物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

無駄の効用

2008-01-04 11:28:51 | 日記・エッセイ・コラム

1月2日夜遅くNHK の「爆問学問」だかのスペシャル放送があり、みていたら「無駄をしない」ということが少なくなったという嘆きがあり、哲学者の野矢茂樹さんが「無駄が長い眼でみれば、役に立つ」と自然科学者を中心とした科学者の方がいわれるが、まったく無駄でもいいではないかと問題提起をされていた。

宇宙物理学者の佐藤勝彦さんがその気持はわかるが、まったくいつまでたっても役に立たないのはどうかと異議を唱えられた。もっとも佐藤さんは野矢さんの問題提起をまったく否定した訳ではなかったろう。

それに対して、分子生物学者の福山伸一さんが「まったく長時間をとってみたら、人間のやることはなんでもすべて無駄である」といわれた。これはまったく正しいので、誰も反論はなかった。

太田光さんが、「野矢先生のいうことは自己矛盾している」と発言してお話はおしまいとなったが、なかなか面白いやり取りであった。

大学が現在効率化、効率化と言われているのを科学者の人が危惧していることが発言に現れたと思っているが,あまりの政治の世界からの過度の効率化の要請は結局非効率化へと転化して行くことは眼に見えているように思う。

長年の赤字財政が科学技術や学問に及ぼす影響が10年後にはやってくると思われる。しかし、難しい問題である。


オイラーの公式 5

2008-01-04 11:24:03 | 数学

今日は1月1日で新しい年2008年の始まりだ。

年末にインターネットでオイラーの公式を検索したら、いくつかの新しい発見があり、いくつかの私の採用していない証明が見つかった。

オイラーの導出(ド・モワーブルの公式を使う、この方法は志賀浩二さんの本(岩波新書)の記述と本質的に同じと思う)を除いてどれも発見的とは言い兼ねるが,それでもなんらかの新しい視点を与えている。

一つはe^{ix}, sin x, cos xが一次独立でないことをロンスキーの行列式を用いて証明すること、もう一つはe^{ix}=a sin x+bcos xとおいて、未定係数a, bを決めるという方法であった。

この係数を決めるという手法は私のオイラーの方法の推論的導出でも使っているが、私は例えば,cos xのマクローリン展開をe^{ix}のマクローリン展開とe^{-ix}のマクローリン展開と の1次結合にもって行き、そこで二つの係数を決める。

それとはちがってe^{ix}=a sin x+bcos xでx=0とおいてaを求め、またこの式をxで微分した式でx=0とおいて、bを求めるところが違う。一次結合で書けるとしたところはいささか事後発見的だがまあそれでも新しい考えだ。そしてちゃんとa=1, b=iと決まる。

この著者の「べき乗の意味を考える」ところはやはり数学者らしい。これは私の友人の数学者Nさんと同様である。

女性の先生が書いた方法では、3つの関数の一次従属をロンスキアンを用いて証明した後は同じような考えで定数を決めていた。そこのところはちょっと記憶がはっきりしない。

これらの新しい視点をどう取り入れて原稿を修正するかがまた問題である。

こうしてみてくると導出法もいろいろあるが、それだけではなく数学的な問題点も見えて来た。

それらはすべて教育上の問題ではあるが、

(1) 実数のベキ乗の意味の追求

(2) e^{ix}, sin x, cos xが互いに一次従属であることの証明

(3)  マクローリン展開で無限級数の項の順序の入れ替えをどう合理化するか(一様収束性?)

(4) 指数関数における解析接続の問題、すなわちe^{x} をe^{ix}に置き換えることをどう正当化するか

等が問題となってくる。

ともかく、一つの問題が片付くと次の問題が出て来たことになる。こうして認識も少しづつだが、進んでくる。

(2014.8.13付記) オイラーの公式の導出法のレビューは愛媛県数学教育協議会(愛数協)の機関誌『研究と実践』102号(2009.10) 21-36 に発表している。近々それを『数学・物理通信』に転載したいと考えているが、なかなか掲載するチャンスがない。もっとも上の4つの問題は自分自身の問題としてはまだ解決していない。


オイラーの公式4

2008-01-04 11:22:10 | 数学

オイラーの公式4

今日は昨日原稿を見直して加筆訂正した「オイラーの公式」のエッセイを入力した。冗長だった文がだんだんコンパクトになっていく。それでも10ページを越す量になった。まだ図は入っていない。複素数から入って行って、オイラーの公式を導いたビデオを見た気がするが、どこにあったか思い出せない。それも確かにオイラーの公式まで導いていたのかどうかも思い出せない。ちょっと検索をしてみる必要があろう。

昨日(12月28日)は道後のあるホテルで親戚が集まって忘年会というか会食をした。そのときに甥や姪の子どもにお年玉をあげた。いつもの恒例の行事である。

大学生の甥には少し多くのお年玉を出した。私たちの子どもころは皆が貧乏だったこともあり、従兄弟の数も多かったので叔父や叔母にお年玉をもらったことはなかった。このごろは子ども数が少ないせいもあって全員に渡している。

妹の一家が仕事場に宿泊して朝一緒に朝食バイキングをあるホテルの食堂で食べた。その後、ロープウエイ街を散策し、妹一家は帰って行った。


オイラーの公式3

2008-01-04 11:20:06 | 数学

今日一日かけてエッセイの原稿の残りの入力をした。ほぼ出来上がって家に帰り、見直したらやはりいくつかの点で手直しが必要だ。

自由調和振動の微分方程式の解として、三角関数の解と指数関数の解とがあるが、それらが独立ではないということから第5のオイラーの公式を導出する方法を付加した。

図をいくつか入れたいが、いつも図が問題となる。図を描くのが下手なので。それほど難しい図ではないのだが、図が描けないために完成しない原稿を他にいくつかもっている。

以前に知り合いの女性に図を描いてもらったのだが、頼むのが億劫なのである。自分で描けるようになりたいと思っている。