ごく最近の大学生の学力の低下は国立大学でも地方大学でははなはだしい。
そのせいもあってか大学の中で教育改革シンポジウムという名のシンポジウムが盛んに行われている。私の友人もE大学でそれに関係しているのだが、先日自分で彼と私のe-Learingについて発表をし、また別のシンポで他の人の取り組みを聞いたという。
それによると化学と生物ではe-Learningのコンテンツが作成中であるが、物理と数学では作成がされていないということだった。それで私たちの取り組みがその計画に入って欲しいということだったらしい。
友人からすぐにメールが入って一緒に作成に加わっていいですかとの要請があった。私としては反対するところは全くないのでOKとの返事をすぐに出した。
数学と物理の先生がe-Learingに加わらない理由は多分多忙ということが一番の理由だろうが、それだけではなくこれらの学科はあまりe-Learningになじまないというのも理由にあるだろう。
かなり以前のことになるが、ある数学の先生がそういう事情の視察にアメリカやヨーロッパを回ってその様子をある会でお話された。
それによるとそういうe-Learingのコンテンツとか講義ノートとかいうものは大学での大きな財産の一つであって、欧米の大学ではそれをまとめる手助けをする学内の機関までつくられているという。
ところが、それらの教材とか何かのコンテンツがあるのは数学とか物理ではあまりないとのことであった。情報とか環境学とかそういう分野が多いということだった。
それはどうしてですかと、そのときに質問をしたら、やはり学問の性質、本の中の一行の意味とか一つの定理なり、系なりが理解できないとき、わかるまでに一日も二日もあるいは1週間も、長ければ1ヶ月もかかるのは数学では珍しくない。
そういう学問の性格からお手軽なと思えるe-Learningのコンテンツとか講義録とかテレビの放送のDVDとかができ難いのだろうとのことであった。
それは数学とか物理の程度の進んだ分野ではそうであろう。だが、いま私たちがやろうとしていることはそういう進んだ内容ではない。高校から大学にかけての理工学の基礎となる分野の数学や物理の内容に話を限っている。だから、これらの分野でのコンテンツができないはずはない。
それにごく最近ではインターネットでちょっと検索をしてみると各大学でもそういう試みは大なり小なり行われている。その中には体系的なものもある。有名なのは金沢工業大学の試みであろう。数学に関していえば、高知工科大学にもe-Learningの」コンテンツがある。
ただ、これは前にも言ったと思うが、もう少し工夫をされてもいいと思っている。それで独自性を出すことを試みようとしているのだが、その分だけ進行が遅くなる。
もちろん、独自性を出すといっても完全な独自性というのはなかなかあり得ない。結局は誰かの試みの2番煎じだとか3番煎じにしかすぎないのだけれども、それでもなんとか独自性を出したいと願っている。