九州電力、ついで東北電力が太陽光発電などによる電力の買い取りを中止するというニュース。太陽光発電や風力発電は九州ではかなり普及している様子で九電の供給電力に対して、かなりの割合の発電力があるようです。買い取りの割合が増えすぎると電力の供給の安定性が損なわれる、ということですけど、本音はどうでしょうか。電気が余りすぎて商売にならないということでしょうかね。それでも九電、川内原発を再稼働しようとしているのですから、原発再稼働は発電が目的ではないのでしょう。
ともっともな話。送電網を整備して、電力のやりとりを効率化すれば、原発どころか発電所そのものも必要なくなる可能性もあるのではないでしょうか。そうしないのは、それではカネにならないというなのでしょう。
話題転換。
Pubmed alertを見ていたら、T先生がNatureに論文を出しているのを見つけました。患者由来のiPSを使って、スクリーニングして治療効果のある薬剤を同定した。という話です。T先生、昔は私と同じように細々とやっていたのに、iPS研究者になってK大に移ってから大活躍しています。随分前に学会で何回か会って以来、会っていないので、ふと思いついてウェッブサイトに行ってみました。髪の毛の量が有意に少なくなった以外は昔の先生の姿でした。
このNature論文は、私的にはちょっとインパクトに欠けるように思いました。スタチンでFGF受容体変異による先天性軟骨異常が良くなるという話です。この骨格異常はRas/ERKシグナル系の過剰活性が主原因であることは随分前から分かっており、スタチンがRasの脂肪修飾を阻害して細胞膜への局在を抑制し、Ras系のシグナルを抑えるとことも前から分かっていたことです。Ras系シグナルが亢進する別の骨格異常の病気のモデルがスタチンで改善したという研究も数年前にも出されています。その点から言うと、Ras活性亢進が原因の病気にスタチンが効いたという話にはあまり目新しさを感じません。患者由来のiPSを使った研究、というあたりがNatureに受けたのでしょうか。しかし、Scientificな興味はともかく、効果ははっきり証明されたようですから、translational researchという点では成功です。
この病気は先天性骨格異常の中ではもっとも頻度が高く、複数の製薬会社も最近は興味を示しています。同じK大の別のグループが10年前に発見したCNPという大変不安定な整理活性ペプチドがこの病気を改善させることを示してから、複数のベンチャーがCNPの安定化化合物を作っています。またさらに上流の受容体レベルでシグナルを抑制する合成ペプチドが開発されて、大手企業が製品化しようとしています。
製薬会社が低分子化合物でなく、Biologicsと呼ばれる主に生体の蛋白を主体にした薬剤や抗体に力を注いでいるのは、パテントの問題があります。蛋白や抗体がベースになっている薬は、作るのにそれなりの技術が必要なので、合成が簡単な低分子化合物と異なりパテントが切れてもジェネリックを作りにくく、優位を保てます。スタチンはもちろん日本が誇る発見で、コレステロール合成経路の発見がノーベル賞を取っていなければ、ノーベル賞になってもよかったと私は個人的に思っていますが(たしかラスカー賞は授賞したと覚えていますが)、スタチンは低分子化合物。しかもコレステロール代謝への影響があるので軟骨に効く用量を子供の患者に投与するというのは実際には難しいのではないかと私は思います。その点でより特異性の高いペプチドや抗体による治療が将来的には実用化されるのではないだろうか、と想像します。とはいうものの、いずれにしてもNatureに論文が載るのは素晴らしいことです。T先生の今後のご活躍が楽しみです。
その後、この話が大隅先生のブログでフォローされているのを知りました。一緒に記事になっていたのが、iPSの初めての臨床応用。リンク先の記者会見の写真をふと見ると、手術をした眼科部長、見覚えがあると思ったら、昔のご近所さんでした。一緒の電車で通勤していたので雑談したり、一緒に飲んだりしたこともあります。皆、偉くなっていますね。この方は実は他にもすばらしい才能をお持ちで、プロ級のピアニストなのです。ご近所さんだったときにも、世界的なコンクールに出場したりしておられました。昔についたピアノの先生が良くなかったのでブロになるほど伸びなかったと言われていましたが、プロのピアニストになりそこなっても天下のK大医学部から一流病院の眼科部長です。加えて、この人には育ちの良い人が持つ気品があります。天は二物を与えずというのはウソです。
ま、私は凡人でOKです。凡人なりに幸せに日々を送りたいと思っております。
四千キロワットのメガソーラー建設を目指している鹿児島市の男性(50)は会社を設立しことし三月、九電に新規契約を申請した。既に土地代などに約一億円を投資。男性は、再稼働へ手続きが進む川内原発を引き合いに「原発への投資ではなく、送電網に投資するべきだ。多くの企業が反発するだろう」と語気を強めた。(東京新聞)
ともっともな話。送電網を整備して、電力のやりとりを効率化すれば、原発どころか発電所そのものも必要なくなる可能性もあるのではないでしょうか。そうしないのは、それではカネにならないというなのでしょう。
話題転換。
Pubmed alertを見ていたら、T先生がNatureに論文を出しているのを見つけました。患者由来のiPSを使って、スクリーニングして治療効果のある薬剤を同定した。という話です。T先生、昔は私と同じように細々とやっていたのに、iPS研究者になってK大に移ってから大活躍しています。随分前に学会で何回か会って以来、会っていないので、ふと思いついてウェッブサイトに行ってみました。髪の毛の量が有意に少なくなった以外は昔の先生の姿でした。
このNature論文は、私的にはちょっとインパクトに欠けるように思いました。スタチンでFGF受容体変異による先天性軟骨異常が良くなるという話です。この骨格異常はRas/ERKシグナル系の過剰活性が主原因であることは随分前から分かっており、スタチンがRasの脂肪修飾を阻害して細胞膜への局在を抑制し、Ras系のシグナルを抑えるとことも前から分かっていたことです。Ras系シグナルが亢進する別の骨格異常の病気のモデルがスタチンで改善したという研究も数年前にも出されています。その点から言うと、Ras活性亢進が原因の病気にスタチンが効いたという話にはあまり目新しさを感じません。患者由来のiPSを使った研究、というあたりがNatureに受けたのでしょうか。しかし、Scientificな興味はともかく、効果ははっきり証明されたようですから、translational researchという点では成功です。
この病気は先天性骨格異常の中ではもっとも頻度が高く、複数の製薬会社も最近は興味を示しています。同じK大の別のグループが10年前に発見したCNPという大変不安定な整理活性ペプチドがこの病気を改善させることを示してから、複数のベンチャーがCNPの安定化化合物を作っています。またさらに上流の受容体レベルでシグナルを抑制する合成ペプチドが開発されて、大手企業が製品化しようとしています。
製薬会社が低分子化合物でなく、Biologicsと呼ばれる主に生体の蛋白を主体にした薬剤や抗体に力を注いでいるのは、パテントの問題があります。蛋白や抗体がベースになっている薬は、作るのにそれなりの技術が必要なので、合成が簡単な低分子化合物と異なりパテントが切れてもジェネリックを作りにくく、優位を保てます。スタチンはもちろん日本が誇る発見で、コレステロール合成経路の発見がノーベル賞を取っていなければ、ノーベル賞になってもよかったと私は個人的に思っていますが(たしかラスカー賞は授賞したと覚えていますが)、スタチンは低分子化合物。しかもコレステロール代謝への影響があるので軟骨に効く用量を子供の患者に投与するというのは実際には難しいのではないかと私は思います。その点でより特異性の高いペプチドや抗体による治療が将来的には実用化されるのではないだろうか、と想像します。とはいうものの、いずれにしてもNatureに論文が載るのは素晴らしいことです。T先生の今後のご活躍が楽しみです。
その後、この話が大隅先生のブログでフォローされているのを知りました。一緒に記事になっていたのが、iPSの初めての臨床応用。リンク先の記者会見の写真をふと見ると、手術をした眼科部長、見覚えがあると思ったら、昔のご近所さんでした。一緒の電車で通勤していたので雑談したり、一緒に飲んだりしたこともあります。皆、偉くなっていますね。この方は実は他にもすばらしい才能をお持ちで、プロ級のピアニストなのです。ご近所さんだったときにも、世界的なコンクールに出場したりしておられました。昔についたピアノの先生が良くなかったのでブロになるほど伸びなかったと言われていましたが、プロのピアニストになりそこなっても天下のK大医学部から一流病院の眼科部長です。加えて、この人には育ちの良い人が持つ気品があります。天は二物を与えずというのはウソです。
ま、私は凡人でOKです。凡人なりに幸せに日々を送りたいと思っております。
「電気は余ってる」と表面だけ見ているお目出度さには呆れて物も言えませんよ。あんたたちの脳内ではオイルショックはもう「無かった事」になっているのでしょうね。日本が資源エネルギーの殆どを輸入に頼っている事実は当時と変わらないのに、その事実は無視ですか。オイルショックの苦い経験があったからこそ日本は原発を選択肢の一つに加えたのですけど。発電施設にしたって火力発電はメンテナンス時期を延ばしてだましだましやってるわけで。万一故障すれば「電気が足りる」どころの話ではなくなるのですが、左巻きの脳味噌ではその程度の事も理解できないみたいですね。世界中で原発の新規建設が進んでいる事実すらあなた方は直視できないのでしょう。
そう言えば福島原発事故から暫くは「埋蔵電力」なる言葉が流行りましたが再最近は死語と化したようです。
これも「無かった事」にしたいのですか?