小笠原を訪れる観光客がビジターセンターなど観光施設を訪れるのは当然だと思うが、公共施設を巡る観光客がどれくらいいるだろうか?皆無に近いのではないか、と思うのだが、その皆無に近いことをやってのけた私だった。
【小笠原村の観光施設】
父島には各種の観光施設が揃っていた。そしてどの施設も無料で入場することができた。そのこと自体はありがたいのだが、どれも規模が小さい感じは否めなかった。
短評を添えながら紹介したい。
◇小笠原ビジターセンター
父島・大村地区の目立たないところにあるが、職員は大変親切だった。職員の助言を得て、自信をもって「旭山」トレッキングに出かけることができた。
※ ビジターセンターの裏庭にあったザトウクジラのモニュメントです。内部に骨格もしつらえていました。
※ 小笠原に多いビロウの木の葉を用いて作られた昔の民家の模型です。
◇小笠原世界自然センター
比較的新しい施設のようだった。(2017年5月供用開始)センターは展示施設というよりは、小笠原に棲息する動植物の保護増殖、外来種の処置・検査が主たる任務のようで、展示物にはそれほど魅力は感じられなかった。
◇小笠原海洋センタ-
こちらは開設されてから時間がたった施設だった。(1982年4月開設)主として小笠原の海に棲息するアオウミガメの保護を目的とした施設である。アオウミガメが産卵し、孵化した子ガメをある程度まで養育し、海へ放流する事業を行っているようだ。
※ センターの玄関のところに安置されていたものはアオウミガメの頭骨ということでした。
◇小笠原水産センター
この施設もけっして観光施設ではなく、センターの目的は①漁業用海岸局、②種苗生産技術開発、③磯根資源調査、④漁業調査指導、という目的で設立されたものだった。センターはミニ水族館とも称され、観光客が小笠原の海で生きる魚たちを観察する施設ともなっていた。
※ 水産センターで養育されていたヤリイカです。
◇小笠原亜熱帯農業センター
センターには事務所も見当たらなく、亜熱帯の植物が展示されてはいたが、立ち入り禁止区域が数多くあるなど、観光客はむしろ歓迎されていないという雰囲気で、早々にセンターを後にした。(ナイトツアーではセンター内でオガサワラコウモリの観察をさせてもらった)
【小笠原村の公共施設】
小さな小笠原村ではあるが、どれほど小さくても必要な公共施設は揃っていなければならない。国の施設、都の施設、村の施設、さまざまな施設が揃っていた。観光目的の私だったが、それらを巡ることもなかなか興味深いものだった。
コメントは必要最小限に止めることにする。
◇小笠原村役場
※ 小笠原諸島は太平洋戦争後、アメリカの施政権下におかれたが、1967年に返還され今年がそれから50年の記念の年ということだ。
◇警視庁小笠原警察署
◇小笠原村立父島保育園
◇小笠原村立小笠原小学校
◇小笠原村立小笠原中学校
◇東京都立小笠原高等学校
※ 決して大きくない高校のグランドでしたが、全面芝張りでした。
◇小笠原村診療所(小笠原村老人ホーム)
◇小笠原村地域福祉センター(在宅サービスセンター)
◇東京都小笠原支庁
◇小笠原総合事務所
※ 総合事務所とは、国の出先機関で関係の官庁の事務所が入っているようだった。
◇小笠原海上保安署
◇海上自衛隊父島基地分遣隊
◇気象庁父島観測所
◇国立天文台VERA小笠原観測局
◇宇宙航空研究開発機構小笠原追跡所
◇公務員宿舎(?)
小笠原の公共施設を並べてみて、人口2,500余人にしては公共施設が多いと気付かれないだろうか?それはやはり本土から遠く離れているということがその要因だろう。そのために、島の中には公務員用と思われるアパート(マンション)がいたるところに見られた。そんな公務員宿舎(?)の一つである。
◇ねこ待合所
父島のマップを眺めていると、道路際に「ねこ待合所」という表示が気になった。「ねこ待合所」なんて、もしバス停だとしたらちょっと洒落たバス停名だなぁ、と思っていた。
マップに従い近づいてみると、なんとそこは本当にネコが待っているところだった。
私のレポでも気づかれた方がいると思うが、小笠原では野ネコの対策が課題となっている。野ネコが貴重な小笠原の生物を餌として食するために、小笠原固有の生物たちが危機的状況に陥っている。その対策に、罠などを使って生け捕りにしている。その生け捕り下ネコたちを保護し、引き取ってくれる人を待っている施設だそうだ。その引き受け手は島の人たちではなく、東京都内の人たちにも呼び掛けているようだ。
いや~、我ながらよく巡り回ったと思う。
このことで、私は他の観光客よりは、少しは島の実状について理解を深めることができたのでは、と思っている。