昨日2冊の科学者の伝記を手に入れた。1冊は岩田義一さんの「偉大な数学者たち」(ちくま学芸文庫)でもう1冊は佐藤文隆さんの「異色と意外の科学者列伝」(岩波科学ライブラリー)である。
昨日ちらちらっと拾い読したのだが、思ったほどは面白くなさそうだ。特に「偉大な数学者たち」はアマゾンの書評がすばらしいとのことだったので期待していたが、それほどではないのではないかと思う。
もちろん、この書をよく読んでいないための評価であるから間違っている可能性は大きい。昨日は短い伝記を読んだので、長い伝記は後の楽しみに残してある。日曜の午後にでもコタツに入って楽しむつもりである。
この書は1950年の発行というからもう60年近くになるわけだが、どういうものか今まで読んだことがなかった。もっとも一番新しい数学者として取り上げられたのが、ガロアであるからup-to-dateというわけにはいかない。
しかし、科学者の生き方というのはやはりドラマに取り上げられることがある。演劇「コペンハーゲン」は見たことがないが、第2次大戦中のコペンハーゲンで繰り広げられたハイゼンベルクと彼の師のボーアとの会話を中心にしている。単に師弟の旧交を温めるということにはならず、ナチスドイツが原爆を開発する意図をもっているかどうかがテーマであった。
ロベルト・ユンクの「千の太陽よりも明るく」では連合国とドイツの間でお互いに原爆の開発をしないように約束をとりたいためにハイゼンベルクはボーアのところへ話に行ったが、ボーアは戦時下では科学者は自分の祖国のために原爆の製造も許されると受け取った。
ナチス治世下の状況で自分の身の安全のためにハイゼンベルクがはっきりと原爆を開発しないと言明ができず、あいまいな言いまわしに終始したためにこの誤解は生じたといわれる。
そのためでもないだろうが、長い間ハイゼンベルクはアメリカの科学者やヨーロッパからアメリカへ亡命した科学者にナチスを擁護した科学者として悪い印象をもたれた。