『戦国大名と分国法(岩波新書)』
清水克行、2018、『戦国大名と分国法(岩波新書)』、岩波書店
戦国時代の統治システム、分国法を定めた戦国大名とそうはしなかった大名、生き残ったのは、法制度を整備して統治の合法性を担保しようとした前者ではなく、後者であったというのは、歴史の皮肉というよりは生々しい事実といえよう。裁判という合意形成手続きによる統治ではなく暴力装置を用いた統治が中世から近世への過渡期の戦国時代にあっては、後者が勝利して覇権が確立したのちに、合理的統治が成立するというのは、本書を読むとよく理解できる。しかし、その覇権はどのように維持できたのか。カリスマは、どのように生まれたのかというあらたな疑問を残したと言えよう。また、過渡期の権力がどのように順をおって体制を整備したのか、その統治思想の背景はなにか、などなど、謎は尽きない。とても興味深い一書であったと思う。
戦国大名と分国法 (岩波新書) | |
清水克行 | |
岩波書店 |