北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-アルムヤンスク複郭陣地造成とチョンガル橋へのウクライナ空軍ストームシャドウミサイル命中

2023-06-26 07:01:43 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシアでのワグネルクーデター"六月の十五時間"事件が混乱を招く一方でウクライナではクリミア半島に注目があつまっている。

 ロシア軍はクリミア半島北部のアルムヤンスクに複郭陣地を造成してクリミア半島の防衛を強化しています、これはイギリス国防省の6月21日付戦況報告に示されていました衛星写真により確認できます。複郭陣地は二本の深い対戦車壕と複数の連絡用塹壕から成り、この防衛線は衛星写真で確認できるだけでも全長9kmにのぼっているとのこと。

 アルムヤンスクはクリミア半島とヘルソンを結ぶ地峡にあり、ここを占領された場合クリミア半島にウクライナ軍が進軍する突破口になりうる緊要地形という。この防御線は5月の段階では確認されなかったもので、数週間の間にロシア軍が急速に造成したことを意味します。限られた工兵能力を防御線構築に費やすには相応の意味が考えられる。

 クリミア半島への接近経路となる緊要地形にロシア軍が防衛線を強化する背景には、ウクライナ軍にヘルソンからのクリミア北部信仰が可能であることをロシア側が認識していることとなる。クリミア半島は2014年のクリミア併合によりロシア軍が武力奪取した地域であり、同時にロシア軍がクリミア占領の優先度を高く認識していることがわかる。
■チョンガル橋破壊
 自衛隊も精密誘導兵器の導入を急ぐと共に何より国産装備体系の長射程化を急ぐべきとおもう。

 ウクライナ南部ヘルソン州のロシア占領地域にあるチョンガル橋がウクライナ空軍のストームシャドウミサイルによる攻撃を受け通行不能となっているもよう。これはロシア側が22日に発表したものでメリトポリとクリミア半島を結ぶ最短経路にあるとのこと。またチョンガル橋以外の橋梁も複数、パルチザンの攻撃を受けていると発表されている。

 チョンガル橋に命中したストームシャドウミサイルは命中直前のホップアップ軌道を描いたのちに道路部分を破壊し、その上で道路部分の真下にある支柱へ貫通し爆発しており、現時点では崩壊していないものの橋脚部分の損傷は復旧を長引かせるか、簡易復旧後の十車両通行を制限させる可能性があり、この為に修理期間が長引くとも発表されている。

 チョンガル橋に対する攻撃はロシアがヘルソン州占領地域知事に任命したウラジミールサルドが発表しました。橋自体は崩落しておらず精密誘導により中央部が破壊され数週間の修理期間を要するとしています。これら橋梁破壊はクリミア半島を孤立化させるとともに南部占領地のロシア軍部隊についてウクライナ反撃への移動を阻害することになる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ワグネル武装蜂起:検証-六月の十五時間,モスクワ南方200km突然の進撃停止とロシアプーチン政権残る傷

2023-06-25 20:05:58 | 国際・政治
■核攻撃は回避,ロシア騒擾
 1991年のモスクワクーデター以来、2020年代ではロシアウクライナ戦争と並んで国際政治上の世界危機と成り得る最大の関心事が昨日午後から本日未明までロシアで展開されていました。

 悪をまき散らす国防省上層部を止めなければならない、兵士たちの命にかかわる問題として立ち上がる。ロシアの民間軍事会社ワグネルが昨日突如として武装蜂起しました、国防省批判発言などから関係が悪化し、FSB連邦保安局の国策捜査が始まる直前にワグネル創設者プリゴジン氏自身もロシア軍の攻撃を受け、ロシア連邦軍南部軍管区司令部を押えた。

 日本国内報道があまり関心が無いような状況でしたが、もう少し報道特別番組を組んで関心を持つべきであったのではないか、ソ連崩壊の際には自衛隊も北部方面隊を中心に非情勤務体制をしきましたし、映画の“クリムゾンタイド”のように核兵器が関わる非常事態に世界が巻き込まれる懸念もあった、僅か15時間で終わるとは誰も思わなかったでしょう。
■六月の十五時間
 ワグネルへのロシア当局捜査が行われるという前日までの報道からウクライナ戦争での貢献もロシア国防省批判の行き過ぎの前には無意味かとと思われたその時、事態は起こった。

 六月の十五時間、ワグネルのプリゴジン氏がワグネル部隊により占拠された南部軍管区司令部に入ったのが日本時間24日1330時、そこから日本時間25日の0500時にモスクワに向かったワグネル部隊が北上を停止し南部軍管区司令部の占拠状態がワグネル撤退により危機が解消されるまでの15時間は、下手をすれば核兵器が使われかねぬ緊張があった。

 大ごとになった、驚かされたのはロシア連邦軍や国家親衛軍などロシアには多数の部隊がウクライナ侵攻作戦とは独立して防衛に当っているのですが、ワグネルは驚くべき速度でモスクワに迫り、しかし15時間後に突如として進撃を停止した。ロシア軍の国内防衛が此処まで杜撰だとは考えられず、また、大規模衝突が回避されたのも、僥倖でまた驚く。

 ロストフの南部軍管区司令部は、ウクライナ戦線を担任する司令部であり、陸海空の統合司令部であるために、クリミア半島というロシアがもっともその併合後の占領を重視している地域に司令部を隣接させる黒海艦隊も南部軍管区司令部隷下にあり、そしてなによりもウクライナの戦場で戦うロシア軍部隊の兵站拠点でもあり、ここの占拠は衝撃でした。
■大統領演説と脱出
 ロシア軍の軍管区司令部が占領される等は前代未聞でソ連八月クーデターやモスクワクーデターとよばれた1991年以来の危機となったのは明白でした。

 プーチン大統領は24日1600時に緊急のテレビ演説を行い、ワグネルの行動は反逆である、とこれがクーデターである事を大統領が認識している事を示したうえで、反逆者に対する行動は厳しいものとなる、こう発言しており、しかしロシア軍が投入できる第1親衛戦車軍などはウクライナ派遣中、厳しい措置とは何を意味するかは非常に大きい関心事です。

 大統領専用機のモスクワからの脱出が航空機運航情報開示サイトフライトレーダーに示されたのは日本時間24日2030時でした、モスクワを離陸した政府専用機は予備機を含んだもので、続いてIl-80国家戦争指揮機もモスクワを脱出し、サンクトペテルブルクへと向かい、これはクレムリン宮殿からプーチン大統領が逃げたのではないかと憶測されました。

 クレムリンからプーチン大統領が逃亡したのではないか、こうした憶測に大統領府のペスコフ報道官は、大統領は執務室に居ると発表しますが、しかしプーチン大統領自身がテレビ等を通じて呼びかける事は無く、憶測が広がった形なのですが、実際問題としてプーチン大統領が逃げたのかどうかについては日本時間25日1900時では未だわかりません。ただ、クーデターを珍sネイ化させたトルコのエルドアン大統領程の度量は無い。
■ワグネルと国防省
 ショイグ国防相とプリゴジン氏の政治闘争というべき背景が在った為にもともとプーチン大統領を狙ったものでは無かったという意味で、何故か関ヶ原の戦いを思い出してしまった。

 武装蜂起に至ったのは、ワグネルとしてはロシア国防省が突き付けたワグネル戦闘員の国防省への編入要求、つまり、ワグネルを事実上認めない措置というものは認められない為、これを拒否し続けたプリゴジン氏に対して、再三兵站面や指揮運用で対立したショイグ国防相を、プーチン大統領が支持している状況はワグネルの存亡を賭けた状況といえます。

 民間軍事会社であるにもかかわらず正規軍より強いのは何故か、こう問われますとワグネルは、アフリカ地域や中東地域など、“国家として正規軍を国際政治の観点から派遣できない地域へロシアが派遣できる戦力”という位置づけであり、ロシアとしては“軍事介入はしていない、やっているのは民間企業”と強弁できる位置づけ故、強化されていました。

 存亡という表現は大袈裟ではなく、ロシア国防省の求めた“ワグネル戦闘員一人一人を国防省と個人契約を結ばせる”という要求はワグネルの指揮系統を破綻させるものですが、ワグネル戦闘員への意図的といえる誤射や弾薬補給の遮断は、日本でいえば大戦中のガダルカナル送りのような状態で消耗させる事も可能であり、消されかねなかった状況です。
■ワグネルはモスクワへ
 ロストフ南部軍管区司令部占拠だけでも充分大事件でしたが、今後は司令部を包囲する鎮圧部隊という展開が有るかと思えばワグネルはモスクワへ向かうとプリゴジン氏が宣言し事態は一転する。

 モスクワへ進撃する。ワグネルによる南部軍管区司令部占拠は、なにしろ第二次世界大戦の独ソ戦以来という事態ですので大変な事になったと驚かされました。しかし、プリゴジン氏としてはFSBロシア連邦保安局により過去の発言から、ワグネルに叛乱を呼びかけた疑いでの捜査が開始された為、動かなければ消される状況でしたが、動く規模がおおきい。

 T-72B3戦車やパンツーリ複合防空システムなど、ワグネルの装備がワグネルの信仰経路であったM4高速道路やM2高速道路沿線住民が撮影し投稿したテレグラムなどSNS画像により改めて明らかになりまして、もともとは若干の戦闘ヘリコプターと装輪装甲車を持つ軽歩兵部隊から始まった民間軍事会社でしたが、変な話、本州の師団以上の装備という。

 ウトキン元GRU中佐、更に注目したのはモスクワに向かい北上していたワグネル部隊の指揮官がもとスペツナズ旅団長を務めたGRU退役中佐が指揮していたということで、そもそもレストランオーナーであったプリゴジン氏が民間軍事会社を創設した際の軍事部門創立に関わった主導者という指揮官が率いていた為、モスクワへの北上の早さは際立っている。
■モスクワ南方200km
 200kmという距離は姫路市と京都市の距離なのですが装輪装甲車ならば短時間で到達出来る距離です。

 200km、モスクワの南方200kmまでワグネル部隊が展開していましたが、ロシア連邦軍は戦闘ヘリコプターによる攻撃を行っていましたが、ワグネル自身がウクライナ最前線での無人機攻撃や航空攻撃に曝された際の実戦経験とともに、機関砲と短射程ミサイルとレーダーを一体化させたパンツーリ複合防空システムを装備、複数機が反撃で撃墜されている。

 進撃停止。正直、日本時間今朝0230時頃にこの速報が入るまでは、ロストフに核攻撃が加えられるのではないかという事を真剣に危惧していました、プーチン大統領が執れる選択肢は限られ、一方でモスクワ市では対戦車壕掘削や陣地構築などが開始されていたため、モスクワでの市街戦が必至であるとされ、モスクワ市長は月曜日の学校休校を発表した。

 ロシア人同士で血を流す事態を避けたい、プリゴジン氏は日本時間25日0200時にこうした発言を行いまして、ロシア側と和解に居たたというロサ報道があり、しかしプリゴジン氏自身がSNSを通じてその発言を否定したりという、明日には映画の“モスクワ大攻防戦”か、南部軍管区の核兵器で映画“クリムゾンタイド”再現かと危惧したところですが。
■ルカシェンコ大統領
 今回の騒擾で評価を挙げたのは雲隠れしサンクトペテルブルクへ逃げたとも云われるプーチン大統領ではなく、実力と覚悟を見せつけたプリゴジン氏とベラルーシのルカシェンコ大統領なのかもしれません。

 ルカシェンコ大統領、ワグネルの北上を停止させた背景には隣国ベラルーシの大統領であるとされています。隣国の大統領に此処まで交渉が出来たのかは当初懐疑的に思いましたが、ワグネルの北上停止とともに、プリゴジン氏とベラルーシのルカシェンコ大統領の個人的関係により、事実上、プリゴジン氏をベラルーシに追放する事で停戦に至ったという。

 罰せられるものは誰もいない、ロシア大統領府のペスコフ報道官がこうした発言を日本時間深夜に突如発表します。ベラルーシ大統領がロシアの国家危機を収束させられるのかについては、実際にワグネルの停止が確実となるまでは懐疑的でしたが、今回のワグネル武装蜂起に対して刑事的に罰せられるものはいないと、発言、一応危機はさったかたちです。

 プーチン政権には、しかし大きな爪痕を残したといえる。大統領の権威は傷ついたとしか言えません、強い発言でワグネルを罰すると発表しましたが、15時間後、まさに朝令暮改というかたちで圧しきられた構図であり、また国家親衛軍もFSB軍も連邦軍もワグネルの北上を停められず、モスクワまで十数時間であと200kmまで前進させられたに他ならない。
■民間軍事会社ワグネル
 ワグネルはどうなるのか。今回の騒乱に参加したワグネルは罪に問われないというロシア政府の方針が示され、これまでのウクライナでの戦果を考えれば罰せられないというロシア政府の発言は千夏に向かい撃墜されたロシア軍航空機搭乗員の家族や戦友には響く。

 ワグネルは、ロシア民間軍事会社からベラルーシとロシアの多国籍企業となって生き残る可能性がある、独裁政権と欧米から非難されるルカシェンコ大統領は親衛隊に当る信頼できる武装組織を必要としています。一方、ロシアもアフリカの鉱山警備や希少金属掘削などでワグネルを必要としており、国防省直轄にしてしまえばその利点は失われてしまう。

 ウクライナ戦争の最中に生じた、六月の十五時間、ロシアウクライナ戦争全般の情勢には変化はない事をロシア政府は強調していますが、しかしロシア具軍事機構が一枚岩ではない事を示した構図ですし、ロシア軍の防衛力が低い事を改めて証明した形、なにより想定外の事態に何も対処出来ないロシア軍官僚主義を露呈しました。この影響は、大きい。

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【京都幕間旅情】京阪7000系電車,京阪本線と鴨東線の京都市内に走る地下路線と国際報道-六月の十五時間

2023-06-25 18:16:41 | コラム
■京阪の地下路線
 15時間に上る緊張が続きましたがこの問題を日本国内の報道が下手すれば核兵器が使われる状況なのにまったく報道せず、変な話ロシアよりも日本で報道管制が有るのではと皮肉りたくなった。

 京阪三条駅、京阪電鉄の地下の駅に入る7000系電車です。6000系あたりから貫通扉が目立たないデザインの車両が京阪に入りまして世代交代といわれたものですが同時に京阪鴨東線により京阪電鉄の京都側にも東福寺駅以北地下の駅、というものができたものでした。

 六月の十五時間、というべきロシアでのワグネル武装蜂起、ロストフクーデター事件、断固たる措置を執るとプーチン大統領がTV演説し、逆にワグネルが掌握した南部軍管区司令部隷下には核ミサイル部隊もあり、核兵器の懸念を久々に感じ、こんな路線の話題をする。

 鴨東線、地下路線、平和学習といますか大昔の子供の頃に学んだ大阪大空襲の話で偶然動いていた市営地下鉄により相当数の人命が空襲の最中で焼失地域圏外に逃れる事が出来たと聞いていますので、京都の地下鉄はそれほどでもないなあ、と心細く思った人もいた。

 京都は中心部にも文化財と共に木造家屋の密集地域がありますが、市営地下鉄の阪急線の一部が地下路線になっている、ということで地下路線も換気系統が麻痺しますと酸欠状態になる為に危険なのですが、爆風を一時的に避けるのは地下が理想的であることもたしか。

 日本には公共核シェルターなんてものはないものですから、非核三原則を堅持し核兵器による武装を拒否して核兵器の恫喝に立ち向かおうというのだから、こうしたシェルターというものはもう少し考えなければならない、もちろん建設費は掛かるものだけれども。

 京阪の地下路線を見ていまして、これを撮影するとともに、しかし日本亜未だ平和だなあ、と待つ人々の、ゲームの話題や動画の話題が聞こえてきましたのでほっと和むところでしたが、国際報道の、六月の十五時間、終電後にあってなかなかに緊張したひと時でした。

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ウクライナ情勢-DGFドニエプル軍集団の移動開始と督戦に当る防壁部隊,ウクライナ軍攻撃中断は威力偵察か

2023-06-25 07:00:23 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ワグネル武装蜂起のクーデター事案に関しては現在情報収集中ですのでウクライナ戦争の全般状況を。

 ロシア軍はザポリージャ戦区とバフムト戦区の防衛のためにドニエプル川東岸を防衛するDGFドニエプル軍集団の一部を移駐させ始めた可能性がある、イギリス国防省ウクライナ戦況報告6月19日付版により分析されています。移動を開始した部隊は第49軍の第34独立自動車化狙撃旅団と空挺部隊や海軍歩兵部隊など、少なくとも数千名規模という。

 DGFドニエプル軍集団の移動開始について、ロシア軍はカホフカダム破壊によるドニエプル川周辺地域の水没により、ウクライナ軍がドニエプル川周辺地域での反撃が行えない状況にあると解釈した可能性をイギリス国防省は指摘しています。大規模な洪水被害に見舞われたドニエプル川周辺地域については、ようやく水が引き始めたとされています。

 ドニエプル川周辺地域について、ロシア軍占領地域ではコレラの発生が報告されており、ダム破壊による上下水道の破壊と不徹底の消毒作業により伝染病が蔓延し始めたことを示しています。コレラは住民にも感染者が多数出ていると予測できますが詳細は不明で、ロシア軍部隊には相当数の患者が出ていることが病院占拠などにより判明しています。
■威力偵察なのか?
 現在の隔靴掻痒という状況は反撃の攻撃軸を探る威力偵察なのでしょうか。

 ウクライナ軍は威力偵察の段階を完了した可能性がある、これはISWアメリカ戦争研究所が6月18日に発表した情報で、この戦争を分析しているエストニア国防研究所のマルゴゴルスベルク大佐の分析として、一週間にわたりウクライナ軍の顕著な攻撃が見られない、としており、これまでの反撃は大規模な反撃前の威力偵察である可能性を示した。

 威力偵察、ウクライナ軍は陸軍10個旅団に加え新設部隊や海軍陸戦隊と志願兵部隊などを加え25個旅団をこの反撃に準備しており、これまで戦闘加入した部隊は明らかに小規模となっています。これは前線のすべての地域で小規模な攻撃を加え、その反撃度合いなどからロシア軍防衛線の穴を探そうとしている可能性が考えられるのです。その穴とは。

 ロシア軍は防壁部隊という、前線からの逃亡兵などを制圧する督戦部隊を配置しており、例えば小規模な攻撃に対して逃亡する兵力の大きな地域は指揮系統の問題や士気そのものに問題があることを示しています、ウクライナ軍の戦闘はロシア軍前哨陣地を相手としたものに限られていますが、主陣地の戦力評価を考えている可能性をISWは指摘しました。

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ワグネルクーデター!ロストフ市ロシア南部軍管区司令部占拠とモスクワ南方三五〇kmのヴォロネジで戦闘

2023-06-24 20:00:12 | 防衛・安全保障
■プーチン大統領緊急声明
 2022年2月のロシア軍ウクライナ侵攻以来何が有っても驚く事はないと覚悟を決めてきましたが、今回は流石に。写真は富士総合火力演習のそれっぽいもので代用です。

 ロシアの民間軍事会社ワグネルが反乱を起こしロストフにあるロシア南方軍管区司令部を占拠しました。これは事実上のクーデター事件であり、ロシアのプーチン大統領は日本時間1600時過ぎに臨時のテレビ演説を行い、ワグネルの行動は反逆であると強い意志を表明しました。そのうえでプーチン大統領は厳しい措置をとると警告しています。

 プーチン大統領は、ロシアを守るためにできることを全て行うと発言、ワグネル創設者で経営者であるエフゲニープリゴジン氏が、ロストフ市内の全ロシア軍拠点をワグネル部隊が占拠したと主張している南部ロストフの情勢安定に向け、決定的な行動を執ると発言しています。なお決定的な行動、というものがなにを示すのかは明らかにされていない。

 ロシア南方軍管区司令部は隷下に第8軍、第1陸軍軍団、第2親衛陸軍軍団、第47ミサイル旅団や第238砲兵旅団、第49軍、第7親衛空挺師団、黒海艦隊、カスピ艦隊、第4空軍などを隷下に置く重要司令部で、ロシアの軍管区司令部が占拠されたという事例は1940年の独ソ戦を除けば事例がありません、そして少なくない規模の戦闘が発生している。

 ロストフ市内ではワグネル占拠前に市街地防衛へ戦車部隊が展開する様子などがSNS画像として示されています、市域の防衛に当たるために展開したことになるのですが、こののちにロストフ市内が占拠されたということは少なくとも戦車部隊が撃破されたことを示し、またワグネルはモスクワへ移動を開始している兆候など未確認情報としてあります。

 ワグネルとロシア国防省の不仲はこの戦争が始まって以来常に指摘されており、特にロシア国防省は“7月1日までにワグネル構成員はロシア国防省との個人契約を結ぶように”との通知を示しており、これは事実上のワグネルの解散通告にあたるものを出していました。この最後通牒に対してワグネル経営者プリゴジン氏は激しく反発していましたが。

 ロシア国防省に対して6月16日付でワグネルとロシア国防省の新しい契約書を通知した、プリゴジン氏はロシア国防省からの最後通牒を受けロシア国防省にワグネル構成員の引き抜き行為をやめて新しい契約を結ぶよう要求したことを6月19日に発表しています。他方、ワグネルとしては多大な犠牲を払いロシアへ貢献している自負があるのでしょう。

 FSBロシア連邦保安局は、ワグネルの武装蜂起前に、ワグネルが軍事クーデターを計画しているとしてサンクトペテルブルクにあるワグネル本社を捜索しており、また現時点でもワグネル本社はFSB保安部隊、基本的に冷戦時代のKGB軍にあたる軍の反乱に備える重武装機械化歩兵部隊があるのですが、これらの部隊が本社社屋を包囲封鎖している。

 プリゴジン氏が軍事行動に踏み切った理由について。プリゴジン氏自身が、ロシア軍によりワグネルが攻撃を受けており、特に正規軍からの組織的な攻撃はワグネル部隊に向けられることは複数あり、バフムト近郊では攻撃を加えたロシア陸軍第47旅団長を逆にワグネルによる指揮所攻撃を加え捕虜にした事例もありましたが、反乱には至っていない。

 プリゴジン氏本人へのロシア軍からの攻撃が加えられた、というものが今回の武装蜂起の背景となっているようで、未確認情報ではロシア南部のヴォロネジについても戦闘が発生しているとのSNS情報があり、ファクトチェックが急がれています。なお、BBC報道でリペツク州アルタモノフ知事はヴォロネジ州とのM4高速道路を封鎖したと発表した。

 ヴォロネジはロストフよりもはるかにモスクワに近く、ウクライナのハリコフからみても北方、有名な第二次世界大戦中のクルスク戦車戦が戦われたクルスクの東方に位置しており、ロストフとヴォロネジの中間地点にあるパブロフスクでも戦闘が発生しているとのSNS情報があり、情報が錯そう。忘れてはならないのはロストフの戦略的な意味だ。

 ロストフ、ここを占領されているままではウクライナへ侵攻したロシア軍は完全に補給路を断たれた状態となり、ワグネル部隊が投稿しなければウクライナ占領中のロシア軍は補給を断たれ干上がる、その影響度合いはクリミア大橋破壊などとは比較になりません。言い換えれば2022年2月のロシア軍ウクライナ侵攻開始以来の世界への衝撃といえます。

 ヴォロネジでの戦闘の意味するのは、そしてなによりもヴォロネジがモスクワまで350㎞という事実だ。ワグネルの要求は示されていません、可能性としてショイグ国防相の更迭をプーチン大統領に突き付け、ウクライナ侵攻作戦を合理的な作戦に切り替えるよう要求している可能性もありますが、これから24時間は何が起こるか、わからないのです。

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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-三条木屋町,高瀬川の流れとともに過ごすグルメなひととき

2023-06-24 14:44:12 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 京都も混雑してきました。半年前には結構人出が多くなったと思ったものですがあれもはじまりに過ぎなかった、そんな最中に散策を。

 出ばなをくじかれるという事はこういう事なのでしょうか、入ろうと思ったお店が改装中だった。しかし一瞬まさかの廃業かパンデミックリターンズかとおもったりして心臓に悪い、そういうお店は予約、とテレビで角野卓三さんが言っていたが、外食は気軽にと思う。

 サルヴァトーレクオモ。先週土曜日に久々にここで一杯やろう浴びるほど飲んでさっさと寝てしまおう、色々あったしこういう時は呑むに限るんだと思っていましたら、何と改装中、ということで改装前の様子を紹介しましょう、改装後を楽しみに、という意味でです。

 三条木屋町の、高瀬川ど真ん中に信号機が有る、こういえば嗚呼あそこなのかと思われるあもしれませんが、歴史好きには佐久間象山遭難の地、といえば分ってしまうのでしょうか、幕末では池田屋騒動があった池田屋跡地にある居酒屋池田屋の直ぐ近くというべきか。

 高瀬川、あの森鴎外の高瀬舟で有名な立地にありますサルヴァトーレクオモさんは、まあこの界隈ではお気に入りと云いますか旧知の仲の方とともに一杯やるお店だったりします、それはCOVID-19の時代にも、なにしろ風通しの良いテラス席がありますので、重宝する。

 ステーキのグリル、サルヴァトーレクオモの名物はランチタイムのビュッフェなのだけれど年々お値段が高くなり、そしてランチタイムでも単品を注文できるといいますから、あえてがつがつ満腹を目指さず、美味しいものと、そしていい感じの飲み物を頂くのも良い。

 イタリアンなお店ですからピザを頂くのもよいのですが、がっつりステーキを高瀬川の流れなんてのを眺めながら頂く、というよりも食べ物をお供に情景を愉しむ、という時間の過ごし方も良いのかもしれません。高瀬川の流れは、庭園ではみられない冷涼感がある。

 さくら、春はここで花見ができるところなのですが、考えればこれからポストコロナ、COVID-19の落ち着きと共にここも混雑するのだろうなあ、と思うのですが、まあこういう立地は多くの人たちでめでた方が、とも思うのですね。テラス席は風通しも良いですし。

 高瀬川、真夏にはここも凄い温度になるのですが、こちらが焙られる前にサルヴァトーレクオモさんはミスト装置をとりつけてくれますので、ちょっと爽やかに、湿気が更にすごくなるとかいう事無く、見た目で癒してくれる、高瀬川を眺めながら頂くのが好きなのだ。

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沖縄慰霊の日ー78年目の沖縄戦,南西防衛力整備-平和的生存権の希求と地政学上相容れぬ単なる不戦の行使

2023-06-24 07:00:12 | 国際・政治
■平和と安全をかんがえる
 沖縄78年目の慰霊の日を昨日迎え首相臨席の慰霊式典と共に県知事からは沖縄の防衛力強化への不安が指摘されました。

 沖縄戦、激戦でした。しかし第32軍と共に県民が多大な犠牲を払い米軍を南西地域にくぎ付けとしたことで、本土決戦という状況が現実化する前に、特に台風シーズンは連合軍の航空作戦や海軍部隊の運用が制約される、その最中に終戦交渉を進め地上戦を回避できた、こうした意味で本州九州の住民は沖縄本島の方々に多大な借りが有ることも事実なのです。

 地政学的な要件が有る為に、日本国憲法の精神が平和的であるのか中国共産党の行動が平和的であるのかを考えた上で、地政学上の要衝は抑える力が弱まればその地理的要件が地域紛争の要因となる、解決策は中国の民主化を進め権威主義国家の専制的行動を制約する他ないのですが、沖縄の平和を考える際にはこうした視点も絶対必要なのです。しかし。

 旧軍は沖縄県に郷土連隊を配置せず防衛を担ていた、あまり京都では旧陸軍の配置などを教えるものではありませんし、義務教育において自分の郷里にどの旧軍部隊が配備されていたかは教えないのですが、沖縄では第32軍については平和教育として教えています。すると、戦局悪化までは貼り付け部隊も要塞砲兵も置いていなかった、という事実はある。

 自衛隊の反撃能力整備、現在の地対艦ミサイル中隊は射程から考えた場合、沖縄に上陸しないでほしい、と拒否する為の装備体系となっていますが、地対艦ミサイルの射程延伸により、相手の策源地に直接攻撃を加える装備体系、と転換し得ます。いや沖縄配備の部隊だけでもNSMミサイルなど相手を刺激しない装備に切替えられれば、とおもうのですが。

 B-21爆撃機のような、スタンドオフミサイルを運用する事が既に方針として示されているのですから、思い切ってかつてオーストラリアがキャンベラ爆撃機やF-111戦闘爆撃機を導入した際の様に、B-21は一応オーストラリアも検討した上で現段階で不要、と結論が出た、こうした装備を思い切って導入し、沖縄は沿岸防備に集中しても良いのではないか。

 那覇基地や嘉手納基地に配備するのではなく、思い切り後方の相手の准中距離弾道弾射程外の基地に配備し、有事の際には空中退避し必要な策源地攻撃や反撃能力行使に当る、こうした選択肢があって良いのかもしれませんが、防衛政策を政治が考える場合には、歴史的で文化的な要素というものをもう少し配慮する事が出来ないだろうか、と考えるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和五年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.06.24-2023.06.25)

2023-06-23 20:03:20 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 今週末は真駒内駐屯地と北千歳駐屯地という北海道二つの駐屯地が行事でにぎわいます。

 第11旅団創設記念真駒内駐屯地祭、日曜日に行われます。札幌市南区真駒内という、政令指定都市に司令部を置く第11旅団は地下鉄真駒内自衛隊前駅から徒歩すぐ。有事の際には地下鉄線路を使って札幌中心部に戦車を送ることができるといわれる部隊です。もっとも地下鉄は高架路線上にあるため、なんとかして担いで階段を登らねばならないが。

 真駒内、実は北部方面隊の歴史の中心にあるような駐屯地です。総監部は札幌駐屯地じゃないか、と反論されそうですが、第二管区隊のもととなり現在の第2師団に繋がる警察予備隊第一部隊が1950年に創設されたのは真駒内ですし、1955年にいまの第7師団の前身である第7混成団が創設されたのもここ真駒内、1962年には第11師団が創設された。

 第11戦車大隊もここ真駒内に長らく駐屯していまして、故に旅団祭では90式戦車が2個中隊揃って観閲行進に参加し賑わせてくれたのですが、2014年に北恵庭駐屯地で第1戦車群廃止を受けその施設を利用するかたちで第11戦車大隊が移駐、少々寂しくなりました。2019年にはMLRSを運用する第1特科団第133特科大隊も廃止、萎みゆく現状だ。

 第11旅団、2008年に第11師団から旅団改編を受けた部隊で、2019年の旅団改編にて第11戦車大隊を第11戦車隊に縮小改編し滝川の第10普通科連隊を第10即応機動連隊に改編、一方第11高射特科中隊は第11高射特科隊に拡大改編され、また今年三月の旅団改編では新しくスキャンイーグル無人偵察機を装備した第11情報隊が新編されました。

 90式戦車に16式機動戦闘車と96式装輪装甲車に99式自走榴弾砲、一通りの優秀装備を揃えている部隊で人員規模は3900名、正直なところ本州の人員削減著しい師団と旅団は全部この第11旅団型の戦車と装甲車で固めた編成に切り替えた方が、募集なんで苦労する現状では、人員は少なくとも部隊として機能するのではないか、とも思うのです。

 北千歳駐屯地祭、明日実施されます。規模はかなり小さくなってしまいましたが、隷下に第129特科大隊だけが残る第1特科群、203㎜自走榴弾砲を装備する第104特科大隊とMLRSを装備する第131特科大隊が隷下に置かれ今年度末に廃止改編が予定される第4特科群、そして3個の地対艦ミサイル連隊が隷下に置かれる、縮小改編中の部隊の行事です。

 第71戦車連隊と第1高射特科群第302高射中隊も駐屯しているため、訓練展示は中々迫力があるのです。しかし縮小改編が進み第1特科群などは203㎜自走榴弾砲装備の第103特科大隊が廃止され、今年三月に第101特科大隊と第102特科大隊の二個大隊が廃止、MLRSを装備する第133特科大隊も2019年に廃止されていて、大丈夫なのか、とおもう。

 北千歳駐屯地は、撮影が難しい。特に観閲行進での撮影が難しい印象があります、これは記念式典会場の公開が式典会場に接する東西南北の一辺しか開放されないために、観閲行進を正面に近い角度から撮影するという事が事実上不可能なのです。しかし観閲行進の参加車両はものすごくよい装備、重装備を揃えていて行進に参加する数も実に多い。

 203mm自走榴弾砲にMLRS多連装ロケットシステムと88式地対艦誘導弾に改良ホークミサイルと90式戦車、駐屯地に司令部を置く第1特科団と第71戦車連隊に高射中隊だけで、変な話ですがこれだけ数が揃っていればロシアウクライナ戦争でウクライナ軍の反転攻勢を左右できるのではないか、というほどの重装備が揃っているのですからね。

 第1特科団の観閲行進は、ほぼ真横から、一度に画角へ納められる装備の数が少なくなってしまい、これが東千歳のように式典会場がもう少し広いとか、帯広駐屯地や旭川駐屯地のように観閲行進の経路が曲がっていて正面に近い角度で撮影できるとか、それこそ真駒内駐屯地のように観閲行進を真正面から撮影できる角度があればなあ、とおもう。

 陸上自衛隊関連行事は以上の二つですが、もう一つ、現在横須賀にイタリア海軍の哨戒艦フランチェスコモロジーニが寄港しています、逸見桟橋に停泊していますのでヴェルニー公園からよく見える位置であり、哨戒艦というには珍しく満載排水量は5800tと大きく、そしてなんと艦首部分が二つに割れている、事故でも設計ミスでもなく、割れている。

 フランチェスコモロジーニは先代にフランチェスコカラッチョーロ級戦艦4番艦というものが未成艦としてあり、今回寄港しているのはパオロタオンディレヴェル級哨戒艦の2番艦、哨戒艦ですが127㎜艦砲と76㎜艦砲を両方とも搭載しテセオ対艦ミサイルも搭載、哨戒艦だと甘く見て挑発すると処罰される強力な武装と割れた艦首が特色です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・6月25日:第11旅団創設記念・真駒内駐屯地祭
・6月24日:第1特科団創設記念・北千歳駐屯地祭

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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タイタニック潜水艇遭難-観光用深海潜水艇タイタン消息を絶って一〇〇時間超,アメリカカナダフランス捜索続く

2023-06-23 07:00:51 | 先端軍事テクノロジー
■タイタン号遭難事故
 タイタニック、海底3700mの沈没船へ向けて潜航した観光用深海潜水艇タイタン行方不明から100時間以上が経ちました。この深さでは自衛田のDSRVでも潜航は難しい。

 写真は自衛隊のDSRVですが、タイタニック号へ向かった潜水艇タイタン、設計では母船ポーラプリンスから海底へ潜航しますが音信不通になったと発表、アメリカ沿岸警備隊とカナダ海軍、そしてフランス人探検家が乗船していた為にフランス海軍も艦艇を派遣、フランス艦は昨夜現場海域へ到達しました。昨日日本時間夕刻までに生命維持装置の酸素が設計上使い果たしたとのこと。

 カナダ海軍のP-8A哨戒機とP-3C哨戒機が海中で音を探知したと24時間前に報道がありました、カナダにはP-8Aは装備されていませんのでこれはCNN報道の時点で情報が錯そうしているようですが、こんな小型艇でもP-8Aのソノブイは発見できるのかと妙に感心した一方、その海域を集中捜索しても見つからず自然音であった可能性が指摘されている。

 深海潜水艇タイタン、重量10.43tで全長6.7mと全幅2.5mに全高2.8m、一応小型二次元ソナーと推進装置により水中速力は3ノット、水中活動時間は96時間あり、操縦士1名と人員4名を収容可能で酸素と人員を含む搭載能力は685kg、比較できる日本の潜水艇が少ないのですが、似ているのは人間魚雷回天と比し重量はやや重く全長は半分以下、という。

 しんかい6500、日本の有人深海調査艇として海洋研究開発機構が運用している、しんかい6500を比較対象としますと、乗員1名と人員2名が搭乗し全長9.7mと全高3.2mに全幅2.7m、重量27tとなっています、運用時間は標準8時間ということですが酸素は120時間分、建造費は125億円で参考までに同時期の海上自衛隊潜水艦の建造費が360億円ほど。

 タイタンは安全装置として土嚢バラストを採用しており、一定時間水中に潜航したままの場合では土嚢が溶解し中の土砂を海中へ放出する事により浮上するとのこと。他方、通常の深海調査艇は水圧で変形しないガソリン等を浮力材として採用し、バラストを投棄した場合は自動で浮上するよう設計されていますが、タイタンにはこうした装置はありません。

 4000m潜航可能という有人深海調査艇は、日本には一隻、しんかい6500のみ。いや、世界的に見てもアメリカのアルビン号、中国のシーオール号、オーストラリアのチャレンジャー号、ロシアのコンスル号とミール号、フランスのノーティール号と数えるほどしかありません、それは用途が限られるうえ、建造費が通常設計で数百億円を要する為なのです。ただ、一縷の望みをかけ捜索は続いています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ベル360インヴィクタスという選択肢【1】陸上自衛隊にアメリカ陸軍インド太平洋地域用航空機採用を考える

2023-06-22 20:23:53 | 先端軍事テクノロジー
■戦闘偵察ヘリコプター
 戦車大隊と偵察隊が本州では統合され偵察戦闘大隊が創設されているのだから航空機についてもこうした選択肢を考えるべきではないのか。

 ベル360インヴィクタス攻撃偵察ヘリコプター。陸上自衛隊のAH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプターとAH-1Sコブラ対戦車ヘリコプター、それにOH-1観測ヘリコプターは、後継機を調達することなく、戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプターに観測ヘリコプターという区分ごと廃止されるという。それでは新しい装備体系で置き換える事は可能か。

 偵察ヘリコプターという、従来にない装備体系であれば、戦闘ヘリコプターと対戦車ヘリコプターに観測ヘリコプターという従来の装備体系が陳腐化したという政府が示した定義には含まれませんし、しかも開発されているベル360インヴィクタス攻撃偵察ヘリコプターというものは、技術的リスクが低い割には完成度が非常に高い装備となっています。

 自衛隊は、本州と九州の戦車大隊を廃止する際に、偵察部隊を同時に廃止し偵察部隊の機能と戦車部隊の打撃能力の一部を併せ持つ、偵察戦闘大隊、という新しい部隊体系を構築しています。そしてベル360インヴィクタスを見ますと、観測ヘリコプターの一歩先を行く偵察能力と、戦闘ヘリコプターの能力を併せ持つ、なにか日本型の発想と重なるものが。

 FARA陸軍将来攻撃偵察機、もともとベル360インヴィクタスはアメリカ陸軍が進めるFARA陸軍将来攻撃偵察機計画に基づいて開発されたものです。そして開発中の機体の外見は、タンデム複座式でAH-1コブラを洗練させたような、しかし主翼を胴体に備えた、いわゆる複合ヘリコプター、巡航速度を高く意識した形状を採用しているのが特徴です。

 ヘルファイア対戦車ミサイル系統の対戦車ミサイルを最大16発程度搭載可能、しかし胴体内部にF-35やF-22戦闘機のような兵装庫を有し、ステルス性と、なにより空気抵抗を最小限とする設計を採用、また主翼は兵装搭載に限定するものではなく巡航速度を高める空気力学を期待しており、巡航速度は330km/hを超え最高速度は400km/hに迫るもの。

 RAH-66コマンチ偵察ヘリコプター、1990年代にステルス性を高度に意識したヘリコプターとして開発がすすめられ、幾つかの機種を一手に後継機として共通化し大量生産することで製造単価を抑える計画がありました、期待されていた機種なのですが、それでも一機当たり1億ドルの量産日が必要とされ、2000年代初めに開発計画が中止された航空機だ。

 ベル360インヴィクタスは、部分的にRAH-66コマンチ偵察ヘリコプターの形状を踏襲していまして、これは過去に実施された、テロ組織アルカイダ指導者オサマビンラディン急襲作戦に投入されたという、UH-60多用途ヘリコプター派生型のステルスブラックホークヘリコプターのように、RAH-66の技術が応用されているのではと憶測させるものです。

 ベル525リレントレス。これはベル社が2015年に初飛行させました中型ヘリコプターですが、ベル360インヴィクタスは基本的にベル525リレントレスの機体構造を採用しているという。リレントレスは19名の乗客を空輸するヘリコプターですが、巡航速度287km/hで航続距離1037km、この種の多用途ヘリコプターとしては高い性能を持つ機体という。

 機体形状は全く異なるものではありますが、しかし基本部分を流用できるのであれば、UH-1多用途ヘリコプターからAH-1対戦車ヘリコプターを開発したベル社ですし、アメリカンペネトレイターという、UH-1の機体構造を操縦席からタンデム複座式として武装ヘリコプター化する試作機開発が行われるなど、基礎部分が確立しているならば応用は容易だ。

 複合ヘリコプターといいますか、主翼を持つヘリコプターは実は富士重工スバルがかつて、ベル206多用途ヘリコプターをライセンス生産していた時代に主翼追加型を試作しています、実用化には至らず機体は群馬県科学館に航空シミュレーター機として転用し展示されたようですが、こうした航空機そのものは日本にとっても未知のものではありません。

 ベル360インヴィクタス攻撃偵察ヘリコプターのような、いわばヘリコプター版の偵察戦闘大隊のような航空機が陸上自衛隊へ、既存航空機の任務を受け継ぐ機種として採用されたならば、AH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプターとAH-1Sコブラ対戦車ヘリコプター、それにOH-1観測ヘリコプターの退役を安心して見送ることができるのですが。

 政府は観測ヘリコプターと対戦車ヘリコプターに戦闘ヘリコプターの任務を無人航空機で置き換えるという。しかし現段階で自衛隊の無人機運用実績は乏しく、ミサイル運用能力と匍匐飛行能力のある無人ヘリコプターは存在しません、すると、官僚は間違いを犯さず、の体裁と両立できるような偵察戦闘ヘリコプターは検討されるべきと思うのです。

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