世は落語ブームの感を呈している。札幌でも本場の落語を聴く機会が増えてきた。その落語家たちの懐事情は必ずしも良くないという。めだかの学校の「古典落語を聴く会」において、S氏がそのあたりをレポートするのを聞いた。
3月12日(月)午後、私が参加する「めだかの学校」が続けてきた「古典落語を聴く会」の最終回が行われた。
この日聴いた演者(落語家)と演題は、◇六代目三遊亭圓生の「火事息子」と、◇八代目橘屋圓蔵の「寝床」の二つだった。(その他に落語 THE MOVIEで「時そば」と「三年目」を視聴した)
※ 六代目三遊亭圓生です。本日使用の写真はすべてウェブ上から拝借しました。
六代目圓生は「昭和の名人」とうたわれただけあって、その佇まいも含めて正統派の落語を聴かせてくれた。ただ、録画が古いこともあってか、話す言葉がクリアに伝わってこなかったのが残念だった。
八代目圓蔵の方は、橘屋圓蔵としてもよりも、前名の「月の家圓鏡」としての名が高く、テレビでも売れっ子だった。彼の芸風はとにかくサービス精神が旺盛で、「寝床」でも絶えず聴く者を笑わせることを忘れない噺だった。
※ 八代目橘屋圓蔵です。
さて、本題の落語家の懐事情であるが、S氏が興味深い資料を用意してくれた。
落語ブームを反映してか、落語家は増え続けていて、現在(いつ現在かは不明)東西合わせて791人の落語家がいるそうだ。
その内実を詳しく記すと、東京には「落語協会」、「落語芸術協会」、「園楽一門会」、「落語立川流」と4団体があり、その総数が545人だという。その内訳は前座が75人、二つ目が118人、真打が352人という内訳だそうだ。大阪の「上方落語協会」には246人が属しているが、こちらの方は階級がないということだ。
ところがここでS氏が衝撃的な事実を披露してくれた。その衝撃的な事実とは?
791人の落語家のうちで食える噺家は多く見積もっても100人程度だということなのだ。この事実には驚いた。真打と呼ばれている人の中でも落語で食っていけない人がいるということである。
S氏はさらに内情について語ってくれた。それによると、落語家の主戦場は寄席であるが、寄席は落語協会、落語芸術協会に属する噺家だけしか上がることができない。その寄席も箱(キャパシティ)が小さいこともあってだろうか、売れっ子の真打でも日当1,000円くらいしかならないという驚きの低さである。
そこで稼ぎどころはホール落語とか、独演会ということになるようだが、これとて例えば入場料3,000円で100人が入ったとして、諸経費を引くと手元には数万円しか残らないらしい。
※ NTV「笑点」の現メンバーです。
最近増えている出張落語の場合、その出演料は二つ目で5万円、若手の真打で10万円、ベテラン真打で20万円程度だという。
ただし、笑点メンバーのように一部有名な噺家の場合は100万円を超えるケースもあるということだった。
いや~。落語家は座布団一枚でどこでも行けて、舞台装置などもかからず、いい商売だと思っていたが、内情は大変だということが分かった。
落語家の数が791人という数字は、江戸時代以降最多だともいう。今もそうであろうが、生存競争がますます激しくなっていくのだろうな、と思わされた。
3月12日(月)午後、私が参加する「めだかの学校」が続けてきた「古典落語を聴く会」の最終回が行われた。
この日聴いた演者(落語家)と演題は、◇六代目三遊亭圓生の「火事息子」と、◇八代目橘屋圓蔵の「寝床」の二つだった。(その他に落語 THE MOVIEで「時そば」と「三年目」を視聴した)
※ 六代目三遊亭圓生です。本日使用の写真はすべてウェブ上から拝借しました。
六代目圓生は「昭和の名人」とうたわれただけあって、その佇まいも含めて正統派の落語を聴かせてくれた。ただ、録画が古いこともあってか、話す言葉がクリアに伝わってこなかったのが残念だった。
八代目圓蔵の方は、橘屋圓蔵としてもよりも、前名の「月の家圓鏡」としての名が高く、テレビでも売れっ子だった。彼の芸風はとにかくサービス精神が旺盛で、「寝床」でも絶えず聴く者を笑わせることを忘れない噺だった。
※ 八代目橘屋圓蔵です。
さて、本題の落語家の懐事情であるが、S氏が興味深い資料を用意してくれた。
落語ブームを反映してか、落語家は増え続けていて、現在(いつ現在かは不明)東西合わせて791人の落語家がいるそうだ。
その内実を詳しく記すと、東京には「落語協会」、「落語芸術協会」、「園楽一門会」、「落語立川流」と4団体があり、その総数が545人だという。その内訳は前座が75人、二つ目が118人、真打が352人という内訳だそうだ。大阪の「上方落語協会」には246人が属しているが、こちらの方は階級がないということだ。
ところがここでS氏が衝撃的な事実を披露してくれた。その衝撃的な事実とは?
791人の落語家のうちで食える噺家は多く見積もっても100人程度だということなのだ。この事実には驚いた。真打と呼ばれている人の中でも落語で食っていけない人がいるということである。
S氏はさらに内情について語ってくれた。それによると、落語家の主戦場は寄席であるが、寄席は落語協会、落語芸術協会に属する噺家だけしか上がることができない。その寄席も箱(キャパシティ)が小さいこともあってだろうか、売れっ子の真打でも日当1,000円くらいしかならないという驚きの低さである。
そこで稼ぎどころはホール落語とか、独演会ということになるようだが、これとて例えば入場料3,000円で100人が入ったとして、諸経費を引くと手元には数万円しか残らないらしい。
※ NTV「笑点」の現メンバーです。
最近増えている出張落語の場合、その出演料は二つ目で5万円、若手の真打で10万円、ベテラン真打で20万円程度だという。
ただし、笑点メンバーのように一部有名な噺家の場合は100万円を超えるケースもあるということだった。
いや~。落語家は座布団一枚でどこでも行けて、舞台装置などもかからず、いい商売だと思っていたが、内情は大変だということが分かった。
落語家の数が791人という数字は、江戸時代以降最多だともいう。今もそうであろうが、生存競争がますます激しくなっていくのだろうな、と思わされた。