これは「技術と科学の歴史を考える」というタイトルの講義の後半を私が担当したときの「原爆製造と原子核物理学」というサブタイトルの講義の中の人物評伝の一部のエンリコ・フェルミの前半である。
Enrico Fermiについては参考文献のセグレ『エンリコ・フェルミ伝』(みすず書房)を読んでほしい。また、Fermi夫人である、ラウラ(Laura)の著した『フェルミの生涯ー家族の中の原子』(法政大学出版局)が夫人から見たEnricoの伝記である。
Segreによれば、Fermiのもっとも偉大な業績を3つ挙げれば、つぎのとおりである。
1.フェルミ統計の発見
2.ベータ線崩壊の理論
3.中性子の実験的研究、特に遅い中性子による核反応の発見および原子炉における連鎖反応の達成
この中でも2のベータ線崩壊の理論を私個人はもっとも重要なフェルミの業績と考えているが、ノーベル賞をもらったのは3の中性子の実験的研究である。特に遅い中性子による核反応の発見に関係したものである。
今世紀最大の理論物理学者の一人ランダウLandauは「理論物理学者にして実験物理学者でもあった最後の人フェルミ」と評している。
(以下「エンリコ・フェルミ2」につづく)
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