北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【土曜詳報】アメリカ空軍嘉手納基地(3)日本全土に全在外米軍基地2.5%(2011.12.12)

2019-04-20 20:08:33 | 在日米軍
■在外米軍5460カ所中130カ所
 在日米軍の再編とは2005年、つまりこのWeblog北大路機関創設当時に大きな政府間論点となっていました、あの時代在外米軍5460カ所中130カ所が日本に在った訳です。

 在日米軍基地、アメリカ軍は世界に5460カ所の在外基地を有していますが、この中で在日米軍基地や共用施設は130カ所、世界の在日米軍基地と共用施設の2.5%が日本へ集中しています。共用施設には北海道や静岡県の演習場等も含まれます。これは多いか少ないか。

 基地施設として航空基地や艦艇基地と補給施設や駐屯地等は日本国内に約90カ所、この中でも実に36カ所が沖縄県へ集中しています。実に四割という米軍基地が沖縄県への負担となっている構図ですね。沖縄県が重視の背景は台湾海峡と朝鮮半島に近くロシアから遠い。

 冷戦時代には在日米軍施設は同盟国日本をソ連から防衛する重要な任務を有していました。別にアメリカに守られなくとも第二次大戦前は日本が独力で護っていたのですから、NATO規模の師団を12個、旧海軍三分の一程度、二十分の一程度戦闘機数の艦艇がれば事足りた。

 日本独自防衛論に依拠すれば、日本が本気で防衛力を整備するならば独自防衛は不可能ではないのです。こう表現しますと是非、と応じる方も居ますが、旧海軍の戦艦12隻、主要空母18隻、巡洋艦40隻、駆逐艦150隻、この三分の一でも再整備する事は非常に難しい。

 戦闘機も零式艦戦と一式戦だけで15000機も保有していました、紫電局戦や三式戦等で更に5000機、雷電局戦や鍾馗に疾風、単純に言えばその二十分の一であっても航空自衛隊戦闘機数の二十倍以上だ。師団数は何とかなりそうに見えますが、日欧師団定員は3倍違う。

 食料自給率、一番わかりやすいのはこの視点でしょうか、日本は食料とエネルギーを輸入に頼っています。農水省が過去に食料自給率をカレーライスに例えていますが、国内で香辛料が生産できない厳しい点を指摘していました。日本だけで生きてゆく事ができません。

 周辺地域の安定、要するに日本国土の海岸線で敵を防ぐのではなく、周辺地域の安定、海洋交通が確実に維持され、海洋交通の自由と交易の自由が維持されて初めて、国が成り立つ。つまり必要に応じて周辺地域で武力紛争が起きないよう、介入してこれが実現する。

 不安定の弧、現在の在日米軍は冷戦所政情不安と大規模紛争の潜在的懸念地域にテロ支援国家が集約されている、北東アジア地域から中央アジア中東地域と北アフリカ地域、昨今はここに中部アフリカ地域とアフリカ東岸地域が含まれますが、此処に近いという意味が。

 不安定の弧、その東端に位置するのが沖縄本島と日本本土の米軍基地、となります。この地域で懸念すべき事態が発生しますと、日本はシーレーンを寸断され、数十万数百万の難民流入や紛争の日本波及という状況も懸念しなければなりません、これは回避したいもの。

 軍事力の任務は抑止力である、と言われるのですが、在日米軍は抑止が目的です。朝鮮半島で北朝鮮は限定核を使用すればソウル北部の韓国軍主力を一蹴でき南北統一は即座に成る。台湾海峡でも中国が最大限の戦力と投射するならば台湾武力統一も不可能では、ない。

 在韓米軍がソウル北方の議政府に駐屯している限り、限定核の使用は有り得ない。何故ならば米軍へ核兵器を使用するならば、平壌を含む主要目標に対し核の報復が有り得、その能力と即応性を米軍が維持している為です。これこそが朝鮮半島安定の要諦、ということ。

 在沖米軍が緊急展開能力を維持している限り、台湾海峡を中国軍が越える事はリスクを伴う、アメリカ市民救出へ台北等の主要都市へ展開する為に中国軍は米軍との戦闘を想定する必要がある、ここで米軍へ損害が生じた場合には環太平洋地域の米軍が即座に集結する体制が、大きな抑止力となっているのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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平成三一年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2019.04.20-04.21)

2019-04-19 20:07:57 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 平成の御世もいよいよ残りあと僅かとなってまいりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の自衛隊関連行事紹介です。

 第8師団創設記念行事北熊本駐屯地祭、南九州と鹿児島県島嶼部を防衛警備管区とする第8師団の創設記念行事です。第8師団は精兵そろう南九州の地において、昨年の改編により即応機動師団となり、第42即応機動連隊を隷下におくとともに、10式戦車を運用する西部方面戦車隊の配属などを受ける優秀装備を揃え、第7師団、第2師団に続く精鋭師団です。土曜日実施です。

 第8師団は、また鹿児島県島嶼部を防衛警備管区とすることから全国の師団飛行隊では唯一航続距離が長く全天候運用が可能なUH-60JA多用途ヘリコプターを運用しています。北熊本駐屯地は広大、駐屯地正門から式典会場まで師団司令部前を経て非常に広く、記念行事では16式機動戦闘車や96式装輪装甲車と共に大規模な訓練展示が期待出来るでしょう。

 八戸駐屯地創設記念行事、東北地方でもっとも多様な部隊が駐屯している駐屯地の一つです。航空部隊として東北方面航空隊第2対戦車ヘリコプター隊と第9師団隷下の第9飛行隊、また東北方面特科隊第4地対艦ミサイル連隊、第101高射特科隊、第9師団隷下の第9施設大隊と第9後方支援連隊、東北方面混成団第38普通科連隊一部中隊などが駐屯する。

 弘前駐屯地創設記念行事、第9師団隷下の第39普通科連隊と第9偵察隊が駐屯しています。師団司令部の置かれる青森駐屯地は交通量の多い青森市内に所在しますが、弘前駐屯地は市街地中心部から2kmほど離れていまして、地元理解とあわせ74式戦車を含む市街パレードなども実施できる立地です。なお、本年は観閲行進を駐屯地内にて実施するとのこと。

 郡山駐屯地創設記念行事、東北方面特科連隊と第6特科連隊、第6高射特科大隊の駐屯する福島県の駐屯地です。特科連隊は即応機動師団改編後も一部が第22即応機動連隊火力支援中隊へ移管するも維持されました。第6師団へは多賀城第22普通科連隊の第22即応機動連隊への改編に伴い16式機動戦闘車配備されており、これらの参加も期待できましょう。

 久居駐屯地創設記念行事、三重県津市の近鉄久居駅に隣接する第33普通科連隊の駐屯地です。本当に駅前に駐屯地があり、交通は便利です。第33普通科連隊は第10師団隷下の普通科連隊ですが、ここ久居は、歩兵第三十三連隊本営蹟に駐屯する全国でも希有な郷土部隊であり、中部方面隊では最初に軽装甲機動車を受領した機械化運用に長けた連隊の一つ。

 信太山駐屯地創設記念行事、第37普通科連隊が駐屯しています、大阪府を防衛警備管区とする大阪府唯一の普通科連隊です。昨年度は訓練中の場外着弾という残念なことがありましたが、南海トラフ巨大地震への警戒が高まる中、津波懸念の海岸線から距離もある駐屯地にて、防衛警備にあわせ災害派遣任務にも大きな能力が期待されている普通科連隊です。

 松本駐屯地創設記念行事、信州長野県を防衛警備管区として受け持つ第12旅団隷下の第13普通科連隊が駐屯しています。アルプス連隊や、最近は山猿連隊とも呼ばれている部隊ですが、日本アルプスを警備管区とし、山岳連隊の名高い陸軍歩兵第五〇連隊の伝統を受け継ぐ。偶然ですが先週の松本が五分咲き、ちょうど松本は桜満開の季節と重なりました。

 高田駐屯地創設記念行事。第12旅団隷下の第2普通科連隊が駐屯しています。第12旅団は第12師団時代よりソ連軍の新潟着上陸と関越道沿いに東京へ侵攻されることをもっとも警戒しており、新潟県には現在も2個普通科連隊を置いています。平時には北朝鮮工作船浸透事案もあり、その懸念が杞憂でない事を示す、現代の最前線の一つといえましょう。

 さて撮影の話題を。スマートフォン、これが一つあれば大概の撮影が可能、という事で、この中のカメラ性能の向上が結果的にコンパクトデジタルカメラの価格高騰を招いているという話題を前回紹介しましたが、スマートフォン撮影用マウントという、シャッターやファインダーを容易に撮影するための様々な支援器具が発売されていまして、その多種多様は驚かされます。

 かなり大袈裟なマウントを見ますと、其処まで無理をしてでもスマートフォンで撮影する意味はあるのかなあ、と使わない身の上、正直に思っていたのですが、撮影機能が優れているのは主として画像処理機能の方であり、レンズは当然限界があると共に操作性では、想ったものを想い撮りに撮影する事が当然の一眼レフとは別物、と聞くようになりました。

 カメラとは、と哲学的な視点ではありませんが、写真を製造する機会というだけでは無く写真を通じて世界観を第三者に伝える為の危惧という部分の方が重点として大きいのかな、と思います。その上で、使い勝手は撮影の時機を左右しますし、コンパクト機種高騰はこの点でカメラへの入り口を高性能化の代償に狭めているようにみえます。少し残念ですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・4月21日:弘前駐屯地創立51周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/hirosaki/hirosaki/
・4月21日:八戸駐屯地創設63周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/9d/
・4月21日:郡山駐屯地66周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/unit_hp/koriyama_hp/index.html
・4月21日:高田駐屯地創設69周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
・4月20日:松本駐屯地創設69周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
・4月21日:久居駐屯地創設667周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/10d/butai/sta/hisai/
・4月21日:信太山駐屯地創立62周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/shinodayama/
・4月20日:第8師団創設57周年記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/wae/8d/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【G3X撮影速報】第12旅団祭/相馬原駐屯地創設60周年祭.桜榛名と雪赤城(2019-04-13)

2019-04-18 20:09:11 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■空中機動旅団の訓練展示
 一眼レフ7Dを支援するCANONのコンパクトデジタルカメラG3Xにて撮影の速報記事、後篇は訓練展示の様子を紹介しましょう。

 空中機動旅団、一時代を象徴する世界陸軍が競って新編していた、一種の趨勢でした。冷戦後世界中で多発した地域紛争をどう沈静化させるか、その回答が緊急展開により地域紛争の拡大を未然に阻止する、エアモービルの速度の威力を最大限活かした編成です。

 自衛隊第12旅団はもちろん、イギリス第16空中機動旅団にオランダ第11空中機動旅団、ドイツ第1空中機動旅団にフランス第4航空機動旅団、イタリアフリウーリ航空騎兵旅団にポーランド第25空中機動旅団、各国編成を一時期興味を持って調べたことがありました。

 世界中の陸軍が空中機動旅団を、といえば語弊がありますが、少なくとも経済的にヘリコプターをそろえられる陸軍が編成したものです。なにしろヘリコプターは非常に高価、第12ヘリコプター隊よりも輸送ヘリの少ない陸軍も広い世界には実は多数派であるのですね。

 しかし、イギリス第16空中機動旅団は現役ですが、世界中の空中機動旅団は2010年代後半に入りますと次々解体されてゆきます、オランダ第11空中機動旅団はAH-64Dを大規模削減し実質ヘリコプターを持っている軽歩兵旅団に、フランスに至っては廃止しています。

 ドイツは特殊作戦部隊に組み込まれ空挺部隊にヘリコプターを加えて特殊部隊を支援する特殊部隊予備軍となり、ポーランド軍は予算不足で肝心の強襲ヘリコプター取得計画が宙に浮いている。ある意味、空中機動旅団の時代は変容の結節点を迎えているといえます。

 アフガニスタンとイラク、空中機動旅団の位置づけを変容させたのはNATO諸国が立ち向かった、この二つの戦争があるように思う。既に緊急展開がもとめられる状況でなく、悪化している地域に空中機動部隊を投入する際に必要な作戦能力です。此処に問題が生じる。

 NATO諸国を例に挙げますと、緊急展開部隊の花形として空中機動旅団を編成した事例が多く、つまり一つの部隊がヘリボーンによるエアモービルに熟達した状況を醸成していたのですね。するとローテーションが組めない状況が生じます、つまりどういう事でしょう。

 緊急展開部隊としてのヘリボーン部隊はアフガニスタンのような長期戦には、交代の部隊がない、本来緊急展開部隊は初動の火消しを求められ、後詰めは機甲部隊が担う構想でした。しかし、アフガニスタンとイラクは違いました。空中機動旅団も後詰に投入される。

 戦闘ヘリコプターの死活的重要性、これも逆にこの種の機体を、自衛隊の第12旅団は持っていませんが、NATOでは集約した事が裏目にでました。PAH-2でもAH-64Dでもマングスタでも良いのですが、この種の機体はすべての部隊が必要としている。この点について。

 空中機動部隊にすべてを集約することの限界が突きつけられた、ということでしょうか。この点、フランス軍等はヘリコプターを陸軍航空司令部に集約し隷下にヘリコプター連隊を多数置き、必要に応じて第一線部隊へ展開させています。イギリスも概ね近い運用です。

 落下傘旅団と軽機甲旅団、フランス軍はこれらの部隊にヘリコプター連隊を加入、適宜組み合わせることで、例えば2013年のマリ軍事介入サーバル作戦では、すっごーい成果を発揮しています。少なくとも連隊ごとに、部隊運用面でのローテーションは組めるのですね。

 空中機動旅団を単一部隊として編成する場合、緊急展開以外の任務に使いにくく、しかも緊急展開以外の任務でも必要なヘリコプターを一つの部隊が独占する弊害が生まれるという。故に、予算で難しくとも複数の部隊を空中機動部隊として、維持する運用が望ましい。

 ヘリコプターで忘れてはならないのは、空中搬送は人員や装備だけでなく、後方連絡線の維持に空中搬送が可能なのですね、装輪車主体の部隊ならば燃料と弾薬を空中搬送することで攻撃衝力を維持させることも十分可能です。空輸補給とする分、機動力を高められる。

 CH-47輸送ヘリコプターを自衛隊は幸い55機と非常に多数を有しています、第1ヘリコプター団に集約されているが8機編成の飛行隊を6個置き、更に教育所要の予備機を置くことが可能です。5個方面隊に稼働状態の飛行隊各1個分遣隊を出すことが、可能なのですね。

 航空集団、陸上自衛隊は、手遅れになる前に航空集団を編成した方が良いように思います。第12ヘリコプター隊型の輸送ヘリコプターと多用途ヘリコプターからなるヘリコプター連隊、出来ればここに数機でも戦闘ヘリコプターを組み込む。理想の編成はこうでしょうか。

 第12旅団は改編当時、非常に軽装備の旅団でしたが、現在では全国の師団と旅団、北海道だけは除きますが、本州九州四国の師団と旅団は順次第12旅団なみに軽装備となってゆきます。すると、ヘリコプター隊配備による機動力の付与というものの重要性が出てきます。

 ヘリコプター隊の支援は遍くすべての旅団、例外はあるでしょうが、必要とするように考えるのです。もっとも、この発想突き詰めると、結構長く掲載が中断している此処の特集"広域師団構想”の"航空機動旅団”と"装甲機動旅団”に行き着くのは我が発想力の乏しさ。

 空中機動、自衛隊の場合は第12旅団を第12師団から改編する際に、報道では先走りすぎ、輸送ヘリコプターや多用途ヘリコプターを各30機程度配備する、という予測が、もう20年ほど前ですか、乱れ飛びました。もちろんそんな大所帯の編成などは実現していません。

 第1ヘリコプター団と第12旅団を統合運用でもしなければ実現しない案ですが、NATO諸国が1990年代に試した空中機動旅団はこの方式に近く、日本が実施した場合、旅団以外へのヘリコプター不足から早々に運用は転換されていたでしょう。現状で良かったでしょう。

 中央即応集団、陸上総隊発足とともに解体されましたが、第1ヘリコプター団と第1空挺団に中央即応連隊を集約していた、当時の編成は、ある意味、野砲を装備する特科部隊はありませんでしたが、その本質の面では、空中機動旅団に近い編成だったかもしれません。

 第12旅団の場合、当初考えられた全国への機動展開という運用、言い換えれば現在の"統合機動防衛力”概念を先行する試み、これは深読みしすぎたものであり、実際には警備隊区である日本アルプス山岳地帯での戦車運用の難しさを空中機動に置き換えたかたちです。

 旅団の編成は成功であったと思う、惜しむべくは、もう数機づつ各機種をそろえる必要と、若干でもヘリコプター隊本部に戦闘ヘリコプターを配備する事でしょうか。ほかには空中機動力を想定し、海兵隊のグラウラー軽機動車のような空中起動用車両が必要でした、か。

 山岳戦を考えるならばヘリコプターでも空輸できるBV-206のような全地形車両も少数でも配備するべきでしたし、ヘリコプターに補給を依存する前提で軽装甲機動車などは騎兵連隊のように一つの普通科連隊へ全部を集約するという選択肢もあったのかもしれません。

 即応機動連隊が将来的に第12旅団へも配備される、これは防衛大綱に機動運用部隊として第12旅団が含まれたことで明示されています。戦車を省く将来部隊の在り方、ヘリコプターをどう活用するか、第12旅団の先駆けとしての存在を、今後も注目して行きたいですね。

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【京都発幕間旅情】三嶋大社,源頼朝所縁の伊豆国一宮は東海道から伊豆諸島火山神鎮めを願う

2019-04-17 20:09:54 | 旅行記
■伊豆総社,満開の桜と共に参拝
 日本の東西大動脈東海道新幹線三島駅、そして東海道本線と伊豆箱根鉄道の拠点駅でもありますが、この街は駅前から風情ある公園や歴史が広がり、一つ散策してみたくなった。

 三嶋大社、静岡県三島市に鎮座します社殿は伊豆国一宮であり伊豆国総社、旧社格では官幣大社に列せられ現在は神社本庁別表神社という、三島市を代表する社殿です。丁度桜が満開の季節に参拝の機会を得まして、一つ花弁舞うその参道を本殿へ歩みを進めました。

 境内には池がありまして、その先に厳島神社の境内社が。神社の源氏との所縁を考えますと平家との所縁深い厳島神社の境内社というものには少しだけ不思議な印象を受けなくもありませんが、長い年月と共にその情景は一種調和と和解の印象を受けなくもありません。

 三島市、新幹線三島駅では意外と利用する駅です。こう言いますのも、東富士演習場に富士駐屯地と駒門駐屯地に滝ヶ原駐屯地や板妻駐屯地、富士地区の自衛隊行事から最寄りの新幹線駅が、此処三島駅なのですね。ただ、この三島市、新幹線の乗換だけでは勿体ない。

 伊豆箱根鉄道三島田町駅へ、三嶋大社最寄駅は特急踊り子号も停車する三島田町駅から市役所方向へ歩みを進めて直ぐです。伊豆箱根鉄道と云えばラブライブサンシャイン電車、とは最近の事でして、その名の通り、三島市に伊豆国一宮が置かれる所縁が見出せます。

 ガメラ-大怪獣空中決戦、1995年の映画では“富士は遠いですか?”と三島駅前タクシー乗り場にて藤谷文子演じるヒロインの草薙浅黄さんが松尾貴史演じるタクシーの運転手に聞き、遠いけどさ、と返ってきますが、実はビジネスマン中心に富士から新幹線三島駅へ移動する人は多い。

 大山祇命と積羽八重事代主神を祀る三嶋大社、歴史は実に古い。その創建の頃は定かではないというのですが新抄格勅符抄という地誌歴書によれば天平宝字年間の758年には日照りと渇水への神事を行った記録があり、8世紀頃にはこの地に崇敬を集めていたという。

 伊豆諸島、伊豆半島から続く火山諸島は古代より盛んな噴火を続け今日に至ります。この島々の噴火は古くから火山神信仰へと繋がり、一説に伊豆諸島そのものを御島神と崇敬した事が、三島と地名へ繋がったともいわれます。三嶋大社はその神の怒りを収める願いが。

 満開の桜、というものは春を代表する風景ですが、なにしろ桜の季節は僅かに数日間、満開を経て散ってしまいます。それだけに毎年を大事に散策しませんと、なにしろ一生というものは長いようで短い、一日一日を大切に生きねば、と怠惰を戒めるような風情をもつ。

 本殿と幣殿と拝殿連なる権現造複合社殿は寛永年間徳川家光造営時から繋がる。下田市白浜に最初期の社殿は在ったと伝わり、すると伊豆諸島の神々を祀るとの意味が分かります。歴史書吾妻鏡によれば治承年間の1180年には現在の三島市に遷座していたといいまして。

 源頼朝、三嶋大社が大きく歴史に進んだのは武家政権発祥の英雄との縁です。源平合戦の緒戦を前に家臣安達盛長に対し三嶋社へ奉幣を命じ、この所縁を以て伊豆北条氏と盟約を結びました。戦勝を受け頼朝は御園に河原谷と長崎の神領を寄進、社殿を大きく広めます。

 鶴岡八幡宮、源頼朝の鎌倉幕府と云えば鎌倉を代表する社殿を思い浮かべます。しかし、この三嶋大社も鎌倉幕府将軍は代々参詣を慣習とし歴史舞台となります。三嶋大社と鎌倉幕府の関係、それは当方が富士地区自衛隊行事道中に新幹線三島駅を利用するのと重なる。

 鎌倉幕府は堅固な地形に守られた立地です。この地は史実は勿論、シン-ゴジラででかいのが上陸した以外創作でも安全な地形、鎌倉へは東海道を峻険な箱根越えを経て至ったのですね。その箱根路の入口に三嶋大社は在り、多くの武将も箱根越えに先立ち、この神社を参拝しました。

 南北朝時代、鎌倉末期から室町時代に至る騒乱の時代となりますと、この三嶋大社は源頼朝源平合戦緒戦の戦勝祈願地として戦勝祈願の聖地となり、さらに多くの武将の崇敬を集めます。応仁の乱時代には戦火を避け、しかし大社、転機と災厄は戦国時代に訪れる事に。

 甲相駿三国同盟により安泰と思われたこの地は三国同盟崩壊と共に後北条氏と武田氏の騒乱に巻き込まれ、社殿は度々破壊されました。後北条氏によりその都度復興するも鎌倉期の社殿はこの時点でほぼ破壊されつくしたという。ただ、江戸時代は幕府の保護を受ける。

 徳川家光が大規模に拡張した社殿は五重塔や護摩堂と経蔵を連ねる壮大なものでしたが、しかし、安政東海地震や関東大震災に北伊豆地震により度々破壊されており、その都度復興しました。権現造複合社殿は重要文化財、多く災厄越え今日も伊豆の為に祈っています。

 三嶋大社から三島駅は、実は徒歩にして十分少々の立地にあります。伊豆箱根鉄道で、と息の道程を記載しましたが、これは参道正面へ向かうもの。もう一つは伊豆箱根鉄道の電車を撮りたかった事もありますが、帰路は本殿裏そのまま三島駅まで徒歩で直帰しました。

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汎用軽機動車(カワサキモータースジャパン製)調達,水陸機動団V-22オスプレイ用特殊車両か

2019-04-16 20:02:05 | 防衛・安全保障
■日本版ポラリスMRZR導入か?
 防衛省は新たに汎用軽機動車という新型装備の取得を開始するようです。詳細は不明ですが従来装備されてこなかった空中機動用の新型特殊車両の可能性があります。

 汎用軽機動車と呼ばれる新装備がカワサキモータースジャパンへ防衛省より発注されました。一般競争入札により選定されたもので、防衛装備庁調達事業部公示によれば陸上自衛隊相浦駐屯地、水陸機動団司令部の置かれる相浦へ納入されるとの事です。汎用軽機動車、その詳細は不明ですが名称から空中機動や水陸機動に際しての小型車両と考えられます。

 水陸機動団へ装備される可能性がほぼ確定している新装備は、考えられるのは空中機動用の、特に陸上自衛隊が新たに導入するMV-22可動翼機へ搭載可能な車両です。現在の自衛隊装備では偵察オートバイ以外、MV-22に搭載できる車両がありません。M-1牽引車、つまりリヤカーをオートバイで牽引する以外、輸送手段が無い状況への処方箋が考えられる。

 1/2tトラック、陸上自衛隊には旧称73式小型トラックという三菱自動車製パジェロを原型とした、従来の所謂ジープ系車両を置き換えた汎用車輌が既に多数調達されており、指揮官連絡から情報収集に各種火器の輸送や標定装置等の母機、果ては日常の巡回や軽輸送まで非常に多用途に運用されています。では汎用軽機動車とはどういったものなのでしょう。

 高機動車はCH-47JA輸送ヘリコプターの機内へ搭載可能ですし、UH-60JA多用途ヘリコプターでは吊下空輸が可能となっています。ただ、吊下げ空輸では航続距離や巡航速度などに大きな制約が加わるのです。だからこそ、UH-1JやUH-60JAが参加する展示演習や訓練展示では偵察オートバイをヘリコプター機内へ搭載し、空輸展開を展示するのですね。

 カワサキモータースジャパンではTERYXというクワッドバイクを大型化した、誤解を恐れずに表現するならばかつて米軍が鳴り物入りで日米合同演習に持ち込んだ軽攻撃車両FAVのようなバギー型の軽車両を更に安定化させたような小型オフロード車を発売しています。1/2tトラックよりも小型で長距離機動には安定性等で不向きですが、不整地踏破力は高い。

 グロウラーITVという、アメリカ海兵隊には同種の小型車両があります。これは海兵隊が従来のCH-46輸送ヘリコプター後継として大量配備しているMV-22可動翼機が貨物室収容最大幅が1.5mと非常に限られたものであり、MV-22に収容するには従来の海兵隊車輌は、一線を退いた一見小型のM-151ケネディジープも含め搭載出来なかった為の装備です。

 M-1161ITV-LSV,M-1163ITV-PM,グロウラーITVは斥候強襲用のM-1161と自衛隊も採用しているフランス製120mm重迫撃砲の牽引型であるM-1163が採用されました。重量は2.058t、自衛隊の1/2tトラックが1.9tで若干重いのですが車幅は26cm狭く、この装備により“空中機動,ヘリを降りればただの人”という降着展開後徒歩機動から解放されました。

 ポラリスMRZR,アメリカ陸軍では特殊作戦車輌としてカワサキTERYXと非常によく似た車両を調達しています。これは車幅が1.5m程度でMV-22への搭載を念頭とした特殊部隊用車両です。元々ポラリス社は山間部林業や狩猟用の車両開発で実績があり、日本では軽トラックを多用しますが、林道さえ未整備の米本土で不整地突破能力が求められたかたち。

 水陸機動団と空中機動、一見その任務は第12旅団や第1空挺団の任務ではないか、と思われるかもしれません。しかし、アメリカ海兵隊のMEU海兵遠征群に所属する海兵大隊が一個中隊を空中機動に充て、一個中隊をAAV-7両用強襲車による上陸、一個中隊を複合高速艇CRRCによる強襲に充てている様に、水陸両用作戦と空中機動作戦は不可分というもの。

 エアクッション揚陸艇LCAC等から戦車や装甲車を揚陸させる情景が上陸作戦の代名詞的な存在ではあるのですが、もし海岸線に敵の無反動砲が一門でも生き残っているならば、貴重なLCACさえ一発で大破しかねませんし、上陸作業中に敵戦車が1個小隊でも殴り込まれれば、勿論艦砲その他で撃破は出来ましょうが、それまでの瞬間損耗は計り知れない。

 上陸作戦に際し最大の懸念は海岸堡確立前の浮動している状況で敵に内陸から逆襲される事です。空中機動部隊は兎に角内陸から海岸線への接近経路を数時間から十数時間確保し持久し、海岸堡確立を支えます。対戦車ミサイルや迫撃砲を海岸線への接近経路へ展開させる事で、敵の戦車部隊が上陸後の準備を進める海岸線が脅かされる事だけは回避できる。

 この為にアメリカ海兵隊はMV-22やCH-53を沖縄に配備し、自衛隊も空中機動用の車両が必要となった。汎用軽機動車はその為の装備でしょう。具体的には、MV-22等に搭載し海岸線から10km圏内の斥候任務に充てる他、対戦車火器や60mm迫撃砲の機動運用に充てる事が考えられ、水陸両用作戦の他、邦人救出任務等にも空港警備へ寄与するでしょう。

 邦人救出任務、政府は自衛隊が導入予定のMV-22可動翼機17機のうち数機を特殊作戦用のCV-22へ調達を変更し、在外邦人救出任務へ充てることなどを計画しています。この場合も、敵対勢力などが邦人救出への妨害を行う最悪の事態が発生した場合、着陸している輸送機は地上攻撃に対し脆弱です、この為に空港施設外縁の警戒を行う用途が考えられる。

 汎用軽機動車がカワサキTERYXであるかは未知数ですが、この種の車両は水陸機動団の他、特殊作戦群や空中機動旅団である第12旅団や緊急展開部隊である第1空挺団、また邦人救出任務に充てられる中央即応連隊に必要ですし、普通科連隊などの本部管理中隊施設作業小隊等に若干でも配備されるならば、様々な用途に活躍しましょう。広範な装備化を期待したいですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】第12旅団祭/相馬原駐屯地創設60周年祭,桜榛名と雪赤城(2019-04-13)

2019-04-15 20:01:51 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■第12旅団祭は桜満開の雪景色
 北関東信越地方を警備管区とする第12旅団は今年度創設18周年を迎え相馬原駐屯地は60周年を迎えました。速報として一眼レフの前にコンパクト機種G3Xの写真をお送りします。

 相馬原駐屯地祭、行って参りました。群馬県、日常生活ではなかなか行くことがない北関東です。今年は榛名山に雪が降ったとかで、いや毎年降るのですが四月の雪は稀有だ、という。やってきました高崎、同時に思ったことは一つ、寒い。榛名山に雪積もっている。

 第12旅団司令部の置かれる群馬県榛東村、群馬県は北関東なのだから気温の天気予報くらい見ておくべき、という友人の諫言ですが、日本海側の舞鶴で大丈夫な上着だったので上州の寒さを甘く見ていた、というところでしょうか。しかし寒さは現実問題として重要だ。

 高崎市、幸いこの群馬の街は駅前にタカシマヤからイオンまで並ぶ盛況ぶりでして、新幹線のおかげでなんとか2100時前に到着できた高崎、最初に購入したのは上着でした。格好いい、いいお値段もの、観光地に行くだけでお金を落とさない、と今回だけはいわせない。

 自衛隊行事、上着を羽織翌朝前進、年々混雑しているところですが、富士学校筆頭に、ここまで見学者が長蛇の列を形成する、という状況は自衛隊広報はどのように受け止めているのか、京都のオーバーツーリズムのような状況が再現されないか、ちょっと気になる。

 榛東村、要するに榛名山の東にある村です。自衛隊の師団と旅団は数多くとも、司令部を村に置いているのは第12旅団だけ、神町の第6師団は町に置いていそうですが、あれば東根市にある神町という地名です。そして榛東村は師団旅団司令部屈指の交通難所でも、と。

 榛名山の山麓というよりは中腹に位置する駐屯地、高崎駅からは日曜日の場合午前中に一本しかバスが運行されていません、0815時に発車します。すると相馬原自衛隊前のバス停に到着するのはどう頑張っても0900時を過ぎるという。しかも相馬原は会場まで更に遠い。

 高崎駅前で、と頼み込んだ結果、友人がピックアップしてくれるといい、バス移動から解放される。これ幸いと時間を相談しますが、0730とか0700時を提案すると先方無言に、結果0600時に出発と相成りまして、早すぎるのでは、と危惧したのですが、杞憂でした。

 空中機動旅団の名高い第12旅団、さすがといいますがこの行事を撮影する皆様の機動力も速い、というか早い。なんと0700時頃には立派な行列が相馬原飛行場前に完成していたのでした。友人とちがいまして、当方は昔の行事を知るだけに、まだ昨今の混雑に慣れない。

 北関東信越地方の防衛警備を担う旅団の行事とあり、手荷物検査は厳重を極めまして、なんといいますか、一人一人の検査に時間を要していまして、早めに並んだつもりなのですが、入場まで時間を要しました。バスだったらこの二時間後に到着します、どうなったか。

 桜は満開、というところでした。実は第12旅団記念行事、桜の開花時期と重なり航空機が飛行できる天候で部隊改編等の過多ではない行事の年度、十年間に何度もあるわけではないのですよね。今年はその貴重な一年となりました。良い写真撮れそう、との直感は当る。

 赤城山を望む相馬原飛行場、思うに榛名山の中腹という飛行場は気流の関係上、榛名おろしが直撃します、飛行場の環境としてどうなのだろう、と思うのですが、それ以上に友人が気づくのはアプローチコースの周りも峻険地形、飛行場として難易度が高すぎる、と。

 空中機動旅団、さてこの旅団の特色ですが、戦車大隊を廃止する分、ヘリコプター隊、連隊相当の航空部隊を置くことで普通科連隊の機動力を強化させる、という編成です。だいたい、輸送ヘリコプターと多用途ヘリコプターが10機くらい、ある自衛隊特異な編成だ。

 自衛隊は数多の改編を経て、戦車が相当減っていまして、驚く無かれ、北大路機関が創設された当時の戦車定数は900両でした。それでも減ったといわれた時代、現在の戦車定数は300両です。第12旅団は新しい時代の自衛隊をめざし改編されたとの歴史があります。

 戦車が自衛隊で最初に廃止された師団改編、こうして誕生したのが第12旅団です。つまり、通常の師団行事では戦車が観閲行進の殿をつとめますが、この旅団では違います。しかしそれ以上に違う点が、今回の行事、個人的違いで恐縮ですが、当方の撮影機材が違います。

 EOS-7D、CANONが誇る世界最高のAPS-C一眼レフカメラです。当方愛用はmark2のほうですが。最高性能、撮りたい写真を具現化するための最良の機種ですが、唯一難点が、急展開する展示や式典の展開に対し、二つの被写体を同時に撮影できない、という。うん。

 一眼レフでズームの写真を撮影しつつ、1型センサーを持つ比較的まともな写真を仕上げるコンパクト機種をサブカメラとして三脚上に配置し、レリーズを使って二台同時に操作し望遠も広角も撮影する、これが上記難題への処方箋です。一寸器用さが求められますが。

 G7Xmark2やEOS-KissX7に前は使えないEOS-M3と使いたいものの後継機に恵まれないG-16を駆使していました。EOS-M3は希代の屑カメラでこれを商品化したCANONの良識を問いたい、EOS-KissX-7は使い勝手良さ凄いが二台同時に使用するには若干大きい。

 G3X,新装備です。24-600mmの高倍率ズームを主題としたCANONのコンパクトデジタルカメラです。その大きさはズームレンズ装着のミラーレス一眼を上回り、取得費用も下手な一眼レフよりも高価格となっています、が、一つだけ非常に重要な利点がありました。

 G-16を多用していたのはレリーズ、つまりリモートシャッターを使えるのですね。G7XはG-16の後継機種なのですがレリーズが使えなくなっている。ただG3Xは使えたのですね。もっともG3X発売当初大きすぎますし高すぎ、という印象でした。これを再評価し調達へ。

 相馬原駐屯地では、EOS-7DとG3Xの同時撮影、という方式で写真を撮影しています。EOS-7DのCFカードはPCに取り込んで掲載画像を吟味しますが、コンパクト機種のSDカードはそのままPCに挿入して画像を紹介できる、原始的ですがこれが一番手っ取り早い。

 空中機動旅団、それでは先週の駒門駐屯地では何故G3Xの写真はそれほど多用しなかったのか、ととわれますと、混雑していましたし、そして三脚以外の予備の機材、並列座を持って行くのを忘れていたためです。カメラを二台並べ取り付ける棒のような便利器材です。

 自衛隊行事は年々混雑しますので、三脚上に支援カメラ、という撮影手法が実行できないことも多々あります。そのために並列座を購入していたのですが、同時撮影という手法を昨今多用しない、レリーズが使えない為に、という事で駒門へ持って行くのを忘れていた。

 G3X,重い機種ですので使い手を選ぶ、とは聞いていましたが、当方は逆にカメラの設計者が想定した使い手だったのでしょうか、かなり混雑していましたが、こうした写真を仕上げることが出来ました。もちろん一眼レフを操作しつつです。G7Xは装備品展示で活躍へ。

 空中機動旅団ですので、訓練展示も旅団の能力を再現した内容となりましたが、今まで望遠能力の低いコンパクト機種は訓練展示での活躍は限られていました、しかしG3Xズーム性能、違う。変な使い方をする当方には良いカメラです。その様子は次回紹介しましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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F-2スナイパーポッド試験開始!AN/AQQ-33搭載でレーザー誘導爆弾命中&超低空侵攻実現

2019-04-14 20:05:53 | 先端軍事テクノロジー
■F-2戦闘機AN/AQQ-33搭載
 AN/AQQ-33スナイパーポッドの自衛隊機搭載運用試験がいよいよ開始されました。最新装備の搭載、その様子を紹介しましょう。

 スナイパーポッド、AN/AQQ-33照準装置、F-2戦闘機に搭載される航空自衛隊の新装備です。AN/AQQ-14ランターンシステムという目標指示装置の後継としてロッキードマーティンにより開発されたもので、低高度飛行やレーザー誘導爆弾照準装置として運用される。

 F-2戦闘機のエアインテイク部分基部に装着されている長い筒状の装置は外装式であり、鋭く尖った先端部は硬度の高いサファイアガラスで覆われ、その奥に複合光学装置が内蔵されています。視野は非常に広く光学装置として画像を操縦席やデータリンクで確認可能だ。

 スナイパーポッドはF-16戦闘機用に開発されたものです、F-2に搭載されているのはこれもF-16の一種だから、ではなく高い汎用性から多くの機種に採用されたためで、航空自衛隊は2013年に採用を決定しました。自衛隊のレーザーJDAM導入が本装備導入の契機です。

 F-2戦闘機は二機が岐阜基地滑走路地区等の上空と基地から一定程度離隔した空域繰り返し旋回飛行を実施していました。距離がありますので不鮮明ですが、推測ですが2機のF-2戦闘機が目標指示などに冠し相互情報共有の試験飛行を実施している可能性があります。

 レーザーJDAMとは、GPS精密誘導爆弾のレーザー誘導併用型です。これにより移動目標等へも的確に精密誘導が可能となった。この導入とともにその照準装置が必要となりました。航空自衛隊では三菱電気製J/AAQ-2前方赤外線監視装置が既に装備されています。

 J/AAQ-2は航空目標識別や対地目標識別に威力を発揮し、特に夜間低高度飛行に重要な能力を発揮します。ただ、J/AAQ-2が完成した2007年当時、航空自衛隊にはレーザー誘導爆弾の取得計画は具体化されておらず、目標指示装置としての性能は有していませんでした。

 AN/AQQ-33の選定は2013年、他の候補にイスラエルのラファエル社製AN/AAQ-28ライトニング目標指示装置があり、選定の結果、アメリカ製AN/AQQ-33へ決定しています。実任務への投入実績が多々あるほか、実物は岩国で2009年に米軍が一般公開しています。

 その特色はFLIRとしての機能に加えレーザー目標追跡装置とレーザー測量装置を有しており、従来のような目標への持続的照射を自動化するとともに測量装置により捕捉した目標のGPS座標を標定する機能を有しており、JDAM目標情報入力なども可能となっている。

 空対空用にも対応できるという。ロッキードマーティン社によれば排熱等の赤外線を探知するIRSTとして空対空目標の捕捉も可能であるとしています。ビデオデータリンク能力も有しているため、目標画像をリアルタイムで部隊や上級司令部と共有することも可能です。

 F-16戦闘機搭載用として開発されましたが、汎用性の高さからアメリカ空軍ではF-15E戦闘爆撃機はもちろん、戦略爆撃機であるB-1爆撃機へも搭載が開始された他、ハリアー攻撃機やトーネード攻撃機へも搭載、ラファール戦闘機やタイフーン戦闘機も採用予定です。

 F-2戦闘機での搭載試験は開始されたばかりで、今後重要度が増す精密誘導任務へ対応を急がねばなりません。意外だな、と思ったのは此の試験の一昨日に三沢基地にてF-35A戦闘機墜落事案が発生したばかり、実はこの日午前中は何も飛行はありませんでした。自粛か。

 F-35A戦闘機の事故という緊急事態はありますが、それ以上に南西諸島や九州西日本地域と北方地域での我が国への安全保障情勢の緊迫度は増しており、実任務の重要性が更に高まっている、という事でしょう。AN/AQQ-33の実戦部隊への配備が、待ち遠しいですね。

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しらぬい横須賀寄港-最新鋭あさひ型護衛艦二番艦を初撮影,陽炎型駆逐艦不知火の名を継ぐ

2019-04-13 20:02:31 | 先端軍事テクノロジー
■しらぬい,平成最後の最強艦
 しらぬい、最新鋭の装備というものはそれだけでも気分が高揚するものですが、護衛艦となりますと特に、です。

 しらぬい、最新鋭護衛艦を撮影して参りました。しらぬい、あさひ型護衛艦の2番艦です。三菱重工長崎造船所にて建造が進められ、2019年2月27日に自衛艦旗授与式を実施、就役しました。所属は第3護衛隊群第7護衛隊、母港は青森県大湊基地となっています。

 あさひ型護衛艦二番艦しらぬい、基準排水量5000t、満載排水量6800tの汎用護衛艦で、前型あきづき型護衛艦のFCS-3をOPY-1多機能レーダーとして僚艦防空能力を拡張性に置換し性能を抑えた分、新型のOQQ-24ソナーを搭載し対潜性能を特に重視した護衛艦です。

 しらぬい就役と共に本艦の概要は特に解説しましたが、実際に目の前にしますと、隣のイージス艦きりしま、が満載排水量9500tと際立って大型であり当然大きく見えるのですが、それでも汎用護衛艦は一区分小型である筈が、伍して見える程に大型という印象が強い。

 陽炎型駆逐艦不知火の艦名を踏襲した最新鋭護衛艦は、07式垂直発射魚雷投射ロケット、ESSM発展型短射程艦対空誘導弾、90式艦対艦誘導弾SSM-1B等各種優秀装備を集約すると共に、むらさめ竣工に始まった第二世代汎用護衛艦20隻という一大事業完成の一隻です。

 大湊基地を母港とする最新鋭護衛艦ですが、就役から器材調整などを横須賀基地において実施していまして、3月31日のアメリカ海軍横須賀施設一般公開に際し、東京の友人たちが横須賀入港中とお教えいただきました、当方流石に直ぐには行けず6日に撮影しました。

 舞鶴第3護衛隊群へ配備される予定、と竣工前に聞きまして早速撮れると早合点していたらば第7護衛隊で遠く大湊基地、寝台特急日本海もトワイライトエクスプレスも無い現状ではいつ撮れるか、と憂鬱な心情でしたが、横須賀入港中を撮影出来たというのは幸い。

 OPY-1多機能レーダーとともに新装備としましてOPS-48潜望鏡監視レーダーの装備が挙げられます、これはメインマスト基部に装着されており、P-1哨戒機のHPS-106レーダーを原型として瞬間的な潜望鏡の動静を捕捉追尾する最新鋭の国産Xバンドレーダーです。

 あきづき型護衛艦、前型の護衛艦と最新鋭あさひ型を比較した率直な感想ですが、あきづき型が多機能レーダーFCS-3のアンテナ部分を艦橋構造物と航空機格納庫へ分散していたのに対し、OPY-1は艦橋構造物へ集約しており、艦船として整合性ある印象を受けますね。

 RWS水上艦艇用機関銃架-遠隔操作型、本型の新装備です。艦橋構造物の21番砲CIWSに隣接し救命浮環近くの銃座がRWSです。既に一号型ミサイル艇や掃海艇えのしま型等でRWSは採用されていますが、武装工作船対処の12.7mm機銃を遠隔操作型としたもの。

 OPS-48潜望鏡監視レーダーとRWS水上艦艇用機関銃架-遠隔操作型は、一番艦あさひ、には未装備であり、しらぬい、からの新装備です。ただ後日装備の予定とも言われます。一方、僚艦防空能力や対艦誘導弾の換装等将来拡張性を有しているといい、伸び白は多い。

 最新鋭護衛艦の極致というべき護衛艦ですが、大湊基地へ配備される、しらぬい、青森県大湊基地は比較的古い護衛艦が回される事が多く、駒門駐屯地祭にてお教えいただいたのですが、新造護衛艦大湊配備は護衛艦ゆうべつ以来の実に35年ぶり、とのことでした。

 しらぬい、怒らせたら怖い。海上自衛隊の汎用護衛艦整備は今後少なくとも十年程度は行われません、その理由は30FFM、3900t型護衛艦を掃海隊群へ大量配備する一大防衛事業が開始される為です。ただ、今後安保情勢如何では三番艦建造の検討は有り得るでしょう。

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平成三一年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2019.04.13-04.14)

2019-04-12 20:01:42 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 F-35A戦闘機が墜落してしまいましたが皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事紹介ですが、今週末は盛りだくさんです。

 第14旅団創設記念行事、善通寺駐屯地祭です。第14旅団は昨年度より強力な即応機動旅団へ改編、第15普通科連隊は第15即応機動連隊へ改編、強力な16式機動戦闘車を装備しており、その空包射撃の迫力は昨年度全国初展示となりました。昨年度と一昨年の行事では駐屯地での記念式典と訓練展示に続いて、市街パレードを式典に続いて実施しています。

 第12旅団創設記念行事、相馬原駐屯地祭は今週末土曜日に挙行されます。第12旅団は戦車を有さない分、ヘリコプター隊を隷下に有する空中機動旅団とされ、高台の飛行場地区からは榛名山や赤城山が一望できます。本年の旅団行事はOH-6観測ヘリコプターさよならフライトと位置づけられ、旅団における一時代の転換を象徴する行事となりましょう。

 第6師団創設記念行事、神町駐屯地祭です。先月末の年度末改編により即応機動師団となった第6師団最初の一般公開行事となります。重厚古参74式戦車は軽快最新の16式機動戦闘車へ転換しFH-70榴弾砲等は方面隊から管理替装備という新方式となっています。改編直後ですが、神町駐屯地は飛行場地区があり航空部隊と一体化した行事が見所でしょう。

 滝ヶ原駐屯地創設記念行事、富士地区の行事です。普通科教導連隊と富士評価支援隊第1機械化大隊などが駐屯しています。普通科教導連隊は89式装甲戦闘車を含む普通科の全ての装備を有する教育支援部隊で、第1機械化大隊は部隊訓練評価支援での仮設敵部隊であり、今年度から新たに90式戦車を装備、仮設敵塗装の90式戦車は本邦初公開となります。

 陸上自衛隊幹部候補生学校創設記念行事、前川原駐屯地祭です。久留米市に所在する幹部候補生学校は三尉任官へ教育を受ける候補生たちの教育拠点で、候補生の気合いの入った式典や観閲行進、訓練展示などが注目でしょう。駐屯地は第4師団管区にあり久留米駐屯地も近く、10式戦車や最新鋭装備AAV-7水陸両用車などの参加があるかが、注目点ですね。

 霞目駐屯地創設記念行事、仙台市若林区に所在する陸上自衛隊の航空部隊駐屯地で、東北方面航空隊本部と東北方面ヘリコプター隊などが駐屯しています。方面ヘリコプター隊はUH-1J多用途ヘリコプターを運用しており、2011年東日本大震災では仙台市に在って津波被害を免れた内陸の飛行場として、自衛隊ほかヘリコプターの集中救助拠点となりました。

 吉井分屯地創設記念行事、群馬県高崎市の弾薬補給処です。なかなか通好みの行事といい、新町駐屯地の分屯地に位置づけられていまして、弾薬輸送展示として車両への弾薬箱搭載要領の展示や、朝霞の不発弾処理隊による展示等が行われる年度もあります。日曜日に行われますので、土曜日の相馬原駐屯地祭と連日撮影するという選択肢もあるでしょう。

 熊谷基地祭、埼玉県の航空自衛隊熊谷基地開庁記念行事です。教育連隊が駐留していまして、航空自衛隊の自衛官候補生教育を行う基地です。かつては毎年新年度のブルーインパルス最初の飛行展示基地として有名でしたが、近年は救難ヘリコプターや輸送ヘリコプター展示が行われます。ただ、三沢基地での事故直後、行事に影響がある事はご留意下さい。

 さて撮影の話題、カメラが先かレンズが先か。なぞなぞの話ではありません、撮影機材について当方が大きめのレンズを使い始めた時のお話を。当方が運が良かったのは、300mmF2.8というカメラに装着しますと64式小銃と同じ重さになる代物を使い始めた直後に、この種の器材を長年使っている方に、カメラ本体だけをもってはならない、と特に注意を受けた事でした。

 300mmF2.8レンズ、もちろん400mF2.8でも500mmF4でも当てはまるのですが、カメラ本体よりも相当重いものです。従ってカメラ本体だけを以て保持していますとレンズ装着部分にレンズの重量全てが集約し、最悪基部の変形要因となります。いきなり大声で注意された際には驚きましたが、成程、重いレンズを使う習慣が無いと咄嗟に在り得ますね。

 カメラ基部が変形しますと、焦点が合いにくくなったり、その状態で貴重な撮影機会を空費してしまったりと、ろくな事はありません。しかし、若いころに写真専門学校等に履修の機会が在りませんと、どうしても使い慣れない器材では錯誤は起こり得るものといえるでしょう。カメラが先かレンズが先か、重い方で保持しなければならない、金言でした。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭


・4月14日:霞目駐屯地創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/neaavn/
・4月14日:第6師団創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/
・4月13日:第12旅団創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
・4月14日:吉井分屯地創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/eae/12b/
・4月14日:熊谷基地祭…https://www.mod.go.jp/asdf/kumagaya/
・4月14日:滝ヶ原駐屯地創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/fsh/
・4月14日:第14旅団創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/mae/14b/index.html
・4月14日:陸上自衛隊幹部候補生学校創設記念行事…https://www.mod.go.jp/gsdf/ocsh/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都幕間旅情】二条城(元離宮二条城),満開の桜花と満員の城郭と共に堀川御池界隈の散歩道

2019-04-11 20:18:14 | 写真
■堀川御池界隈満開桜並木
 今週が平成最後という京都の桜見頃、というところでしょう、その美しい満開の様子を仕事合間少しだけ散策しつつ眺めて参りました。

 二条城大手門と堀川の桜並木、いよいよ京都は桜が満開です。夜桜見物は今日明日が最高、桜にもいろいろありまして遅咲きの里桜は五分咲きに枝垂桜は五分咲き七分咲き、今週末が平成最後の枝垂桜等桜花を堪能できる幕間、あとは御室桜が咲くのみというところ。

 堀川通りは都大路という名を具現化するような広大な通りです。ただ、この大通りは平安遷都の御所への大路ではなく、実は第二次世界大戦中の防空疎開と防火帯の意味を以てもとある堀川沿いの堀川通りを拡幅させたという昭和の京都改造というべき施策の名残り。

 京都の桜、観桜と洒落込みたいが時間がない、そんな方は多いでしょう。ただ、この堀川界隈、二条城前からの堀川に沿っての散策路であれば、京都駅から市バス9系統で15分ほど、意外に愉しむ事が出来る散歩道です。ただ、堀川は堀川御池から地下に潜ってしまう。

 二条城は京都を代表する桜の名所である、と一文を掲載する為だけに、お仕事を少しだけ休憩するふりをして地下鉄東西線を二条城前駅へ進出しました。市バスは平日でも観光客が凄い事になっていますが、事ここ地下鉄だけは鉄道の輸送力で交通を維持しています。

 観光客の京都集中、しかし日常の中の幕間に広い場所から見事な二条城の桜並木を、と思ったのですが、観光客集中を甘く見ていました、平日のお昼時の時間だから人波にも凪があるだろうとは甘すぎたようでして、こういいますのも入場制限の列が長く続いています。

 円山公園にでも転進したいところですが、時間にも限りがある、ただ、観桜ならばなにも二条城に入る必要はないのです、二条城のある堀川通りこそが、堀川の堀に沿って見事な桜の木々が植えられ南北を連なるという、実は京都屈指の隠れた観桜の名所なのですから。

 堀川、実は個人的に堀川と云えば堀川通り沿いの枯れた水路、という印象でした。文献を紐解けば遡る事1200年と少し、平安遷都に際し鴨川上流からの分流を造成し、運河としたのが始まりです。物流と共に寝殿造に代表される貴族邸宅庭園用の水源ともなりました。

 二条城、これも歴史深い謎の多い城郭です。元々この二条城の堀は京都遷都に際しての重要な水源であり、そして二条城も古くは室町時代に現在の京都御所に在り、豊臣秀吉の聚楽第、その破却後の権力誇示への徳川家康の現二条城、二条城を辿れば歴史がみえるもの。

 新平家物語のロケ地である本法寺、昔は広かったが堀川通り拡張で移転させられた水火天満宮、稀代の祟り神と畏れられサッカーの神様を祀る白峯神宮、SF時代劇のスターで平安時代の名物官僚を祀る晴明神社、堀川通りの掘界隈にはこうした寺社仏閣が並んでいます。

 淀川水系にあたる堀川、しかし、このWeblog北大路機関を創設した当時は水路というよりも幅数十cmのU字溝が掘りの底に続き、U字溝は有事の際、つまり大雨の際等の排水路として機能していました。下水道整備前はその代替として、つまり綺麗な川ではなかった。

 桜並木、これはかなり前から整備されていたようですが、堀川も永らく流水再興事業という、要するに水の都としての京都の堀川に流れを再整備するという公共事業が行われまして、十年ほど前に完成し、今では流水麗しい京都の散歩道として再整備が実現しています。

 堀川界隈を散策しますと京都が見える、勿論前述の通り、第二次大戦中の対空疎開により伽藍や境内の様相を転じた情景もあるのですが、上賀茂西賀茂へ向かう京都駅からの9系統バスを利用、散策を進めてみますと、意外に短時間でも実り多い日常の旅情を愉しめる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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