「懐が深い」という表現を聞いてすぐにその意味が分からない日本人はすくないだろう。
だが、その意味するところを精確に理解しているかどうか。そう思って広辞苑を引いてみた。辞書には単語の意味の説明はあるのだろうが、こういうちょっと熟語的な言葉遣いの説明はないかもしれないなと思いながらである。
予想に反して広辞苑ではこういうちょっと熟語的表現も説明があった。それによると「懐が深い」は相撲の用語以外に
包容力がある。度量が広く、寛容である。
とあった。まさにその通りであろう。
懐が深いとは人となりの形容であろうが、私には大学院のころに指導を受けたYさんがそのような方であった。頭がいいのはもちろんであろうが、それだけではない。初期に指導をしてもらったSさんも頭のいい方であり、反応も早い方であった。
レスポンスの反応が早いのは頭のいい証拠であろう。Sさんの指導により私も研究が曲がりなりにもできるようになったかと思っている。だが、そこに懐の深さをあまり感じはしなかった。これはちょっと悪口のように聞こえたら、その点はお許しをいただきたい。悪口ではないのだ。
人柄の違いというか、与える感じが違うということだけ言いたいのである。願わくば、私も懐の深い人にはなりたいとは思うが、これはなかなか生まれつきなのでそれだけはどうしようもない。
私に比べると私の妻などは懐の深い人である。最後に、語るに落ちたかと言われそうだが。