鮎と戯れて・・・魚族に感謝

東北地方を中心とした短い夏のあまり多くない鮎釣りの記録。家族に感謝して。近くの広瀬川の環境等にも拘るも、オフは時事問題も

東日本大震災と方言

2011-11-09 07:05:49 | お知らせ

 丁度1ヶ月前になります。早いものです。10月9日(日)午後1時30分から4時30分まで、仙台国際センターにて、『東日本大震災と方言』と題する研究報告会が開催されました。 主催は東北大学国語学研究室です。

 とってもユニークというか、そういう切り出し方もあるのかと新鮮に感じ、参加してみることにしました。 下の写真の左側がチラシで、右側はとても立派な報告書(147ページもあります)です。

   

 今回の大震災では、全国からいろんなお国言葉、方言をもつ老若男女がみちのくにボランティアとして駆けつけてくれました。 基本的にはいわゆる標準語で話し合うのでしょうが、地元の高齢者は方言丸出しの人がいるだろうし、支援するためには意思の疎通が必要で、支援の現場でお互いどんな言葉が交わされ、どのように意思表示が行われていたのか知りたいと思ったからです。

 目次は;

 担当教授による趣旨説明【われわれがなすべきこと~震災のなかの方言を前にして~】 のあと

 1 被災地の方言はどんな方言か

 2 貴重な方言が消えていく

 3 方言は被災者を支えることができるか

 4 被災地の方言をめぐる社会的問題

 5 いかに方言は保存されるべきか

 6 方言のこれからの記録に向けて  というものです。

 途中で帰ろうかなとも思ったのですが、とうとう帰れずに最後まで付き合いました。 殊勝な心掛けです。 報告は1から6の主題について、担当者が20分で報告していくという形で進行したのですが、どうしても長くなります。 報告者は東北大学国語学研究室の大学院生です。

 私のようなアカデミーとは全く関係のない後期中年者にとっては、正直言って楽しいものではありませんでした。 方言になじみが薄いこと、専門用語が多いこと、引用が多すぎてオリジナリティが少なく物足りないこと等があり苦痛な時間帯?でもあったのですが、その中で面白いと思ったことは、「4 被災地の方言をめぐる社会的問題」≪気仙沼方言入門≫でした。

 

 B4版両面印刷二つ折りのチラシです。

 

 3 間違いやすい単語  の部分です。 言われて見れば確かにそのとおりです。 ナゲル=捨てる、 コワイ=疲れた、 ワガンネ=だめだ、ということは、瓦礫の撤去や作業、肉体労働にとっては絶対的に必要な言葉です。

     

 そして全国から医療関係者が支援に駆けつけてくれましたが、医者と意思の疎通を図るため、症状を訴え、症状を理解してもらうためには、このような方言を診察する側の人たちに知っておいてもらわなければいけません。

     

 このことは今後日本のどこで、どんな災害が起きるか分からないという状況の下、お互いに国民同士県境を超えて協力・支援していくため、助け合うためにも、その土地の重要な方言、とくに医療や病気に関する方言はきちんと把握した上で、誰でも理解できるようにしておく必要があるのではないでしょうか。 いやその必要があります。 

 災害対策マニュアルはどこの市町村にもあるでしょうが、その中に”方言”という項目も追加しておくべきではないでしょうか。 救援・支援に来てくれた人たちに、人たちとの意思の疎通がスムーズに図られること、それが迅速な救援とかに結びつくでしょう。

 

 でもそうは言っても、教育界における方言の取り扱いはどうなっているのでしょうか。 子どもたちに受け継がれているのでしょうか。 現在日本の家族形態からいっても方言は消える運命にあるのではないでしょうか。 地域コミュニティの復興のためにも、方言教育が必要と思いますが、学校教育では子どもたちにきちんと教えているのか、教えていくべきと考えます。 地域を学ぶ一環として方言を大切にしていく、引き継いでいく教育が必要です。 とくに重要と考えられる方言、それをみんなで話し合い、抽出して、地域の宝物として後世に引き継いでいく、それが必要でしょう。

 世代間交流を図り、密接にしていくためにも方言教育は必要です。本当は家庭教育なり、地域教育として伝えていくのが望ましいのでしょうが、現状では不可能に近いのでまずは学校教育から出発してほしいと思います。

 「われわれがなすべきこと」のなかで言っていること、『文化としての方言、さらには生存に関わる方言の意義』 『方言はわれわれにとって、もっとも貴重な文化遺産である』 というのであれば、なおのこと子どものうちからきちんと方言教育をしていくべきではないでしょうか。


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