すぷりんぐぶろぐ

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ウケる技術をつきつめる

2009年02月12日 | 読書
 授業中の子どもの言動への対応技術を学ぶ…
 ということではない。

 単なる「ウケる」のことがテーマとなっている本だ。

 『ウケる技術』(小林昌平、他 新潮文庫)
 これはビジネス向け、若者向けというスタンスで書かれたかもしれないが、実に面白かった。素直に笑えた。いやいやそれ以上に結構深いなあ、日本海溝ほどあるんじゃない(サムイ、しかも古い)などと…。

 ウケる技術は全部で40項目あり、4つのカテゴリーに分類されている。技術としてはよく言われている「ツッコミ」「パロディ」などの他に、「レッテル展開」「決まり動作」「フェイクツッコミ」等々なるほど言われてみればそう命名できる、納得の技術がある。一つ一つを覚えるという類ではないことが強調され、何度か出てくるこの言葉には考えさせられる。
 コミュニケーションはサービスだ

 笑いをとって自分を優位に見せたいという姿勢に対しては「罠」という言葉で警戒をあたえる。サムイと感じられることを覚悟で最終戦略を「愛」で締めくくるなどは、なかなかの構成だと思う。

 文庫化によって加筆された「メール篇」に次のような警句がある。

 メールで何か言おうとすると、そこにはネガティブな解釈が生まれる可能性がある

 こうした自覚を持ちながら、しかも言葉による表現にこだわっていることが次のフレーズによく表れている。(絵文字制限に関して)

 表情ですら文字で表現する習慣を心がけてください

 ここまで徹底していると、いわゆる「好評を得る」という意味のウケるは、他者の言動や他からの作用に対する自分の「受け」の表現を突き詰めるという、著者らの強い意志を感じる言葉になる。