なんだか訳のわからぬタイトル名のようにも思われるが、北海道立近代美術館で現在開催されている展覧会のタイトルである。私にはごった煮の博覧会的展示会に思えたが、れっきとした意味、意義があるという。
昨日(2月3日)の北海道新聞に「知的で映える『驚異の部屋』」と題する記事が載っていた。その記事が「北海道151年のヴンダーカンマー -《歴史》と《アート》を集めた《驚異の部屋》へようこそ-」への誘いだった。それによると、北海道と命名されて以降のこの土地の営みを「開拓」「学問」「炭鉱」「鉄道」「祝祭(行事)」の5テーマで切り取り、知的好奇心をくすぐるビジュアルな展示空間をつくりあげた、とあった。
「知的好奇心」という言葉に弱い私である。私の中の好奇心が蠢いてさっそく「覗いてこよう!」と思い立ち、本日(2月4日)午後、道立近代美術館を訪れた。
※ 《札幌中嶋遊園 北海道物産共進会会場之図》1892年 当館蔵
ところで〈ヴンダーカンマー〉である。ヴンダーカンマーとは、ドイツ語で「驚異の部屋」のことで、15~18世紀にかけて、欧州の王侯貴族らの間で流行した世界の名品珍品のコレクション部屋を表す意味だそうだ。
展覧会はその名が表すとおり、名品珍品の数々が展示されていて、単なるアートの作品展とは違い、私の好奇心をくすぐってくれた。
私の中で印象的だったのは、「田本研造」と「小宮伸二」という二人の名だった。
田本研造氏は写真家で、明治初期の北海道開拓当時の様子を数多く活写して後世に残している。また、氏の師事した後進の写真家も数多くの写真を提供している。
※ 小宮 伸二(現代美術家)《小宮伸二展 トランスケープ》(2019年、洞爺湖芸術館) 展示風景
一方、小宮伸二氏は函館市在住(?)の現代美術家ということだが、たいへんな蒐集家のようである。展示されている作品の多くが北海道博物館、北大総合博物館、函館市博物館、近代美術館所蔵の中で、小宮伸二氏提供の作品が非常に目立った。その作品は、「電球人間」と称して頭の部分に電球が付けられた人形だったり、長いひげを集めて○○年伸ばした髭だったり(どうやら猫の髭らしいが)、と遊び心満載でクスッと笑わせてくれた。
私の中で興味深かったのは「開拓」と「炭鉱」のテーマだった。「開拓」については、現在私個人が追い求めているテーマと通底するものがあり、当時を写した写真の数々は興味深かった。また「炭鉱」は、明治から昭和にかけて日本のエネルギー基地として北海道は一世を風靡しながらも、今や歴史の彼方へ追いやられてしまった、その盛衰を描いたものとして興味深く閲覧することができた。
※ 三島 常磐《岩見沢工場》明治中期 北海道博物館蔵
いずれにしても、ごった煮的展示の中から何を感じ取るかは観覧者の感受性にかかっているともいえそうだ。スタンダードな展覧会とは一味違った「ヴンダーカンマー」は一見の価値がありそうにも思えたのだが…。展覧会は3月15日まで開催されている。
※ なお、写真撮影は当然NGだった。美術館のHPに掲載された写真を拝借したが、私の関心あるものとは違ったものばかりだった。私の感受性はかなり専門家とは隔たっているようである。
※ また、昨日からテンプレートを変えてみた。文字が小さいのが気になっていたが、変えたことで少しは読みやすくなったのではと思っている。しばらくこのテンプレートでいってみようと思う。