今週の授業はまた一転して不評。だが、仕方がない。熱はなぜ高温の物体から低温の物体の方へ移動するのか。というある意味でprimitiveな疑問に答えようとするものだから。第一そんな意地悪な疑問をもつ人は普通の人にはいない。物理学者というのはひにくれた人種なのだろうか。
そうではないと思っている。しかし、私の講義の意図は一部の学生にしか伝わっていない。大多数の学生はなんだか面倒なことを考える先生だという印象であろう。自分たちに分かって単位をとりやすいそういう授業内容ならいいということだろうか。基礎物理学とはやさしい物理学だと思っている。そういう考え方もあるだろうが、やさしくても本質をつかないようなものは単なる知識に過ぎない。そういう考えには多くの学生が到達をしていない。
何の予備知識ももっていない学生が多いからこそこういう講義をしているのだ。もしなんらかの予備知識をもっているのなら、講義のやり方は違ってくるだろう。それに「物理学」という必修の講義もあるのだ。専門的な講義はそちらで学べばよい。それに物理学は一つのはずだから物理学の方の知識が必ず「基礎物理学」の方の理解へもいい影響を及ぼすはずだ。そうではないというのはどうしてか理解できない。
しかし、まだ熱力学はいい。電磁気学はどうしたらいいのだろう。困り果てている。