今日は数学者吉田吉田洋一さんのエッセイを取り上げてみよう。彼の書いていることで二つのことに注目した。
一つは 0.999・・・=1 だということである。この話はときどき話題になるが、朝日新聞に0.999・・・ は1にならないという読者の投書があったので、それは間違いだという指摘をしてあげたことがあった。
そしてそのことを「研究と実践」という愛数協の機関誌に書き、まだ自著『数学散歩』(国土社、2005)にもそのエッセイを載せた。
これはもちろん、一番初めは吉田洋一先生のエッセイ集『数学の影絵』(発行所は覚えていない)だったかに載っていたのを読んで知っていたからである。
このことをこの『数学に強くなる法』にも吉田さんは取り上げている。この 0.999・・・=1 の説明は無限等比級数の和の公式を使っての証明である。私は矢野 健太郎氏の説明も付け加えておいたが、それは
0.999・・・=0.333・・・*3=1/3*3=1
というものである。これならわからないという人は小学生でもいないだろう。
注釈的に有名な物理学者でこのことをなかなか認めなかった方がいると書いてあった。
さてこの物理学者がどなたなのがわからないが、北大時代の同僚で、雪の研究で有名な中谷宇吉郎氏なのか、はたまた、立教大学で吉田さんの同僚だったことのある武谷三男氏だったのかもしれないなどと推測すると楽しい。
もっともこれら方々が 0.999・・・=1 を分からなかったとは思えないから、他の方かもしれない。
もう一つこちらの方は私も間違って理解していたが、
x > = 2
(これはここで式が書けないので > のうしろの=は実は>の下にあるのだが、ここでは式が書けないのでこういう表現をしておく)
このときにx=5とおいて
5>=2
と書いたら、生徒から5>2ではないかとの言われたという。だが、これは5>=2の方が正しいのだという。もともと
a>=b
はa>b またはa=bを意味するのだという。ところがその定義をはっきり覚えていないための間違いだという。だから5>2が成り立てばいいので、同時に5=2が成り立つことを示すわけではない。
確かに>=は>か=かどちらかしか成り立たない。だから同時に成り立つことを示す記号ではなかったのだ。