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御前通ニ者 差身一重 にしめ一重 上ミ酒を奇麗
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ニ拵御取次迄差出候處 被 召上候後様子なり
其外御家老衆以下ニ茂 同様の品ニ にきり飯を
そへ差出 上ミ酒ハ濁酒の上ハと申而地酒ニ
相添差出候處 いつれも欽被申候事
下方ヘハ相応ニ品下ニ而出し候事
右支度相済 漁師共へ綱被 仰付被遊 御覧候
上江者右御小屋前ゟ直ニ被遊 御乗船 御取次
(ママ)
幷御小姓数御同舟 其外銘々乗舟ニ而御供被
申上 小子茂乗舟ニ而御供被仰付 歩御小姓高山
秋蔵と同舟いたし 御用弁之ため御跡ニ付参候
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候事
右御小安見所ゟ被遊 御乗舟候節 被召出候ニ
付 御舟前ニ平伏いたし候處 此節ハ役々世話い
たしたてあらふとの被遊 御意候ニ付 此節者
(遊脱ヵ)
被 御出難有仕合奉存候 惣庄屋以下所柄者共
迄茂難有奉存候と申上候處 此間亀之助江伝言
いたし候通り 諸事簡易ニいたし候様被遊 御
意候間 委細 御意之通ニ相心得可申 難有仕合
奉存候と申上候處 池之様子共委敷被遊 御尋
候ニ付 一通り申上候上 尚申上候ニ者 先日迄者
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物部ゟも申上候通り □の根等水中ニ沈ミ 網も
沈ミかね可申見込ニ御座候處 此節ニ至り□の
根ハ大方腐れ葉数ハ少々沈居可申 格別網の障
りニも相成申間敷 被遊 御延引候而却而者御
都合御宜敷相成候段申上候
夫ゟ直ニ乗舟 漁師一人高山秋蔵と同舟ニ而御
跡へ奉附候處 御舟近被 召出 いつ方ヵ取れる
との被遊 御意候ニ付 此所二ノ池と申第一之
取れる所ニ而御座候 其後度々御舟近被 召出
種々被遊 御尋候ニ付 夫々御返答申上 下手之
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様被遊 御下 井樋口ゟ被遊御上 同所ニ而漁
師共漁之品々被遊 御覧候事
右漁之品々大鮑数十本 大鯰数十本 大鮒小鮒
五六荷も取れ 且又歩打之者共すみ漁之者共
よりも差出候間 大分之御得物弐相成 中ニも
鯰ハ御好物ニ被為在被遊御満悦 其内大ふり
之品を御先ニ御台所へ御遣ニ相成候事
右上り場ニ者小サク□□ひ菰ニ而風除 置座薄
縁ニ而拵有之候處 今日風強く上 寒気強有之 中
之御供衆ニも寒気ニこまり候程ニ有之候處 何
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そ焼物ハ無之カとの被遊 御意候ニ付 高山秋蔵
馳廻り 下小屋え麦柄荷を取出し焼付候得とも
夫位に而者火気薄候處 幸に其側に唐芋かつら
の枯たる有之候ニ付 御次手ゟ銘々手ニ/\曳
参り 小子茂曳参り 御前に而大分焼もへ上り候
處 不怪煙り申候得とも 却而 御笑被遊候而
御興ニ被為入 是而よひとの被遊 御意候 右之
内両度被 召出 是ゟ宿江者何方へ参る欤 何里
程有之と 御尋被遊候ニ付 御道筋ハ夫々申上
里数は三四合も御座候段申上候 夫ゟ田表通り
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御歩行被遊候處 餘り寒有之候故ニか 俄ニ御走
り出し被遊候處 中々 御速ニ被為在 御供面々
漸走附候 内田林兵衛宅江被遊 御着座候御
門前迄 御供申上候事
右相済 小子宿所着 羽織袴ニ着替ニ而 直ニ御泊
所内田林兵衛宅御小姓頭詰間へ罷出 御機嫌
奉伺候事
右宿所者 伊倉町御□会所も一所ニ而 御惣
庄屋中其外役々相詰候事
右相済 松野亘殿宿今川善之助宅 平野九郎兵衛
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殿宿荒木哲之助宅見舞申候處 両殿共逢被申候
而 此節心配之挨拶等被申候事
夫ゟ御用大木織部方・長岡衛門方宿今川善七郎
宅尋向右同断 夫ゟ御小姓頭両人宿善七郎惣屋
敷見舞候處 酒肴出し居候ニ付相伴いたし酒興
ニ入 わやくを申一笑いたし候而引取候事
贈大鉢さしミ同頭付 丼
酒は地酒を出し □ゟ酒を濁酒上澄と申
出し候處いつれも欽候事