小笠原諸島は、大陸とつながったことのない海洋島であるため、島にたどり着いた生物だけが独自に進化した生態系が見られることが評価され、2011年世界自然遺産に登録された。そのことが今回の私の旅の動機になったわけではないのだが、貴重な島を訪れる機会でもあったので、少しだけ関心をもちレポしてみたい。
旅だよりの中でも触れたが、貴重な動植物が生育する小笠原諸島を訪れたといっても、私にとっては「猫の小判」状態であり、あまりそのことに関心は持てなかった。しかし、それを避けて通るわけにはいかないと思い、私なりのレベルでレポすることにした。
リード文でも触れたように、小笠原では独自に進化した動植物が多く、小笠原独特の固有種がたくさん存在しているという。
私はガイドが付いたツアーにあまり参加しなかったこともあり、それらを目にする機会は少なかった。それでも何種類かの植物を目にすることができたので、それらを中心にレポしたい。
まず、島の南部にある「旭山」というところをトレッキングした。その際、トレッキング路にはたくさんの植物の説明プレートが付いていた。それらを見ると、全てが小笠原の固有種だと説明されていた。その中のごく一部をカメラに収めたので紹介する。
◇タコノキ
◇シマギョクシンカ
◇シマホルトノキ(コブノキ)
※ 樹種名の副名にコブノキとあるように傍にはコブが取りついた木があった。
◇ムニンシラガゴケ
◇ムニンナキリスゲ
◇オガサワラハチジョウシダ
◇オガサワラビロウ
◇アサヒエビネ
こうした固有種(特に動物・昆虫類)が外来生物のために種によっては危機的状況にあるという。特に陸産貝類(カタツムリ)は100種のうち94%もの固有率を誇るという。そうした貝類ばかりでなく、さまざまな生物が外来生物に脅かされている現状に対して、さまざまな対策が講じられていた。
陸産貝類を捕食するニューギニアヤリガタリクウズムシなどのプラナリア類の拡散を防ぐための対策、野ネコの捕獲装置、ノヤギの侵入防止柵などなど…。それらをカメラに収めることができた。
◇種子除去装置(プラナリア対策)
※ ここでは靴の底の泥を落とす道具、食酢スプレーが用意されていた。
◇野ネコ捕獲装置
※ トレッキング路のいたるところでこうした装置が見受けられた。
◇野ヤギ侵入防止柵
トレッキング路で目にした野花たちである。ジョンビーチトレッキング時にはたくさんの野花に出合った。こちらは残念ながら、それらの植物を説明するプレートが一枚もなかった。それでも、この中に小笠原の固有種が含まれているのではないか、と思われるのだが私にはまったく分からなかった。
※ ムニンヒメツバキでは?と思うがはたして?
※ こちらはグンバイヒルガオ(固有種ではない?)と思うが…。
トレッキング路で多く目にしたのが、「モモタマナ」という大きな葉をもった木だった。
年中落葉し、年中発芽するという種だそうで、トレッキング路には枯葉がたくさん落ちていた。クルミの実程度の実を付けるが、それが地上に落ちるとオカザリガニの好物となるそうで、ナイトツアーに出かけた時に、そのモモタマナの実を抱えたオカザリガニに何度も出会った。
なお、旅だよりではモモタマナをオガサワラの固有種と記したが、どうやら南洋の島に広く分布している種のようだ。
※ トレッキング路には写真のようにモモタマナの落ち葉が散乱していました。
※ モモタマナの葉と実を写したものです。
固有種ではないが、小笠原の豊かな自然がアオウミガメの産卵地となっている。それを保護・繁殖させている「小笠原海洋センター」でたくさんのアオウミガメを見せていただくことができた。
センターでは、東京の海洋大学の学生さんたちがアオウミガメの育成の実習に取り組んでいた。
※ アオウミガメの生態を調査する海洋大学の学生です。
最後に、絶滅危惧種とされているオガサワラオオコウモリをナイトツアーで目撃することができた。しかし、高いヤシの木の葉の間から見え隠れするものであり、しかも夜間だったことからわずかに見えたに過ぎない。この写真だけはウェブ上のものを拝借した。
以上、内容には乏しいレポだったが、少しは世界遺産のことにも触れることができホッとしている。