土曜日、恒例のただ塾を終えてほっと一息ついたところである。
毎土曜日に何を教えるかにいつも苦労している。今日は比ということについて「比とは比の値のことだ」との和達清夫さんの中学校時代の数学の先生の話を述べた。
例えば a:b=c:d は、すなわち、a/b=c/d である。いつまでも a:b=c:d を使い続ける理由がわからない。 a:b=c:d には等式の性質は使えないのである。昔から「内項の積は外項の積に等しい」、すなわち ad=bc という等式を使うが、この性質の由来ははっきりとは示されない。
日本では「比とはなんだ」ということについてあやふやである。数学教育の権威であった遠山啓先生でもなかなか割り切った論説を書かれていない。もちろんそれはそれなりの理由があろうが。
その点で「比とは比の値のことだ」と教えた、和達清夫さんの数学の先生の卓見を貴ぶ。今年(2024年)の7月に亡くなった武藤徹先生も『新しい数学の教科書』II 図形編(文一総合出版)p.154で
a:b=c:dはa/b=b/dとまったく同じことです
と書かれているが、さてはて他の数学の書ではどう書かれているのだろうか。
私の体験によるとドイツではa:bは日本の割り算の意味に使われているということを知っている。もっともヨーロッパでも他の国で同じようであるのかどうかはわからない。