すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

空気をよむという自己決定

2006年10月28日 | 雑記帳
昼休み、職員室横に位置するホールが騒がしい。
雨模様のためか、一台だけある卓球台に子どもたちが群がっているらしい。

一本勝負の勝ち抜き戦という厳しいルールで
たくさんの子が台を取り巻いているなか
一人の男の子が勝ち続けている。
周囲の子たちが、盛んに声援?を送っているようだが…

一斉に声を合わせて、叫んでいる
えっ、なんと言ってるんだ?
「がんばれ」でもなく、「ファイト」でも「いけいけ」でもない
えっ!

「クウキヨメ」

これはこれは…意外なかけ声である。
テレビバラエティでよく使われるその言葉を真似て
自分の順番がはやくくるように
勝ち続けている子に対してのブーイングだったのである。

それにしても
「クウキヨメ」とは…

しかし、考えてみると、この言葉は
対象者に向って「自己決定」を促しているわけだな

「負けろ」ではなく、「はやく替わって」でもなく
クウキをヨミ、順番を交代するようにしたらどうかということだ。

そして、その声は次第に強く大きくなっているではないか
盛り上がっているといってもいいほどだ
その空気のなかで、自己決定を促されても、行方は決まっているだろう。

千石保氏は著書の中で『自己決定主義』という言葉をつかい
若者の新エゴイズムの風潮を鋭く指摘しているが
こんな空気の中では、責任の伴う自己決定は生まれにくいのではないか。

ずいぶんと飛躍してしまった。

チャイムはなり、もうホールは静まりかえっている。