すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

自己を上書きする、人の話

2005年05月15日 | 読書
子どものどんな話からも自己の指導を見直し、自己を再組織し、再創造することができる。いや、そのように、子どものの話を聞くべきである。これは子どもの話だけではない。人の話には、自己を上書きし、自己を再創造させる力があるということである。それが自覚できるようになれば、人の話、子どもの話を聞くことが、じつに楽しくなる。
家本芳郎「教師のための『聞く技術』入門」(高文研)


なんのために聞くのか
知識を貯めこんだりのではなく
感情を治めたり、高ぶらせたりするのでなく
自己を上書きするため…
耳を、いや目もそんなふうに作り上げられたら
素晴らしい。

実績としての創造性

2005年05月14日 | 読書
子ども時代にはそれほど才覚を表さなかったが、成人になってから、それも中年以降になってから素晴らしい実績をあげた人も少なくない。それは地道な努力の継続・積み重ねがあったからである。<素質としての創造性>に個人差があるように、<実績としての創造性>にも個人差があるのである。
江川玟成「子どもの創造的思考力を育てる」(金子書房)


学校教育の使命の一つに、
いかに創造性の実績を積ませるかという点がある。
幅広い「素質の個人差」を前にしながら
共通点を見出し、重視する内容を決めていくことが
公教育のあり方だし、それが全体の実績につながる。

自己原因性感覚をもたせる

2005年05月11日 | 読書
重要なことは、子どもたちが「自分が原因となって授業や学校が(少しは)変わる」という感覚をもてるようになることだ。授業や学校に対する、「自己原因性感覚」をもたせるのである。こうした感覚がもてるようになると、子どもたちは「先生はがんばって授業をしてくれているのに、自分はどうしてもやる気にならない」等、自分の問題を教師と共有しようとするであろう。
藤川大祐「授業づくりネットワーク №238 P6」(学事出版)



授業感想文という手法を使うときは
子どもをとらえようという教師側の発想が主だが
その手法によって子どもの「参画」を図ることもできる。
学校を、ある意味で共同体的存在としてみようという視点…
この感覚はいろいろな場に適用できるかもしれない。

目的を示す強い警句

2005年05月08日 | 読書
教師が目的意識を持って入念に指導しようと努めれば、自然にこの種の警句を学習者に与え意識させたくなる。このような警句こそが発展原理の学習用語である。これに対し「文」・「句点」などの単語は規制原理の学習用語である。それ自体は無目的であり、発展のための方向を持たない。単語に含まれる概念だけを与えるだけでは学習は促されない。その単語を含みこんだ、目的を示す強い警句を与えるべきである。
宇佐美寛「言語技術教育14 P81」(明治図書)



単語や用語が使えるということは
意味がわかるということではなく
学習をどれだけ促すかということである。
警句という形で授業のねらいを消化し
それを定着させることはもっと考えられてよい。


目的と手段の混同

2005年05月06日 | 読書
学習指導要領を作ってきた文部省の教科調査官でさえ、「目的と手段の混合」に陥っていたわけであり、中央・地方の行政関係者、学校関係者、PTA関係者、ジャーナリストなど「教育改革」を議論するあらゆる人々は、まず「何が『目的』なのか?」「具体的にどのような状況を達成しようとしているのか?」といったことを明確にし、「目的と手段の混同」に陥らないように注意すべきでしょう。
岡本薫「教育論議を『かみ合わせる』ための35のカギ」(明治図書)


今していることの意図は?と問われて
明確に、即座に答えられるようでなければならない。
そして、その教育行為がどのような目的と合致するのか
きちんと把握していなければならない。

ロングセラーへの道

2005年05月05日 | 読書
ロングセラーになっている商品は、他の商品とは何が違うのか。もちろん、商品の品質そのものが優れているという事実はある。しかし、それと同じぐらいに、メンテナンスが行き届いているのだ。クイズで出題したように、同じ食品でも、夏場と冬場に微妙に味の調整をして需要を安定させたり、時代とともにスタイルを変更させたり、機能を付加したりと。変わらないために、変えているのである。先生方にとっての授業技術や教材。ビジネスに置き換えれば、それがあなたの商品である。で、あなたの商品は今でも売れ続けているだろうか。
佐々木宏「先生のためのコミュニケーション技術」(学事出版)


黙っていては、品質の劣化は防ぎようがない。
動いてみること、飾ってみること
加えてみること、捨ててみること
時には水をかけてみたりして…
少しずつ姿を変えることで品質は維持されていく。

前向きになるための技術

2005年05月02日 | 読書
「本物を本気で」というのが私のポリシーですが、自分自身のエネルギーを保つには、何かに取り組む時、それを好きになることです。嫌だと思っても何の解決にもならないので、どんなことも「面白そうだな」、と発想を転換させて取り組めばいいのです。
井村雅代「学校総合教育技2005.5 P5」(小学館)


前向きな人と一口で言うが、
それは楽天的とか明朗とか性格上の問題というより
発想の転換という一つの技術を身につけている
ということではないだろうか。
それであれば、前向きに近づいていくことはできる。

手応えを覚えながらの転落

2005年05月01日 | 読書
実際、「習熟度別指導」の魅力と手応えは、子どもにとっても教師にとっても「丁寧な指導」にあるのだが、なぜ「丁寧な指導」の魅力と手応えが得られるかと言えば、学習内容のレベルを下げ、通常以上の時間をかけているからである。ここに「習熟度別指導」の危険な落とし穴がある。「習熟度別指導」においては、教師も子どもも手応えを覚えながら、さらなる学力低下へと転落するのである。
佐藤学「学校運営№519 P8」(学校運営研究会)


学習集団を意図的に組織することの
意義や価値、問題点や危険性について
私たちの検討は非常に浅いところで留まっていないか。
しっかりとした教育論がないと方法論は語れない。