今日は本当は別に書きたいことがあるのだが、もくれんのことを書こう。車で仕事場への途中いくつかのところで白いもくれんが咲いているのを見た。昨日と今日と暖かいので寒いのが苦手な私にとっては大いに助かる。暖かさにつられて数日前からもくれんが咲き出した。
H市での10年にわたる大学と大学院の生活を終えてK市に出向いたのはいまから数えてちょうど41年前のことである。K大学の研究所に一年の予定でいることになったのだが、その4月の研究所の3階の一室がKさんと私の研究室であった。Kさんは在日の物性の研究者であったが、それほどは研究所に出てこなかったので、部屋には私一人のことも多かった。その研究室の窓の外に白いもくれんが咲いていた。4月はじめだと思うが、雨が降ってきてその雨に打たれてもくれんのはなびらが一枚一枚と散っていった。
私は研究としてもあまり人からは認められないようなことに関心をもっていたが、その続きをやった。しかし、その成果は結局出なかった。いくつかのレポートを「素粒子論研究」に日本語で発表しただけであった。その当時核力研究のサマリーのある章を書いていたO教授がそのいくつかのレポートについても彼のレビューに取り上げてはくれたが。
その後、私は6月半ばに結局定年退職まで勤めることになったE大学に就職が決まった。一応9月までこの研究所に居ていいということになり、その代わりにE大学で7月に集中講義をした。これが私のはじめての講義であった。
その頃の私の講義を聞いた学生がすでに大分以前にやはりE大学で教授になっている人もいる。それから約37年を経て定年退職して、いまは自分の好みの仕事をしている。趣味といえば趣味だし、仕事といえば、仕事だが狭い意味の学術的な仕事ではない。
昨日、その仕事のために描画の支援マクロemathをインストールしたが、そのときにFtextというフリーの数学の教科書を見つけた。大学入試にも役立つようなというフレコミのテクストである。私たちはe-Learningのコンテンツを目指しているが、これはいわゆる大学入試などをクリアーすることを目指してはいない。そこがちょっと違うところである。もっとも大学入試というのは学生が勉強する動機付けの一番初めに来るものかもしれないが。