【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

第178臨時国会は2011年9月30日まで(?)延長へ、きょう議決 「両院合同調査会法」の成立も

2011年09月16日 04時47分40秒 | 第178臨時国会(2011年9月)野田内閣

[画像]安住淳・財務大臣、2011年9月15日のみんなの党・渡辺喜美代表への答弁、衆議院本会議

 やれやれホッとしました。

 第178臨時国会は会期末のきょう(2011年9月16日)、与野党幹事長会談が開かれ、会期を9月30日(金)ごろまでの14日間程度延長することを議決する見通しです。延長は会期末前日に決まることが多いのですが、第177通常国会と同じく最終日に延長が決まるという慌ただしい展開が続きます。国会法12条では、臨時国会は「再延長」も可能です。

 来週は月曜日と金曜日が祝日で、その間に野田佳彦首相の米国出張(国連年次総会出席とバラク・オバマ米大統領との会談)があり、再来週に衆参予算委員会が2日間ずつ開かれる運びになると思われます。

 国会会期については、第177国会の会期末前日の8月30日に首班指名をうけた野田佳彦首相が内閣の陣立てをしっかり整えた上で、所信表明と代表演説にのぞむため、2週間あけて召集する、という「守り」をしっかりと固めたものですが、党執行部が「4日間」という極端に短い会期を決定したことで、「守り」が「逃げ」になってしまい、見直しが必要となっていました。

 法案ですが、復興財源にあがっている日本郵政株式会社の政府保有株(現在は100%保有)の売却を可能にする「郵政改革関連法案(分社再統合法案)」(第176国会閣法1~3号)が審議される可能性があります。ただ、日程は厳しいのではないでしょうか。私のこのブログで以前に、郵政株売却には「日本郵政株売却一時凍結法」の廃止が必要だとの趣旨のことを書きましたが、郵政改革法が成立すれば売却は可能になるようです。

 自民党が民主党の安住淳・(前)国対委員長と次期臨時国会での結論を約束している、「二重ローン対策法案(株式会社東日本大震災事業者事業者再生支援機構法案)」(参院自民党・片山さつきさんら提出、第177国会参法12号、参院で可決、衆・復興特委で継続審査)、「震災による私学の建物などの復旧に対する特別措置法案」(参院自民党・橋本聖子さんら提出、177参法21、参院で可決、衆院文科委で継続審査)の審議を自民党が要求してくるのは当然です。二重ローン法案は東北でシンポジウムを開催し、私学の建物復旧の特別措置法案」はお盆休みの国会で審議するなど参院自民党は力を入れています。

 そして、もう一つ、衆院自民党の塩崎恭久さんらが提出した「(両院合同特別調査会による)東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法案」(177衆法24)を衆院議運委、本会議で速やかに可決すべきではないでしょうか。

 というのは、ご存じの通り、日本の国会は、参院で野党が過半数を持ちながら、衆院で与党が3分の2を下回るという日本国憲法第60条(前者)、同第59条(後者)が想定していない事態になっています。これは、憲法が「空白状態」になっているともいえ、行政府(自衛隊、警察含む)、裁判所は動いているからいいのですが、国権の最高機関である国会については、「さながらクーデターで憲法停止」とさほど変わらない事態に追い込まれています。

 これに関して、民主党衆院議員の岡田克也さんは、両院協議会に関する国会法の改正などを考えていましたが、民主党幹事長として国会運営の最高責任者だった1年間で、前半は小沢問題、後半は2・17ショック(小沢グループ16人の会派離脱による憲法59条空文化)による3党合意の忙殺されてしまいました。もちろん3党合意で、自民党(富樫)、公明党(番卒)の情けで安宅の関を乗り越えられたので、なかなか水くさい話もできません。そこで執行部が変わったのはチャンスですから、1947年(昭和22年)の制定以来一度も改正していない両院協議会規程や、国会法の関連部分の改正に向けた話し合いの場をつくるべきです。そうでないと、何度も言及しているように「解散しても事態はどうにもならない」異常事態は、任期満了で第46回総選挙を2013年夏に迎えても、参院の非改選議席があるので、2016年夏まで「国会における憲法の空白」が続く可能性があります。それでは国が死にます。

 そのための手段として、両院合同特別調査会というのは、与野党衆参とも「国会支持率」をあげる上での良い訓練になりますから、まず手始めにやってほしいと考えます。3党合意の誠実な履行の「枠組み補強」の一助にもなるでしょう。

 正式な会期の延長幅は、きょうの衆院本会議で決まります。