田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

フットパスウォーク №4 根室・別当賀パス 後編

2012-08-24 21:08:32 | フットパスウォーク & トレッキング
 「こんなフットパスのコースがあっていいの?」と嘆きたくなるくらい私は進む先を迷わされた。その上、霧はますます濃くなっている。一人ウォークの私には心細さが募るばかりだった…。

   
  ※ 「別当賀パス」のルートマップを再掲示しました。

 鳥獣保護区を歩くこと約1Km、遠く丘の上に第三のゲートが見えてきた。

          
          ※ 丘の上に第三のゲートが見えてきた。

 ゲートの向こうは牧草地帯である。牧草地帯の草は刈り倒されたばかりで、どこを歩いていけばよいのか判然としない。ゲートの横に案内板があった。そこには「牧草地の中央を前方へ進んでください」とある。だだっ広い牧草地の中央を進めとは、あまりにもアバウトな指示である。どこが中央で、どこが前方かも判然としない中、ともかく前へ進みながら草原の丘を上って行った。

          
          ※ ゲートの傍の案内板には「牧草地の中央を前方へ進んでください」と書かれていた。

  
          
          ※ この牧草地の中央を前方に進めという指示です。

 やがて牧草地の端に至り、牧柵が行く手を遮っていた。牧柵に沿いながらさらに丘の頂きを目ざして歩を進めた。丘の頂きまで来ると、マップには記されていない第四のゲートがあった。

          
          ※ 丘の上にはマップに載っていない第四のゲートがあった。         

          
          ※ ゲート向こうは写真のようにかすかな踏み跡を辿りながら丘を下って行くルートでした。

 問題はここからだった。
 第四のゲートを過ぎると、前方は太平洋に向かって丘を下る雑草地だった。
 前方に目を凝らすと微かに草が倒れ、人が歩いた形跡が残っていた。膝くらいまである雑草の中を踏み跡を見逃すまいと注意しながら前進した。
 辺りは霧に包まれ、波の音は聞こえているのだが海は霧に遮られて見ることができない。

          
          ※ 丘の中腹ではまだ踏み跡をなんとか判別できました。

          
          ※ ルートの途中には名もなき沼がありました。
 
 丘から下るにつれて草丈が高くなり、腰から胸に届くまで高くなってきた。と同時に足跡も徐々に判然としなくなってきた。
 目的地の一つ「馬場牧場跡」の建物や海の波が遠くに見えはじめたときだった。踏み跡が見えなくなりどこへ進んでいいのか全く分からなくなってしまった。困ってしまった私は、根拠のない勘を頼りに歩を進めていると、足元が湿地(水が浮いた状態)になっていることを初めて知った。
 「これはもうこれ以上進むのは無理だ…」と悟らされた。

           
          ※ もうこうなるとどこへ進んでいいのか分かりません。 

           
          ※ 草丈は胸にまで届き、足元には水が浮かんでいて前進することは難しくなりました。           
                 
          
          ※ 遠くに馬場牧場跡の廃屋が見えました。

 海辺までおそらく百メートルくらいだったのではないだろうか?
 残念だったが、それ以上進んで足を水の中にとられでもしたら大変である。まったく行く先が分からない中では引き返すしか道はなかった…。

          
          ※ 写真の一端に白く見えるのが太平洋の泡立つ波です。 
 
 それにしても立派なリーフレットを作成し、マップを有料で販売しているフットパスのコースが途中で消えてしまうなんてことがあって良いのだろうか? コースを整備・管轄するのがAB-MOBITという酪農家集団であることは前に記した。各々の仕事があり多忙であることは理解するが、初めて訪れた者でも最低限楽しめるだけのコース整備をしておくことが整備・管轄する側の責任ではないだろうかと思ったのだが…。

 目的地を目前にして断念しなければならなかった無念さを胸に押し込め、一人帰路についた。
 そんな思いで帰り道を歩いていたので、目線も下になっていたのだろう。突然のように私の前に現れた乳牛にうろたえてしまった。(その顛末は8月20日投稿を参照ください。 

          
          ※ 私をうろたえさせた牛くんです。

 目的を果たし満足感に満ちながら来た道を帰るのと、目的を果たせず悄然と来た道と同じ道を帰るのとでは疲労感がまったく違う。
 霧に包まれた中、ガッカリとして帰る帰り道は遠く辛い道のりだった…。

 後から地元の人に聞いた話だが、この根室の三つのフットパスの中で最も人気のあるのがこの「別当賀パス」だという。
 ガイドブックによると、目的地の一つ「お台馬場」では落石岬から霧多布岬が一望、そこから見下ろす湖沼群・海岸線は絶景。遮るものがなく日本離れした景色が広がっている、とあった。その他には海岸線には見どころがたくさんあるようだ。
 霧で展望が効かないうえ、海岸線にいたるルートが不明と、私の場合はまったく不運だったが、これも自然が相手のフットパスではあり得ることと自らを納得させた。
 残るは「初田牛パス」である。