【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

菅直人首相、福島原発災害で「情報隠蔽ない」と国会で断言 

2011年04月26日 22時20分38秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(このエントリーの初投稿日時は2011年4月26日午後10時20分)

【参・予算委員会 2011年4月25日(月)】

 菅直人首相は、東京電力福島第一原子力発電所をめぐる災害で、情報隠蔽をしたことはないと、国会で断言しました。

 新党改革の舛添要一さんが、菅内閣の二つの問題点として、①情報公開が十分ではない②会議や組織が多い--と指摘しました。私としても舛添さんの指摘には同感です。

 これについて、菅総理は次のように答えました。

 「私はあの、結果として、情報の開示(ディスクロージャー)がタイムリーに適切にやれていたかということについては、問題があったということを、反省を含めて感じております。もちろん、当初はデータそのものが、(津波による“想定外”の全電源喪失で)電源がダウンしていた問題もあって、データそのものがない場合、あるいは、伝達は少なくとも、私の自覚意識では、私に伝わったものを隠せ、と言ったことはありませんけれども・・・」

 いったんここで切ります。非常に言い訳が多くて、分かりにくい答弁ですが、とにもかくにも、「隠せと言ったことはない」と国会で答弁しています。解説は後回しにして、答弁の続き。

 「・・・私に伝わるべき、あるいは私のところに来ないもので、本来なら開示すべきもので開示すべきものがあったり、あるいは遅れたりしたことがあります。そういう点については、そういう開示しないものがあったり、あるいは遅れたりすることがないよう、キチンと公開していきます」

 と答弁しました。

 で、まず、菅直人というのは、私の知っている限り、スーパー嘘つきです。例えば、このブログで、「(2009年)3月20日の裏切り事件」について、菅代表代行(当時)は嘘を付いている、と指摘し、当時開放していたコメント欄で相当叩かれましたが、これは当時の菅直人代表代行の説明よりも、間違いなく私の記事の方が正しい。ほぼ確証に近い状況証拠もあります。代表代行記者会見では、この件について、複数の新聞記者から吊し上げ状態にされています。また、私は、菅直人さんを、民主党結党直前から知っておりますが、側近中の側近である山本譲司・衆議院議員が辞職に追い込まれたことに伴う、補欠選挙に、不戦敗を選ばずに候補者を擁立したときに、やはり菅は人間として最低だと思いました。平気で人を切る男です。仮に内閣不信任が可決したら間違いなく69条解散に打って出るでしょう。そういった菅さんの人間性に関する基本認識は今でも変わりません。それでも、私は昨年6月、9月の代表選で、菅さんがベストだと主張したことにいささかの間違いもなかったと自信を持っています。

 で、ここまで言いながら、菅内閣を支持し、この「情報を隠せと言ったことはない」という答弁を信じるのはなぜか?さまざまな材料をもとに、この4月25日の「隠せと言ったことはない」という発言は、ホントウだと考えます。安心してください。大丈夫です。

 その理由の一つは、まず、彼は既に内閣総理大臣になったから、というのが最大の理由です。それから、政治センスは優れた人なので、「政権を維持する危機管理」には長けているので、こういう風に答弁でも、言い訳をたくさん言いながら、安全運転で、自分に火の粉が降りかからないようにしながら、やっているのでしょう。そして、「キチンと公開していきます」と答えることが、菅内閣が安定した政権運営で、原子力災害収束と地震津波復興につながると、現時点では考えているんだと思います。

 菅直人はロナルド・レーガンのように、凡庸な人物です。ただ、レーガンのように、台本通りにしゃべれるし、見栄えも良いです。だから、菅総理を、岡田・枝野・仙谷・玄葉・安住・輿石のメンバーで必死に支えていけば、当分安定した政権になる兆しが出てきました。

 統一選のさいちゅうに、民主党国会議員がイチバン言われたことは、「とにかく党内でガタガタやるな」ということだったようです。今後の大型選挙は11月の大阪府知事・大阪市長ダブル選挙、その後は、来年9月の民主党代表・自民党総裁ダブル選挙、そして、2013年7月の衆参ダブル選挙(衆院の任期満了は8月)だと私は考えています。内閣改造は、通常国会後ではなく、おそらく、平成24年度本予算が決定する月、おそらく12月を待って内閣改造になると考えています。

 情報隠蔽がない、と総理が言ったわけですから、お住まいの地域とか、年齢など、それぞれの環境にそった情報収集ができるインターネットなどを活用して、放射能被害に関する正確な知識を仕入れていきましょう。長期戦になりますから。正しい情報、知識は、こころの落ち着きにつながります。そうでないと、ストレスで、がんになってしまうかもしれません。支え合って、長期戦、心をつなげて、やっていきましょう。


「3・11」から再スタート 参・決算委員会

2011年04月26日 06時47分47秒 | 第177常会(2011年1月)大震災・3党合意

(このエントリーの初投稿日時は2011年4月26日午前7時)

【2011年4月25日(月) 参・決算委員会】

 参議院決算委員会は、3月11日の大地震発生で暫時休憩後、理事懇談会で散会を宣言していた平成21年度決算の質疑を再開しました。

 鶴保庸介・委員長(自民党、和歌山)は、「ただいまから会議を開きます。この際、一言(いちごん)申し上げます」として立ち上がって発言しました。

 「さる、3月11日、決算委員会は本日と同じここ(参議院)第一委員会室で、平成21年度決算の全般質疑を行っておりました。まさに、そのとき、三陸沖を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生したため、私は理事と協議のうえ、委員会を暫時休憩し、閣僚にすみやかに官邸に向かっていただきました。この東日本大震災により、各地に甚大な被害がもたらされ、多くの尊い命が失われましたことはまことにいたましい限りであります。犠牲者のご遺族に哀悼の意を表しますとともに、被災者のみなさまにも心から、お見舞い申しあげます。特に本委員会の開催中に、地震が起きましたことを考慮し、犠牲になられた方々のご冥福をおいのりし、黙祷を捧げたいと存じます」と述べました。

 「ご起立下さい」と促すと、閣僚席の菅直人首相、野田佳彦財務相、江田五月法相のほか、各党の委員、参議院事務局員、さらには、強行採決のときも審議拒否のときも常に紙の上から筆を離すことがない記録部員(速記者)も立ち上がり黙祷。「3・11」からの再スタートを切りました。

 時計の針を元に戻すことはできません。参議院決算委員会は僕の大好きな委員会の一つです。ぜひ、自らの職責に専念して欲しいと思います。応援しています。例えば、平成21年度決算を通常国会会期中に是認(承認)し、会計検査院をせっついて、平成22年度決算書を前倒しで8月にも提出させて、各府省の見積もり書(概算要求)提出シメキリの8月31日前から審議入りするくらいにして、時計の針を前に進めて欲しいと思います。