すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

風流に世相を斬る

2009年02月23日 | 読書
 『風流らくご問答』(文春文庫)は、なかなか洒落た本だった。
 立川志の輔と玄侑宗久、二人の発想豊かで洒脱な語り口がなんとも楽しく、考えさせられる。
 十の演目、全てを聴いたわけではないが、あらすじも添えられていて、解説も豊かでわかりやすい。二人の会話が、落語を通して現代世相に斬りこんでいるところがまたなかなかである。
 例えば、こうだ。

 今の資本主義社会の中で、一つの「効能」になっていないと、なかなか売り物にはならない

 曖昧を許さない国になっちゃったんですね

 「私」というもの自体が、みんなとの関係の中にありましたからね。今みたいに、変に「個性」なんてのは強要しなかった。

 私もまた何かを求めて落語を聴いているのだろうが、そこに表れている世界観にどっぷり浸かるまでは、まだ量的なものが足りないような気がしている。
 落語も小説も、読み手、聞き手に想像力がないと、その風景や人物が立ち上がってこない。想像力を養うためには、やはり圧倒的な量が必要だと、今さらながら痛感する。
 また、それは深刻な顔してやることでもないなあ、と二人の会話は教えてくれる。
 やはり「風流」が大切だと。(ここで出てくる風流の意味は本当に面白かった)