【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

俊美さん、東北太平洋沖の「ロナルド・レーガン」を訪問 

2011年04月04日 21時32分05秒 | その他

 防衛大臣の北澤俊美さんは、2011年4月4日、東北太平洋沖で「オペレーション・トモダチ」を展開する、米浮沈原子力空母「ロナルド・レーガン」を、ジョン・V・ルース駐日米国大使閣下と訪れました。折木良一・統合幕僚長も同行しました。

 このもようは、ルース大使閣下のツイッターや、在日米海軍司令部のツイッターが写真付きで紹介しました。大使は、「Japan has often led the world in answering calls for humanitarian assistance & disaster relief. This time the world has come to support you.日本はこれまで人道支援と災害救援で度々世界をけん引してきました。今回は世界があなたたちを支援する番です。)」とつぶやきました。

 
[写真]米海軍厚木航空施設(神奈川県大和市・綾瀬市)から米空母「ロナルド・レーガン」に向かう防衛大臣の北澤俊美さん、在日米海軍総司令部、2011年4月4日

 厚木航空施設から、東北太平洋沖の米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」についたときは、かなりの強風だったようで珍しく髪が乱れています。

 
[写真]太平洋上の米空母「ロナルド・レーガン」で米軍のおそらく4軍(海軍、陸軍、空軍、海兵隊)を代表する兵士から敬礼をうける防衛大臣・北澤俊美さん、2011年4月4日、在日米海軍総司令部のツイッター


[写真]「オペレーション・トモダチ」の横断幕に目をこらす防衛大臣の北澤俊美さん、東北太平洋沖「ロナルド・レーガン」艦内で、2011年4月4日、ルース大使のツイッターから。


[画像]北澤大臣、折木統幕長らとともに、ルース大使が「ロナルド・レーガン」をおとずれたようすを伝える、大使や海軍総司令部のツイッター。

 言うまでもなく、51年目を迎えた日米同盟はわが国の安全保障において最大の公共財です。

 米原子力空母「ロナルド・レーガン」は言うまでもなく、第40代米合衆国大統領、ロナルド・レーガンの名にちなみます。

 このブログを書くにあたって、ロナルド・レーガンの資料をパラパラをめくっていたら、次のような写真を見つけました。USニューズ・アンド・ワールド・リポートが彼を偲んだ追悼特集号にこのようなポスターがありました。

 
[写真]1957年の米コロンビア映画「ヘルキャッツ・オブ・ザ・ネーヴィー」のポスター。

 これは1957年のコロンビア映画。コロンビア映画というと、親・米民主党(Democrats)でアンチ共和党(Republican)、ソニー買収下ではアンチ日本(これは当然)のイメージが強いのですが、こうやってレーガンが海軍兵士を演じた映画があるんですね。そして、この「ナンシー・デービス」という共演の女優は、実は、後の「ナンシー・レーガン大統領夫人」のことなんですね。きょう初めて知りました。ちなみに、「ヘルキャッツ」という言葉も知らなかったので、辞書で引いたら、この映画「海軍のあばずれ女たち」というタイトルで、いったいどういう映画で、だれがどういう配役なのか気になりますが、ひょっとして後の合衆国ファーストレディーが「あばずれ」役だったら、かなり笑えますが、まあ、1957年というと、映画がテレビに食われていた時期ですから、映画産業もいろいろな過渡期だったのでしょう。

 イリノイ州生まれのロナルド・レーガン。合衆国大統領は歴代44人のうち、健在なのは5人です。39代ジミー・カーター大統領(民主党)、41代ジョージ・ブッシュ父大統領(共和党)、42代ビル・クリントン大統領(民主党)、43代ジョージ・ブッシュ子大統領(共和党)、そして現職のバラク・オバマ大統領(民主党)の5人ということになります。そして、帰天した39人の大統領のうち、西海岸にそびえる丘から太平洋を見渡して眠っておられるのは、ロナルド・レーガン大統領、ただ一人なんじゃないでしょうか。仮にそれが違っても、「合衆国の歴代大統領のうちロナルド・レーガンほど、太平洋が似合う男はいない」ということには異論はないでしょう。

 ロナルド・レーガン大統領候補の選挙参謀をつとめた、アラン・グリーンスパン(後にFRB議長)は、日経新聞『私の履歴書』の中で、選対入りしてすぐに、彼があまりに凡庸な人物だと気づき、驚いたという趣旨のことを書いています。そういった類は、他にも多くの人が指摘しています。しかし、絶対悪である「コミュニズム」を世界に撒き散らそうとした悪の帝国「ソ連」を倒し、国策であるスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発にも泰然自若と振る舞ったレーガンが偉大な大統領であったことは間違いありません。

 ロナルド・レーガンは、69歳と合衆国史上最高齢で大統領に初当選した遅咲きの政治家でした。

 一方、防衛大臣の北澤俊美さんも、54歳で初当選しました。そして、初当選から3年目~18年目の長きにわたる野党暮らしにじっと耐えました。大器晩成、まさに生まれ育ち、今も暮らす、長野市川中島にかつてあった「川中島の合戦」さながらの持久戦ですが、3月で73歳を迎えたとは思えない元気さ。体も丈夫、心も丈夫、悪いのは口だけ。筆者も血の半分は川中島の血統なのですが、「3・11」ですっかり意気消沈してしまい、家で、伊勢湾台風や、災害対策基本法や、吉田茂のことを調べたりするだけで、楽天的ではありますが、足と体が動かない日々です。



 在日米軍の沖縄への偏在は問題であり、改革すべきです。しかし、米海兵隊の国外移転を根回し無しに打ち出したバカ殿、鳩山由紀夫元首相の一連の言動は、日米同盟の信頼にキズをつけました。それなのに、鳩山グループ(政権公約を実現する会)の連中はまったく製造物責任(PL)をとろうとしません。推薦人に名を連ねた1年生参院議員のうち、副幹事長の行田邦子さんは、土地取引の外資規制でがんばっていますが、後は第22回参院選で落選した人も多いですが、国会に残っている人もダメダメですね。無責任きわまりない。

 菅直人さんは、勤続30年なのに、経済オンチ、外交オンチ、財政オンチであまりアタマが良いようには思えず、また宵っ張り、女好き、交通ルールを守らない、旧い友人を大事にしない、愛想が悪いなどその振る舞いにも大いに問題があります。しかし、前任者と違って、精神力が強い。そして、アタマの中味も、英語は話せませんが、政治センスに優れ、人を見る目もある。前任者よりはだいぶましです。そして政権を動かしていく中で、グリーンスパンがその凡庸さに驚いたと述懐するロナルド・レーガンが2期8年間つとめ上げ、副大統領が後継者になったことからすれば、実質3期12年におよび長期政権を実現できたのは、よいスタッフに恵まれたからです。総理を裸の王様にしてはいけません。ちなみに、レーガンは日記で、日本の鈴木善幸首相について「フツーの人で驚いた」と書いています。菅さんは多少はリーダーのオーラがあります。内閣官房の参与や副長官、補佐官がどんどん入れ替わっていますが、くれぐれも、総理を裸の王様にしてはいけません。

 ロナルド・レーガンと北澤俊美。2人の遅咲きの政治家に思いを馳せながら、筆者は「オレはとてもこう楽天的にはいられないな」と思い、復興に備えて、本を読んで、調べ物を続けようと思うのでした。