北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十七年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.11.21/22)

2015-11-20 23:18:27 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
北海道では早速最初の雪が降り始めるとの予報の中皆様いかがお過ごしでしょうか。

今週末注目の行事は今津駐屯地祭、滋賀県高島市の高台から琵琶湖の湖北地方を一望する駐屯地には第3戦車大隊と第10戦車大隊の74式戦車が駐屯しています、加えて中部方面情報隊の移動監視隊と無人偵察機隊も駐屯、駐屯地の式典会場は広くはありませんが様々な工夫の展示を見る事が出来るでしょう。

土日は火砲の週末でもあります、久留米駐屯地祭、九州の久留米は第4特科連隊と第4高射特科大隊が駐屯している他、近くには陸上自衛隊幹部候補生学校が置かれています。特科連隊はFH-70榴弾砲30門を装備しており、高射特科大隊は93式近距離地対空誘導弾と81式地対空短距離誘導弾を装備しています。

豊川駐屯地祭、第10特科連隊と第10高射特科大隊に方面施設の第6施設群と方面混成団の第49普通科連隊が駐屯している愛知県の駐屯地です、こちらもグラウンドは広くありませんが、観閲行進は様々な角度から撮影でき、横に長い式典会場を一杯に訓練展示では軽装甲機動車に75式装甲ドーザと92式地雷原処理車、そしてFH-70が大活躍する様子が見られる。

別府駐屯地祭、第41普通科連隊が駐屯しています、先週の湯布院駐屯地祭と並び温泉の暖かい響きが感じられるような駐屯地の立地です。第41普通科連隊は第4師団の隷下部隊で、陸上自衛隊屈指の精鋭部隊とされる対馬警備隊は、もともとこの41連隊の分遣中隊から創設されました。

芦屋基地航空祭、芦屋基地は航空自衛隊ジェット機発祥の地で、航空自衛隊は戦闘機から輸送機まで多数のジェット機を装備していますが、最初の一機が離陸したのは、ここ芦屋基地からでした、航空教育集団隷下の第3術科学校と第13飛行教育団が展開しており、T-4練習機を運用しています。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・11月21日:豊川駐屯地創設65周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/butai/sta/toyokawa/
・11月22日:今津駐屯地創設63周年記念行事…www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/imadu/
・11月22日:芦屋基地航空祭2015…www.mod.go.jp/asdf/ashiya/
・11月22日:久留米駐屯地創設63周年記念…www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/kurume/main/index.html
・11月22日:別府駐屯地創設58周年記念…www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/beppu/top.html

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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航空防衛作戦部隊論(第二二回):航空防衛力、航空兵站支援の作戦輸送と業務輸送

2015-11-19 23:33:31 | 防衛・安全保障
■業務輸送と貨物輸送機
航空防衛力、航空兵站支援の作戦輸送と業務輸送の任務区分について今回は示すこととします。

航空自衛隊には南西諸島防空を筆頭とした本土防空任務を考える場合、戦闘機数については、これはF-15戦闘機がかなりの数保有されており、更に近代化改修も進められていますし、旧式化したF-4のF-35への置き換えも始まりますので、全体として課題ではありません、それ以上に確実に保有する戦闘機を稼働させることが課題となります。

そこで特に空輸能力の増強が大きな課題となる、これが前回までに提示した視点でした。有事の際、充分な輸送量という上限はありません第一空挺団など中央即応集団の隷下部隊は当然展開しますし、弾道ミサイル防衛に当たる高射隊の展開へ輸送機が支援に投入される事もあり、当然輸送機は取り合いの状況になりますので統合輸送調整が必要でしょう。

海上自衛隊も保有するC-130R輸送機では不足する可能性があるほか、艦隊への消耗品の空輸へパラシュートにより海上へ物資投下を行うという、措置も求められる可能性がある。そこで、輸送機を能力毎に任務を区分する必要があります、そういうのも、空輸任務とは必ずしも戦術輸送機だけで輸送しなくてはならない局面ばかりではありません。

業務輸送と作戦輸送の区分、これはどれだけ輸送機があったとしても輸送機が不足するのではないかとの危惧に対しての一つの回答に示すこととします。輸送機と云いますと、戦術輸送機としてC-130HやC-2に機動性で定評のあるC-1等が連装されますが、これらは作戦輸送に重点を置いた輸送機で、航空優勢を確実に保持していない競合空域への空輸も可能としています。

任務区分、作戦輸送は戦術輸送機を用いるもので、地対空ミサイルの脅威状況下での急降下による安全な着陸や、滑走路以外の地域への強行着陸を行う不整地運用、また編隊を詰めての経空脅威への対処を念頭とした戦術機動等、作戦輸送能力を有する輸送機、そして戦術輸送訓練を受けた現在の航空自衛隊の輸送能力水準はかなり高い部分にありますが、全ての輸送任務にここまでの能力が求められるわけではありません。

業務輸送は、A飛行場からB飛行場へ輸送するもので、貨物輸送機等でも対応する事が出来ますし、戦術輸送機を用いる場合でも戦術機動を行わない事で機体への負荷を軽減し整備費用の低減や時間当たり稼動率の向上、また、予備自衛官、とまでは行かずとも技量維持の要求水準が低くなりますので、飛行時間を多くとれない上級指揮官等の搭乗員でも運用可能となります。

基地から前線への拠点基地までの輸送を行う場合は戦術輸送となるでしょうが、拠点基地への後方地域からの移動と輸送は業務輸送能力で対応する事が出来ます、前線と後方の概念で見た場合の話ですが、積み替える手間はあるものの、高度な戦術輸送機を位置から十まで完結させる必要はありません、また、搭載能力は輸送機よりも旅客機転用の貨物輸送機の方が遥かに多くの貨物を搭載する事が出来、純粋に輸送力を考慮すれば評価が変わる。

これは旅客機の機体が旅客貨物輸送に特化した設計を採っている為で、例えばC-1輸送機とボーイング737があります、共にJT8Dエンジン双発機ですが、C-1輸送機の兵員輸送能力が単純比較として60名であるのに対しボーイング737-200は130名を輸送可能です。この二機種はエンジンが同じでも用途は全く違う、という反論があるでしょうが、C-1の輸送機としての傑出した能力を、業務輸送であれば必ずしも必要としない、ということ。

業務輸送と作戦輸送を区分する事で、例えば戦術輸送に適しないものの一定程度の飛行能力のある中古貨物輸送機の取得や定年要員再雇用と定年延長による操縦要員の確保が可能となります。例えば、ボーイング767貨物輸送型などは航空自衛隊のC-2輸送機やKC-767にE-767とエンジンが同型、後者二つについては原型機であるため整備面での共通性も高まります。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第三八回):装甲機動旅団編制案の概要 旅団飛行隊の小規模な編成案

2015-11-18 22:51:35 | 防衛・安全保障
■旅団飛行隊
装甲機動旅団編制案の概要について、ここまで長く掲載してきましたが、まず概要をふれたうえで今回の命題の議論としましょう。

装甲機動旅団、人員4900名、戦車41両・装甲戦闘車90両・特科火砲30門・MLRS16門を基幹とし、編成は以下の通り。旅団司令部、司令部付隊 、普通科連隊、普通科連隊、普通科連隊、戦車大隊、偵察隊、特科連隊、特殊武器防護隊、高射特科大隊、施設大隊、通信大隊 、飛行隊、後方支援隊、音楽隊、この編成案に沿って今回は飛行隊の編成案について提示します。

飛行隊は、旅団として一定水準の航空機を運用する、という範疇に留めます。航空機は必要ですが充分な規模を広範に配備する予算上の余裕はありませんので苦肉の策というもので、具体的には多用途ヘリコプターと観測ヘリコプターを若干数、もしくは観測ヘリコプター能力を多用途ヘリコプターに集約する新型機を7機から8機程度配置する、という水準です。

理想からは、OH-1観測ヘリコプターとUH-X多用途ヘリコプターを各5機から6機装備する事が望ましいのですが、特にOH-1は空対空戦闘能力がありますし、ミリ波レーダー運用試験を実施し情報伝送能力も能力近代化改修により付与される装備です、が、当初計画ではOH-1は250機が生産される計画であったものが、冷戦後の予算縮小と任務増大に伴う予算配分変化により大幅縮小となり、OH-1の大量配備は現実的ではありません。

現在の師団飛行隊の規模が多用途ヘリコプターと観測ヘリコプターを合わせて10機弱という水準ですから、師団を装甲機動旅団へ改編史、戦車や装甲戦闘車を集約し特に装甲戦闘車などは明らかに増強するという施策を提示した一方、ヘリコプターについては現状よりも若干縮小する、という案でして、これには後継機選定と航空機動旅団への集約という事情も含むもの。

装甲機動旅団は戦車と共に攻撃前進をするうえで戦闘ヘリコプターによる空地一体の支援は実際のところ不可欠です、現代戦は情報優位が戦闘優位に直結するものですから、空からの監視の目は絶対に必要であり、ミリ波レーダー等デジタル索敵手段を有する航空機により包囲突破迂回等各種攻撃機能を選定するに必要な情報の収集手段がなければ対応できないのです。

一方、高付加価値目標となってしまうため、これら航空機は自衛手段を具備する事が望まれますので、必然的に戦闘ヘリコプターが先頭に立って情報優位に資する協同行動を執る必要があるのです、が、戦闘ヘリコプターは取得費用が大きく、同時に装甲機動旅団と共に広域師団を構成するもう一つの旅団、航空機動旅団にも戦闘ヘリコプターが必要であることはいうまでもありません。

戦闘ヘリコプターが必要だ。しかし、航空機動旅団と装甲機動旅団がその編成上どちらかに戦闘ヘリコプターを必要としているかについての優先順位が必要になり、結果的に装甲機動旅団は戦車を情報優位に資する運用が可能で、併せて普通科連隊の軽装甲機動車中隊を情報優位への先遣部隊に対応させることができる一方、もう一つの航空機動旅団は装甲装備を多数装備できない編成上、航空機動旅団の方がより戦闘ヘリコプターが不可欠となる点が分かるでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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パリ同時多発テロ、伊勢志摩サミットと東京五輪を前に我が国テロ対策への視点

2015-11-17 23:40:54 | 国際・政治
■テロ対策 サミットと五輪
 パリ同時多発テロを受け伊勢志摩サミットと東京五輪を前に我が国のテロ対策は強化の方針が警察庁により示されました。

 ただし、近年のテロが重武装により実施される現状に鑑み、我が国法執行機関の準備体制を考える必要があるでしょう、例えば今回のパリ同時多発テロとともに今年一月のフランス新聞社襲撃事件ではAK-47突撃銃が使用されています、フランスは銃所持は可能ですがアメリカほどの武装への自由はありません、しかし軍用突撃銃が持ち込まれていた訳です。我が国でも九州と大阪で暴力団武器庫からRPG-26対戦車ロケットが押収されていますので、持ち込めない訳ではない実例を残しました。

この点で、例えば警察への現行の防爆警備車を補完する、一定以上の打撃を想定した装甲車両の特別車両機動隊や管区機動隊への配備が真剣に考えられるべきではないでしょうか、例えばアメリカではメキシコからの麻薬密輸組織との激しい抵抗に備えMRAPを中心に440両以上の装甲車両を装備しています。現行で警察へ装甲車両を拡充できないならば、街頭警備へ自衛隊の支援を受ける事は出来るのか、自衛隊法上の治安出動と防衛出動に至らない状況下での省庁間協力措置としての、海上警備行動命令の陸上版に当たる法整備を行う事は出来ないのかという視点も必要となります。

 一方で、制服警察官への重武装化という視点についてですが、こちらは不要と考えます、警察官は短銃を携行していますし、それよりは警察官職務執行法での拳銃使用要件緩和を受け、照準補助具やホルスターの向上に留意し、それ以上に個人用防護装備の強化と、FN303のような鎮圧銃とネットランチャーに代表される非致死性装備を強化し、即座に投射する事が出来る装備の拡充の方が課題として先でしょう。テロ対策として、今回のフランスでの同時多発テロを受け、短機関銃を携行する警察官やアメリカではカービン銃を携行する警察官の姿が報道映像に映りますが、制服警察官の職務と警備に当たる専門の警察官の違いに留意すべきです。しかし、その一方でわが国は、警察の警備能力を超える事案に対しても自衛隊の治安出動を行うまでの手続きは煩雑であり、事態発生の初期対応に即座に治安出動を掛ける事は現行法では難しく、初動で抑え込むだけの装備と能力が警察に求められる点は留意せねばなりません。

 しかし、機動隊銃器対策部隊については、相手がAK-47程度の装備を有し、立てこもりではなく射撃しつつ移動する、即ち市街地での近接戦闘を展開した場合に対応できる装備は必要と考えます、現在警察は特殊銃として2000丁以上のドイツ製H&K-MP-5Jを装備していますが、銃器対策部隊にはHK-416,M-4A1,89式小銃等を装備させる事で自動火器を携行し市街戦を展開するテロへの対処能力が求められます、この点で先ほど明示しました装甲車両の必要性ですが、テロリストの武装にRPGが含まれることがありますし、大型の手製爆弾から防護能力を有し、かつ執行能力を喪失しない車両が必要となるのです。もちろん、警視庁が空港警備用などに導入したF-7警備車を再生産し広範に配備するのであっても、かまいません。

 もう一つ、警察庁が重点支持したのがテロリストと武器の水際阻止で、空港と港湾からの入国等への対策です。ハイジャック防止のために重装備化が為され、関西国際空港などでは特型警備車なども稀に移動しているのを見かけますが、検査体制の強化と出入国管理機能を強化すると共に、万一の際には、空港と港湾を即座に閉鎖し入国阻止、そして後手の対応ではあっても抑止機能を期待する上で、事態発生後、逃亡阻止のための国境完全封鎖を、全空港と全港湾の閉鎖というかたちで実施する枠組みと法改正が必要でしょう。

 本論は、非常に強権的な施策を提示しましたが、伊勢志摩サミットと東京五輪が近づく中、世界から注目を集める行事は、暴力を手段として世界から注目を集めようと企図する集団へは標的となり得、これは我が国対外政策や防衛政策如何とは無関係に、世界から注目される行事、平和や繁栄の享受が目的であっても、標的となり得ます。また、テロ行動を世界規模で企図する集団にとり、国家と標的は、テロ支援国家という味方かその他の国か、として二元論で見た場合、我が国は後者に位置し標的となり得ます、その上で、攻撃する価値と攻撃する事で生じるリスクと実行の可否から標的を選定するという攻撃側の視点から見た場合、実行できない、若しくは実行しても成功しない国とテロ対策を行う必要があります。

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岐阜基地航空祭2015詳報【第十回】 岐阜飛行開発実験団、異機種大編隊飛行 続

2015-11-16 23:25:33 | 航空自衛隊 装備名鑑
■空往く技術が明日を拓く
岐阜飛行開発実験団、異機種大編隊飛行の様子を前回に引き続き。

快晴でよかった、空全体がエンジン音の振動を伝えまして大編隊がすすんでゆく、岐阜でしか見られない大編隊、そんな情景が上空に広がります、快晴なので、ですが、そして青空に映える様々な機種の航空機が鮮やかに蘇る写真をカメラに収める事が出来まして、これは順光環境となっています南側会場に展開してよかった、とも思う。

順光と逆光、これは知識で分かっていても実際に写真として仕上げてみますと、天と地の差というところを実感します、逆光とは太陽に向けてカメラを構えすものですが、逆光で撮るという事、つまり太陽と撮影者の間に被写体があるわけですから、被写体は背に太陽を向け、そして撮影者には影を見せる。

逆光で画面が暗くなる、とはそういう意味です。逆光はシルエットが美味く浮かび上がりますので、被写体が陸上のものでしたら、逆光を活かした構図はあります、しかし、航空機ですと逆光だと、先ず空の色が太陽の光に幻惑され、白くなってしまいます、快晴でも青空にならない、そして航空機は黒く、妙な写真になってしまうのでして、順光に拘る、とはそういうこと。

異機種大編隊、50周年の年に50の数字を描いたこともありました、今年の長方形の編隊飛行は、今回初めてのものでしょうか。南側会場に展開した訳ですけれども、ここは実は、過去にこの異機種大編隊の時だけ、薄雲が掛かったことがありました、逆光よりはいい環境で撮影できるのですが、雲の影に航空機が重なると青空を背景に黒い機体が浮かぶ。

快晴ですとその心配もありません、その残念な都市は、直前のブルーインパルス飛行展示の時は比較的晴れていたのに、異機種大編隊の時だけ雲様のご登場と相成りまして、それはそれは少々考えさせられることに、そんなわけで南側会場に展開して雲が出てくる時が気ではなくなるものですから、そういう意味でよかった。

そして、編隊飛行を終了しますと、これも何回航過するかは、予行に行かない限り分からないのですけれども、機種ごと、機種ごとに、つまり練習機、戦闘機、戦闘機、と編隊が一気に戦開始へ編隊を抜けてゆきまして、その瞬間に機動飛行では見られなかった編隊機動を行う瞬間が、ある。

着陸までの機動を機種ごとにみてゆくのですが、それがひと段落しますと南側会場の目の前を機体が誘導路に向けて機動してゆく様子を間近に見る事ができます、今年は若干航空祭の時期が早かった関係で芝生が青さを残していますし、管制塔とメイン会場を背景に着陸航空機がよくみえます。

滑走路と航空機、映画や専門誌写真ではおなじみの後継なのですが、航空祭で観ようとするとみられない飛行場が多いのです。岐阜基地もメイン会場では飛行展示の際に管制塔と航空機を収める事は出来なくはありませんが、構図を考えて着陸後の航空機と管制塔という写真アングルは南側会場だけ。

そして近くを航空機が通る訳ですので、しっかりと撮りたい、メイン会場の最前列付近は物凄い混雑ぶりだった訳ですから、メイン会場では撮影できなかったアングルをここぞとばかりに撮影します。背後ではそろそろメイン会場に向かうシャトルバスの最終便の時間が迫っているという事だけれども、それも気にならないほどに。

北大路機関:はるな くらま
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岐阜基地航空祭2015詳報【第九回】 岐阜飛行開発実験団、異機種大編隊飛行

2015-11-15 23:09:46 | 航空自衛隊 装備名鑑
■岐阜基地航空祭名物
 岐阜基地名物異機種大編隊、航空祭の盛り上がりが最高潮となる瞬間がいよいよです。

 岐阜基地名物異機種大編隊、飛行開発実験団だからこその多機種の編隊飛行、航空祭パンフレットの飛行展示予定の時間が後しばらく、ではあるものの近づいてくると、それまで地上展示機や売店露店へ足を運んでいた方々が撮影位置、最前列付近に戻ってきます、なるほど皆様分かっていますね。

 メイン会場での撮影を放棄して、午前中に南側会場まで展開したのは異機種大編隊を撮影するためです、機動飛行は迫力ですが、F-15の機動飛行は、千歳や百里や小松や新田原に築城と那覇で撮影できます、F-4の機動飛行も新田原や百里で撮れるでしょう、F-2の機動飛行だって三沢や築城、復興すれば松島でも撮影できる、しかし異種大編隊はここだけ。

 大編隊は、新田原ならばF-15にF-4とT-4が参加します、那覇ですとLR-2にT-4の編隊なんかも見れます、築城ですとF-15にF-2の大編隊が凄い、しかし、岐阜基地は、C-1とT-4にF-15とF-4にF-2が一つの大編隊を組むのですから、ここでしか見られません、昔はF-2参加前にT-33とT-2が参加してもっとすごかったそうですが。

 岐阜基地に足を運ぶのならば、異機種大編隊を中心に撮影する、午前中の飛行開発実験団編隊飛行もありますが、それよりも輸送機が参加する異機種大編隊を優先する、ブルーインパルスが参加する年度であっても、ブルーインパルスは他の航空祭でも見られます、その行動指針にも続き当方は計画を立てる。

 さて飛行展示の話題です、岐阜基地=最新鋭航空機、です、P-1哨戒機、C-2輸送機、ともに岐阜生まれです、格納庫にはXASM-3やAAM-5改もならぶほど。もっともF-4EJのような老兵も頑張っていますが、ほとんどはF-4EJ改に改修されていまして、無改造のF-4EJは岐阜に若干のこるのみ。

 C-2輸送機の飛行展示、岐阜基地航空祭で期待されていたものですが、今年度遂に実現しました、我が国が戦後国産下最大の航空機です、先日までA-400M輸送機が展開する美保基地へ試験展開していたC-2の岐阜基地航空祭飛行展示にも驚かされました、なによりも本当に大きい。

 国産最新輸送機として開発が進められ、微妙に遅れているC-2輸送機です、最初は川崎重工側にいましたC-2,動きました、昨年度地上滑走に終わってしまったC-2はT-4に随伴され、離陸、C-2輸送機の航空祭飛行は今回が初めて、日本でも初めてですしC-2輸送機も観衆の前で飛ぶのは初めて。

 第二回飛行展示、異機種大編隊も、編隊を組みなおす際に、他の機体が機動飛行をしまして、機動飛行がひと段落すると異機種大編隊が組み替えて再度飛行展示を行うという流れです。離陸から順番に編隊を組むために離陸するだけでもかなり時間がかかります、滑走路へ離陸する航空機が並ぶ様子も見える。

 どの航空機が離陸するかが大きな関心です、機種は決まっているだろう、といわれるかもしれないのですが、岐阜基地のF-2は実験機塗装ですので何号機が飛ぶのか関心がありますし、もう一つの大きな関心事は、ブラックファントム、つまりF-4記念塗装機が午後も飛ぶのかどうか、ということ。

 予行を、木曜日に行われたとの事ですが、平日に休みを問て岐阜基地まで展開された方ならば、何回にわけて、どのような編隊で飛行するのか、そして編隊がどのように機動してゆくのかがわかるのですけれども、さすがに木曜日総合予行日に一日時間を確保する事は、観艦式後ではできません。

 ちなみに航空祭予行は、業種によって日曜日に休みを取れない人たちの航空愛好家と日曜就業を両立する重要な一日でもありまして、平日基地撮影を頻繁に行えていたころ、ある方に予行だけでほぼ全国の航空祭を廻っているという話を聞き、非常に驚いたことがあります、本当にすごいや。

 二機編隊で離陸する機種、単機で続く機種、離陸から編隊に加わる機種もあれば機動飛行に挑む機種もあり、大編隊は基地から離れた可児市上空や犬山市上空から岐阜基地へ向かうあたりから望遠レンズ越にみえますので、機動飛行を撮影しつつ、編隊にももちろん気を配ってゆきます。

 カメラは広角へ、その昔、カメラはデジタル一眼レフ導入草創期で一台しかなく、18-55mmレンズと70-300mmレンズしかもっていなかった頃は大変でした、機動飛行を撮影するには望遠ズームが必要ですが、大編隊となれば広角でなければ編隊がフレームから出てしまいますから、レンズ交換のタイミングの見極めが難しい。

 注意したいのは、機動飛行を行っている瞬間にも大編隊はこちらに向かっているという事でして、そして岐阜基地の場合、大編隊はさっきしっかり撮影したから今回はいいや、という選択肢がないということ、編隊が遠方にてから完全に編隊を組みなおしますし、なによりもその年しか組まない編隊も含む。

 18-200mm、このレンズはEOS-40Dが発売されたころに導入しましたが、文字通り革命的なレンズでした、当初SIUMAの18-200mmを、続いてSIGMA18-200mmOSレンズを購入しました、こちらは昔からの親友に渡してしまいましたが、EF18-200mmISレンズは、機動飛行から広角まで一本で撮影できるもの、これを導入してから、大編隊の撮影にもレンズに迷いません。

北大路機関:はるな くらま
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パリ同時多発テロ、十三日の金曜日を襲った悲劇と我が国対テロ戦略への教訓

2015-11-14 23:48:20 | 国際・政治
■自衛隊のテロ対策任務
 最高度のテロ対策を実施していた場合でも危険は残る、日本時間の今朝、フランスの首都パリにて同時多発テロが発生しました。

 AFP通信によればバタクランコンサートホール、スタッド・ド・フランスサッカースタジアム、シャロン通りのレストランなどでイスラム過激派による襲撃と連続爆破事件が発生、少なくとも六ヶ所が爆破されました。オランド大統領はフランス全土に非常事態宣言を布告し全国境を閉鎖しました。

 バタクランコンサートホールではアメリカのロックミュージシャンによるコンサートへ1500名の観客が集うところへAK-47突撃銃を携行した数名のテロリストが侵入し無差別発砲を繰り返し人質を取りました、ここでの犠牲者は120名を越え、三時間後にフランス特殊部隊が突入し、犯人全員を射殺、一部の実行犯は自爆したと報じられています。

 スタッド・ド・フランスサッカースタジアムではドイツとフランスの代表親善試合が行われており、オランド大統領も観戦中であったほかスタジアムへは8万名もの観客がサッカー試合を観戦しており、この出入り口付近で少なくとも三箇所へ自爆攻撃が加えられました、大統領は無事でカスヌール内相とともに内務省非常対策本部へ移動、指揮に当たっています。

 オランド大統領は日本時間今夜の記者会見でISILの犯行であると声明をだし、厳しい対応を執る事と国民へ団結を呼びかけました、しかし我が国としては非常に考えさせられるテロ事件となりました、こういうのも、フランスは今年1月7日のイスラム風刺画シャルリーエブド襲撃事件以来最高度のテロ対策を継続しており、パリ警視庁と内務省に加え陸軍の一部も街頭警備に当たっています。

 フランス国内の警備体制は今月末に開始される国連気候変動枠組み条約UNFCCC第21回締約国会議COP21が開催されるのを前に、更に高度な水準となっていたとされ、特にCOP21はフランス国内では1958年の世界人権宣言採択に続く規模の会議となる為、実のところ、その状態のフランスがテロの標的となるのか、と危機感を強く感じました。

 我が国でテロと云いますと、地下鉄サリン事件を筆頭とする一連のカルト教団オウム真理教連続テロ事件とともに2013年1月16日に発生したアルジェリアガスプラント襲撃事件のように、国外で邦人が巻き込まれるという印象が強く、日本国内ではテロ対策強化中の張り紙と監視カメラ以上の目に見える対策は行われていません。

 国内での大規模なテロの可能性ですが、我が国は専守防衛を国是として、非軍事分野での人道支援と後方支援に重点を置くほか、世界の知識人の間では極東のスイスの如く理解されており、標的とはなりにくい条件は備えているのですが、人道支援とともに、少なくともテロ支援国家ではない事は確かです。

 テロ組織からは敵か味方かという二元論から、少なくとも味方ではないとの認識を受け易く、対岸の火事とは言い切れないところ。また、来年には我が国でも伊勢志摩サミットが控えている事から、警備力はどれだけ整備したとしても十分とは言い切れません。もっとも、警察の警備能力は、1995年のオウム真理教連続テロ事件と2000年日韓ワールドカップ警備へかなり強化され、9.11同時多発テロ以降も更に強化されました。

 警備能力の強化度合い、また共同訓練と機動隊銃器対策部隊の重武装化や、警備部のSATの全国への配置とともに、都道府県警ごとのSIT等銃器犯罪に対処する捜査班の装備強化、機動隊への防爆警備車の配備、NBC防護装備の充実を見ますと、能力的にはかなり高い水準にあるとは考えるのですが、一方であの警備強化中のフランスでのテロ事件には、充分と言い切れる水準であっても起こり得る、と衝撃を受けたのです。

 そこで、特に必要と考える状況にあっては、フランスでの1月のテロ事件発生後における陸軍部隊の街頭警備任務のように、必要な場合においては自衛隊による重要施設警備、自衛隊の重要施設警備能力は、1998年の北朝鮮日本海不審船事案を受け任務に加えられると共に近接戦闘に重点を置いた閉所戦闘能力整備として、訓練にも取り入れられていますので、警察による警備力の能力を冷静に計算し、必要はあるかを検証すべきでしょう。

 また、原子力施設警備や重要空港警備等に、航空機等を用いての攻撃などの危険性がある場合、警察の装備では航空機への防護に限界がありますので、そうした状況が想定される場合には、例えば北朝鮮弾道ミサイル事案におけるミサイル破壊措置命令発令の実例に倣い、高射特科部隊の展開を重要施設防護へ検討すべきかもしれない。

 ただ、我が国における楽観要素としては、日本国内において重火器を持込みテロを計画するには、国境警備の度合い、島国という特性があるとともに、相当な協力者が無ければ武器を蓄積し計画を推進する事は難しい、また、日本国内には大規模なテロ計画を実行する要員の潜伏を支援する基盤を構築できる人種区分や社会の多極化が成り立っていない点が挙げられます。

 こうした部分を踏まえたうえで、警察の警備能力に限界が考えられる際には、過去に実例が無い為、批判を受ける可能性はあったとしても、警備のための自衛隊治安出動という任務は、警察力の警備力強化を質的量的に一朝一夕に増強できないという現実に鑑み、十分検討すべきでしょう。

 その上で、テロ対策における警備支援は現行法で自衛隊が出動するには、自衛隊法上の治安出動か防衛出動となるのですが、治安出動では予防的な警備という本質以上に社会へ与える影響が大きい可能性があります、また、治安出動命令は警察力の限界があった場合の出動となりますので、予防的に行使できるかについては議論の余地があるでしょう、その為、治安出動と省庁間協力の中間あたりに、予防的な警備措置任務を可能とする自衛隊法の一部改正が必要といえるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十七年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2015.11.14/15)

2015-11-13 23:34:00 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 十三日の金曜日、そろそろ肌寒くなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 今週末も様々な行事が行われますが、最大の注目行事は横須賀小原台の防衛大学校開港記念行事でしょう。土曜日と日曜日に行われ、土曜日には訓練展示1130時から1200時にかけ実施、記念式典と観閲行進が1100時から1200時、落下傘降下展示が1400時から行われます、この他は大学の学際と同じく一般公開がおこなわれる。

 湯布院駐屯地祭、冬に入ると湯布院の名だけで温泉に浸りたくなる今日この頃ですが、湯布院は温泉の街であると共に、西部方面特科隊隊本部と本部中隊に第302観測中隊、203mm自走榴弾砲を装備する第112特科大隊とMLRSを装備する第132特科大隊が駐屯する九州最大の大砲の街でもあります。

 陸上自衛隊施設学校創設記念祭、勝田駐屯地祭が行われます。施設科職種の幹部教育及び戦術研究と新装備評価を担う部隊で隷下には施設教導隊が各種施設装備を有しています。将来的にCBRN対応遠隔操縦作業車両システムが配備される部隊ともいわれ、工兵と云えば最前線の困難に挑み後方段列と部隊を結ぶ補給路維持と現代戦に不可欠の部隊、各種装備に注目したいところです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・11月15日:施設学校創設64周年記念・勝田駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/station/ea/katsuta.html
・11月14・15日:第63回防衛大学校開校祭…http://www.mod.go.jp/nda/
・11月15日:西部方面特科隊創設13周年・湯布院駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/yufuin/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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防衛装備庁技術シンポジウム2015 我が国防衛に関する最先端研究成果の一般公開

2015-11-12 23:49:02 | 先端軍事テクノロジー
■防衛装備庁技術シンポジウム2015
防衛装備庁技術シンポジウム2015が昨日まで二日間行われました。

防衛省技術研究本部は、防衛装備庁に改編を受け、シンポジウムの名称も改まりました。今回最も注目したのは軽量戦闘システムです。軽量戦闘システムは主として仮想空間上に実現可能性を見極める装備で、火砲部と車体部分及び走行時の射撃振動の計測を行う段階まで進められているとのこと。コンセプトと運用構想は火砲型と耐爆型に分け検証され、全体の概略を作って細分化してゆく、そして軽量コンパクトながら火力機動力防護力を持つ機動性の高い車両を考えるとの視座に基づき数値計算と実際の設計製造に資するものを併せシステムとして実現性を確認する、とのことです。

もう一つの注目、コンパクト護衛艦の次に当たる水上戦闘艦艇といわれる三胴船についても大きく示され、日本側は主要な任務を機雷対処と哨戒に置き、基準排水量1400t程度でヘリコプター一機をもつ設計とし、更にミッションベイをヘリ格納庫の下に収容する構想としました。この船体構造は排水量に対し上部構造物を広くとれる点で、仮に基準排水量を1160tとして、あきづき型想定殿格納庫を確保できる、とのことでした。またミッションベイは700平方mの区画を持ち、やえやま型になかった多目的区画として、UAV12,UV2,UUV36機いずれかを格納可能となると、その意義を強調しました。

CBRN遠隔操縦システムは、CBRN汚染地域において情報収集と初動を自己完結型により遠隔操縦により対応するもので、安全地域に指揮統制装置、汚染地域に中継ユニットと遠隔操縦車両を展開させ、衛星と無線通信装置で結び情報収集や施設機材を作業させる、センサーと作業装置を必要に応じ取り替えることで様々な作業に対応する、マミピュレータを搭載し作業を行うため自己完結能力を持つ、とのこと。23年度からはじまり25年度に中継機、26年度に遠隔操縦装置と指揮統制装置、今年まで性能確認試験を実行しているとのこと。シンポジウム後に、この装備は危険な地域での作業を無人化するとのことだけれども、将来的に危険な最前線での先遣と情報収集に資する技術蓄積とはなり得るのか、との当方の質問に、その要素は一応ありえる、と。

このほか、政策的部分について、防衛技術協力について防衛装備品国際共同開発に対しての製作が紹介されました。まず政策的背景として、国家安全保障戦略として25年12月閣議決定がなされ、装備技術協力を通じて積極的平和主義の実現を期して進められるという点が触れられました。また、共同開発平和協力での海外移転に関する原則を明示し、その上に防衛産業基盤維持を目指すと共に防衛技術戦略基盤で政府と民間が協力と支援策を検討するとの防衛省の指針をもっているとのことです。これら施策は防衛装備移転三原則に基づき、装備品の重要度や影響度を慎重に検証し、政府間決定や談話などを経て決定するものと、輸出に関する関係省庁間の協議により可否を明確化するものと分けられ、安易な輸出にならないよう厳重に管理される、というものでした。

また、JAXA航空研究の紹介がおこなわれまして、JAXAは宇宙開発が事業内容として有名だが、航空技術部門があり、なかでも超音速航空機と高高度無人機を扱っている、とし、防衛省とも協力を行っている、という講演がありました。JAXAが挑むのは高高度滞空型無人機、国土安全保障任務に加えて通信中継や台風観測などにも資するというものを想定していて、基本性能要求で高度は16.5km以上を150ノット以上で飛行する基本要求性能、72時間の監視活動が出来るものを目指しているもので、この性能は、滞空時間として日本国土とEEZを常時監視できる能力から算出したものと説明されています。RQ-4よりも滞空時間を長くする、この視点の下で開発は進められているとのこと。

防衛装備庁技術シンポジウムはこのように、我が国防衛に関する最先端研究成果の一般公開としまして自由に聴講する事が出来、またさまざまな装備品研究を時際に開発する当事者の方から解説をきき、質疑応答に臨むことができるという非常に貴重な機会でして二日間は非常に有意義なものでした。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第二一回):航空防衛力、戦闘基盤を支える空輸能力

2015-11-11 12:34:56 | 防衛・安全保障
■戦闘基盤を支える空輸能力
戦闘機の分散運用、これには作戦輸送と業務輸送の区分が必要となる。

航空部隊の分散運用と弾道ミサイル及び巡航ミサイル攻撃による基地機能喪失からの基地機能回復には、空輸による作戦能力の維持が必要となります、従って自衛隊は戦闘機数を維持する程度で増勢せずとも航空優勢確保は可能である水準とは考えるのですが、輸送機部隊と空中給油輸送機部隊等については幾つかの理由から現在の水準で充分とは言い切れません。

現在の航空自衛隊輸送機はC-1輸送機26機、C-130輸送機15機、KC-767空中給油輸送機4機、B-747特別輸送機2機、となっています、C-1輸送機は最大搭載量が少ない点からC-130よりも一段小型の輸送機と考えられがちですが、C-1は飛行速度を大きくすることで時間当たりの輸送量を増強させる一種新幹線的発想に依拠する設計思想に則り開発された機体で、実のところ作戦輸送能力は低くは無く、自衛隊の空輸力は一応高いものです。

しかし、自衛隊の任務として南西諸島での航空優勢確保への航空部隊分散運用を念頭に必要輸送量を想定しますと、残念ながら自衛隊の現状の空輸能力では根本的に不足するものがあります、F-15戦闘機を筆頭に航空自衛隊の装備は戦闘行動半径と長射程誘導弾運用能力を高く有する反面、その分多くの後方支援を要します、これはF-15が米空軍において運用される状況下では問題となりませんが、自衛隊の場合はこの限りではない。

南西諸島防空を考える場合、まず、冷戦期の北海道のような分散運用を行う場合、例えば千歳基地の他に北海道には函館空港や帯広空港に旭川空港と釧路空港がある他、札幌の丘珠空港は陸上自衛隊が運用していますし、八雲分屯基地のように緊急時に代用滑走路として運用できる施設がありました、那覇空港のほかに沖縄県には多くの空港がある事はこれまでに幾度も示しましたが、基本的に離島であり、陸路での輸送が基本的にできません。

島嶼部の空港を防空作戦の上からは活用せざるを得ない、北海道であれば地上支援設備や弾薬と燃料などを車両により補助飛行場を迅速に開設することが出来るのでしょうが、離島の場合は沖縄本島に様に補給設備と資材を蓄積しておかなければ対応できない、すると空輸か海上輸送により支えるほかないのですが、このためには輸送機か輸送用船舶を確保しなければなりません、結果、現在の水準では輸送機が不足するのです。

輸送機は増勢されます、C-1輸送機が新型のC-2輸送機へ代替される事で、空輸能力は最大8tの搭載能力から37tの搭載能力と大幅に増勢されることになりますし、空輸能力を持つKC-767空中給油輸送機も増勢される計画ですので、全体の空輸能力の拡大はそれなりに大きなものとなります、特にC-2輸送機はA-400M大型輸送機と並び、C-17に準じる空輸能力を持ちますので、C-1を完全に置き換えた場合の空輸能力は世界有数の規模となる。

しかし、必要となる空輸能力は更に上となりますし、航空自衛隊の作戦輸送に加えて、南西諸島は陸上自衛隊の駐留も多くは無い為、航空自衛隊の輸送機には陸上自衛隊の支援任務が加わり、更に弾道ミサイル防衛部隊の空輸、南西諸島有事の場合には国民保護のための陸海空統合任務部隊としての沖縄救援隊が編成され、こちらの輸送支援も求められるでしょう、すると、作戦輸送部隊と業務輸送部隊を明確に分ける必要が出てくるでしょう。


北大路機関:はるな くらま
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