中給油機による戦闘空中哨戒時間の延伸、輸送機による基地機能維持が大きな威力を発揮し、確実に脅威を制圧できるでしょう。

 自衛隊は、平時であれば戦闘機数が周辺国よりも不利な状態にあり、特に航空自衛隊の運用する第四世代戦闘機の配備数が周辺国では徐々に増大してきています。しかし、有事の際には戦闘機の能力を最大限活かす観点から、近代化改修を進め、更に早期警戒機と早期警戒管制機の増強や近代化改修、空中給油機の増勢等を進めていますし、輸送機も新型の機体を開発し、戦闘機以外の部分での能力向上を意欲的に進めているところ。

 実際問題、早期警戒管制機等は導入当時世界で最も高価な航空機として、当時冷戦が終結し間もないこともあり税金の浪費だと一部識者を含め批判されてきましたが、航空自衛隊は幾度にも分け近代化改修を実施し処理能力を向上させ今に至ります、早期警戒管制機の近代化改修はF-35戦闘機よりも高い費用をかけて行われていまして、外見が変わらない事から分かりにくいのですが能力は導入当時よりも大きく向上し、仮に有事の際、運用する場合には確実な稼働率の下で発揮する防空能力は、飛行隊一個や二個分よりも上の能力を戦域にて発揮します。

 また、F-15戦闘機も近代化改修が進められており、その費用は一機当たりの改修に周辺国が配備するSu-27戦闘機よりも高い費用を要しています。加えて、外見では分かりにくい所ですが、搭載装備は刷新が図られ、近代化改修以外にも定期整備の際のプログラム改修により性能向上を図っています。実のところ、周辺国の軍事専門誌等ではF-15よりも機体が新しいF-2の空対空戦闘能力に注視する論調がありますが、内容的にはF-15Jの空対空能力は少なくとも導入当初の機体と世代が異なります。特に情報をデータリンクし部隊間での航空戦闘を展開しますので、搭載量が大きく機体規模に余裕がある点から、将来発展性は今なお大きい。

 正直に緊急発進のみ行うのであれば、戦闘機近代化改修計画を最初から破棄しそのままF-2の増産に充てていた場合、恐らく50機程度多く調達できていたでしょう、早期警戒管制機の能力向上を断念し戦闘機増勢に充てた場合でも更に30機程度積み増し出来たと考えます、が、それでは平時の緊急発進に対応できるでしょうが戦時における航空打撃戦には能力が充分発揮出来ず、航空優勢を喪失する可能性が高くなります。戦域的に空域へ展開可能な部隊密度は上限がありますから、質的優位、これは機体以外の質と部隊の能力も含めて、これを確保出来なければ、目的は達成できません、量的優位上限と質的優位の無限、この部分を重視しますと、戦闘機以外の装備体系が重要となってくる。

 しかし、難しいのは平時においてこの限りではない事です、如何に国籍不明機が量的優位を発揮したとして、我が方は質的優位を達成しようとすれば空対空戦闘を展開し航空撃滅戦に持ち込むという構図は取れません、それこそ平時ではなく戦時の運用に他ならないからです。そして、平時の抑止力が破たんした場合に有事という戦時が現出しますので、平時の緊急発進体制を見資する事は出来ないのです。これは平時の抑止力と有事の戦力を両立しなければならない、ある種当然の命題ですが難しいもの。平時には戦闘機の量が重要ですが、有事には戦闘機の質と早期警戒管制機や空中給油機が重要となる、しかし予算は上限がある、この点から如何に平時の負担と有事の備えを両立するか、重要となってくるでしょう。

北大路機関:はるな
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練習艦隊舞鶴へ、くらま以下近海練習航海部隊が明日舞鶴基地へ入港

2015-04-18 14:12:00 | 海上自衛隊 催事
■くらま舞鶴基地へ
 海上自衛隊練習艦隊の公開予定では明日近海練習航海部隊が舞鶴へ入港します。

 ヘリコプター搭載護衛艦くらま、を旗艦として実施されている近海練習航海は、いずも型護衛艦二番艦の2017年就役により交代する護衛艦くらま、の全国を回る最後の機会とも位置付けられ、現在艦隊は当初発表によれば大湊基地を出港し日本海を舞鶴へ向け航行しています。

 神戸港に入港した護衛艦くらま、舞鶴では日本海沿岸の複雑な大自然の地形を背景に撮影することが出来、湾口から進んだ船の形を模した舞鶴親水公園や北海道小樽行のフェリーが発着する前島埠頭等撮影に適した場所が幾つかありますが、当方のおすすめは舞鶴基地に隣接する文庫山学園バス停付近の高台を一つ。

 文庫山学園バス停付近から撮影した護衛艦ひゅうが入港の様子、明日の練習艦隊入港時間は発表されていませんが舞鶴地方隊HPによれば明日の日曜日舞鶴基地一般公開は午前中は非公開で午後のみとの事ですから、午前中に入港し歓迎行事などを実施すると考えられるでしょう。

北大路機関:はるな
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平成二十七年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.04.18-19)

2015-04-17 23:39:46 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 春爛漫気概も今夜は初春冷え、少々寒すぎる日が続いたり露ではないかというほど雨天が続いたりですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。今週末からの行事は目白押し。
 
 第6師団創設記念神町駐屯地祭、今週末注目の自衛隊関連行事は東北地方南部の防衛警備及び災害派遣を担う第6師団の創設記念行事でしょう、第6師団は東北地方太平洋沖地震の消炎を担当した師団であり、加えて情報優位を担うC4ISR化実験師団でもある部隊、山形県東根市に司令部を置きます。

 幹部候補生学校創設記念前河原駐屯地祭、福岡県にある幹部候補生学校、陸上自衛隊の幹部自衛官を養成する士官学校としての役割を担い、防衛大学校や一般幹部候補生試験を経た幹部候補生へ教育を担います、各種装備の展示や候補生の気合いのこもった訓練展示などが有名なところ。

 弘前駐屯地祭、第39普通科連隊の駐屯する駐屯地で市街パレードなどや普通科部隊の近接戦闘訓練展示が有名、特に39連隊の上級部隊である第9師団は自衛隊で最後まで高機動車が配備されなかったことからトラックと64式小銃に106mm無反動砲の展示で知られました、現在は近代化改編を終えています。

 高田駐屯地祭、新潟県の上越市高田城址に置かれた駐屯地で日露戦争中の陸軍師団増設により創設された第13師団が置かれた高田、市内には師団司令部跡などが残されています、駐屯地には第2普通科連隊と第5施設群等が置かれており、第2普通科連隊は第12旅団の隷下部隊、近傍の関山演習場にて米海兵隊との空中機動訓練などを行い技術を高めている部隊です。

 板妻駐屯地祭、御殿場駅から少し離れた場所にあり、第1師団隷下の第34普通科連隊と第3陸曹教育隊が置かれている駐屯地で、東富士演習場が近い為駐屯地が狭い印象がありますが、中距離多目的誘導弾が初めて展示された駐屯地で、第1師団隷下の普通科連隊では演習環境がよく、野戦能力に長けた部隊として知られるとこと。

 松本駐屯地祭、我が国最強の山岳連隊と呼ばれる第13普通科連隊が駐屯しています、昨年はアメリカでの演習を終えて帰国途上に警備管区内にて戦後最大の犠牲者を出した火山災害である御嶽山噴火災害が発生、3000m級の高山部へ生存者救出と行方不明者捜索という危険な現場へ飛び込んだ雄姿は世界的に報じられ有名となりました。

久居駐屯地祭、近鉄久居駅からすぐに駐屯地の建物が見える好立地、三重県を防衛警備管区とする普通科連隊が駐屯していまして、2002年に中部方面隊管内で最初に軽装甲機動車を受領した普通科連隊としても知られます、スタンド席に一般席が多く確保されている事で知られ、訓練展示と観閲行進を高い位置から撮影可能です、グラウンドも広い。

信太山駐屯地、大阪府を防衛警備管区とする普通科連隊で、映画ガメラⅢに出演した部隊として有名、劇中そのままの営門が迎えます、式典会場は高台に囲まれた立地で訓練展示を俯瞰風景に収めることが出来るほか、関越行進を真正面の高い位置から撮影する事も出来ます。

霞目駐屯地、東北方面航空隊が駐屯する仙台市若林区の駐屯地で、ヘリコプター部隊の駐屯地として有名ですが東日本大震災では仙台市と宮城県沿岸部救援の最大航空拠点となったため、更に有名となりました。飛行場地区と駐屯地地区とに分かれていますが、飛行場地区は広大です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・4月19日:弘前駐屯地祭・・・
・4月19日:第6師団創設記念神町駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/
・4月19日:高田駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
・4月19日:板妻駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/1d/
・4月18日:松本駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
・4月19日:久居駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/
・4月19日:信太山駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/
・4月19日:幹部候補生学校創設記念前河原駐屯地祭・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/ocsh/
■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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T-14アルマータ、迷走のロシア新戦車開発は完成量産着手と従来戦車置換方針の報道

2015-04-16 23:58:21 | 先端軍事テクノロジー
■自衛隊戦車の新好敵手出現か
 T-14アルマータ新戦車は来月の対独戦勝記念パレードに一般公開されるとの報道がありましたが、その制式化と量産の一部報道があったとのこと。

 新戦車アルマータは迷走の末完成した新戦車です、従来旧ソ連が開発した戦車はT-72やT-80にT-90等、低い姿勢を重視し長砲身と自動装填装置を備える戦車でしたが、湾岸戦争においてその能力の限界が指摘され、レオパルド2やM-1,チャレンジャーやルクレルクに我が国90式戦車に対抗し得る新戦車として模索されてきました。

 ただ、長砲身の大口径砲を装備する超大型戦車として打撃力を重視する構想や、西側戦車の影響を受け大型砲塔を搭載し自由度を高めた設計、一時欧州との関係が良好な時代にはドイツの余剰戦車導入の一説が流れ、続いて対空戦闘能力を重視し機関砲を搭載する低姿勢の戦車等、迷走しました。その間、我が国はアクティヴ懸架装置の採用と自動装填装置の改良を行い、軽量で重装甲高機動を両立した10式戦車を開発したのは御承知の通り。

 以上、我が国が一貫して新戦車の開発を行い、他方で戦車定数の削減と弾道ミサイル防衛等新施策により戦車量産数が縮小しつつ量産可能な戦車を技術革新と共に開発してきましたのと対照的に、コンセプトの模索と五里霧中という状況にあったロシア戦車開発でしたが、戦勝記念行事への参加は完成を意味し、量産開始は技術的に制式化に見合う評価を得た事に他ならず、ようやく完成したこととなります。

 一方、T-14アルマータは対空戦闘用の機関砲の採用しヘリコプター脅威へ対処する構想が示されており、機関砲の操作要員や仮に戦車長が操作する場合の戦車長としての指揮と対空戦闘の実施は可能であるのかという点、他方車体部分の操縦区画に複数のペリスコープが見られることから車体銃手が復活し対空戦闘を担うと仮定した場合、増大する車内容積に見合う防御力を確保出来ているのかが、関心事となるところ。

 ともあれ、細部の情報は全くなく、現状は演習場や工場などで車体部分以外をカバーにて覆った新戦車と思われるものが写真としてWeb上に出ている程度ですので、砲身の詳細や仕様などについては全く未知数、その実態は対独戦勝記念行事に提示される事となります。第二次大戦終戦70年、その節目の年に出現するだろう新戦車は明らかに自衛隊戦車の脅威ともなりうることを意味し、関心を以て見守りましょう。

北大路機関:はるな
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スクランブル緊急発進943回、平成26年度対領空侵犯措置任務件数は自衛隊創設以来二番目の規模

2015-04-15 23:37:01 | 防衛・安全保障
■緊急発進、冷戦最高度に並ぶ
 防衛省は15日付の報道発表として平成26年度における対領空侵犯措置任務緊急発進の件数を発表し、自衛隊創設以来二番目の規模であったことが分かりました。

 緊急発進の件数は943件で冷戦期、新冷戦と共に緊張度が増大した1984年の944回に並び、31年ぶりに900回を超えました。緊急発進の対象は、ロシア機に対するものが473回の50%、中国機によるものが464回の49%、その他の航空機が1%という割合です。

 対領空侵犯措置任務は、我が国が航空管制などの責任をもつ飛行情報区に合わせて設定された防空識別圏内へ飛行計画を出さず飛行する航空機に対し識別と領空侵犯防止の任務を以て対応し、我が国では航空自衛隊が北海道の千歳、東北の三沢、首都圏の百里、本州中央部日本海沿岸の小松、九州北部の築城、九州南部の新田原、南西諸島沖縄の那覇に戦闘機部隊を展開させ、五分以内に緊急発進できる体制を24時間365日維持しています。

 943件、これはここ十年間の増大を見ますと異常な伸びとなっていまして、事実2004年の141件、2005年の229件、2006年の239件、2007年の307件、2008年の237件、2009年の299件、2010年の386件、2011年の425件、2012年の567件、2013年の810件、と爆発的なという表現が当てはまる水準で増大してきました。

 スクランブル、緊急発進は冷戦後大きく縮小したのですが、現状では航空祭の一般公開中に緊急発進命令が発動し、観衆の前を実弾を搭載した戦闘機が二機緊急発進する様子などが見られるようになり、中国方面から鹿児島県島嶼部への接近が異常増大した関係から、例えば那覇基地等は那覇空港から滑走路を見ていますと高い頻度で緊急発進が離陸する日に当たります。943件のうち、那覇基地だけで468回の緊急発進が行われていますので、当然といえるかもしれません。

 更に近年はロシア空軍機などロシア方面からの国籍不明機接近が増大しています、冷戦時代にはソ連からの航空機の接近が最も多く、北海道や東北方面の基地がその緊急発進の主力を担っていたのですが、冷戦後はロシアの経済混乱などからその頻度は大きく低下していました、しかし、ロシア軍の活動が活性化した関係から、この状況が現出したかたちに他ならないでしょう。

 最大の問題は、緊急発進の増大に対し、自衛隊の戦闘機定数が大きく削減されており対処に大きな負担が生じ訓練計画などに影響を及ぼしているところです。1984年に緊急発進が最高数を記録した当時の自衛隊戦闘機数は350機、更に有事の際に96機の超音速練習機が一部戦闘機に転用する態勢を構築していました、しかし現在の戦闘機定数は280機と70機も縮小しており、超音速練習機も全廃され残っていません。

 自衛隊の戦闘機定数が削減された背景は、冷戦終結後緊急発進の件数が大きく縮小したため、戦闘機定数を削減し予算規模を縮小した場合でも抑止力を維持できる、という観点に基づくものでした、実は民主党政権時代には260機まで縮小された戦闘機定数が自民党政権時代の防衛計画の大綱改訂に伴い20機増強された形ではあるのですが、それでも冷戦時代に比べれば70機縮小しています。

 緊急発進の増大に対し、戦闘機部隊の増勢が追いついていないのです。そして、防空識別圏内での国籍不明機飛行は民間機の飛行安全に責任を持つ飛行情報区の保全をそのまま喪失する事になりますので、多くの人命にかかわる重大事ですし、更にわが国土への防空の間隙を放置する事は周辺国がわが領域に対し武力を用いた主権に関する選択肢を選択させかねない危険も孕みます、この点へ政治は必要な施策を採る事が求められます。

北大路機関:はるな
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ミサイル艇の将来運用についての一考察1: 従来の限界論理を超える新運用体制

2015-04-14 22:55:12 | 防衛・安全保障
■ミサイル艇再検証
 ミサイル艇、艦対艦ミサイルを搭載し一撃離脱を以て大型水上戦闘艦に挑む沿岸防備の有力装備です。

 しかし、ミサイル艇については大型水上戦闘艦をも搭載するミサイルが命中すれば一発で無力化出来る、という謳い文句とは裏腹、命中すれば、という第一関門が非常に難易度が大きいことが実戦運用を経て指摘されました、まず高度なレーダーを搭載できませんしヘリコプターを搭載できませんので水平線以遠の索敵ができません、そして防空装備が艦砲と機関砲に携帯対空ミサイル程度ですので相手のミサイルが飛来したり対戦車ミサイル等を搭載する哨戒ヘリコプターに攻撃されたならば打つ手なしの逃げの一手です、最後にソナー等も基本的に搭載出来ない為潜水艦に対して何もできません。

 護衛艦など大型水上戦闘艦は敵水上戦闘艦艇を攻撃する際に射程100km以上を活かした目標情報を得る為に索敵を行い相手の位置を把握しなければなりません索敵は航空機を重視します、航空機は哨戒機や哨戒ヘリコプターで、現在新造される大型水上戦闘艦はほぼ航空機運用能力を持たないものはないほどです。防空能力や対潜能力も、水上戦闘艦には基本的に備えられるものですが、ミサイル艇には搭載する余裕と予算がありません、どうしても搭載すれば最低でも1500tを超えてしまい、それではミサイル艇ではなくコルベットかフリゲイトです。

 ミサイル艇の運用限界とは、外洋に出れない、基本的に沿岸部の海岸線に特に入江などに潜み敵航空攻撃に対しては秘匿か陸上の地対空ミサイルなどの防空の傘へ依存します、つまり敵の大型艦艇が接近した場合でも地形防御から離れることが出来ないのです。しかし、相手が沿岸に接近した場合や、相手が武装工作船や海賊船の場合は大きな威力を発揮できます。我が国は、ミサイル艇はやぶさ型を6隻建造して以降、これも当初は30隻程度整備される計画があったとされますが、上記運用の限界、更に陸上自衛隊が地対艦ミサイル連隊を6個整備したことから沿岸部での打撃力を整備する必要がなくなり、その建造は終了しました。

 一方で、今日の海上自衛隊艦艇運用を考えますと、ミサイル艇の活躍の場が再浮上しているように考えます。特にソマリア沖海賊対処任務へ、現在海上自衛隊は6000t前後の護衛艦を派遣していますが、海賊対処における任務は船団護衛と哨戒任務、これはかなりの部分でミサイル艇でも対応可能です。もちろん、ミサイル艇は通信能力が限られるため、ソマリア沖海賊対処任務は多国間任務となりデータリンクが重要となりますので過度に依存は出来ませんが、指揮中枢となる護衛艦を一隻として、この他の任務をミサイル艇に充てる事は出来、実現すれば現在護衛艦が2隻派遣されているところを1隻体制と半減させ対応させることができるでしょう。

 ミサイル艇は物資などの面で長期間の運用に限界があるのですがヘリコプターを用いてのバートレップ方式にて、水上戦闘艦より必要な物資を補給する事で一定程度の長期運用が可能となります。海賊対処に艦対艦ミサイルは不要、という指摘があるやもしれませんが、これを省いてしまいますと海賊以上の脅威への対処、島嶼部防衛等に支障が出てきますので、この点は慎重に見極める必要がありますが。

 ミサイル艇の防御力は、能力向上には限界があります、しかし、航空機運用能力については、無人機、手投げ式のものを感情から運用する場合や沿岸部を中心に運用する場合は陸上に簡易カタパルト投射式無人機を運用し情報収集に連携させることが出きるでしょう。防空能力については、近年OTOメララ社が76mm砲のレーダー誘導砲弾を開発していますので、多少改善の余地があるやもしれません、僚艦防空など夢のまた夢ですが、多少ミサイル艇が生き残りやすい状況は成立しつつあるところ。

 我が国のミサイル艇運用は、海賊対処任務の他に、例えば島嶼部防衛等に威力を発揮する余地があります。例えばレンジャー部隊の訓練輸送など、海上自衛隊では静粛性が高く小回りの利く掃海艇を多用していますがミサイル艇は速力とステルス性に優れています。また、揚陸艇等の直接掩護にも、特に陸上より火砲により反撃が想定される状況では大型護衛艦よりもミサイル艇の方が随伴しやすいでしょう、そして揚陸船団等の脅威に対しては、それこそ本来任務として沿岸部からの防御戦闘が可能となります。

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ロシア新戦車T-14アルマータ 対独戦勝70周年行事に先駆けその実態に迫る

2015-04-13 23:21:22 | 防衛・安全保障
■T-14アルマータvs自衛隊戦車
 ロシア戦車T-14アルマータ、大陸の戦車に関してはどうしても関心を寄せてしまう個人的事情があります。まだ、不明瞭な写真のみのT-14アルマータ戦車ですが、この点について少し。

 ロシア戦車への関心の背景、実は親戚の方で戦車11出身の方がいました。戦車11、我が帝国陸軍が終戦後千島列島に対するソ連軍の停戦協定違反の侵攻に際し、邦人退避支援を期し果敢に戦闘を展開した戦車第11連隊を示し、占守島ではソ連軍を一時的に撃退しています、祖父はソ満国境でソ連軍に武装解除され、ジュネーヴ条約違反の強制労働に従事されたれた話がありますので、どうしても大陸の戦車については関心を持たざるを得ない、ということ。

 果たしてT-14に自衛隊の戦車は対抗できるのか。T-80,T-90の後継に当たる新戦車で、旧ソ連戦車伝統の低姿勢重視から砲塔を大型化し、稜線射撃能力の向上と火器管制装置の高度化を目指すと共に、機関砲運用の遠隔操作銃搭を搭載し対空戦闘能力を相応に重視しているといわれるもの写真では砲塔は大型化しているが、特に砲塔部分が細長形状に変更されており、発射速度に問題があったT-72以来のカセトカ自動装填装置からの脱却が図られている可能性がある。

 興味深い点は車体前部のペリスコープ数で、操縦手用に加え少なくとももう一名程度分のペリスコープが確認できる、車体銃手用の位置に違いが車体銃そのものが確認できず、砲塔人員の一部が車体に移され砲塔の一部を自動化している可能性もある、ということ。自衛隊戦車は90式戦車以降、砲塔の脆弱性を自動装填装置の採用で、仮に貫徹された場合でもその区画を無人とすることで防御力に代えてきました。

 この部分は戦車生存性に大きな影響を与え、戦車は装甲防御力よりも、仮に貫徹された場合にその区画の乗員へ致命的影響があるかが戦闘能力を左右するもので、無人化の推進有無は砲塔防御力と関係してきます。カセトカ式の場合は、乗員区画と弾薬庫が一体化していましたので、貫徹即撃破となっていましたが、新装填装置が我が国90式やフランスのルクレルクと同様ものも、人員弾薬離隔方式を採用していた場合、生存性が大きく変化します。

 砲塔上部には遠隔操作銃搭と思われる突起が確認されるのですが、機関砲を搭載する対空戦闘システムという情報と一致するところ、ここはT-80以降ロシア戦車は主砲発射ミサイルに対空用が搭載されており、車長が対空照準器を操作している為、車長が遠隔操作銃搭を操作し対空戦闘を行うと共に索敵用と独立潜望鏡の機能を兼ねる方式が推測できるでしょう。

 更に砲塔上部には大型のアンテナ形状のものが確認でき、これは対戦車ミサイルを迎撃するアレナアクティヴ防護システムの搭載が見て取れるもの。一方、車体部分にはサイドスカートが確認でき、前部から中央に掛け側面装甲と思われる形状が確認できるが、車体取り付け基部の装着部が簡略なものであることから、複合装甲ではなく中空装甲である可能性が高い、車体後部には同区画がスラッド装甲により防護されている事からHEAT弾対処を念頭とする防御である推測を裏付けられます。

 もうひとつは、どの程度軽量化が為されており、我が国への脅威となるかという部分、そして車体後部機関部はT-80と比較し一見大型化しているが、区画全体は縮小しており、吸気系統の形状が上面からでなければ推測できない為、動力をガスタービンとしているかディーゼルとしているかは判別できません。この点は、五月に行われる対独戦勝記念行事において関越行進へ参加するでしょう戦車の公開を待ちたいところ。

 まだまだ、その実像については未知数な部分が多く、そしてソ連崩壊後のロシア戦車開発については二転三転した部分がある為、試作車か先行量産戦車かなど画定情報が無い為、何とも言えない実情があるのですが、来月には対独戦勝記念行事へ展開する公算が高く、久々のロシア新戦車へ、興味は尽きません。

北大路機関:はるな
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ドイツ連邦軍 ウクライナ危機受けNATO緊急展開部隊整備、用途廃止戦車100両を返納

2015-04-12 21:41:24 | 防衛・安全保障
■ドイツ軍戦車五割増強とロシア新戦車
 AFP通信によればドイツ連邦軍は用途廃止となったレオパルド2戦車100両を再配備する決定を行ったとのこと。

 ドイツ連邦軍の戦車は225両まで削減されています、陸上自衛隊の戦車定数が400両から300両に削減され、安全保障上の大きな命題として討議されていますが、ドイツ連邦軍の削減は更に進んでいます。我が国の場合は、海空防衛力強化と島嶼部防衛強化への転換ですが、ドイツは陸海空軍全てが縮小しているのです。

 冷戦時代末期にドイツ連邦軍はレオパルド2戦車2020両を主力として戦車5045両を配備していたのですが、冷戦終結と共に東欧諸国のNATO加盟等を経て安全保障環境が激変し大幅に削減していました。しかし、ウクライナ危機を受け、ドイツ軍は戦車を過度に縮小し危機に対応できない状況が生じ、急遽戦車を再整備する事となったのです。100両の増備といえば、かつての大量の戦車を運用したドイツ軍であれば単なる方針変更となりますが、現在の戦車225両体制のドイツ軍において100両の増強は戦車の五割増強に他なりません。

 今回再整備されるのは、レオパルド2A6戦車、レオパルド2は1979年に完成した第三世代戦車で、従来の打撃力に重点を置いた第二世代戦車から120mm滑腔砲と複合装甲に150hp級エンジンを採用し機動力と防護力を両立し第三世代戦車というものを定義づけた戦車なのですが、自衛隊の90式戦車や10式戦車と比較し、車体部分の基本設計は1970年代末の延長線上のものを近代化しているに過ぎません。

 この再整備される戦車はNATOがウクライナ危機を受け創設を決定したNATO緊急展開部隊に供出される戦車の主力となり、ドイツは戦車数を一旦328両に戻す方針であるほか、2017年に最新型のレオパルド2A7へ近代化改修する方針と報じられています。こうして整備する戦車により、NATO緊急展開部隊はNATO域内及び周辺地域での事態に対し、二日間で5000名規模の部隊を展開させる構想です。

 一方、ドイツがレオパルド2の近代化改修を進める中、ロシア国内において現在のT-80戦車およびT-90戦車に続く新戦車T-14アルマータとみられる画像がWeb上に投稿され、話題を呼んでいます。従来のT-72を原型とする改修戦車ではなく、新型車体とカバーが被せられた新砲塔が確認されました。

 日本が新型車両を冷戦後開発し続けていたところが、旧西側諸国では例外的に見られていましたが、中国とロシアなどは予算の枠内で同様の努力を続けており、T-14については仰角俯角に限界のあった低姿勢砲塔から大型砲塔へ、発射速度と信頼性に問題が多かったカセトカ自動装填装置も新砲塔で改められ、車体に多数のペリスコープが並び砲塔の自動化等が図られている可能性があります。

 T-14アルマータについては現時点で能力が全く未定であり五月の対独戦勝記念行事に初公開されるおのとみられますが、レオパルド2A7を328両整備するドイツ軍の対応能力もまた未知数であり、特に欧州全般が第三世代戦車の近代化改修以上の新戦車開発計画を行っておらず、将来戦車の模索は停滞したままです。この状況を見ますと、我が国からの10式戦車のNATO諸国への提案を行ってみるべきではないか、と考えさせられると共に、過度に削減した軍事力と有事への対応能力というものを十分認識し施策政策を画定しなければならない、と考えさせられるところです。

北大路機関:はるな
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インドネシア海軍、US-2救難飛行艇導入に関心 日本との防衛協力強化とともに

2015-04-11 23:34:46 | 防衛・安全保障
■島嶼部国家に必要な航空機
 インドへのUS-2輸出への調整が進む中、続いてインドネシア政府が関心を寄せているという話題、三週間ほど前の報道から。

 これはインドネシアのジョコ大統領が我が国読売新聞の取材に応じた際、日本インドネシア間の防衛覚書交換を前に示したもので、日本と同じインドネシアは島嶼部国家であることから、特に広大な海域において運用力が高いUS-2を念頭に関心を寄せている事を示したとのこと。

 インドネシアが日本との防衛協力を進める背景には、インドネシアと中国との間の島嶼部境界線問題があり、インドネシアの南シナ海における国連海洋法条約に依拠する排他的経済水域を中国が一方的に自国領域に含まれるとの主張を行っている為で、US-2導入の示唆に加え海上自衛隊との防衛協力を視野に入れているもようです。

 US-2については、非常に取得費用が高い航空機として知られていますが、競合する機種が存在しない事、戦闘機や哨戒機等がここ十年間で費用高騰が進む中US-2の調達費用は安定しているため、と利点はあり、加えてインド海軍が導入計画を進めている事からライセンス生産や量産機数の増大が費用低減につながる可能性があります。

北大路機関:はるな
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