北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

プーチン大統領-ベラルーシ国内へ戦術核配備を表明,ルカシェンコ大統領の核兵器配備要請受け

2023-03-27 07:00:19 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 状況の推移を慎重に見守るべき事案です。

 ロシアのプーチン大統領はベラルーシへ戦術核兵器の配備を決定しました。これは冷戦時代には東西共に実施されていたものですが、冷戦終結後、戦術核兵器は実戦にて使用することへの禁忌という機運から前方へ配備せず後方に引き下げてきましたが、今回、プーチン大統領がその計画を発表したことで、ベラルーシとNATOの境界線緊張が懸念されます。

 戦術核兵器の定義は示されていません、核弾頭は昨年撃沈されたミサイル巡洋艦モスクワのP-700対艦ミサイルに装着することもできますし、通常弾頭型でも威力を発揮している仮ブル巡航ミサイルにも搭載することができ、ウクライナに対し既に多用しているイスカンデル短距離弾道ミサイルにも搭載できます、核砲弾という野砲から撃つものもある。

 広島型原爆程度か広島型原爆の数倍程度のものが戦術核兵器の定義に含まれまして、しかし一発で数十km四方を破壊する水爆、熱核兵器は戦略核兵器に含まれる。NATOはしかし、ロシアによるNATOへの核攻撃を警戒しており、冷戦以降も欧州NATO域内へアメリカがB-61核爆弾を前方展開しています、相手が使えばどう出力のものを使うとして。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領が要望していた、今回のプーチン大統領によるベラルーシへの戦術核兵器配備は、ベラルーシ側の移行を受けてのものと説明しています。ただ、重要なのは、ベラルーシへ核弾頭を供与するというものではなく、ロシア軍の戦術核兵器運用部隊をベラルーシ国内へ展開、いわばロシア版ニュークリアシェアリングの表明です。

 いわば、とニュークリアシェアリングを例に出しましたのは、ロシア軍の戦術核部隊が展開するという名言であり、NATOが行う、受け入れ国での核兵器使用に限定し、受け入れ国の非戦闘員が巻き添えを食うために発射は受け入れ国が行わせる、という方式とロシアが実施する運用は別のものであり、使用はベラルーシ国内に限らない可能性もあります。

 核兵器による恫喝の一部ではないか。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻開始以降何度も核兵器の使用や水爆などの戦略核兵器について使用を示唆し、全面核戦争をも辞さない姿勢を誇示し、いわば恫喝を行っています。今回のベラルーシへの配備についても、従来のものと同じ恫喝であり、こうした象徴的な意味合いでしかないのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】小牧基地オープンベース2019【2】C-130H輸送機とC-1輸送機大空の共演(2019-11-09)

2023-03-26 20:03:00 | 航空自衛隊 装備名鑑
■ニッポンの輸送機事情
 小牧基地航空祭特集も前回の掲載からちょっと間が空いてしまいましたが体制を建て直して連載を再開です、こうした写真を掲載用に加工する事で防衛情報などの記事に役立つ。

 C-130H輸送機、航空自衛隊に加えて海上自衛隊も同系統の輸送機を採用している、世界中で採用されている傑作輸送機となっています。しかし現在生産されているのはC-130J-30輸送機でC-130Hは相応に旧式化と老朽化が進んでおり、今後の去就が注目されます。

 C-1輸送機、飛んできました。入間基地第402飛行隊のC-1輸送機で、これは嬉しい誤算と云えるところです。C-1輸送機は1970年代の輸送機ですので撮影の時点でも順調にC-2輸送機へ置き換えが始っている航空機ですが、小型であるものの使いやすい輸送機です。

 入間基地はC-2輸送機へ機種転換を、その前に航空祭へ2020年にでも、と思ていたのは今は昔で、その航空祭の翌年にCOVID-19新型コロナウィルス感染症が襲来するとはとても想像もできませんでしたので、撮影できる機会をこのとき逃さなかったとふりかえる。

 8tしか搭載出来ない輸送機ですが、速度が非常に速く24時間当たりの輸送力をかなり高く維持する事で、輸送力を補う、そして非常に運動性の高い輸送機であり、勿論この機体規模で運べないものは多いのですが、生産数も多く、日本の航空史上では成功した機体だ。

 C-130H輸送機、今後は水色の迷彩に置き換わりが始まる、とは2023年の航空祭における紹介でした、しかし水色の迷彩は元々航空自衛隊が2003年のイラク戦争を契機にイラク復興人道支援への空輸支援を実施する際、採用された迷彩ですのである種回帰といえます。

 空色のC-130は、日本独自の塗装という事で海外の航空愛好家には注目されたといい、確かに一時期県営名古屋空港付近でも海外のお客様が見えました。一方で、航空自衛隊は給油ポッドの追加を行い、C-130H輸送機の一部をKC-130H空中給油輸送機へ改造しました。

 U-125捜索救難機廃止、唐突に昨年政府が発表した方針を唐突に此処で提示してみるのですが、もしかするとC-130HをKC-130Hとすることで救難ヘリコプターへの給油能力を強化すると共に、捜索救難機としての用途をU-125からC-130へ移管するのか、とも考える。

 KC-130,世界で海上における捜索救難を支援するのはC-130規模の輸送機であり、これには救難員の降下など、U-125では難しかったヘリコプターに先行しての捜索救難も可能となっています。そして捜索救難は今後自衛隊でも戦闘捜索救難の段階に進むのでは、と。

 戦闘捜索救難というのは、有事における救難で要するに貴重な航空搭乗員を救難する際に敵対勢力が妨害行動や攻撃を加えてくるという状況を排除して、救助するという任務です。これまでのように、平時の事故から操縦士を救うというよりも進んだ状況の想定という。

 U-125は、必要な航空機であると考えます、いや航空自衛隊の航空救難任務にほんとうに不要ならば情報収集能力が高いものですから、陸上自衛隊に移管してLR-2連絡偵察機の後継に充てては、と考える程の性能を有しています。ただ、特殊作戦機たるか、というと。

 C-130H、他方で全て航空救難に充当できる程航空自衛隊に余裕が無い、という問題もあります、その背景にはC-2輸送機の稼働率の問題があります、つまり稼働率が低いものの、更に飛行隊定数を削減してしまった為に即応機を日施輸送と別に用意できない状態が。

 C-2輸送機の欠陥というような問題ではなく、これは要するに“一眼レフを十台持っているが交換レンズは全部で八台しかない”、“交換レンズの中で広角レンズと望遠レンズとズームレンズのどれかは整備中”、“全部のレンズを揃えて撮影に行けるのは僅か”という。

 維持費用と予備部品、防衛予算を削り続けた為に、飛行隊定数は少なく削減され、これで充分だという政治的な文書が用意され、実態はたりていないものの帳簿上はたりている事となっている、故に緊急事態に即応する為に数日間を要する、というような状況がある。

 予算を増やせ、とは言い続けているところですが、昨年政府は防衛予算を増やす決断をしました、しかし、その予算でたりていないものを調達するのではなく、新しい“反撃能力”をかなりの予算を割いて調達する為に、当面やはり予算不足は続く、ということなのです。

 C-130H輸送機、海上自衛隊がかなり安価に中古のC-130R輸送機を導入しまして、この選択肢があるのか、と一瞬考えさせられましたが、一方で世界の中小国で予算に余裕の無い諸国は何故中古機を導入しないのかを考えますと、維持費と稼働率の悪さが挙げられます。

 防衛費を増やすものの新しい装備ではなく装備体系ごと新規に構築するというのは、住宅ローンに苦しみながら共働きにして余裕が出たので住宅とは別に御所西にマンションを買う、というようなもの。先ず必要なものを揃えた五年後に反撃能力を整備しては、と思う。

 KC-767空中給油輸送機の編隊飛行とともに、このKC-767は、航空自衛隊にかく事の出来ない装備体系の一つを構築したといえます、それはKC-767空中給油輸送機とE-767早期警戒管制機とC-2輸送機、エンジンを共通化出来た、という点なのですが、重要です。

 E-2C早期警戒機とC-130H輸送機とP-3C哨戒機、エンジン系統を統合出来た事例が過去にありますが、この共通運用基盤の構築には大きな意味がある。他方で惜しむべくは予算不足でKC-767を充分に揃える前に生産終了となり、KC-46A導入、二機種となったこと。

 KC-46A空中給油輸送機はKC-767と同じボーイング767系列の派生型航空機となっていますが、細部はそもそも767系列というだけで相違点があります。もっとも、機体自衛装置や遠隔操作給油装置などの追加、KC-767の頃とは導入された技術も大幅に違うのだが。

 空中給油機、導入開始から、初号機の到着を岐阜基地で撮影した事を懐かしく思い出すのですが、情勢は大幅に異なる厳しい状況となり、特にその運用先進国であるアメリカでは、鈍重で大型の空中給油機が将来の長射程ミサイルが飛び交う戦場で使えるのか議論がある。

 台湾海峡有事や南西諸島有事では、中国空軍戦闘機から運用される空対空ミサイルの射程が数百km台まで延伸している事から、空中給油機はもちろん早期警戒管制機でも危険であるとして、E-3早期警戒管制機を、小型のE-7A早期警戒機に置換える動きさえあります。

 安全保障環境はどうしても動いている、動き続けているものなのですが、アメリカでは暫定的な解決策に、操縦士一人で運用し給油作業は地上から遠隔操作、これにより撃墜された場合の被害を局限化する、というかなり厳しい運用を想定しているとのことでした。

 しかし、自衛隊の様に時間を掛けて防衛力を整備するという現状は、果たして将来の脅威に対応できるのか、それは専守防衛故に国土が戦場となるため、想定を見誤ればたくさんの同胞が戦場に巻き込まれ住宅を含め生命財産を失う事に直結しているというのですね。

 そして、この現状はもう少し国民の関心事として挙げられて良いように思うのですが、結局のところ、昨年の安保三文書改訂で最大の議論となったのは予算、税金の部分だけであり、中身などを知ろうとする努力は他人事か、ちょっと不安となる要素が増えたのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】犬山城(愛知県犬山市)五分咲開花の木曽川桜花街道を眼下に白帝城

2023-03-26 18:27:35 | 旅行記
■さくら前線-犬山へ
 さくら前線の北上がものすごく速いのですけれども追いかける様に城下町犬山へ行って参りました。

 犬山城、さくらの季節には特に花々に浮かぶ様子が面映ゆく、これは天守閣を探訪してもなかなかに心躍る発見が常にあるのですけれども、天守閣は入るには2020年などはよほどの勇気、これは滑落というよりも感染対策という意味でなのですが、必要なのでした。

 成瀬さんの犬山城、この城郭は江戸時代から平成の時代まで代々成瀬家が維持したものでした。国宝なのですし、維持にはもう少し国の協力や税制優遇があってもよさそうと思うのですが、相続税には何度も悩まされたといいまして、努力とともに維持された城郭だ。

 成瀬さんというのは文化の守り手なのだと感心するところです。文化財、例えば同じ国宝であっても寺院であれば宗教法人という事もあり免税があり、しかし城郭となりますと、自治体にゆだねるか、それとも、選択肢は少ない。矜持と義務感があって初めて成り立つ。

 散策は、しかし実際に巡ってみますと、なるほど天守閣に登ってしまえば視界を全部天守閣で占有できるのだけれども、言い換えれば天守閣全体は中に入ると逆に見えない、京都タワーに上った際の京都タワーが見えないのと同じ構図となります。景色として眺めたい。

 名鉄犬山線が木曽川を超える犬山橋、昔は鉄道道路併用橋という、電車が路面電車のように走るが普通に乗用車も通行しているという、これは迫力のある構図がこのあたりで展開されていました。京阪京津線でも見ることができる情景ですが、名鉄は迫力があった。

 パノラマカー7000系はもちろん1000系パノラマsuperも乗用車やトラックと並んで橋梁を走る様子、徐行に徐行を重ねて万一の際の安全配慮を行って通行していたものですけれども、もう少し長いこと維持されていれば、良い撮影機材で記録できたようにおもう。

 複合式望楼型三層四階地下二階天守閣、迫力あるなあ、という複雑な形状の天守閣は木曽川の河畔に造営されていまして、これは天然の要害を巧く取り入れた、と昔は思ったものですが、残念ながら地形上砂州が生まれやすい形状らしく、ここから攻城で陥落の歴史も。

 白帝城という愛称で古くから親しまれた城郭ですが、散策していますとこれは白帝城は長江流域段丘上に造営された白帝城についてをうたった李白の詩が由来しているといいますので、そうだ木曽川河畔を見える立地から散策した方が、その名の通りの情景と思う。

 満開、まではもう少しか、それでも今年の桜花開花は早いなあ、と焦燥感のような春の始まりを感じるところですけれども、この情景は築城が天文6年こと西暦1537年までさかのぼるといい、そして天守閣は日本現存天守閣にあって最古のものであると判明している。

 天守閣は今の姿になりましたのは西暦1620年のことといい、しかしそれは天守閣を造営したという意味ではなく、寺のお堂のような二層の櫓に望楼を加えたということでの完成ですので、複合式望楼型三層四階地下二階天守閣の複合の部分が1620年に出来た、と。

 望楼の部分が、しかしこれがなければ天守閣らしくないものだよなあとも感じさせられるところです。結局基部の部分は日本最古の天守閣と判明し、それまでは北陸の丸岡城が日本最古だと考えられていたのでした。しかし、この御城はそれほど古くはなかった。

 丸岡城は、北陸の厳しい気候に耐えるべく焼き瓦ではなく石瓦が用いられていて、これが古そうに見えただけという。対して犬山城の天守閣はもう少し前であったとのこと。これが判明したのは平成後期、歴史研究に発見する点はまだまだ多いとうならされたものです。

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核攻撃へ日本の備えは充分か?北朝鮮先制核攻撃想定図上演習と米韓合同軍事演習フリーダムシールド23終了

2023-03-26 07:01:10 | 国際・政治
■平和国家と"第三の核"
 核兵器を撃たれたらおしまい、ではなく生き残る人がいる限り救助の方法を考えなければなりません、平和主義と非核政策を国民が支持する日本だからこそ広島長崎に続く第三の核へ備えが要るのです。

 米韓合同軍事演習フリーダムシールド23が無事終了しました。北朝鮮による軍事挑発とともに開始された今回の軍事演習ですが、今回特筆すべきは、“北朝鮮の先制核攻撃を受ける”という状況を実動演習に先立ち実施された図上演習へ盛り込んだことでしょうか。もちろん従来の軍事演習においても北朝鮮による核兵器の戦場使用はある程度想定していますが。

 先制核攻撃を受ける想定、とは先月22日にアメリカの国防総省において米韓両軍関係者が実施した図上演習に盛り込まれたもので、アメリカ軍の核兵器を含む戦力により韓国を防衛する拡大抑止を念頭に実施されたとのこと。ここに北朝鮮の核兵器使用に対抗してアメリカ軍による戦術核使用やニュークリアシェアリングを実施したかは発表されていません。

 日本有事に際しても、ある程度の核攻撃を受ける想定での国民保護計画を、日本は進めるべきではないか。例えば日本国内の米軍基地や自衛隊基地、政経中枢や重要港湾などへの核攻撃は、ある程度念頭に置いて、自治体、だけではとても対応できない為に国主導の被曝対策や放射性降下物からの国民保護、被爆者治療などを計画する必要はないでしょうか。

 ARS急性放射線症候群、日本では放射能は浴びたらば遺伝子が破壊されておしまい、という認識が一般化しているよう思います、実際、東海村臨界事故においても致死量の中性子線を浴びた作業員は死亡しました。しかし、ARS急性放射線症候群であれば、白血球減少を抑制するアムジェン社のニューポジェンやロイキン、幾つかの治療薬が存在しています。

 ニューポジェンくらいは国家備蓄しているのでしょうか、いや、2011年の福島第一原発事故を見る限り、もともとニューポジェンは核攻撃を受けた際の汚染地域での救出活動を行うレスキュー部隊や軍の衛生部隊などに投与するものですが、汚染地域へ展開する自衛隊員へ投与された事例もありません。あれから12年を経ましたが、浅学にして聞かない。

 プルリステムPLX-18というイスラエルの製薬企業が開発する治療薬は白血球に加えて血小板や赤血球の放射線による減少を抑制する治療薬で、放射性降下物の降下前に接種することで効果が得られるとされており、経口治療薬型などの開発も進められています。これは宇宙飛行士の宇宙線被曝対策やがん治療と両立し得ますが、日本では研究が進まない。

 ヘママックスという、放射線を浴びてしまった後に投与する治療薬なども開発されているようですが、日本も、核攻撃を受け大量の被爆者を出した日本、原発事故が発生し大量の核燃料がメルトダウンした日本、なのだからこそ研究開発には政府資金を投じるべきであるし、へまマックスやニューポジェンの国家備蓄を進め、攻撃に備えるべきと思うのです。

 広島と長崎の核攻撃があったからこそ、緩和療法的な被爆者治療というものではなく、日本はもう少し国家として核攻撃による放射線症候群への治療体制を検討すべきではないでしょうか、日本は核兵器を持たないと国是を示しているのだからこそ、核攻撃に対しては無防備です、しかし、撃たれたら終わりと国民の生命を突き放す事が有っては、なりません。

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南海トラフ連動地震と十二年目の東日本大震災【5】被災地への輸送計画の明確化とC-2輸送機の増強が必要

2023-03-25 20:04:16 | 防災・災害派遣
■輸送計画と必要物資量
 C-2輸送機は防衛出動に際しても有用ですし近年はスタンドオフ兵器の運搬手段としても注目されるようになっています。

 C-2輸送機、有事の際には大いに役立つ装備ですので、災害派遣用に増強したとしても日本という国単位で見た場合はそれほどマイナスではありません、いや、これまでは防衛費が不足していましたので、リソースを輸送機につぎ込めないという問題点はあったのでしょうけれども、今回岸田内閣は防衛費を二倍に増額、全く予算がないわけではありません。

 C-2輸送機の強みは速度と輸送力と不整地発着能力の三位一体です、24時間当たり4ソーティとして北海道から四国山間部の応急飛行場へ、C-2輸送機8機の飛行隊であれば1000tの物資を空輸可能です。着陸せず被災地の物資降下地点を定め低空投下するならば、入間基地を起点に紀伊半島へ空輸する場合は1ソーティ4時間、24時間で6ソーティ可能だ。

 有事の際、これも単純に空輸するだけという任務では、南西有事では南西諸島の一部は中国本土の地対空ミサイル射程内に入りますので、飛行させられない、という問題が生じるでしょう。北方有事に際してもロシアのS-500地対空ミサイルは北海道内を射程に収める、無論低空飛行した場合は最大射程を発揮できないのですが、輸送機単体では限界がある。

 しかし、ラピッドドラゴン計画という、アメリカ空軍が進める“C-17輸送機からのスタンドオフミサイル運用能力”、射程1000㎞規模の空対地ミサイルを輸送機から発射するという運用に、C-2輸送機も参画するならば、なにしろC-2輸送機の格納庫はC-17ほどではないけれども、C-130よりかなり大きい、有事の際に航空打撃力の補完として活躍できます。

 入間基地の第402飛行隊と美保基地の第403飛行隊、C-2輸送機はこの2個飛行隊に現在の計画では各8機を配備する計画ですが、“トンガ噴火災害救援”“カブール陥落邦人輸送任務”、このC-2が必要な任務に際し即応機を準備できなかったことから、不足していることは火を見るより明らか、これで不足していないというならばとんでもない怠慢か怠惰だ。

 C-130H輸送機が即応機を常に待機できている点から、小牧基地の第401飛行隊のようにC-2輸送機の定数は、第401飛行隊の定数である16機、つまり現在の編成から倍増させる必要があるよう思う、少なくとも第402飛行隊と第403飛行隊のC-1輸送機配備時代の飛行隊定数は12機でしたので輸送機不足の現実を受け入れ、先ず12機に戻すべきです。

 横田基地か千歳基地に、輸送航空隊をもう一つ増やす必要があるよう思う。このほかにも被災地に近く標高が高い浜松基地とか、受け入れ施設では第5空母航空団の岩国移転で余裕がある厚木基地に海上自衛隊に加えて航空自衛隊厚木基地を新設し、ここにC-2輸送機飛行隊を置いてもよい、空母航空団に配備されたC-2輸送機よりは大分大きいけれども。

 下総航空基地の海上自衛隊教育航空司令部や教育訓練部隊をすべて厚木基地へ移設し、下総基地を航空自衛隊輸送基地とする選択肢もあるでしょう、元々は厚木基地が完全な米軍基地であった時代に航空集団司令部を置いていたのが下総基地、半分厚木に移転しているのですから。こういうのも第1空挺団の習志野駐屯地最寄り基地が下総航空基地です。

 第1空挺団を同時空輸できるC-2輸送機、おおむねこの程度の輸送力を念頭に整備してはどうかと思う、いやC-2輸送機には航空自衛隊後方支援という任務がありますから、空挺団の輸送だけに専念できるわけではありませんが、もう一つの表現をしますと、航空自衛隊の作戦輸送、日施輸送ではなく有事の際の兵站支援と並行し大隊を輸送する程度、と。

 C-2輸送機、小牧の第401飛行隊を仮に16機のC-2飛行隊へ改編し、そして入間と美保の飛行隊もせめて12機の飛行隊に拡充したとして、やはり不足は否めません、稼働率という問題がある、ただ、入間と美保の飛行隊を16機に拡大改編しもう一個飛行隊を下総か千歳か横田に新編して64機体制としたらどうか、初動12時間でかなりのことが可能となる。

 総務省消防庁は南海トラフ地震に際し、遅発連動地震を警戒し、広域巣要望援助隊は東北地方、北関東地方、北越地方、山陰地方、北九州地方から展開することとなっています。C-2輸送機は消防車と小型消防車ならばめいっぱい搭載すれば6両を同時空輸できる、すると使える飛行場はこれらの地方にはかなり多数並んでいるから、空輸で初動を支えられる。

 空輸計画の概略を、初動24時間が人命救助に当たる消防緊急援助隊と応急飛行場を整備する施設科部隊、初動48時間を被災地内陸部の病院の維持や道路修復への民間土木会社などの空輸支援、並行して空荷となった輸送機は可能な限り被災者を被災地外避難所、例えば北海道や東北地方避難所へ空輸、初動72時間以降を食料や燃料等を運ぶ等考えられます。

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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-滋賀長浜,湖畔城下町小川沿い桜花並木眺めケーキのひととき

2023-03-25 14:11:13 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 はるなさんは散策という際にはこ難しい事を考えず偶然というものをを大切にしたい。

 長浜市大戌亥町にエベーヌという、小川の堤防ぞいに三角屋根のケーキ屋さんが有ります、長浜市というのは豊臣秀吉の長浜城下町がそのはじまりなのですが、江戸時代にも彦根藩が治めた事により寺社仏閣が多く、個性的な街並みが広がる。ここは散策が愉しいのだ。

 エベーヌさん、ケーキ屋さんなのですがイートインが有りまして、珈琲の急速にはとっておきの静かなテーブル席がいくつか並んでいます、ショーケースのケーキとともにケーキセットを注文して、そして大きなガラス越しに川沿いの桜並木を眺めながら愉しむという。

 オペラ、チョコレートを多層に積層したケーキなのですが、珈琲にはチョコレートが良く合うだろうという事でこのひと品を注文してみますと、アイスクリームとともにお皿にのせられてきまして、きれい、ああこのアイスクリームなら紅茶も在ったのかもしれない。

 珈琲とともに、少しをフォークで崩すように掬い取りまして味わい、そして珈琲を熱いのですがふうふうと含んで香りを愉しく、余韻と共に手元の文庫本の頁をめくり又は川沿いの咲待ち桜の寂しげな情景とともに、また甘いケーキのチョコの苦味さえ愉しむ繰り返し。

 城下町というにはこの大戌亥町というのはちょっと中心部から外れていまして、散策する際にちょっと偶然も重なりまして探訪しました、次に行くときには見つけられるのかなあと思いつつ、しかし長浜で桜満開を撮影する頃には、また探訪していそうな気がするのです。

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79式対舟艇対戦車誘導弾廃止が生む対戦車ミサイルギャップの懸念-可搬性ある対戦車ミサイルの重要性

2023-03-25 07:00:54 | 先端軍事テクノロジー
■榛名防衛備忘録
 79式対舟艇対戦車誘導弾は愛称が"重MAT"といい弾頭を切り替える事で対戦車戦闘から中型揚陸艦の撃破まで幅広く運用可能です。

 79式対舟艇対戦車誘導弾廃止は陸上自衛隊の野戦部隊に深刻なミサイルギャップ、対戦車装備体系の空白を生むのではないか危惧します。この視点は手遅れと思われるかもしれませんが、来年度を以て79式対舟艇対戦車誘導弾は最後に運用されている第12対戦車中隊が廃止され、79式対舟艇対戦車誘導弾という装備そのものが廃止予定となっています。

 ミサイルギャップ、といいますと大袈裟に思われるかもしれませんが、陸上自衛隊には対戦車装備として少数の96式多目的誘導弾システム、そして79式対舟艇対戦車誘導弾と87式対戦車誘導弾の後継として装備される中距離多目的誘導弾、また携帯式の01式軽対戦車誘導弾と84mm無反動砲などが配備されています、これらはそれぞれ射程が異なります。

 中距離多目的誘導弾は射程が9km程度とされ、これは充分行き渡るならば79式対舟艇対戦車誘導弾は射程が4kmですので、充分置き換えられると思われるでしょう、しかし中距離多目的誘導弾は重量が大きくCH-47輸送ヘリコプターでなければ輸送できません、一方79式対舟艇対戦車誘導弾は一応UH-1多用途ヘリコプターで輸送可能、空挺投下も可能だ。

 87式対戦車誘導弾は携帯が可能ですが、射程は2kmでしかありません。01式軽対戦車誘導弾は優れたミサイルですが射程は1.5kmと開発された当時のままであり、先行して開発されたアメリカのジャベリン対戦車ミサイルが改良と共に徐々に射程を延ばし2.2kmまで改良された一方、日本では一旦制式化された装備を改良しない悪弊が陳腐化を強いている。

 可搬可能である対戦車ミサイル、イスラエルのスパイク対戦車ミサイルはスパイクLRが射程4kmとなっています。可搬可能かと問われますと車載が必要と応える他ないのですが、TOW対戦車ミサイルも射程は4km程度で、自衛隊はこの射程4km程度で可搬性のある装備が今後消滅し、射程1.5kmのミサイルと射程9kmのミサイルのみとなるのですが。

 中距離多目的誘導弾は車載式、一応降ろす事も出来るのですがシステム重量が大き過ぎ、掩砲所構築一つとっても労力が非常に大きいのです。戦車が大幅に削減される中、歩兵、普通科の火力責任距離は増大が求められる、一方、あらゆる天候と地形を克服するという普通科部隊にはある程度軽量で、しかし可搬性のある対戦車ミサイルを、維持すべきです。

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令和四年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.03.25-2023.03.26)

2023-03-24 20:00:10 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 桜前線の北上と共に年度末ですが皆様いかがお過ごしでしょうか、年度末という事ではありますが今週末はしっかりと今年度最後の陸上自衛隊行事等も行われます。

 春日井駐屯地創設56周年記念行事が26日日曜日に挙行されます。春日井駐屯地祭はCOVID-19感染拡大後初めて再開される事となりました。春日井駐屯地は愛知県春日井市に所在し、東京からは新宿より中央線で一本、いや特急乗りかえで、すぐというか一寸行った先、名古屋からは東海道新幹線を中央線のりかえと十数分という好立地にあります。

 第10後方支援連隊、第10施設大隊、第10偵察隊等が駐屯する駐屯地です。そして今年度の行事は第10偵察隊にとり廃止改編を前にした最後の行事となる可能性があります、こういいますのも来年度末改編により第10師団から第10戦車大隊と第10偵察隊が廃止され、そののちに第10偵察戦闘大隊が編成されると考えられている為で、過渡期の行事という。

 第10対戦車隊、Weblog北大路機関創設当時はこの春日井駐屯地にはもう一つ、第10対戦車隊が置かれ、79式対舟艇対戦車誘導弾を16基装備していました、これが第10師団の乙師団から戦略機動師団への改編に伴い、各普通科連隊へ79式対舟艇対戦車誘導弾12基を装備する対戦車中隊が創設されることとなり、第10対戦車隊は廃止改編を受けている。

 対戦車中隊は師団に当時四個の普通科連隊が有りましたので、大幅な増強となったのですが、こののちに師団が戦略機動師団から即応近代化師団改編を受け、戦車と火砲を大幅に縮小した際、対戦車中隊も順次廃止されることとなり、また当時期待された普通科中隊対戦車小隊への中距離多目的誘導弾が配備されることもなく、対戦車火力は激減しました。

 地域配備師団へ、即応機動師団から改編されるにあたって戦車大隊廃止など更なる重装備の廃止が行われるのですが、これと並行し2022年末の安全保障関連三文書に、地域配備師団を機動運用部隊とする旨が明記され、要するにこれまでは、機動運用しないのだから重装備は不要だよね、という改編の筈が、重装備は廃止するが機動運用で動いてもらう、と。

 重装備を廃止するならば、せめて歩兵部隊として十全の活躍が出来る様に、普通科連隊へ96式装輪装甲車やパトリアAMV装甲車や機動装甲車でもよいのですが、充分配備し手は、とも思うのですが、そういった動きも無く、政府は有事の際に陸上自衛隊をどのように駆使しようとしているのが、行事を見ている限りわからないのが、最近の現状なのです。

 ウクライナの戦訓を見れば、重戦力は今なお有効ですし離島防衛へはスウェーデン軍がウクライナ有事に際しバルト海のゴトランド島へ機甲部隊を前進させ、ロシア飛び地であるカリーニングラード周辺をNATOが機械化部隊で守りを固めた事で戦争は拡大していません、一方、欧州各国が削り過ぎた重戦力はウクライナ支援を制限している、これが現実だ。

 練習艦隊の近海練習航海部隊、その全国巡航の練習航海についてみてみましょう。近海練習航海部隊は佐世保を出航、予定では29日水曜日から31日金曜日まで宮古島と石垣島に入港する予定です。この日程ですが、海上自衛隊HPの発表では宮古石垣とありますが、宮古島と石垣島に両方とも入港するのか日程が不明確、地本HPなどをご覧ください。

 近海練習航海部隊の先島諸島入港ですが、他方で両島では中国軍事圧力の増大を受け新駐屯地創設へ向け大車輪で準備が進められています。近海練習航海の目的には、公開を通じて新任幹部へ、我が国の防衛安全保障状況を理解させる、というものも目的として挙げられていますので、これこそまさに防衛の最前線を、ということになるのかもしれません。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・3月26日:春日井駐屯地創設56周年記念行事


■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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岸田-ゼレンスキーキエフ首脳会談,日本が約束した"非殺傷の装備品"とはなにが現地で必要とされているか

2023-03-24 07:00:33 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 非殺傷の装備品、装備品というからには民生品や仮設住宅などではなく自衛隊に装備されているものなのでしょうが何を示すのだろう。

 岸田総理大臣はウクライナのキエフを訪問し、ゼレンスキー大統領との間で初の首脳会談を実施、総理は手土産に“しゃもじ”を手渡しました。ステルス機の暗号名称でも新型ミサイルの略称でもなく、あのご飯とかを盛る特大のしゃもじです。宮島しゃもじという広島県の特産物で、海上自衛隊の方曰く、まあ最悪の場合フネを漕ぐのに使えるよね、と。

 縁起物ではあるそうですが、しかし戦時下のキエフに何を持ちこんでいるのだ、と。イギリスはチャレンジャー2主力戦車を、フランスはカエサル自走榴弾砲を、アメリカはHIMARS高機動ロケットシステム、ドイツはレオパルド2主力戦車、カナダはバイソン装輪装甲車、イタリアはFH-70榴弾砲、日本はしゃもじ、G7主要国の中で一つ浮いている。

 非殺傷の装備品を中心に供与する。確かにしゃもじは映画潜水艦イ57降伏せず劇中で艦内の喧嘩に水雷科の水兵さんを主計科の水兵さんが引っ叩くのに使ったくらいで、非殺傷用ですが、例えば退役させる82式指揮通信車を装甲救急車として内部に担架を設置して供与とか、軽装甲機動車を供与するとか、退役するUH-1J多用途ヘリコプターなど出来ないか。

 90式戦車の退役が始りますが、このあたりを供与してはとも思う、ロシア軍がT-62戦車を復帰させているのだから能力的には退役進む74式戦車を供与してももう漏れる情報はほとんどないし、ロシアが鹵獲し74式戦車への対抗策を練ったとしても、供与条件に戦後に鹵獲したT-90戦車残骸などロシア製装備バーターを要請するならば十分帳尻は合います。

 渡河器材や築城器材、非殺傷装備といいますとこの当たりをもう少し真剣に考えてみてはと思う、特に今後ウクライナ軍がドニエプル川を超えての反撃を行う場合にウェットギャップの克服に渡河器材はどれだけあっても足りません、なにも供与するものが最新の07式機動支援橋でなくとも、こちらの生産を急ぎ旧型の81式自走架橋柱を供与してもよい。

 しゃもじ供与では、日本の品格が疑われる。もちろん非殺傷の装備品を供与することは盟約しているのですから、なんらかの装備品を供与するのでしょうけれども、野外炊具一号とか野外洗濯システムⅡ型のような、現地が死活的に必要とはしていない装備よりは、例えば毎年数百両が廃棄されている高機動車、何故か廃車をロシア軍が使っている、こういったものの方が現場では歓迎されるでしょう。

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南海トラフ連動地震と十二年目の東日本大震災【4】輸送力の決定的不足と輸送需要量算出不備放置の現状

2023-03-23 20:00:11 | 防災・災害派遣
■必要物資事前見積が必要
 主要道路寸断と主要港湾の被災、輸送機にヘリコプターと上陸用舟艇や全地形車両の輸送力が実際のところ初動を左右する事となるのかもしれない。

 南海トラフ連動地震では、防災当局の空輸能力が試される事でしょう。具体的には被災地を府県単位で空輸拠点を整備し、そこに初動12時間でどれだけ、ブルドーザや油圧ショベルとダンプカーにバケットローダーを運び込めるか、どれだけの救援物資を満載したパレットを運び込めるか、高規格救急車や移動手術システムなどを運び込めるかで決まる。

 移動手術システムは東京消防庁が地下鉄サリン事件に際して派遣したことでその装備の知名度が上がりましたが、自衛隊の野外手術システムのような機材をもう少し、財政難といわれても必要なものは必要なのだ、と揃えねばなりません。そしてもう一つは内陸部の病院を稼働させる移動発電機や燃料空輸体制、真水生成装置や応急テントの空輸体制など。

 アイアンマウンテンを回避する、南海トラフ連動地震災害派遣及び政府防災計画を考えるうえで絶対必要な視点はここに尽きると考えます。アイアンマウンテン、これは不要なものを含む物資の山積み状態を意味する軍事用語で、予備部品や弾薬に糧食や衛生機材と予備装備や応急器具、第一線部隊は不安からあらゆるものを備蓄しようとする心理による。

 アイアンマウンテンは余裕ある物資、というとらえ方もできるのですけれども、限られたリソースを的確に分配しなければ全体として物資が不足する状況では避けなければならない無駄そのもので、そして山積みされているのですから必要なものを即座に取り出すことができないことを意味しますので、結局必要な時に必要なものが間に合わないこととなる。

 被災地の見積もり、非常に残酷な表現と御映るかもしれませんが、被害規模をどの程度と考えるか、事前に見積もることで必要な物資の供給量が決定します、これはもちろん、南海トラフ地震がどの規模で発生するのか、またどの程度連動するのか、という事で大きく変動する要素でもあり一概に出せない要素ということは理解が必要ですが、概算だけでも。

 C-2輸送機とCH-47JA輸送ヘリコプター、いや物資輸送用に老朽化し退役したUH-1を応用しての無人機型などを含め、あらゆる輸送手段が必要と考えます、しかし、単に一機でも多く、となりますと、いやいや十分だ、という財務当局などからの反論に十分応えることができません。そのうえで喩え概算だけでもこの程度必要だ、と示す必要があるのです。

 自衛隊の任務は災害派遣ではない、こう反論があるのでしょうが、繰り返す通り国としてリソースをすべて投入しなければならない規模の災害ですので、自衛隊がやりたくないというならば、防衛予算を減らして総務省に割り振り総務省がC-2輸送機を導入する、というような選択を迫られる規模の問題です、南海トラフ地震想定死者数は核攻撃に匹敵する。

 そのうえでC-2輸送機、自衛隊の本来任務においても必要な装備です。先ず、南西有事に際しては那覇基地に集中する航空自衛隊戦闘機部隊を燃料でも予備部品でも弾薬でも予備エンジンでも空輸して支えねばなりません、F-15戦闘機を一例に出せば弾薬と燃料を満載して一回の任務飛行に必要な物資重量は、C-1輸送機の空輸能力よりも多いのですから。

 不足している、十分ではない。C-2輸送機については“生産予定数を削減する”決定が既にあり、“空輸能力は十分であるために飛行隊定数を8機に減らす”という決定がなされています。すごいなあと思うのは“トンガ噴火災害救援”“カブール陥落邦人輸送任務”、実任務でC-2輸送機が足りず飛べていないのに十分、直ちに不足していない、という方便か。

 空輸能力の基準を先ず整備目標として示して、その上で空輸能力の基準に対して、南海トラフ地震の想定被災地への輸送能力が十分であるか不足しているのか、輸送機をさらに増やすのかそれで十分なのか、という視点を持つ必要があるよう考えるのです。そして断言できる事ですが自衛隊輸送機の十分という現状整備目標は、あきらかに現実を見ていない。

 空挺団降下訓練始めに1機しか輸送機を出していない、この一点で航空自衛隊の輸送機不足は深刻であると強調できます。C-2輸送機は素晴らしい輸送機なので1機あれば空挺作戦を完遂できるに決まっている、こうした反論があるのかもしれませんが、2023年の降下訓練始めはアメリカ軍のC-130J輸送機3機とC-2輸送機1機、米軍に依存していた。

 米軍に自衛隊の四倍もの機数を、それも突発的な事態ではなく年次計画に盛り込まれている空挺団訓練展示に航空自衛隊が輸送機を出せない状況は明らかに不足している以外何ものでもありません、先ず、空輸飛行隊定数をもともとの12機、もしくはC-130、小牧の第401飛行隊のように16機まで増強するところから、開始してはどうか、と思うのです。

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