今年読んだ本の中で、一番衝撃的だった本はニコラス・ウェイド著、イースト・プレス発行、『5万年前』である。
ヒトゲノムが、人類史を解明するひとつの強力なツールになるとは驚きであった。その本を読んでいくと、私たち現世人類が5万年前に、どのようであったかが判る。
今後、いろいろ話題になるかもしれないが、次のように読み取ることができる。
①150人程度の小集団であったらしい。因みに現在66億人の祖先が150人ということ。
②既に7万2千年前から衣服を身に着けたことが虱のDNA分析で判っているので、衣服を身につけていた。どんな衣服かは不明。
③脳の発達は現代人並であり、何か宗教を信じていた。
④ひとつの言語を話していた。今は英語、ギリシャ語、日本語、韓国語・・・・・・
⑤頭髪は20万年まえから、手入れをしていたことが判っており、男女とも、おしゃれをしていたと想像できる。
⑥現在は既に絶滅した、古代型人類が、アジア、ヨーロッパなどに生息しており、現世人類の敵であった。2000世代の中で絶滅した種は、人類以外も沢山ある。
⑦厳しい環境の中で、アフリカ北東部を脱出し、新たなる挑戦を始めていた。彼ら推定150名の集団は、その後寒冷化し海が縮小している紅海を渡り、アラビア半島からインドに向かい、世界に向かう。
⑧狩猟等を生業として、定住はしていなかった。
⑨皮膚の色はアフリカの環境に適応し、黒かった。
こうした、2000世代前の人類の祖先のことを思い浮かべると、私が今こうして存在していることの不思議、そして今の世が国、宗教、その他で分断され混乱している愚かさを感じる。もし、2000世代前の祖先が、今の世の中での子孫の行動を知ったら何と思うか?ある種の幻滅さを感じるかもしれないが、きっと沢山の愛おしさを感じてくれると思う。私が2000世代前の祖先を想うように。
21世紀の今ここに、私という子孫が生きていること。新しい知識を得て、新しいことを意識化し知覚する素晴らしさ。私はカトリック信徒だが、とても敬虔な気持ちになる。
自分の56年の成育史を思う。そして、よく生き延びてきたものだと感慨深い。最近長寿の方と接することが多いので、生き延びることの不思議さを最近つくづく感じる。
人類が経験したことのない長寿社会にいる私。日々新しく生きて行きたい。
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