【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

陛下、第178臨時国会を平成23年9月13日(火)に召集 野田内閣の所信表明と代表質問

2011年09月10日 05時00分00秒 | 第178臨時国会(2011年9月)野田内閣

[写真]お稲刈りをなさる陛下(宮内庁ホームページ、過去のもの)

 天皇陛下は詔書を発せられ、日本国憲法第7条「天皇の国事行為」として、第178臨時会(第178回臨時国会)を、平成23年(2011年)9月13日(火曜日)に東京に召集されました。これについては、官報の9日付特別号外第46号に掲載されました。

 
 ごらんのように天皇の国事行為には、内閣の助言と承認が必要ですので、「内閣総理大臣 野田佳彦」の副署が添えられています。野田さんの詔書への副署はこれが初めて。

 なお、会期幅については調整中で、召集日の衆参本会議で決定しますが、国会法では2回まで延期が可能です。衆院の院議が優先します。

 召集日に所信表明演説があり、野田首相が就任後初めて国会で発言するほか、それに対する各党代表質問が衆参本会議で行われます。1日目が衆院本会議、2日目が衆参、3日目が参院となります。ただ、今回は質問通告日をおかずに衆院の代表質問に臨むということで、これは、自民党が項目だけを通告し、本会議場で臨機応変に、持ち時間を使って、再質問、再々質問をやれば、内閣側には不利だと思われます。非常に理解しがたい日程です。また、9月21日ごろの国連総会から帰国後に、衆参予算委員会の集中審議(今年度予算の執行状況に関する調査)がある可能性もあります。財務大臣の安住純さんはNHK日曜討論で、第3次補正予算案の国会への提出について「10月中旬にも」と述べていますので、秋の臨時国会は一回閉会するでしょう。

 国会としては、野田首相の演説を聞いて、代表者が質問をしたら初めて、国会が連帯して内閣に対して責任を持てる、と私は考えます。首班指名で「谷垣禎一」と書いた人も、この国会が終われば、3次補正について官邸に要望書を出したり、震災対応などで国庫からの予算支出を伴う施策を議員立法を準備したりできるようになるものだと考えます。英語のガバメント(Government)には国会・議会も含まれます。その意味では、私はかつて内閣記者会に属する記者だったこともありますが、新閣僚が国会より先に、記者会見で発言するのは、その向こう側に国民がいるとはいえ、少しおかしいなあ、と考えるようになりました。例えば横浜市役所の担当記者だったときは、次期定例市議会に提案する条例案について、取材していても、市議が知るより前に報道されると、市議さんがすねるため、市長部局の人は気を使っていました。議案は、開会の数日前に、会派控室の机上に配布したり、市議の自宅に郵送したりすることで「解禁」となりますが、市長部局からよく「宮崎さん、けさ全議員に郵送しましたから、(記事にして)いいですよ」と電話をもらいました。

 もちろん、総理から前夜に人事を告げられた議員がいきなり国会で演説するのも難しいし、失言がありますからやめたほうがいいでしょう。それよりも、「政権移行チーム」を日本でも根付かせる必要があるでしょう。その前提として国政選挙と関係ない無意味な内閣交代がないようにするルール・オブ・ゲームの構築が必要なのは言うまでもありません。

 このほか、組閣にともなう、衆参常任委員長人事の入れ替えに伴う、本会議での選挙(議長の指名)や、特別委員長の互選も行われる見通しです。自民党の衆参の総裁・会長をのぞく役員の任期も9月末までとなっていますが、これに伴う院の構成は、次の国会に持ち越される可能性があります。

 また、第3次補正予算編成を前に、「郵政株式売却一時凍結法」(参院議員の自見庄三郎さんらが発議して成立)を廃止する法案などが審議される可能性もあります。