『ヒッキーヒッキーシェイク (ハヤカワ文庫JA)"』
まだ「引きこもり」という言葉が一般的になる前に、引きこもった経験がある。1976年の5月頃から1977年3月にかけてのことだった。大学院に進学し、修士論文を出したものの、博士課程の入試に失敗し、気分が宙に浮いてしまった。私のタイプは引きこもりと言っても身体的には引きこもってはいない。しかし、社会的な接点は家族以外は最小限となった。毎日のように家を出て(多分、親は大学に行っていると思っていただろう)、日中の多くは大仏殿裏の礎石が並んでいるあたりで、本を読んでいた。
本書は現代のネット技術に長けるヒッキーたち(引きこもりの若者たち)を引っ張り出して、プロジェクトを共有させることによる引きこもり解消?あるいは、目的の発見につなげようという主人公?のプロジェクト。
少なくとも、自分自身の経験で言えば、自分自身を持て余しているので、何らかの目的を与えてくれれば動けるということになろう。もちろん、それは、誰かに引っ張られてのことなので、万事解決ではないのだが、少なくともきっかけにはなるだろう。
本書の終章では、フクシマと思しき放射能の森にヒッキーたちを放り出すのだが、さて、そっちはどうなんだろうか。