ピンネシリは山自体の難しさはなかったが、長~い長~い林道歩きが体力の衰えが目立つ私にはきつかった。それでもド快晴の山行は、登山を終えて帰宅した今、達成感に浸っている。
※ 昨夜帰宅し、疲れた体に鞭打って大作(?)を完成させたのですが、なぜか画像を取り込むことができなくて投稿を断念しました。本日、なんとか回復させることができ、一日遅れで昨日のピンネシリ山行をレポします。
斜里岳の苦戦がトラウマとなってなかなか登山に向かおうとする気持ちになれなかったのだが、好天が私を山に招いたようだ。以前から「いつかピンネシリに!」と思っていた。それは名前の語感に惹かれたことや、地元新十津川町、浦臼町の農協が「JAピンネシリ」と命名していることから「きっと素晴らしい山に違いない!」という思いがあったからだ。私がブログでブックマークしている一人にも「ピンネの風に揺られて」という素敵なタイトル名を付けている方がいることも影響していた。なお「ピンネシリ」とは、アイヌ語で「男の山」を意味するということだ。
天気は絶好!久しぶりの登山に気持ちは高ぶっていたが、いきなり躓いた。ピンネシリの登山口に向かう道民の森キャンプ場のところのゲートが閉じられていたのだ。ゲートには「平成30年の台風で林道が崩壊したため通行止めとなっている」というではないか!!ガイドブックによるとその距離約4キロだという。これはショックだった。そのことをあらかじめ知っていれば別のコース(砂金沢コース)を選択する方法もあったのだ。ウェブ上でのチェックを怠ったため、現地で初めてそのことを知ったが後の祭りだった。
※ 一番川キャンプ場の駐車場のところ張られていた通行禁止のロープです。左側の小さな紙片に登山道の事情が記されていました。
また、そのゲートのところには隈根尻山の登山道は崩壊し廃道になっているとの告知があり、翌日隈根尻山登山を計画していた私はその時点で断念せざるを得なかった。
さて前置きが長くなったが、私は仕方なくキャンプ場のところから林道歩きをする羽目となった。登山口まで4キロの林道歩きである。何の変哲もない林道を黙々と歩く以外方法がなかった。途中、水溜まりはあるものの車の走行に特に支障があるとも思えなかったのだが…。登山口近くになって一か所だけ川と接している部分が削られて車が注意しなければならないところはあったが…。登山愛好家は一日も早い復旧を待っていることだろう。
※ 本来の登山口までこのような淡々とした林道が続きました。
※ 一か所だけ崖が崩壊し、注意を促すピンクのテープが置かれていました。
約1時間半かけてようやく本来の登山口に到達した。登山口から山頂までは標高差800m、距離5.5キロあるようである。登山口からも林道は続いていた。登山口(標高300m)を通過するといきなり渡渉ヵ所が現れた。その後標高380m、500m地点にも渡渉ヵ所があったが、川の流れもそれほど大きくなく、難なく(?)通過することができた。林道は緩やかに高度を上げていったが、登山道としては難しくはなかった。やがて林道が一度終点になるところがあった。そこの表示に「登山口まで2.8キロ」「ピンネシリまで2.7キロ」と表示されていた。そこで私はここを「中間点」と名づけた。ここまでで行動開始から約2時間半が経過し、私の中には疲労が蓄積しつつあった。
※ こちらが本来の登山口です。こちらは頑丈なゲートが設置されていました。
※ いきなり出くわした第一渡渉地点です。これからも渡渉ヵ所が現れましたがいずれも斜里岳より規模は小さかったです。
※ 第二の渡渉地点です。
※ 林道は幅が広く、歩く(登る)のは容易でした。
※ 途中、ピンネシリの山頂が望めるポイントがありました。(観測ドームが望まれます)
※ 第三の渡渉地点です。登山者が渡りやすいようにうまく石(岩石)が配置されています。
※ 私が「中間点」と称した登山口まで2.8キロ、ピンネシリ山頂まで2.7キロの表示が見えます。
「中間点」から一度山道に変わるが、少し行くと再び広い林道が現れた。つまりピンネシリ登山道はかなり上部まで林道が続いていたのだ。こんなに上部まで林道があるには訳があると思った。つまりピンネシリの山頂には「雨雪量観測所」のドームが建っている。この観測所を建設する際に機材を上げるために林道が整備されたのではないか、と思ったのだ。私の推理が正しいかどうかは分からない。ただ、林道の下部は車輪の跡が残っていたが、上部はそれが見当たらなかった。ということは、下部はトラックなどで機材を上げ、斜度が急になる上部はブルドーザなどで荷揚げをしたのではないか?と思ったのだが、果たして?
※ 一時登山道は山道になりましたが、やがてまた林道と合流します。
※ 林道と合流した登山道です。機材を上げるためにブルドーザが通った道かな?
ということで、斜度が多少変化したとしてもそれほど急傾斜のところはなかった。しかし、時間の経過とともに私の疲労度は増していった。幸いなことに道民の森として一時は登山道も整備されたのだろう。登山道の脇に三か所ほど壊れかけたベンチが配されていた。疲労困憊の私はそこに座り、最近歩き旅や登山の際にマイブームとなっているリンゴを頬張った。リンゴの酸味が疲れた体にはリフレッシュ効果がある(と思っている)。
※ 登山道の途中にこうしたベンチが置かれてあったところが3ヵ所ありました。ここで私は大休止を取りました。
※ 紅葉はそれほど進んでいるようには見えませんでした。登山道脇で見た紅葉はツタウルシかな?
長~い長~い林道歩きも稜線近くになって終わりとなり、代わって現れたのが木製の階段である。この階段に特徴があった。他の山の階段と比べると小刻みが歩幅の階段なのだ。元気な人には少し歩幅が狭すぎると思われるが、疲れた私は律義にその階段を一つ一つ刻みながら高度を上げていった。行動を開始してから4時間、ようやく稜線上に出た。待根山(隈根尻山)との分岐点である。待根山は手の届くところにあるが、そこへ寄ろうとする余力は私には残っていなかった。目指すピンネシリの山頂も視界に入った。
※ 稜線に出るために斜度がややきつくなりましたが、ご覧のような階段が続きました。
※ 待根山との分岐で望めた隈根尻山です。
※ 分岐から指呼のところに見えた待根山山頂です。
※ 振り返ると目ざすピンネシリ山頂が望めました。
気合を入れ直し、最後のひと踏ん張りである。一度高度を落とし、登り返すのは辛いところだが、全体としてはそれほど急斜面ではない。山頂手前でこの日初めて登山者と遭遇した。彼は私とは違い「砂金沢コース」を登ってきたと話していた。この日、もう一人私の下山時に私と同じ「一番川コース」から登ってきた人に会った。彼はバイクを使って登山口まで来たと言っていた。(事情を知っている地元の人かな?)
※ 山頂がかなり近くなってきました。登山道がくっきりと刻まれています。
※ 振り返ると白樺(?)の紅葉ならぬ、黄葉の林が…。
※ この日初めて会った登山者です。彼は私とは別の砂金沢コースを登ってきたそうです。
分岐点から山頂までの50分はかかり過ぎである。私の疲労は極に達し、数歩進んで一休みという状態で、行動開始から実に4時間50分もかかって山頂に到達した。天気は空に雲一つないド快晴!眺望も抜群で、疲れた私を癒してくれた。ところが私はその眺望をカメラに収めることを忘れてしまうチョンボを犯してしまった。
※ ピンネシリ山頂です。山頂標識が見当たらなかったのはちょっと残念!
※ 「山神」と書かれた石板が横たわっていました。
※ 山頂でおにぎりを頬張り、さて下山と思ったところ、足元に小さな花が咲いているのを発見しました。花の名は?
下山は疲れていた割には割合スムーズに下山できた。それはやはり整備された林道が大部分を占めていたことによるのではないか、と思った。
久しぶりの登山だったが、疲れたことよりも、長い距離を登り降りきった達成感が私を支配している。
【ピンネシリ(道民の森一番川コース) 登山データ】
標 高 1100.4m (標高差 800m)
駐車場 道民の森一番川地区キャンプ場の駐車場を利用する。
行 程 ※ グランドシニアの足とお考えください。
道民の森キャンプ場→(85分)→登山口→(60分)→中間点→(95分)→待根山との分岐点→(50分)→ピンネシリ山頂→(25分)→待根山との分岐点→(60分)→中間点→(40分)→登山口→(60分)→道民の森キャンプ場
時 間 上り(4時間50分) 下り(3時間05分)
天 候 快晴、微風
登山日 ‘19/10/01