北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

NATO-エアディフェンダー23演習,最大規模の空軍演習実施と深刻なドイツ連邦軍弾薬備蓄枯渇

2023-06-22 07:00:00 | 国際・政治
■臨時情報-NATO
 航空戦力は戦力の集中と分散を行う上で機動力が最も高い点が重要なところですが、現在その空軍力を集中した大規模な演習が実施されています。

 エアディフェンダー23演習、ドイツにおいてNATO創設後最大規模となる航空演習が12日から明日23日までの日程で実施されています。演習空域はドイツを中心にチェコとオランダを含み、航空機250機と人員10000名、NATO加盟国を中心に25か国が参加し、参加国には戦闘機こそ派遣しませんが、オブザーバー参加として日本も含まれています。

 演習にはアメリカ州兵空軍が大規模に参加し、アメリカからの参加航空機は100機であり、全米から42州の州兵空軍が参加しています。州兵空軍は州によってはF-35戦闘機やF-22戦闘機とB-1爆撃機等を運用するとともに基本的に非常勤の予備役部隊として機能しています。こうした部隊の参加は欧州有事の際の動員と増援を念頭に実施しているのでしょう。
■ドイツ弾薬備蓄枯渇
 弾薬について、自衛隊の弾薬備蓄が細い事は政治の場でも指摘される事となりましたがドイツ軍の野砲弾が自衛隊よりも深刻な枯渇状況にあるもよう。

 ドイツ連邦軍の155mm砲弾備蓄が2万発まで減少している、ロイター通信が6月20日にドイツシュピーゲル紙を引用する形で報道しました、シュピーゲル紙によればこの2万発という数字はドイツ国防省が議会への予算緊急要求を行う際の内部資料として作成したもので、1基数で砲弾はおおむね40発、戦闘では3基数を装備するとされます。

 連邦軍は保有する唯一の155mm火砲であるPzH-2000の可動装備をウクライナへ供与したために深刻な砲兵火力不足に陥り、ラインメタル社へ緊急増産を要求するも数年を要するといわれている中、火砲そのものと同時に弾薬備蓄もウクライナ供与により、その生産能力から再編しなければならない厳しい状況にあることが見て取れるでしょう。
■ロシア軍再生弾薬
 ドイツ軍も大変とされていますがロシア軍は2023年製造ソ連製砲弾という良くわからない状況となっている。

 ロシア軍はウクライナでの大量砲弾消費により1960年代に製造した古い弾薬を再活用しています、ロシアは砲兵火力を重視するとともに広大な国土に大量の備蓄倉庫を建設する余裕がありましたが、それでもウクライナでの一年四か月に及ぶ弾薬消費は冷戦時代のNATOとの全面対決をも凌駕する状況となっています、そこで古い備蓄という。

 ソ連時代に生産した1960年代から1990年代までの弾薬について、ソ連崩壊後のずさんな管理により使用に適さない砲弾が含まれていることから、一旦砲弾を分解したうえで再度成形する方式が用いられ、2023年製のソ連製砲弾という不思議な弾薬が第一線へ届けられているもよう。ウクライナ支援のNATOともども弾薬不足は大きな課題です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】上賀茂神社,ならの小川畔さくらが咲いた!夏越大祓式を目の前にした社殿の前に桜の花々

2023-06-21 20:23:54 | 写真
■さくら咲く六月の社殿
 さくらが小さいけれども六月の京都に咲いていたといいましたらば信じてくれるでしょうか。

 上賀茂神社、京都を散策していると不思議な出来事というのはよくあるのですが、なにしろこの広い京都で懐かしい人と再会というよりも、居ましたよね、と後で言われたり、まあいろいろあるのですが、こんかいのこの六月の桜花というのは、不思議な経験だ。

 サクラサク。ラブひなアニメ版のOPではない。ちょっと古すぎるか。しかしもっと古い千年以上の歴史を湛える上賀茂神社では、六月に季節外れの桜が咲いていました。イチゴの花では、と疑ってみましたが神社の方曰く、これは季節外れのさくらですよ、と。

 十月桜という、冬に咲くさくらは実際にあるのですけれども、これは普通に春に咲く桜で、春というよりは初夏、まさか桜の季節が熱すぎてそのあと涼しくなったので一年巡った、と勘違いしたなんてことはないでしょう、もちろん満開というにはほど遠いけれど。

 楼門は寛永5年こと1628年の建立なのですが、その朱色の楼門を背景に確かに、割いているのですね。しかしいまはもう六月下旬、遅咲きという事で知られる仁和寺の御室桜も見ごろを過ぎて二か月以上経ちますし、まさか桜の話題をいま時分みることになるとは。

 本殿はその楼門の向こうにありまして、文久3年こと西暦1863年に再建されたものという、吉兆か凶兆か、遅れた補欠合格通知か、参拝の作法とともに何かいいことありますように、ではなく、あれが吉兆でありますように、とも祈るほかないのですけれどもね。

 橋殿こと舞殿と細殿という拝殿に土舎、ここをむすぶならの小川というせせらぎが神域に冷涼かつ水音が雑音を遮る静謐さを湛えていまして、そして幾度かわたる流れとともに複雑な造形美をある種人口の森林が如く醸し出しているのはこの上賀茂神社という。

 ならの小川、式年遷宮を定期的に行います上賀茂神社は常にその歴史を新しく、灰の中から新しい息吹が生まれるように歴史を受け継いでいるのですが、それでも現代史を見ますと、戦後の混乱でかなりの文化財と施設、歴史風土が失われていることを少し考える。

 細殿という拝殿の前には立砂が、これはいわゆる盛り塩という玄関前の厄除けとも縁結びともいわれる全国の風習の原型となったものといい、もともとはこの社殿のご神体である神山を模したものという、その神山の山麓全体が永らく神社の神域であったといい。

 神山の山麓という神域は、広く深泥池もほとりまでを結ぶ広大なものだったといいますが、戦後GHQの占領軍が何故かゴルフ場をこのあたりに建設するといい、多くの古い建物が破壊され、そのご住宅地などの再開発にもみまわれて今に至る現実を思い出させる。

 立砂とともに神山の山麓、その往時の姿を連想してゆきますと、平和憲法、戦争放棄、民主主義、といや民主主義は大日本帝国憲法の時代からあっただろう、と思うのですが、占領軍のものをありがたがる京都の風潮をみれば、ゴルフ場開発もありがたいのかな、と。

 舞殿、ならの小川、少々立砂とともに歴史を思い出し過ぎましたが、この神域は清冽な清水が湧き出ていまして、これは飲むことも出来るのですがなにかほのかに甘みのある、古い水道管による京都の水道水とは違う味わいに、この美味しさから真夏の近さを思い出す。

 夏越大祓式が6月30日の夜にこの舞殿にて執り行われますので、まさに真夏はもうすぐそこ、という厳しい現実を思い出します。たしかに六月の時点でもうここまで暑い、その汗をそっと拭いながら季節外れの桜の花々をまた傍目に愛でながら参拝を終えました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】上賀茂神社,梅雨の晴れ間に参拝の社殿は競馬会神事と葵祭経て無病息災を願う茅の輪潜り

2023-06-21 20:00:54 | 写真
■青空と洛北の歴史ある社
 洛北の情景は素晴らしいのだけれどももう熱くなってきたのだなあ。熱いというよりもこれからは蒸すことでちょっと出歩くには勇気ある季節がやってくるのだけれどもね。

 上賀茂神社、天気が良かったのでちょっと散歩ということで歩いたまま上賀茂神社まで巡ってきました、が、そこは京都、六月の梅雨の季節は雨滴に紫陽花、という写真が象徴するようにもう少しじめじめしていても気温だけは低かった気がしたが、気のせい。

 賀茂別雷神社という名が正式という上賀茂神社は京都市北区上賀茂本山の、北大路堀川から散歩で巡っていてもそう時間はかからない立地で、もっともごはん時となりますと堀川通には幾つか心惹かれるお店がありまして、寄り道をすると時間はかかりますが。

 参道は白い砂が敷き詰められていて、いや雪の日には白い砂といっても雪ほどではない、なんていうものだけれども、初夏の日差しとともに青空と緑の木々とともにこの参道を眺めますと、歴意志ある神社、という風格を大事にする風潮が見てとれるようです。

 天武天皇6年こと西暦677年に創建された神社は、平安遷都遥か昔まで遡るという神域なのですが、そのはじまりは神話の時代、神武天皇が当地まで行幸の際、心配した父の彦波瀲武鸕鶿草葺不合尊が当地に様子見に降臨したため、という伝承により創建された。

 葵祭。そうこの散策は先月に久々の葵祭を撮影できたものの、時間の都合というか交通規制の都合というか体力の都合というか、徒歩で重い撮影機材と脚立を担いではこの上賀茂神社までいくことが出来なかったため、という心残りの整理がその背景にあります。

 茅の輪潜りがとりおこなわれる季節、そうもう2023年も半年を過ぎたところでして、和菓子屋には水無月が並べられる季節、しかし熱くなったり寒くなったり空梅雨の先にいきなり台風が来たり、ちょっとイミワカンナイといいたくなる気候の中の茅の輪潜り。

 無病息災を願う茅の輪潜り、そのご利益のほどはと考えるところですが無病息災といえばどうしても考えるのは季節外れのインフルエンザ流行で、COVID-19の陰に潜んでいた伝統的な流感、しかも夏には予防接種をやるところがほとんどないという状況だ。

 神頼みというわけではないのですが、コロナウィルスの次はインフルエンザで、その危険性は確かに新型ではなく、季節性インフルエンザではあるのですが、怖いとも思う。こうしたなか、まあ、心落ち着けて社殿の歴史を思い浮かべ、そして歩みを進めるのですが。

 山城国風土記によれば、玉依日売が懐妊し賀茂別雷命を生んだことを神社の始まりと記すところがありまして、神話の世界には整合性を超えた何かがあると深く詮索はしません、が、賀茂別雷命を祀る社殿は京都有数の歴史を紡いだ社殿であることもまたたしかです。

 競馬会神事の反省会が行われたこの日。競馬会神事で反省会というのは、ウマ娘のコスプレ出来不出来の検証や、なぜスッてしまったかを次に備えて馬に詳しい新聞などで勉強する事では決してなく、五月五日に執り行われる上賀茂神社の行事に由来するところ。

 賀茂の競べ馬を見侍りしに車の前に雑人立ち隔てて見ええざり、こう徒然草にも記されているところで、賛同の横を勇壮に騎馬が駆け抜ける様子は、脚立を用意して一度しっかり、と思うのですが例年その季節は騎馬よりも戦車の撮影で忙しく、とこれも毎年思う。

 祭事はそう、上賀茂神社といえば葵祭は有名なのですが、実のところその葵祭も数多ある祭事、京都の祭事ではなく上賀茂神社の、祭事の一つというもので、これもCOVID-19からの日常が回帰してこその日常、といえるのでしょうか、次は九月に烏相撲が行われる。

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ウクライナ情勢-旧イギリス海軍サンダウン級掃海艇のウクライナ海軍チェルニヒウ、チェルカースイ再就役

2023-06-21 07:00:53 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア海軍は5月31日にウクライナ海軍最後の艦艇ユーリオレフィレンコを破壊したと発表しましたが、それは正しくはありません。かつての海上警備隊の様に掃海艇から復活する。

 ウクライナ海軍はイギリスより供与を受けたサンダウン級掃海艇の訓練をほぼ完了させたとのこと。サンダウン級掃海艇は1989年に1番艇が竣工したイギリス海軍の主力掃海艇で満載杯資料は600t、15隻が建造されましたが中古艇エストニア海軍やルーマニア海軍への売却が行われておりイギリス海軍は2022年に退役した2隻をウクライナへ供与します。

 サンダウン級掃海艇のグリムズビーとショアハムが2022年に退役し、ウクライナ海軍はグリムズビーをチェルニヒウ、ショアハムをチェルカースイとして再就役させています。イギリス海軍はサンダウン級掃海艇をまだ3隻現役運用していますがこれらも、2025年までに全廃し、有人掃海艇そのものを廃止し新しい無人掃海システムへ置き換える方針です。

 ウクライナ海軍は現在壊滅状態で、黒海を任務海域とするウクライナ海軍はオデッサなどで温存されているものの出航できないままロシア海軍のミサイル攻撃に曝され、当面ウクライナは水上戦闘艦艇を運用しての反撃を想定していない為、都市防空などに防空部隊を集中しています。ここで、サンダウン級は貴重なウクライナ海軍の新戦力となるでしょう。
■サンダウン級掃海艇
 掃海艇をどのように回航するのかは重要な視点です。

 ウクライナ海軍がイギリスから受領したサンダウン級掃海艇について。その任務の重要性と共にウクライナへ回航できるのかという問題があるようです。現在トルコはロシアが戦争を開始した場合には黒海から外海である地中海へ至る唯一の海峡であるボスポラスダータネルス海峡のロシア及び交戦国であるウクライナの艦艇を航行禁止としています。

 掃海艇のウクライナ海軍配備について、ウクライナ海軍は今後主力産業である穀物輸出を再開する為には黒海にロシア軍が大量に敷設した機雷との戦いが待っています。掃海艇はこの為に不可欠であると同時に海洋法執行をも担うイギリス海軍、30mm機関砲を備えたサンダウン級は哨戒艇としての用途があり、将来の停戦後にはその任務も期待されます。

 ボスポラスダータネルス海峡の封鎖はローザンヌ条約とモントルー条約に基づくものであり、イギリス近海で訓練を受けている旧サンダウン級掃海艇チェルニヒウ、チェルカースイについてもその適用が想定されます。海峡は最狭部で800m、ただ、黒海に入ればロシア巡航ミサイルの標的となる懸念が有り、今後の旧サンダウン級運用に関心は尽きません。

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【防衛情報】DDG133サムナン起工式と沱江級コルベット増強,ロシア空母アドミラルクズネツォフ後継艦

2023-06-20 20:21:44 | インポート
■■■防衛フォーラム■■■
 今週は海軍関連の10の話題を集めました。昔ながらのイージス艦の最新型への発展とロシア海軍が構想する強いロシア海軍を回復させるための航空母艦の話題など。

 アメリカ海軍が導入するイージスシステム搭載の駆逐艦DDG133サムナンが12月11日、起工式を迎えました。サムナンはHII社参加のインガルス造船所においてスチールカットが行われ、100tの鋼材に最初の切断を実施、これが起工式となります。イージス艦サムナンはアーレイバーク級ミサイル駆逐艦のフライトⅢに区分される最新型のイージス艦です。

 インガルスではアーレイバーク級ミサイル駆逐艦フライトⅢ建造として、このほかにDDG128ミサイル駆逐艦テッドスティーブンス、DDG129ミサイル駆逐艦ジェレマイアデントン、DDG131ミサイル駆逐艦ジョージMニールを建造中です。インガルスはこれまでに多くのアーレイバーク級を建造、また過去135年間に渡り米軍艦艇を建造してきました。

 アーレイバーク級はイージスシステムを搭載するアメリカ海軍の主力駆逐艦です。ただ、艦隊防空艦などの建造やズムウォルト級駆逐艦の開発失敗、タイコンデロガ級の後継艦開発の棚上げが長く続くと共に補完すべき沿海域戦闘艦の開発失敗などにより、アメリカ海軍はこのアーレイバーク級への依存度が高くなっており将来の後継艦課題が考えられます。
■LCU-MLU上陸用舟艇■
 自衛隊ではLCACと複合ボートへ依存している上陸ですが2000年代初めには確かにこの種の交通船を輸送艦に搭載するという検討があったものの実現しませんでした。

 オランダ海軍はLCU-MLU上陸用舟艇近代化プログラムを開始しました、オランダ海軍はドック型揚陸艦ロッテルダムとヨハンデウィットの2隻を運用しており、これらドック型揚陸艦は艦内のウェルドックに2隻の上陸用舟艇を収容可能です。オランダ海軍には上陸用舟艇は予備艇を含め5隻を運用しており、2022年にその延命改修が決定しました。

 LCU-Mk2型は満載排水量255t、全長36.3mで全幅6.85m、その輸送能力は最高速力9ノットであり、巡航速度8ノットでの航続距離は720㎞、船体前部にハッチを有し中央部が車両甲板、後部が操舵室となっている構造であり、人員130名乃至車両など65tを搭載可能で、これはトラック3両とBvS.10全地形装甲車2両を同時輸送可能というものです。

 LCU-MLU上陸用舟艇近代化プログラムでは推進装置の換装による航続距離の延伸、航法システムの改良とデータリンクシステム更新、上陸用舟艇内の調理区画改良による食堂の近代化、仮眠室の改良などが行われるとのこと。この改修はオランダ海軍が装備する5隻すべてに対して行われるとのことで、計画では2025年に全ての延命改修を完了します。
■沱江級ステルスコルベット■
 ミサイル艇は対戦車ミサイルを搭載した哨戒ヘリコプターに対して一方的に駆逐されるという問題がありまして、台湾がこの問題をどのように考えているか関心事なのだ。

 中華民国台湾海軍は沱江級ステルスコルベットのさらなる増強計画を発表しました。計画によれば2026年までに沱江級ステルスコルベット10隻体制を目指すとしています。沱江級ステルスコルベットは水上打撃力を重視しており、前型の錦江級コルベットが実質的にミサイル哨戒艦であったことを考えれば、補助戦力から主戦力への格上げとなります。

 沱江級は双胴船構造を採用し現在二番艦塔江が竣工、三番艦富江が昨年進水式を迎え四番艦旭江は今年2月16日に進水式を迎えたばかりです。満載排水量は685tで最高速力38ノット、雄風III型等対艦ミサイル16発を搭載するほか、76mm艦砲と20mmCIWS、海剣二型短距離対空ミサイル16発を搭載し、建造費は1隻あたり2億9350万ドルとのこと。

 台湾海軍はOHペリー級ミサイルフリゲイトをライセンス生産した成功級やキッド級ミサイル駆逐艦を中古取得し基隆級として運用するなど一定程度の水上戦闘艦部隊を有していますが、想定される台湾海峡有事に際し2020年代の中国海軍は圧倒的であり、台湾海軍では大型水上戦闘艦以上に小型水上戦闘艦による沿岸打撃戦闘能力を強化しています。
■ジョンLキャンリー■
 海兵隊のフォースデザイン2030を背景にこうした上陸技術の開発がいかに進められるのか惰性で進めているのかが気になるところ。

 アメリカ海軍は機動揚陸プラットフォームとして知られる遠征輸送ドックジョンLキャンリーを竣工させました。ルイスBプラー級の四番艦ジョンLキャンリー、その名は名誉勲章叙勲者で、2020年にカリフォルニア州サンディエゴにありますジェネラルダイナミクス社傘下のナショナルスチール&シップビルディング社造船所において起工されました。

 遠征輸送ドックは、海軍事前集積船を筆頭に世界中に展開する大量の装備を有事以前に配置しているが、問題は有事の際に現地へ展開させる手段である。遠征輸送ドックの任務は港湾を使用できない状況における代替措置で事前集積船を横付けし、ここから揚陸艇などに載せ替える、支援用なのですが満載排水量は81435tと巨大で15ノットで自航可能です。
■LWT短魚雷開発計画■
 大国間の武力紛争というものが再認識されるようになります今日において対潜装備の重要性が急浮上しています。

 オーストラリア国防省はMU-90-LWT短魚雷開発計画へ参加を発表しました。もともとLWT短魚雷開発計画とはアメリカのMk54短魚雷に相当する水上戦闘艦や哨戒ヘリコプター及び対潜哨戒機などから投射する対潜用短魚雷の開発計画として、フランスとイタリアが開発開始したもの、両国はアキテーヌ級やカルロベルガミーニ級などを運用している。

 LWT短魚雷開発計画はフランスとイタリアが開発していた当時はOCCAR計画と呼称されていましたが、続いてドイツが参加することとなり現在の名称に改められました。今回ここにオーストラリアが新たに参加表明を示したこととなります。魚雷は航空機投下などによる400ノットの加圧に耐える構造であり、SUN対潜誘導弾への転用も期待されます。
■アドミラルクズネツォフ後継艦■
 ロシアはロシアウクライナ戦争において恐竜のような大きいだけのシステムは役に立たない事を自ら証明する事となりましたが。

 ロシアの統合造船企業はロシア海軍用の将来航空母艦設計を進めているとのこと。現在ロシア海軍は唯一の航空母艦として空母アドミラルクズネツォフを重航空機巡洋艦として運用していますが、ロシア海軍自身からの航空母艦後継艦の設計建造を要求した具体的な動きはなく、統合造船企業が独自に海軍へ大型の航空母艦建造を提案したかたちです。

 アドミラルクズネツォフ後継艦、しかしロシア海軍自身は空母アドミラルクズネツォフの老朽化は認識しており、2015年にアドミラルクズネツォフ後継艦構想に着手しています、他方でロシア海軍水上戦闘艦は1990年代以降、ソ連未成艦建造を除けば小型化の一途をたどり、4000t以上の水上戦闘艦建造にめどがついたのは2020年代、空母護衛艦が居ません。

 統合造船企業は国営兵器会社ロステック系列の造船企業ですが、2015年にロシア海軍がアドミラルクズネツォフ口径構想を示し、いくつかの模型が提示されるも海軍には具体的な動きがないことを受け、8年間の空白とともに海軍戦略の転換などの不確定要素はあるものの、そろそろ概念的な模型の段階を超えての設計に着手した、というかたちなのでしょう。
■ラファールF4.1の艦上試験■
 フランス海軍の場合はラファールも重要ですが背系が開始された将来空母に果たしてこれから開発が本格化する次期戦闘機を搭載出来るのかという問題の方が大きい。ただ一度日本にラファールを送ってほしいものだ。

 フランス海軍はラファールF4.1の艦上試験を完了しました。ラファールF4.1はラファールF4をさらに改良した最新仕様であり、新規製造機はもちろん、既存機からの近代化改修も可能となっています。試験はフランス海軍第10S飛行隊分遣隊が原子力空母シャルルドゴール艦上で実施され、3月21日から30日にかけ100時間実施されました。

 シャルルドゴール艦上での試験は海軍第10S飛行隊分遣隊がラファールF4.1を3機、また60名の搭乗員や技術者が参加しています。シャルルドゴールでは現在ラファールF3Rが運用されており、またシャルルドゴールそのものが老朽化も始まっていることからカタパルトを含めラファールF4.1の運用への適合性などが40回にわたり試験されています。

 ラファールF4.1はスペクトラ機体防御システムとミーティア空対空ミサイル運用能力の運用能力向上、そしてヘルメット照準能力を付与したスコーピオンヘルメットサイトの追加、更に新しく開発された1000kg級の誘導兵器運用能力などが追加されました。ミーティア空対空ミサイルは射程100㎞以上、僚機照準誘導能力等共同交戦能力が強化された。
■UAS無人航空機システム■
 自衛隊のMQ-8を哨戒ヘリコプターとして導入する計画はどうなったのか、MQ-8を導入するからSH-60の調達数を減らすという約束がMQ-8は実現せずただSH-60だけが減ってゆく。

 イギリス海軍はシーベル社とタレス社との間でUAS無人航空機システムに関する契約を結んでいます。シーベル社はオーストリアの精密機器メーカーでS-100カムコプターは同社がアメリカやフランス、中国やロシアなど18か国に輸出する小型無人機、空虚重量は110kg、機材50kgと燃料57ℓを搭載し飛行時間は6時間、増槽装着で10時間です。

 ペレグリンというイギリス海軍での正式名称、S-100についてイギリスはタレス社のIマスター合成開口レーダーとAIMS-ISR複合監視装置を搭載し、哨戒任務に充てる構想で、最長180㎞の地域まで進出可能というS-100の性能は水上戦闘艦から運用し、艦艇への脅威を常時センサーとして使用することにより未然に探知することが狙いという。
■H-160多用途ヘリ2号機■
 フランス海軍の場合は領域警備任務や海外県での哨戒任務もある為に対潜ヘリコプター以外の航空機も相応に重要なのです。

 フランス海軍はH-160多用途ヘリコプター2号機を受領しました。フランス海軍ではH-160多用途ヘリコプターを特殊作戦支援や救難ヘリコプターとして導入しており、水上戦闘艦や揚陸艦などに搭載、2021年にエアバスヘリコプターとの間で6機の導入を契約、最初の機体は2022年に引き渡され、2023年内に残る機体全てが引き渡し予定です。

 H-160多用途ヘリコプターはエアバスが開発した新世代のヘリコプターで日本でもAHNが報道ヘリコプターとして2022年から運用しています。フランスの2019-2025国防計画では陸軍80機と海軍49機と航空宇宙軍40機の合計169機の調達計画が発表されましたが、2024-2030計画ではCOVID-19による経済後退により20機に削減されました。
■スペイン海軍はMH-60R■
 関連資材を含めての金額とはいえシーホークも高くなった。

 スペイン海軍はMH-60R哨戒ヘリコプター8機を増強する予算計画について、閣僚会議の承認を受けました。シコルスキーMH-60Rシーホークは、現在スペイン海軍が運用するSH-60B哨戒ヘリコプターの老朽化により2025年に退役することとなり、その後継機として選定されるもの。8機の調達は8億2051万5490ユーロで取得されるとのこと。 

 MH-60R哨戒ヘリコプター8機とともにT-700-GE-401Cエンジンを予備含め20基、MIDS JTRSリンク 16 多機能データリンクシステム8基、AGM-114RNヘルファイアミサイル32発、ALFS低周波ソナー4基などが含まれます。低周波ソナーは8機に対して4機分となっていますが、MH-60Rはソノブイ等ソナー以外の対潜哨戒能力も有しています。

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ウクライナ情勢-反転攻勢の航空攻撃への苦戦と破損戦車装甲戦闘車修理開始,CV-90訓練完了

2023-06-20 07:00:50 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 昨年のヘルソン奪還やハリコフ反撃に比べれば徹底して要塞化された前線の突破に苦しんでいるという概況が見て取れる。

 ウクライナ国防省は15日の次官会見において、ウクライナ軍の反転攻勢が大きなロシア軍の抵抗に見舞われていることを率直に認めました。ロシア軍はこれまで少なくとも250機以上の無人機と140発以上のミサイルを用い反撃に転じたウクライナ軍を攻撃しているとしています。一方、ウクライナ軍の攻撃主軸はいまのところ発表されていません。

 攻撃主軸は、全戦線において現在威力偵察を行っている段階で、防御線の薄い地域を攻撃によりあぶりだしている状況、例えば防衛線を担当する旅団と旅団の任務境界線や突破に適した多数の地形の中で比較的地雷原や防御部隊の配置の薄い地域は必ずあり、これを攻撃により反撃の有無から探る、可能ならば前哨陣地を突破する偵察の段階のもよう。
■破損装備の修理急ぐ
 人員だけは何としても守る設計思想の違いゆえの話題です。

 レオパルド2主力戦車とM-2A3ブラッドレイ装甲戦闘車について、ウクライナ軍は破損した車両の一部を回収し修理を急いでいます。やはりT-64戦車のようなソ連製設計車体や自動装填装置とともに戦闘室に露出した弾薬庫を配置するT-72戦車は被弾すると全損する事例が多く、同じ設計のBMP-1などは二次爆発を起こし修理不能となる事例が。

 M-2A3ブラッドレイ装甲戦闘車は破壊された車両が、地雷などで履帯を切断し行動不能となり、その後に対戦車ミサイルなどの攻撃を受け破壊される事例がロシア軍発表映像から見受けられますが、乗員が脱出する時間的余裕があり、華々しい攻撃前進よりも、破壊された車両を如何に乗員を防護し装備を修理し復帰させるかが肝要となるでしょう。
■CV-90訓練完了
 自衛隊の89式装甲戦闘車とかつて機関砲の威力や設計思想で比較されたものですが。

 スウェーデン国防省はウクライナ軍兵士へスウェーデン国内で実施したCV-90装甲戦闘車教育訓練が完了したと発表しました。CV-90は40mm機関砲を搭載した装甲戦闘車で開発したスウェーデンのほか、フィンランドやオランダにノルウェーやデンマーク、スイスなどで幅広く運用されており、生産も継続中、欧州標準装甲戦闘車とも呼ばれるもの。

 CV-90はウクライナへ供与されますと、ウクライナ軍にはアメリカ製M-2A3ブラッドレイ装甲戦闘車とドイツ製マルダー装甲戦闘車が供与されており、三種類目の装甲戦闘車となります。運用装備の種類が増えることは兵站面からよいことばかりではありませんが、ウクライナ軍のBMP-2装甲戦闘車よりもはるかに生存性が高い点は重要でしょう。

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【防衛情報】ルクレルクXLR戦車試験と英独EKE戦車用徹甲弾共同開発,イタリアアリエテ戦車緊急後継計画

2023-06-19 20:22:03 | 先端軍事テクノロジー
■■■防衛フォーラム■■■
 今回はこの500日間で評価が一転し急上昇している戦車の話題です。我が国ではとうとう90式戦車の退役が始ってしまいましたが保管しておく選択肢は絶対必要だと思う。

 フランス陸軍はルクレルクXLR主力戦車の試験を実施中です。これはDGAフランス軍備総局がこのほど公開したブルージュでの射撃試験の映像とともに発表されたもので、現在フランス陸軍にて運用されているルクレルク戦車を基に200両を3億3000万ユーロの費用を投じ近代化改修するもので、改修計画そのものは2015年に発表されています。

 ルクレルクXLR主力戦車は既存のルクレルクと比較し、防御力と近接戦闘能力の強化に重点が置かれ、FNハースタル社製7.62mmRWS遠隔操作銃塔の追加、そして車体部分と砲塔正面部分への追加装甲、及びエンジングリルへの鳥籠型追加装甲の追加などが行われています。今回公開の主砲射撃映像は、追加装備品への衝撃波の影響を試験するものです。

 第三世代戦車として開発されたルクレルク主力戦車は、自動装てん装置の採用と1990年代という第三世代戦車では後発の完成から車両間データリンクシステムの標準装備など先進的な設計で知られていますが、輸出型の車両がイエメン内戦介入作戦において戦車輸送車での移動中近距離から攻撃を受けるなど事例があり、その戦訓を反映したものです。
■EKE戦車用徹甲弾■
 戦車砲弾は多目的榴弾の時代から急速に戦車を正面から狙う徹甲弾へと回帰する印象があります。

 イギリスとドイツは新型のEKE戦車用徹甲弾共同開発に向けた準備会合を開きました。これは4月27日、ロンドンにてイギリス国防省のアンディスタート国軍装備監とドイツのカールステンスタウィツキー中将の会合に際し、共同開発覚書を締結したもので、内容として2023年内に両国の戦車砲弾共同開発へ準備会合と協議を継続的に行うと明記された。

 チャレンジャー3主力戦車、既存のチャレンジャー2主力戦車を近代化改修し評価試験中の改良型戦車には伝統的なイギリス軍仕様の120mmライフル砲に代わりNATOや自衛隊の90式戦車などと共通のラインメタル社製主砲が採用されており、これによりNATOでも広く採用されるドイツのレオパルド2主力戦車との弾薬互換性が生まれた構図です。

 EKE戦車用徹甲弾について。過去15年間、欧州各国の戦車砲弾開発は徹甲弾よりも多目的榴弾の開発に重点が置かれ、これは地域紛争において主力戦車脅威よりもバンカーや障害処理と火力支援が重視されたためで、多目的榴弾でも対戦車攻撃が可能である点が特色です、しかしロシアウクライナ戦争を機に対戦車戦闘の重要性が再認識された構図です。
■アリエテ125両の代替■
 欧州の防衛装備品不足が印象的ですがもっと印象的なものはにhンのような定数割れを無視する事無く政治的な問題として正面から受け止めていること。

 イタリア政府は不足する陸軍の戦車125両と装甲戦闘車を緊急調達するべく検討を続けています。イタリア陸軍の主力戦車はC1アリエテ戦車で装甲戦闘車はVCC-80ダルド装甲戦闘車です、しかし老朽化が進むとともに近年は稼働率の問題を抱えており、ここで浮上したのが2022年に勃発したロシアウクライナ戦争における機械化部隊の重要性です。

 イタリア国防省のルチアーノポルトラーノ大将は3月のイタリア議会国防委員会において、イタリア陸軍に必要な戦車は250両であり、アリエテ主力戦車の内可動し近代化が可能であるものは125両に過ぎないため、これらを補う戦車の緊急調達が必要であると証言しました。こうした中で真剣に検討されているのは外国から戦車をリースするというもの。

 リースを求める声は元国防次官のジョルジオミューレ議員など。アリエテ戦車は、M-47戦車やレオパルド1等の外国製戦車に依存した中で初めて開発した第一線級の主力戦車ですが、開発期間が長引き1980年代の設計です。ドイツフランス共同開発のMGCS戦車などに期待を抱きつつも、レオパルド2のリースを求める声も議会に多いようです。
■ウクライナ供与エイブラムス■
 ウクライナへ供与するM-1エイブラムスについて。

 アメリカ陸軍はウクライナへ供与するM-1エイブラムスの準備を急いでいます。この為の選択肢としてアメリカ陸軍では最新型んM-1A2戦車ではなく旧型のM-1A1戦車を陸軍の保有車両からそのまま提供する方針としました。もともとアメリカ陸軍は大量のエイブラムス戦車をオハイオ州のデポで分解保管し、必要に応じ改良し組み立てています。

 ウクライナ政府は第三世代戦車の供与を急ぐよう要請していますが、デポの部品をM-1A2SEP2V3という最新仕様に組み立てるには1年から2年かかるとみられており、これではウクライナ軍が必要とする時期に間に合わないことは明白でした。この為、国防総省はウクライナ当局と検討を重ね、十分強力というM-1A1戦車を供与することとしました。

 エイブラムス戦車供与決定は2023年1月にバイデン大統領自身が発表しています、M-1A1はシステム面でM-1A2ほど複雑ではなくオクラホマ州フォートシル基地においてウクライナ戦車兵教育が開始されることとなっています。アメリカは31両のエイブラムス戦車を当初計画よりも大幅に早い時期に供与を開始することができると準備を急いでいます。

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ウクライナ情勢-攻撃ヘリコプター集結中のロシア軍とレオパルド2A6撃破第一報以降の鳴らない続報

2023-06-19 07:00:29 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 何度でも繰り返しますが我が国の戦闘ヘリコプター全廃路線は極端すぎ後継機選定と既存機延命改良について再考すべきです。

 ロシア軍はマリウポリ近郊のベルジャンスク飛行場に多数のヘリコプター部隊を集結している様子が衛星写真により確認できました。二重反転ローターを有する十数機の航空機と中型規模の複数のヘリコプターが確認でき、これが可動機であれば連隊規模のヘリコプター部隊が展開していることとなり、ウクライナ軍反撃に備えているもよう。

 撮影されたのは6月13日、Mi-24攻撃ヘリコプターかMi-17輸送ヘリコプターと思われる機影が9機、Ka-52戦闘ヘリコプターと思われる機影が5機、そしてKa-29多用途ヘリコプターと思われる機影が13機、いずれも滑走路上に確認できます。ただこれらの部隊はストームシャドウミサイルを警戒し適宜移動するものと思われます。
■激戦続く防衛戦闘
 ウクライナ軍は破壊された事を率直に認めた上でレオパルド2やM-2ブラッドレイの供与拡大を求めています。

 レオパルド2A6が撃破されたと判明した6月11日以降、一週間が経ちますがロシア軍からは新たなレオパルド2戦車などの撃破発表がありません。この際にレオパルド2A6 は正面突破に用いられロシア軍防衛線に敷設された地雷原での戦闘ヘリコプターなどからの攻撃を受け撃破されていますが、高らかに喧伝した後の次の攻撃撃退等の続報がないのです。

 プーチン大統領は、ロシア軍の損害はウクライナ軍の十分の一であるとし、ロシア軍は50両撃破される間にウクライナ軍は150両を失ったと発表しています。数が合わないのは無視したとしても、しかし150両を失ったとする割には6月11日の撃破映像以外に新規発表映像が無い。無論反転攻勢は継続中で、何らかの意図があるのでしょうか。
■ロシア軍民間軍事会社
 ワグネルはもともと6000名規模の組織でしたが急激な増強と大損害を受け再訓練を実施中とされています。

 ロシア国防省は6月10日の発表で、ロシア国防省としてはワグネルのような民間軍事会社職員に対しワグネルとではなくロシア国防省と直接契約を行うよう要求する声明を発表しました。これは、民間軍事会社を事実上禁止し、民間軍事会社戦闘員をロシア軍人として国防省隷下に移すよう求めたもので、関係が悪化する両者の対立が一段と高まった。

 プーチン大統領も6月13日のテレビ演説において国防省を支持する立場をしめしています。国防省の声明が発表された段階では、ワグネル創始者で経営者のエフゲニープリゴジン氏はワグネル要員をロシア軍へ移管するつもりはないことを激しい反発とともに発表していますが、プーチン大統領の13日の発言に対しては尊重の意志を見せています。

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【日曜特集】小牧基地オープンベース2019【6】C-130HとKC-767続々着陸と次の展示(2019-11-09)

2023-06-18 20:00:19 | 航空自衛隊 装備名鑑
■大型機の飛行展示
 小牧基地オープンベース2019大型機の飛行展示が続きます。

 KC-767空中給油輸送機のタッチアンドゴー、迫力があります。そして名古屋空港を舞台に離陸してゆく様子、いまはかつての国際線が有りました名古屋空港も県営名古屋空港となり、かつてボーイング747さえ発着した滑走路は民間機では小型旅客機ばかりになる。

 伊吹山を背景に離陸するKC-767,この伊吹山は愛知県や岐阜県から眺めますと、堂々たる山容が美しく、かつて海軍が巡洋戦艦の艦名に冠した事を思い出させる美しさですが、琵琶湖の滋賀県側から見ますと山頂まで採土により汚され、無残な姿をしめしています。

 タッチアンドゴーを続ける次のKC-767空中給油輸送機、KC-767空中給油輸送機は編隊飛行とともにこうして展示を繰り返すのですけれども、こればかりは名古屋空港が国際線の運航されていた時代でもタッチアンドゴーなんてものはみられなかったでしょう、ねえ。

 県営名古屋空港、フジドリームエアのエンブラエルリージョナルジェットがターミナルに佇んでいる、そしてもう一つ奥に見える三菱重工小牧南工場は三菱MRJ,国産旅客機を開発しようと頑張り、アメリカでの連邦航空局型式証明が採れず中止された夢の跡が残る。

 MRJは、もう少しエンブラエルを見習った政府支援というものが必要だったように思います、エンブラエルは今でこそブラジル製旅客機というものを高品質な世界水準の航空機として知らしめた印象がありますが、その草創期の小型飛行機は酷いものばかりでした。

 KC-767空中給油輸送機とともに印すのはちょっとお門違いでしょうが、エンブラエルは国策企業として使える航空機が開発できるようになるまで、ブラジル政府は黙って購入し続け、独立した企業となって育つまで産業保護を続けてきました、長期的視点に基づき。

 日本の場合は、産業保護として、例えばMRJを航空自衛隊の飛行点検機や海上保安庁の海洋監視航空機に水産庁や国土交通省などに、これだけで15機程度の需要になりますから、買い揃えさせるべきだった、海上自衛隊の人員輸送機、航空自衛隊にも必要な機種です。

 公正さを形而的に追求するという今の制度では少々不可能ではないか、こう問われますと実のところその通りで、情報要求を出して特定の航空機を導入する意図の上で入札方式だけ公正を目指すならば、川崎重工UH-Xのように失敗し企業側に逮捕者がでるだけです。

 多用途人員輸送機として、P-1やC-2のような開発方式を用いれば、それは実現できたのかもしれない、その人員輸送機は旅客機に転用可能という機種としておけば、旅客機に転用できたのかもしれない、それは例えば川崎C-2輸送機が民間型で提案されたように、ね。

 伊吹山とC-130H輸送機、この構図を大事にしたい。そして滋賀県側の山頂まで削られ、山肌が無残な擦り傷の流血しているような様子を曝している景観に対して、情景というものを、美しい山だ、と思わせるような岐阜県愛知県側からの様子と比較してしまうのだ。

 滋賀県、伊吹山は滋賀県の山ということですが、あの削られ方はなあ、いっそ物凄い主柱豪雨や山岳崩壊を引き起して、人工の削られた様子を覆い隠してくれればよかったのに、ともおもう。しかし、岐阜県も赤坂山という美しい山を採土で真っ二つにしています。

 開発一つとって土は必要なのだ、といわれるかもしれませんが、あの自由の国アメリカでさえ土砂採取はかなり規制されている、コンクリートショックともいわれていますが。行き過ぎた環境負荷、というようなものを情景から感じるのは、とても悲しい事とおもう。

 KC-767空中給油輸送機が再度着陸経路にはいってきました、今度こそ着陸するようです。正面から見る角度というものも普段なかなか見ないものです、そしてC-130H輸送機の並びと共に着陸してくる様子、というのもまたなかなか見ない角度ではあるのですけれども。

 二機のKC-767空中給油輸送機が並んでこちらへ着陸してくる、そうぐうっと一周してきたのですね。旋回する空域は名古屋市内まではいっているのでしょうか、一方、気流が悪い日には滑走路を逆方向に、小牧城の方角から着陸する事もあり、お城が背景にはいる。

 C-130H輸送機の着陸、小牧山の方から小牧城を背景に着陸した、というわけではまったくなく、先に着陸したC-130H輸送機が滑走路から誘導路に入り、そのままゆっくりと海上の目の前にきただけなのですが、空港とC-130H輸送機の構図、小牧基地らしい情景だ。

 名駅摩天楼、こう呼ばれる名古屋空港から見える名古屋駅前高層ビル群の近代的な情景とともにKC-767空中給油輸送機が、今度こそおりてくる、しっかしろ減速していますのでもうタッチアンドゴーを行う事はない、着陸している。空港ビルとともに構図に収めた。

 空港ビル、この瞬間はレンズをどうするか迷てしまうのですよね、飛行展示の様に望遠レンズを執りつけたままでは巨大なKC-767空中給油輸送機はフレームに入りませんが、広角レンズではちょっと迫力がない、どうするか少しだけ考えて構図は望遠レンズのまま。

 UH-60J救難ヘリコプターが轟音と共に離陸してゆく、轟音という様な日々あせ方ではなく力強いエンジン音でそれ程響き渡る音ではないのですが、この瞬間を撮影するときに注意したいのは救難飛行展示がいよいよ始まる、という緊張感ですUH-60Jだけではない。

 救難飛行展示、緊張するのはこのUH-60J救難ヘリコプターの離陸とともにもう一機並行して滑走路で離陸滑走中なのです、U-125救難機が。理論上重なるはずだ、離陸の様子は迫力がある、さあ、とレンズに手を据えてカメラを構える最中にちからがこもってゆく。

 U-125救難機とUH-60J救難ヘリコプター、重なった。いや重なっているのだけれども、ちょっと予想外の重なり方だったなあ。そしてここ小牧基地には救難教育隊が展開していまして、全国航空祭の救難飛行展示の模範というべき飛行展示がいよいよはじまります。

 OH-6D観測ヘリコプター、こちらは展示飛行をしているのではなく、滑走路に進出して帰投の準備をしているのですが、KC-767空中給油輸送機とC-130H輸送機がタッチアンドゴーを実施しているうちは離陸できなかった、というところでいよいよ離陸しようとして。

 航空館BOONのあたりからOH-6D観測ヘリコプターと重なる、平日はこの当たりから撮影している、COVID-19の時代には空港ターミナルビル展望台よりも、こちらのほうが換え通しが良く駐車場もあるので、かなりの回数、毎月の様に撮影していた場所なのです。

 いいなこの構図、KC-767空中給油輸送機とC-130H輸送機の重なりの瞬間と共に伊吹山、ではないけれども雄大な、そこまででもないか、しかし自然の風景がしっかりと入っています。KC-767空中給油輸送機だけでもC-130H輸送機だけでもない、そうこのかさなり。

 NAGOYA,県営名古屋空港のターミナルビルとC-130H輸送機に、それから観衆までは行ってくれますと、なにか邦人救出任務、いやそんな緊張はありませんので、これこそ航空祭だ、という構図で仕上がってくれています、そして思う、この飛行展示は終了した、次が始まる、とね。

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【京都幕間旅情】京阪特急8000系電車,バリアフリー時代のダブルデッカー車とハイデッカー展望車を考える

2023-06-18 18:22:20 | コラム
■八〇〇〇系特急電車
 京阪電車はカラフルで見た目で選ぶ的な移動手段と云えるのかもしれないのです。

 京阪8000系電車、その中間者はダブルデッカー車、二階建ての車両が組み込まれています。そして近年は、バリアフリーの重視、というよりもバリアフリーからの逸脱を許さない風潮から、ダブルデッカー車の新型車両があまり新造されていないようにもおもうのだ。

 ダブルデッカー車、冷静に考えれば首都圏の普通列車グリーン車は定数確保の為にだぶるっかー構造を採用しているので、これをバリアフリー仕様に切替えようという、つまり座席定数を敢えて少なくする発想はないようなのが、救いというべきなのでしょうか、ね。

 京阪13000系、3000系電車の頭に1を付け加えたような形状、と勝手に理解しているのですが、バリアフリーというものは機会均等を確保するための手段と理解していた、いや2000年代初めまではそう理解されていたようなのですが、ハイデッカー淘汰がはじまると。

 ダブルデッカー車とともに窮屈な思いをしているのが段差で眺望を確保しているハイデッカー車で、これこそいよいよ新造されていないような気がします、要するにダブルデッカー車は着席定員確保という言い分があるが、ハイデッカーにはそれが無い、という構図か。

 京阪2400系、京阪電鉄は車両を大切に使うのでまだ2000系統の車両が生き残っている、もっとも5扉車の5000系は、まあ、あれなんですけれども、すると8000系は今しばらく生き残る事は確かなのでしょう、けれどもその次の後継車両はどんな車両となるのか。

 バリアフリーは大事だと思う、けれども機会均等が結果均等主義を目指してしまった制度というものが日本の悪い所で、ハイデッカー車でバリアフリー席を確保、というような認識で車両設計が行われればいいのだけれども、どう展開するのか、設計哲学を、思うのだ。

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