東京里山農業日誌

東京郊外で仕事のかたわら稲作畑作などをしていましたが、2012年4月に故郷の山口県に拠点を移して同活動をしています。

大学生による田植え

2009年07月03日 | 稲:田植え,草取り

 今年も恵泉女学園大学の学生10人が田植えをするために田んぼにやって来ました。去年の田植えも10人でした。6月中に田植えをしたかったのですが、私の勤務の都合で今日になってしまいました。だいぶ苗が大きくなっていましたが、なんとか田植えできました。

     田植え前に耕耘機で代かき     田植えする苗束を田んぼに置く
 

 彼女達が田植えに来るのは10時です。このため8時頃に田んぼに来て準備をしました。この田んぼは最後に代かきしたのは10日前です。だいぶ日付が経っていたため雑草のコナギがたくさん生えていました。この雑草を除草するために耕耘機で代かきしました。そして先月23日に苗取りをして束ねた苗を田植えしやすように田んぼ内に放り投げるようにして置きました。

     田んぼの泥にとまどいながらも、楽しそうに素足で入る大学生


 学生達は最初サンダルで田んぼの畦を歩きました。そして、サンダルを脱いで素足で田んぼに入りました。不思議な泥の感触を楽しみながら歩きました。そして、田植えひもの手前に等間隔で並んで田植えの開始です。苗を2,3本手にとってを植えました。

 教わりながら一列を植えてみました      注意深い手つきで田植え
  

 前月18日に小学生が田植え体験をしましたが、そのとき保護者の方に田植え方法を教えました。そして、その保護者の方に田植えを指導してもらいました。今回も同様に、学生に三つの分担をお願いしました。①号令係 ②田植えひも係 ③田植え係 です。

            号令係の声に合わせて苗の移植


 ①号令係は全員の動きを見ながら全員に声をかけます。一列の苗を植え終わると一歩下がるように声をかけます。次に、③田植えひも係に田植えひもを引っ張る棒を抜き差しして田植えひも移動するように声をかけます。田植えひもが移動し終わったら③田植え係に苗を移植するよう声をかけます。

     田んぼの1/3ほど田植えを済ませ、だいぶ慣れてきました


 それぞれの係を全員が体験できるように適時交代しました。今年の田植えは苗がほどよく育っていたため、苗が持ちやすく泥中に差込みやすかったと思います。やはり苗を丈夫に育てることは農業の基本です。

         田植えの途中、立ったままニコニコ笑顔で休憩


 田植えをした田んぼにはいろいろな小動物が暮らしています。カエル,どじょう,おたまじゃくし,ザリガニ,タニシ,小昆虫,クモなどです。彼女達も田植えをしていると素足でどじょうやタニシを踏むことがあったようです。そのたびに驚いていました。でもそれも貴重な体験です。

    等間隔で並んで田植え          だいぶ田植えが上手に
 

 田んぼの半分ほど田植えを終わる頃には彼女達はだいぶ上達していました。苗束から苗2,3本をむしり取り、その苗を泥内に差込み、苗が倒れないように泥を苗の根元に寄せるなど一通りできるようになりました。農家の立派な嫁になれそうかな(笑)

    だいぶ手つきも良くなりました。これで立派な農家の嫁候補?
 

 この田んぼで作っているお米の品種は二種類です。一番多く作っているのは「絹ヒカリ」です。「越(コシ)ヒカリ」と比べて背が低いのが特長です。背が低いと台風などの強風で倒れることがあまりありません。以前「越ヒカリ」を作ったことがありますが、見事に倒れて稲刈りが大変でした。

     腰を曲げての田植えは辛いものです、時々背を伸ばして休憩


 田植えが進むと手に持っている苗が無くなります。無くなると隣から分けてもらうか、近くに無造作にある苗束を手にとって使います。去年は苗の成長が悪く苗の確保に苦労しました。そして、やむなく1本/1株で苗を植えました。去年の反省から今年は苗場を有効に使って苗をたくさん作りました。

  後方に漂うたくさんの苗束          足元の苗束を取って移植           
 

 米作りの技術はこの四,五十年の間にずいぶんと進歩しました。私が幼い頃は今日の大学生の田植えのように手植えでした。また、代かきは家畜を使っていました。私の祖父は家に黒牛を飼育しており田畑の耕耘などに使役していました。そして、その黒牛を家族のように大切にしていました。

            田植えがだいぶ進んで、残りわずかに
 
 私が小学生の頃から農業の機械化が格段に進むようになりました。祖父より以前の代は家畜を農業に使役していましたが、父の代から耕耘機が普及してくるようになりました。その耕耘機のエンジンで耕耘したり運搬したり草やワラを切ったりしていました。一つのエンジンでいろいろな農業の用途に使っていました。

        苗束を持つ手も軽やかに、軽快に田植えする大学生達


 今の米作りは米余りもあってとても厳しいものになりました。お米が作りたいのに減反政策や転作しなければなりません。今では高齢化が進み子供達に農業を継がせることはとても困難になりました。この四,五十年の日本の農業を見ているととても歯がゆい気持ちになります。飼料用のお米作りやバイオガソリンのためのお米作りも農家が生き残るための解決策の一つなのでしょう。

    もう2,3列で田植え終了           苗も残りわずかに
 

 ここの田んぼが好きな理由の一つに山が迫っていることがあります。田んぼの緑と山の木々の緑が合わさってとても素敵な光景を作り出します。ここは東京都の郊外でけっして緑が多くありません。しかし、ここの田んぼと山の間には小さな小川が流れて小さな生き物がたくさん住んでいます。例えば、ホタルの餌となる巻貝がたくさん住んでいます。このため、夜になって田んぼに来ると淡い光を放つホタルを見ることができます。

          山の木々の美しい緑をバックに、最後の田植え


 田植えが終わると、山と田んぼに挟まれるように流れる小川に行きました。そして、この小川を流れる水で汚れた手足を洗い落としました。

   溜まった水でサンダルを洗う         泥で汚れた手足を洗う
 

 今年の恵泉女学園大学生は、とても気さくで笑顔が似合う学生ばかりのような気がしました。彼女達は10年後、ほとんどは母親になっていると思います。子供を育てながら、食べ物や自然の大切さなどを思い出してもらえたらと思います。自然は一度壊してしまったら元に戻りません。今日田植え体験した田んぼもかつては多摩ニュータウン計画や道路建設で無くなる寸前だったと聞きます。

       にぎやかで笑顔が素敵な大学生達、秋には稲刈りに来ます

コメント (2)
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