『信玄の戦争』
海上知明、2006、『信玄の戦争』、ベスト新書
本書は武田信玄の戦歴をたどりながら、かれが、なぜ天下を取ることができなかったか、信玄の依拠した「孫子」に問題ありとする。対比的に、信長の天下取りが取り上げられ、変革者として時代を駆け抜けた信長がマキャベリスト(マキャベリの『君主論』が引き合いに出される)であるとして、スピード感あふれる彼の加速する後半生が、信玄のそれと引き合いに出される。それに対して、信玄は、最後まで、天下取りに向けて兵をすすめるも、「孫子」に依拠しすぎて、「人生50年」では目標に到達することがなかった。
「孫子」は春秋の時代の戦略家であり、日本の「戦国時代」を生きた多くの武将が依拠しようとしたのは、当時の時代意識として、中国の「春秋戦国」と比定しようとする意識が強かったのではなかったか。信玄は、まさに、「春秋に富む」うちに謙信との信濃をめぐる抗争に取り紛れ、覇王になり損ねた訳だが、その意味では、古代の時間意識を超越した、信長に一理があったといえよう。
結構、面白く読んだ。
本書は武田信玄の戦歴をたどりながら、かれが、なぜ天下を取ることができなかったか、信玄の依拠した「孫子」に問題ありとする。対比的に、信長の天下取りが取り上げられ、変革者として時代を駆け抜けた信長がマキャベリスト(マキャベリの『君主論』が引き合いに出される)であるとして、スピード感あふれる彼の加速する後半生が、信玄のそれと引き合いに出される。それに対して、信玄は、最後まで、天下取りに向けて兵をすすめるも、「孫子」に依拠しすぎて、「人生50年」では目標に到達することがなかった。
「孫子」は春秋の時代の戦略家であり、日本の「戦国時代」を生きた多くの武将が依拠しようとしたのは、当時の時代意識として、中国の「春秋戦国」と比定しようとする意識が強かったのではなかったか。信玄は、まさに、「春秋に富む」うちに謙信との信濃をめぐる抗争に取り紛れ、覇王になり損ねた訳だが、その意味では、古代の時間意識を超越した、信長に一理があったといえよう。
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