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当たり前の判断で、脳を元気づけろ

2006年10月24日 | 読書
 脳ブームの立役者の一人?である茂木健一郎氏の本を読んだ。

『脳の中の人生』(中公新書ラクレ)

 興味深い事項が満載の新書である。

 黒板に問題を書き、よくこんなことを子どもたちに向かって言うことがあった。

「難しいでしょう。いいんだよ、悩みなさい。考えなさい。
 それで脳みそのシワが増えて、賢くなっていくんだよ。」

 脳みそのシワという言葉もずいぶん怪しいのだが
まあつまり、悩む、判断を迷うことは頭をよくする練習みたいなものだ
というとらえ方をした言い方である。

 茂木氏もこんなことを書いている。

すぐにわかるような、やさしい判断をするときと、なかなか結論を出すことのできない難しい判断を下そうと努力しているときと、どちらが、司令塔である背外側前頭前野皮質は活性化しているだろうか。自らの体験に照らして直感的に考えれば、難しい判断をしようとしているときの方が、司令塔である脳の部位も活動しているように思われる。

 しかし、これが違うという文章が続くのである。

背外側前頭前野皮質は、実は、やさしい判断を下しているときの方がより活動的であるということが明らかになった。

 昨今の計算・音読ブームなどとも関連があるように思う。
 学習ということへの生かし方も十分考えられるべきだろう。

 ところで、茂木氏はこの章のまとめをこんな形にしている。

当たり前の判断を下すとき、そこには自分という人間の深い傾向が表れている。

 悩むことは無意味ではあるまい。違う部位や接続という観点でみれば重要なことであるはずだ。
 しかし、単純な判断や選択の繰り返しが生きるということでもある。
 その一つ一つの行為が、脳の司令塔を元気づけているのなら、
やはりスピーディーで、明快である方が、「前向き」ということなんだと思った。