技術者であるbreezingさんから頂いたコメントをもとに2箇所だけ直そうとしている。ところがもちろん私とか私が依拠した原子力工学の本の細かな間違いもあるのだが、頂いたコメントをどう活かしたらいいか、悩んでいる。
私の間違いは自分の昔の講義ノートのあわてた引用のためでもあったが、大山彰氏の「原子力工学」(オーム社)の図もある意味では誤解を招くものである。もっともそれは細かなことであって、大したことではないが、コンテンツが正しくないのはよくない。私も「原子力工学」から自分の講義ノートをつくったときに十分には批判的でなかったと思う。
CM系での2体衝突では全運動量=0ということは二つの粒子の運動方向は一直線上にあるということなので、後は符号と大きさを考えればよいと思う。
3次元空間の中での粒子の運動方向を考えるのが正統的な考えであり、これは散乱断面積の散乱角依存性(角分布)を考えるときなどに決定的に重要になってくる。しかし、1回の衝突による、中性子の運動エネルギーの損失を問題にしているから、3次元空間での方向を議論する必要がない。これは中性子の減速という、技術的な問題の一部を連立方程式という初等数学の演習問題にしているのである。
それはともかくとして、このブログで「原子力工学」という言葉を使ったら、それが直ぐにインターネット上でトレースバックされているのには驚いた。もう原子力工学などという語は死語(?)だと思っていたが、地球温暖化とかで、原発が復活しているらしくい。だが、この地球温暖化という言葉に便乗しようとする一派には真摯な自己反省はあるだろうか。なんでも売れて自分たちだけが儲かれば後は「野となれ、山となれ」いいという、さもしい気持ちだけではないのか。